EMフェスタ99 > パネルディスカッション


パネルディスカッション
1999.11.6
「ダイオキシンが社会へ問いかけるもの」
The Theater Event --------
Effectiv Microorganisms



 
 1956年沖縄県那覇市生まれ。1980年琉球放送入社、制作局アナウンス部在籍。1998年3月報道局兼キャスター室部長補佐で退社。現在テレビプロダクション(株)メディアエクスプレス代表取締役。1984年「沈黙の海ー湖南丸遭難事件」で日本民放連盟優秀賞、1992年「ハイヴィジョン・琉球王朝の栄華」制作でハイヴィジョン・アワード審査委員長賞を受賞。主な制作番組「ペリー提督と大琉球」「戦後40年の検証」他多数。主な著書に「沖縄のまちづくり・地域おこし」「ペリーと大琉球」他がある。主な論文に「報道の時代とドキュメンタリー」「沖縄戦とドキュメンタリー」他。
玉城 朋彦
テレビキャスター
コーディネーター
 
 1949年3月23日広島県広島市で生まれ、広島市立宇品東小、翠町中、修道高校、東京大学卒業、東大大学院に進学し、修士課程・博士課程を経て愛媛大学に赴任、1988年10月農学博士(東京大学)、専門は、地域環境工学、愛媛大学では助手、講師、助教授、在職中、愛大情報処理センター分室長、愛大連合大学院教官を併任、また、日本農業土木総合研究所(財)の水資源、水質関係の各種委員を兼務。研究調査のため、台湾、東南アジア諸国、オーストラリア、アメリカ合衆国、メキシコなど訪問。著書「水利の風土性と近代化」「西暦2000年の地球1人口・資源・食料編・(共訳)」「西暦2000年の地球2環境編(共訳)」「バイオ・センシング・システム」など多数。現在国土環境委員会理事、沖縄・北方特別 委員会理事、公明党基本政策副委員長、公明政審建設・環境部会長、公明ダイオキシン問題対策本部事務局長 (1998年11月9日現在)
福本 潤一
参議院議員
パネリスト
 
 1925年福岡県生まれ。1950年慶応義塾大学医学部専門部卒業。大学では大脳生理学の研究を行った。医学博士。1951年埼玉 県大和町(現和光市)にて内科・小児科開業。1989年4月埼玉県和光市市長初当選し現埼玉 県和光市市長。埼玉県朝霞地区医師会長。外務省国際緊急援助運営委員会委員。ボリビア国立サンアドレー大学医学部名誉教授。社会福祉法人三芳厚生福祉会特別 養護老人ホーム「三芳園」及び老人保健施設「むさしの苑」理事長。趣味は登山と読書。
田中 茂
和光市市長
パネリスト
 
 1954年2月4日静岡県沼津市生まれ。東京工業大学理学部科学科卒業後カリフォルニア大学リバーサイド校物理学科にてPh.D.取得。専門は、個体物理理論。1986年カリフォルニア大学大学院在学中に、世界有機農業運動連盟の国際会議に参加する比嘉教授の通 訳を依頼されたことで比嘉教授と知り合い、以後文献の翻訳や自然農法国際会議での通 訳などを通じてEM普及活動に関わってきた。高専や大学の講師を経て1996年にEM研究機構の特別 研究員となる。
笹原 嘉純
EM研究機構
パネリスト
 
 1941年12月28日沖縄県生まれ。琉球大学農学部農学科卒業の後、九州大学大学院農学研究科博士課程終了。1970年に琉球大学講師として勤務。1972年に同大学助教授を経て1982年より現職。氏は「EM」の研究により世界的に知られ、世界各国でEMの普及および技術指導にあたっている。著書に「地球を救う大変革」(サンマーク出版、1993年)「An Earth Saving Revolutionqw」(「地球を救う大変革」英語版)「地球を救う大変革w」(サンマーク出版、1994年)「地球を救う大変革e」(サンマーク出版、1997年)「微生物が文明を救う」(共著、クレスト社、1995年)「微生物の農業利用と環境保全」(農文協、1990年)他多数ある。EM技術は現在までに日本を含めた90ヶ国に広がり、ビジネスだけでなく政府レベルでも色々な分野でEM技術が応用されている。現在自然農法国際普及実行委員会委員長、アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(財)自然農法国際研究開発センター理事、(財)日本花の会技術顧、(社)日本の水をきれいにする会学術顧問、農林水産省・建設省提唱「花の町づくり全国コンクール」審査委員長その他、国・県の各種委員を多数歴任。
比嘉 照夫
琉球大学農学部教授
アドバイザー



