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ミニセミナー No.05
1999.11.6/7
EMでやる家庭菜園
講師:神山正夫・天願朝子
The Exhibition Event --------
Effectiv Microorganisms





 自分で土づくりをして、草花や野菜などを植える。花が咲き、実がなる。それを目にするとき、気持ちは充実感でいっぱい。野菜ならば、料理をして食べることもできる。家庭菜園は、いわば小さな自給生活のようなもの。そんな家庭菜園の土づくりに、EMが活躍する。本セミナーは、EMを使った土づくり…「EMボカシ」づくりだ。
 家庭菜園のための「農業用EMボカシ」の作り方を実演したのは、神山正夫(かみやままさお)さんと天願朝子(てんがんあさこ)さん。作物のための土づくりのセミナーということもあり、会場のイスはあっと言う間にいっぱいになり、大勢の立ち見も。
 用意したものは、米ヌカ40キログラム、魚粉20キログラム、骨粉10キログラム、油かす、EM・1 を150cc、糖蜜を150cc、ふた付きのバケツ、ビニールシート、密封容器、水30リットル。神山さんはまず、土づくりの話をした。
「作られた肥料や土を買って利用するだけでなく、EMボカシの作り方を覚えて、自分でそれを使うようになってほしいです。これから実際にEMボカシを作っていきますが、皆さんもし手が届くようであれば、一緒に手伝ってください」
 神山さんの横に、天願さんがスタンバイして、いよいよ実演講習が始まった。はじめに、魚粉、骨粉、油かすを、ビニールシートの上で混ぜる作業。数名がシートの前に集まり、神山さんたちと一緒に土を混ぜる。次に、米ヌカを加える。さっそく参加者から「米ヌカはどこで買うんですか」という質問。「お米屋さんでお求めになってください」。米ヌカは、一般家庭ではまず買わないもの。どこで売っているか分からないのも無理はない。


適正な湿り具合をつかんでおく

 神山さんは「米ヌカは、皮膚にもとてもいいですよ。どうぞ、手を伸ばして一緒に混ぜてみてください」と観衆に声を掛ける。それに誘われ、かなりの人々が実際に参加した。まだ水分が加わっていないので乾燥しており、サラサラとした感じだ。
 そこへ神山さんは、水に溶かした糖蜜とEM・1 を加えていく。「このとき、EMボカシの水分含有量が重要で、どのくらいの湿り具合になればいいのかを、しっかりつかんでおくことが大事です」と神山さん。「今からやってみますのでね、水や糖蜜を加える際は、一気にせずに少しずつ混ぜ合わせながら加えてください。水の加減は大事ですからね」。神山さんの手元に、会場の参加者の視線が集まる。神山さんは、固まって玉状になる材料をほぐしながら混ぜていく。両手ですくって、それをこすり合わせるようにすると、うまく混ざるようだ。また、水分の加減は、混ぜ合わせるヌカの油分の多少によって調整する必要があり、多少の経験も必要とされる。水分の含有量は、35〜40パーセントがベスト。手に握ると固まりになり、それを指で軽く押すと崩れるぐらいが目安だという。
 会場の観衆が一緒になって作業をし、10分ほどで下準備が出来た。あとは、密閉容器に入れて発酵させるだけ。EMボカシは、空気を嫌う嫌気性のため、フタがついたポリバケツなどの密閉できる容器に入れて、上から強く押さなければならない。空気を抜くのだ。神山さんは、容器に入れた材料を手のひらでグッ、グッと押していく。「空気に触れたままだと、EMの発酵が進んで熱を持つんですよ。すると、EMの効果が半減するんです」。もちろん、好気発酵という方法もある。しかし、誰でも簡単にできるのが、実演している嫌気発酵という方法なのだ。
 その後の工程は、容器に材料を詰めて空気を抜いた後、上から重しを載せて密閉する。あとは、10日前後そのまま発酵するのを待つだけ。発酵後、いい匂い(芳香臭)がしてきたら出来上がりだ。出来上がりのあと、すぐに使うことができるが、長期保存する場合には、天日に干して一度乾燥させてからとのこと。10日間を過ぎてそのまま置いておくと、腐ることもあるからだ。
 ひと通り、神山さんと天願さんの実演が終わったところで、会場からの質問。「天日で乾燥させる時には、熱くならないんですか」。確かに沖縄の陽射しは強いので心配だ。「EMは、2000度ぐらいの高温にも耐えるそうです。だから、沖縄の太陽ぐらいでは死にません。大丈夫ですよ」。
 ただし、今回の農業用EMボカシの場合には、天日にさらして乾燥させてもいいが、生ゴミ処理用のEMボカシの場合は、直射日光は避ける。「用途が別なので、農業用EMボカシとは違う管理方法をとらなければならないから」だそうだ。EMボカシと一口に言っても、用途
によって異なるのだ。


「慌てなくてもちゃんと出来ますよ」

 シートの上のEMボカシの前では、たくさんの観衆が集まり、手に取りながら神山さんや天願さんにたくさんの質問を浴びせた。それが一段落したところで、「もし、今日作ったEMボカシを、発酵させてから使いたいという方がいらっしゃれば、袋に入れて差し上げますので、どうぞ使ってみてください」と神山さん。観衆は大喜び。「家に帰ったら、袋を押して空気を出して、さらにそれを黒いビニールで覆ってください。そして温かいところに置いてください」。神山さんのアドバイスが、なお続く。「発酵した後は、色々なものに使えますよ。草花でもいいし、庭の土として使ってもいい。ただし、植物の根に直接触れないようにしてください。肥料としては強すぎるので」。準備していた20袋ほどのビニールは、あっという間に無くなってしまい、会場のスタッフが新たに袋を持ってくるほどの盛況ぶりだった。
 土づくりの基本からはじめる家庭菜園は、出来上がる作物の量では計ることのできない恵みをもたらすことを、現代人は気づき始めている。それは、時間をかけた中でしか生まれてこない、持続する心の充実とでも言おうか。「まずは土づくりからです。慌てなくてもちゃんと出来ますよ」。神山さんの言葉は、観衆の胸に十分に染みたようだ。