EMフェスタ99 > ポスターセッション


ポスターセッション No.07
1999.11.7
EM技術と高度水処理の併用による
        水資源リサイクルの試み
具志川市立図書館資材係長 濱川隼一
The Exhibition Event --------
Effectiv Microorganisms


 沖縄県内で最もEMの活用に取り組んでいる具志川市。特に市立図書館は、EMを浄化槽に応用することで従来の方法とはまったく異なる水処理を行い、中水道としての再利用を行っている。約10年間続いているこの取り組みは世界的にも注目され、全国各地の関係者はもちろん、世界50カ国からも視察団が訪れるほど。同市の視察受け入れは年間2000人にも及ぶという。今回のポスターセッションでは、同図書館の資材係長である濱川 隼一(はまかわ じゅんいち)さんが、具体的なEM活用方法や今後の展望を語った。
「ダムなどが整備されてきたとはいえ、沖縄では昔から夏場の水不足が深刻です。また、地球規模でも水不足は今後の問題になると指摘され、日本は2025年ごろには深刻な水不足になるという予測もされています。これまで下水として廃棄されていた水を、中水道として利用する具志川市立図書館の浄化システムは、今後の水対策事業の目標となり、EM応用の取り組みがますます普及していくきっかけになればいいと考えています」
 全国に先駆けた水のリサイクルシステムについて、濱川係長は説明を始めた。同図書館で使用するEMは、計画処理水1日に32立方メートルに対し3ヶ月に3リットル。沈砂槽に投入しているという。浄化された水のBOD値は、5ミリグラム/リットルとかなりきれいな状態だ。この水を、館内のじゅうたんの清掃やトイレの流し水、自動車の洗浄、窓ガラスの清掃などに利用している。このような中水の活用により、図書館における水道料金は、月平均でなんと5209円。ひと家族の水道使用料金よりも少ないほどの金額である。
 このシステムでは、EMのほかに臭気・色度対策として活性炭吸着剤、EM・Xを使用し、大腸菌や一般 細菌対策としてEM・Xセラミックスを活用しているという。
「EM・Xセラミックスは多孔質の形状をしているので、接触する粒子を孔内に吸着する作用があります。中・低分子系の有機物質を効果 的に除去できるんです。そして、定期的にセラミックスを洗浄することで常にその機能を維持することができるのです」
 もちろん、EMそのものが持つ抗酸化作用もあるので、水環境の悪性化を防ぐ効果も期待できる。






大腸菌群増殖を抑制


 具志川市とEM研究機構は、実際にEMが大腸菌の除去や抑制に効果的なのか実験をしている。人工的に大腸菌と有機物を投入した試験水槽を作り、EM・Xセラミックスや麦飯石、活性炭、備長炭、砂(アンスラサイト)をそれぞれ濾材にして30日間データを採取したのである。
 その結果、EM・Xセラミックスと麦飯石を濾材にした実験では大腸菌群数はほとんど見られず、続いて備長炭や活性炭、砂の順で大腸菌群の増殖が抑えられた。しかし、砂や備長炭は日によって数値の変動が激しいことから、抑制効果が安定しないことが分かった。その理由として、備長炭や砂は粒子の径が小さいために時間当たりの循環回数が少なくなり、菌の抑制効果が現れなかったと考えられると言う。
「同じ多孔質であっても、その形状によって長期利用が可能なものとそうでないものがあるんです。どの濾材でも抑制効果は確認されましたが、その中でもEM・Xセラミックスと麦飯石の効果が高かった。EM・Xセラミックスが大腸菌の除去にも効果的であるということがこれで立証されたわけです」
 この実験結果から、具志川市立図書館ではより水の質を高めるために、EM・Xセラミックスによる高度循環型ろ過装置の開発・使用に取り組み始めた。この装置のポイントは、大きく分けて3つある。臭気や濁度の改善にEM・Xセラミックスと活性炭を併用して行うこと、大腸菌群数の改善にはEM・Xセラミックスを使用すること、EM・Xセラミックスの効果を高めるために循環機構を装置に組み込み、EM・Xセラミックスと処理水の接触時間を長くすることだ。


新ろ過装置の導入で中水が上水に

 すべての必要条件をクリアする高度循環ろ過装置(EM上水モジュール)が完成すると、沖縄環境分析センターに依頼し、さっそく水質検査を行った。
「すると、大腸菌群数を0に抑えることができたのです。これは、従来のように塩素消毒を行わずに大腸菌の増殖を抑えることができる、まさに『新時代の水処理装置』として期待できます。ダイオキシン問題など、塩素はいろいろな問題も指摘されており、できれば使わない方が良いわけですから」
 ただ、飲み水として利用することが可能なレベルまでの数値には至っていない。ほとんど気がつかないほどではあるが、若干臭いがすると指摘されたのだ。それと、一般細菌の数値が飲料水の基準値以上になっているという。しかし、これは別の見方ができると濱川さんは説明する。
「ほとんど気づかない程度の臭いですが、EMの発酵臭も異臭として判断されてしまうのです。また、一般細菌の数値は、EM添加も行っているわけですから、EM本来の有用菌が検出された結果だと思うのです。身体に良い菌もこの試験では引っかかってしまうので、これについては今後の検討が待たれます。私たちはこのろ過装置を使い、臭いさえ気にしなければ『飲料水』として活用できるレベルにまで水質が良くなったと確信しています」
 生活雑排水を上水として再利用できるEM上水モジュールの開発は、具志川市立図書館の目玉となっている。これが広まって都市部の施設全体に設置されたときに、都市そのものを「ダム」として位置付けることが可能となり、画期的な変革になるだろう、と濱川さんは語った。