玉城:皆さま、本日はようこそお越しくださいました。これからの2時間は、ダイオキシン問題についてのディスカッションでございます。今年のディスカッションのテーマは、「EMによるダイオキシンの抑制システム」でございまして、振り返ってみますと、「母乳からダイオキシン」というようなニュースが出ましたり、埼玉 県では、所沢市で、たいへんな騒動がありました。世界的にもダイオキシンの問題は、注目されているわけでございますが、EMを使うことによってダイオキシンが99.9パーセント抑止できるという試験結果 も出てまいりました。今日はその現状と課題を、ゲストの皆さんとディスカッションを展開したいと思います。
 ゲストの皆さんを御紹介いたします。まず、EM研究機構の特別研究員、笹原嘉純さんです。続いて、埼玉 県からお迎えいたしました和光市の田中茂市長でいらっしゃいます。田中さんは、お医者さんでもいらっしゃいます。さらに、国会からは、参議院議員の福本潤一さんです。そして、今日のディスカッションのアドバイザーは、比嘉照夫先生でございます。
 EMは、農業の分野、畜産の分野、環境の分野で、たいへん大きな効果を、国内、国外に広げておりますが、今日はダイオキシンについてテーマを絞りたいと思います。皆さまから、それぞれの視点でのご報告をいただき、その後に討論をいたしますが、まずは、このダイオキシンというものが、いったいどういうものであるのか、そしてこのダイオキシンの現状はどうなのか、EMがどのように抑止効果 を発揮するのか…といった現状につきまして、その研究の先端にいらっしゃいますEM研究機構の笹原特別 研究員からご報告いただきます。会場正面にスライドが上映されますので、ちょっと壇上暗くなりますが、皆さん、注目のレポートでございます。よろしくお願いいたします。


EMによるダイオキシン類抑制の実証実験

笹原:EM技術によるゴミ焼却場でのダイオキシン類抑制の実証実験、沖縄県石川市、具志川市のゴミ焼却場での実際の処理状況および抑制のデータ、およびダイオキシンの分解実験などについて、スライドをお見せしながらご説明いたします。ダイオキシン類は、環境中に放出された場合に、動物に対して、さまざまな障害を引き起こすことで問題となっている環境ホルモンの一種でありまして、動物に対して発ガン性、生殖障害、免疫機能低下、肝機能障害など、さまざまな障害を引き起こすことが分かっています。毒性は非常に強くて、動物によってその毒性というのは違ってきますが、例えばモルモットに対しては青酸カリの1000倍の毒性を持っているといわれています。水には溶けにくいんですが、脂肪に溶けやすいために、動物中の脂肪組織に蓄積しやすいという性質があります。さらに自然環境中では分解しにくく、土壌中での2,3,7,8-TCDD、これはダイオキシンの中でも最も毒性の強い化合物なんですが、これの半減期、つまり半分に減るまでの期間は10年から12年という報告もあります。従って環境中に微量 に存在するだけでも、生態に大きな影響を及ぼす物質であります。ダイオキシン類は一般 のゴミや産業廃棄物の焼却、金属の精錬、農薬の製造過程、あるいはまた、タバコを吸っていらっしゃる方も大勢いると思いますが、タバコからも微量 に発生しています。日本ではゴミ焼却場からの発生量が圧倒的に多いために、大きな問題となっています。

〈スライド1〉
 これはダイオキシン類の化学構造式です。一番左側のPCDDと呼ばれるもの、これがダイオキシンそのものになります。このダイオキシンのグループは、75種類の異性体があります。異性体というのは、この1から1、2、3、4、6、7、8、9という場所がありますが、ここに塩素原子が何個つくか、どの場所につくかによって、異なった種類の異性体というふうになるわけです。その異性体によって毒性も違ってきます。それから、真ん中のこのグループはPCDFと呼ばれるもので、これはポリ塩化ジペンゾフランという種類です。これは135種類の異性体があります。それから、一番右側のこれは、コプラナーPCBと呼ばれるグループで、これは13種類の異性体を持っています。これらは全部で223種類の異性体があることになるわけですが、動物実験などで毒性がはっきり分かっているのは、このうちの30種類です。ただ、そのほかのものが毒性が無いかというと、そうではなくて、まだ毒性がはっきり分かっていないということです。EM研究機構では、1997年の9月に、沖縄の今帰仁村の清掃施設のゴミ焼却炉で、1回目の実験を行いまして、EM活性液とEM・Zで、焼却灰中のダイオキシンが50パーセント以上抑制されたという結果 が出ています。続いて1998年に埼玉県和光市の清掃センター、同じ年に沖縄県具志川市の清掃工場で同じような実証実験を行いまして、EM資材を使うことによってゴミ焼却場からのダイオキシンの発生が抑制できるということが分かりました。

