EMフェスタ99
> ポスターセッション
ポスターセッション No.06
1999.11.7
EM技術による環境保全型下水処理法の実用事例
本部町浄化センター
EM研究機構 小島慶太
The Exhibition Event --------
Effectiv Microorganisms
沖縄県本部町の下水道課では、下水処理場の悪臭と水質の改善や設備の運転方法安定化を目指し、1996年から浄化センターでのEM処理を行っている。このポスターセッションは、同センターでのEM活用方法やEMによって改善されたポイントについて、EM研究機構の小島慶太(こじまけいた)さんが発表を行った。
小島さんは最初に、一日に6000kの下水を処理するという同浄化センターのシステムを簡単に説明した。
「下水はまず沈砂池を通り、最初沈澱池で水と汚泥に分離されます。水はばっ気槽で生物分解され、最終沈澱池で汚泥をさらにかき出した後、塩素処理を行って放流します。汚泥は濃縮槽で沈澱させ、最終的には脱水処理を行って汚泥ケーキとなり排出されます。EMは最初の沈砂池でEMボカシを投入。最終沈澱池にもEM・Xセラミックスを1105トン設置し、これに接続する返送ピットにも週に1000リットルのEM活性液を投入します。また、汚泥濃縮槽にも週に1500リットルのEM活性液を入れています」
このようにEMを活用して、まず明らかに変わったのが悪臭が発生しなくなったことだという。もっとも臭気の害が報告されていた沈砂池では、1988年に硫化水素の測定値が0.23ppm、アンモニアが0.85ppm であったが、EMを投入後の1999-11 EMフェスタ99ではそれぞれ0.0595ppm、0.25ppmまで下がった。人間が感知できる硫化水素の限界は0.03ppmといわれるが、同浄化センターではその値に近い。ひどかった悪臭が、ほとんど感知できないレベルにまで改善されている。
EMには有機物の分解の際に悪臭を伴わない有用発酵を促す働きがあり、有用微生物が硫化水素を酢酸や二酸化炭素などの無臭で無害の物質に分解する。その効果 が見事に実証されている。
汚泥が特殊肥料に変化
さらに、EM効果は汚泥の分離にも大きな影響を与えたという。最初沈砂池や重力濃縮槽にEMを投入することで、汚泥が沈みやすくなり、従来に比べて一度にたくさんの汚泥を引き抜くことが可能になったのだ。
「EM投入前には40トンの汚泥を引き抜いていましたが、EM投入後には65トン。つまり、25トン分の汚泥が、EM投入前の引き抜き汚泥と同じ容量に圧縮されているのです」
さらに、引き抜いた汚泥を移送する段階でも汚泥の沈降は確実に行われ、EM処理を行うことで効果的な重力濃縮を促進していることが明らかになったという。これはつまり、作業効率が良くなったことを意味し、作業日程の短縮など、経済的効果も大きい。
重力濃縮槽に集められた汚泥は、さらに消化槽や分離槽をへて脱水処理を施し、固形化して汚泥ケーキにする。EM処理された汚泥ケーキは、従来のものと比べて悪臭が軽減されていることは言うまでもないが、その他の面でも肥料としての有効な利用が可能なことが分析の結果明らかになっている。
汚泥ケーキはこれまでその肥料効果が期待されながら、混合物の法規制の問題から埋め立てや海上投棄されていたのが現状だ。しかし、この基準をクリアすれば肥料として登録することも可能となる。
汚泥ケーキの分析を行った環境化学センターなどの調査機関のデータでは、1キログラム当たりのヒ素が16ミリグラム以下、カドミウム3.5ミリグラム以下、水銀0.59ミリグラム以下。これは環境基準として定められているヒ素50ミリグラム以下、カドミウム5ミリグラム以下、水銀2ミリグラム以下という数値を大きく下回っている。つまり、肥料登録基準を達成できていることがわかった。
この結果を受けて、本部町浄化センターでは、汚泥の畑地還元を試験的に推進している。
今後の展望
「たとえば、重力濃縮槽で固体と分離された水が最初の沈砂池に返流されるなど、循環型の汚水処理施設ではEMの効果が著しく高まります。脱離液の返送が無いシステムでは、濃縮槽にEMを投入しても水処理系にまで行き渡らないので、放流水の水質改善などの効果は期待できないことになります。システムにあった最適な方法でEMを投入すれば必ず結果は期待できます。それをどうするかが今後の課題ですね」
現在の放流水の水質は、SS浮遊物質の値が20ミリグラム以下と基準を満たしているのだが、今後の水質改善で一番の目標とするのは、大腸菌群数の増加抑制だという。これを達成すれば、塩素処理する必要も無く、より自然にやさしい放流が可能になる。
EM研究機構は、本部町浄化センターに適切なEMの投入方法を検討し、今後の対策に乗り出している。具志川市立図書館などで大腸菌群数の増加抑制にEMが効果的であることは実証済みなので、それをどの段階でどこに投入すれば良いのか、浄化センターで実地調査を進めていく方針だ。
また、汚泥は特殊肥料としての基準は達成していることが分かったものの登録申請はまだ行っていない。これも継続して調査を行いながら、ゆくゆくは肥料登録する予定だという。
「既存の設備でいかに臭いや汚濁状況の改善を図れるか、これがEMの挑戦でもあります。本部町の浄化センターでは放流水質の改善などまだまだ課題は多いのですが、今後の調査・実践で必ず良い結果が出るでしょう。次は、その報告をさせていただきます」と、小島さんは発表を締めくくった。
セッション終了後に、「最終沈澱池に設置した約1トンのEM・Xセラミックスは取り替えの必要がありますか?」と観衆から質問があり、小島さんは次のように答えた。
「コケのようなものがつき始めたら取り出して洗い、再投入します。つまり、半永久的に使用できます」