EMでダイオキシンを99.9パーセント抑止

笹原:〈スライド2〉
 これは具志川工場での実験の結果です。これは飛灰で、ゴミを燃した時に空気中に飛んで出てくる灰です。その飛灰中のダイオキシンの濃度の変化を示しています。まず、この左側の軸が濃度になります。濃度の単位 はナノグラム-TEQ/グラム、飛灰1グラム中にダイオキシンが何グラム入っているかということを示す単位 です。ナノグラムの「ナノ」というのは10億分の1という意味です。それからTEQというのは…先程ご説明しましたように、ダイオキシン類は何十種類もありますが…それらを総合したときの毒性の等価濃度という意味です。このコントロール区は、EM資材を使用していない状況でダイオキシンの濃度は、75.5ナノグラム-TEQ/グラムでした。処理1区から処理7区までありますが、これはEM資材のEM・Z、EM・Zセラミックス、これらの組み合わせや濃度を変えて処理した場合の変化になります。それによってダイオキシンが、最初のこの量 から、最終的に処理7区では、濃度が0.01という値にまで減っています。このときの抑制率というのは、99.9パーセント以上になっています。現在、このEM資材を使って焼却場での処理を行っているのは、沖縄県石川市の清掃工場と、具志川市の清掃工場の焼却炉です。続いて、それらの場所での処理の様子をご紹介いたします。

〈スライド3〉
 これは石川市の清掃工場の全景です。ここでは、1日に30トンのゴミを13時間で焼却していおり、EM簡易抑制システムを導入しています。

〈スライド4〉
 これが簡易抑制システムです。非常に簡単なものですが、これらのタンクでEM活性液を作りまして、それから混合タンクでEM活性液とEM・Z、EM・Zセラミックスパウダーなどと混合し、ゴミピット(ゴミトラックが最初にゴミを搬入する場所)へ散布をしています。それから、ゴミを燃やして、排ガスに水を噴霧して冷却しています。その冷却水にも混ぜて、煙突まで行く途中で噴霧をしています。

〈スライド5〉
 これは具志川工場の全景です。ここでは1日にゴミ50トンを14時間焼却しています。ここの中央に小屋がありますが、この小屋の中にEM・1 の連続培養装置が設置されています。この右側にタンクがいくつか見えますが、これはEM活性液を作ったり、資材を貯蔵するためのタンクです。

〈スライド6〉
 これは今の工場の向かいにあります、ゴミの最終処分場です。清掃工場から出る焼却灰とか飛灰はここで処分されています。ここには、EM簡易抑制システムで作られたEM活性液を、今後定期的に散布していく予定です。

〈スライド7〉
 これはEM・1の連続培養装置の全景です。この装置では、1日に1トンのEM・1を自動的に、連続的に作り出すことができます。

〈スライド8〉
 これは連続培養装置の隣にありましたタンク類です。この若草色のタンクでEM活性液を作っています。この液は、この焼却場で全部使っているわけではなく、具志川市EMによるまちづくり推進プロジェクトの業務でもここで作られたEM活性液が使われています。それから、この右上のステンレスのタンクは、EM・Zセラミックスパウダーを貯蔵するためのタンクです。それからここに茶色のタンクがありますが、これはEM活性液をほかの資材と混合する前に、一時貯蔵するためのタンクです。あと操作板とか資材を運搬するためのスライドなどがここにあります。

〈スライド9〉
 これは、今のEM・ZセラミックスパウダーのタンクとEM活性液の貯蔵タンクです。それからこの下の青いタンクで、これらの資材を混合しています。その奥にありますタンクは、EM活性液を作るための糖蜜を貯蔵してあります。


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〈スライド10〉
 これは、具志川工場の焼却炉のフロー図です。まず、トラックで運ばれてきたゴミは、ゴミピットへと投入されます。ここからクレーンでゴミを取り出して、焼却炉へ入れられてゴミを焼却します。焼却したときに出てくる灰は、炉下から取り除かれていきます。それから、発生したガス、煤塵などは、沿道を通 り、最終的に煙突から出ていくことになります。途中に煤塵を取り除くための装置があります。排ガスをそのまま煙突から出しますと温度が高すぎるために、途中で冷却水を噴霧して、排ガスを冷やすための冷却水が噴霧されています。先ほどご説明しましたEM活性液、それからEM・Z、EM・Zセラミックスの混合液は、ここのゴミピットに入っているゴミに噴霧をします。それからEM活性液とEM・Zセラミックスを混ぜたものを、冷却水にも混ぜまして、沿道の途中で噴霧をしています。

〈スライド11〉
 これは、具志川工場でのゴミピットへのEM資材の散布の様子です。スプリンクラーを使い、間欠的にこの下にあるゴミへEM資材を散布しています。

〈スライド12〉
 これは、排ガスの冷却水貯水槽ですが、細いステンレスのパイプでEM活性液を混合しています。ここまでにご紹介したEMによるダイオキシン抑制システムは、ゴミ焼却場でのダイオキシン類の発生を抑制する技術ですが、環境中にすでに排出されてしまったダイオキシン類を分解することも、非常に重要なことです。EM研究機構では、EMによってダイオキシン類を分解する実験やゴミ焼却場近傍の農地のダイキシン類の濃度の測定なども行っています。


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〈スライド13〉
 この実験では、EM・1の活性液と、EM・2の混合液に、2,3,7,8-TCDD(これは先ほども言いましたが、ダイオキシンの中で最も強い毒性を持っているもの)の標準品を混ぜ、その濃度の変化を示しているものです。最初の濃度は240(nmol/l)でした。30日後には80(nmol/l)という値まで減少しています。


非常に速いスピードでダイオキシンを分解



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〈スライド14〉
 ここでは、EM・1の活性液とEM・2、さらにEMボカシと土壌を混ぜ、同じようにダイオキシンの濃度を測定した結果 です。ここでは、最初の濃度が230(nmol/l)で、30日経ったところでは50(nmol/l)にまで減少しています。先ほども申しましたが、ある報告では土壌中でのダイオキシンの半減期が10年から12年というような報告があります。また、ほかの報告では、湖の底に溜まっている土壌や堆積物、その中のダイオキシンの濃度が半分に減るまでに550日以上かかっている、という報告もあります。この実験では最初230(nmol/l)だったものが半分というと110(nmol/l)ぐらいですが、そのダイオキシンの濃度が15日前後の非常に短い期間で半分程度の110(nmol/l)の数字になっています。非常に速いスピードでダイオキシンが分解されているということが分かります。


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〈スライド15〉
 これは、埼玉県のある慣行農法(通常の農法)を行っているところの土壌と、EM農法を行っているところの土壌のダイオキシン濃度を比較したものです。EM農法を行っているところでは、農薬、化学肥料は使われていません。慣行農法を行っている土壌を3ヶ所調べました。それらの場所でのダイオキシン濃度の平均値が64.0ピコグラムです。ピコグラムというのは、1兆分の1グラムです。土壌1グラム中ここでは1兆分の64グラムのダイオキシンがあったということです。この慣行農法の値に比較しまして、EM農法をやっているところ、これは9ヶ所の平均ですが、9.4ピコグラムという、慣行農法に比べて非常に低い値になっています。これらのEM農法を使っている農地は、EMを使い始めて6ヶ月から1年ぐらい経過している場所です。また、ここにはありませんが、水田においても、同じようなデータが出ています。

 既存の技術による焼却場でのダイオキシン抑制システムは、非常に大がかりな装置を必要とする上、数億円から十数億円のコストがかかり、また排ガスだけのダイオキシン抑制など、限定された効果 しかありません。一方、EMによるダイオキシン抑制システムでは、今お見せしましたような簡単な装置で、しかも運営のコストもかなり低く抑えることができます。さらに飛灰や焼却灰中のダイオキシンが抑制できるとともに、悪臭や害虫の抑制など、非常に広い範囲の効果 を持っています。また、農業でEMを使った場合には、農機具がピカピカになるというような現象が出ていますが、それと同じように設備の耐久性が増すということも期待できます。現在、今ご紹介しましたような2ケ所に加えて、いくつかの自治体でEMによるゴミ焼却場のダイオキシン抑制システムの導入が検討されています。また、民間のゴミ処理業者の小型焼却炉での導入も検討されています。EMによるダイオキシン抑制システムの多くのメリットを考えますと、今後多くのゴミ焼却場で導入されていくものと思われます。さらに、ゴミの最終処分場でのダイオキシン分解や、一般 の土壌中のダイオキシン分解など、総合的なダイオキシン対策としてEMが使われていくことが期待されます。
玉城:ありがとうございました。グラフにもありましたが、笹原さん、EMを使うことによってダイオキシンを99.9パーセント抑止っていう結果 が出ているわけですか。
笹原:そうです。その抑制率99.9パーセント以上という値も非常にすごいものなんですが、その値が出るまでの期間も非常に短い。そういう面 を合わせて考えますと、非常に抑制の効果が高いと思われますね。
玉城:先ほど、例えば石川市ですとかいくつかスライドがありましたが…沖縄県内のお客様が今日は多いんですが、具志川市でも、そういう結果 が出ていると言っていいわけです。
笹原:そうですね、もう実際に運営していますので、多分沖縄の空気中のダイオキシン濃度というのはほかの県よりも低いんじゃないかと思います(笑)。
玉城:皆さん、実際のデータを使ってご報告いただきましたが、なんと99.9パーセント…という数値が実はもう出てきているということを、ぜひご認識いただきたいと思います。
 では、実際に、各自治体はどのように取り組んでいるのでしょうか。今も埼玉県の話がちょっと出ましたが、今日は埼玉 県の和光市から田中市長がお見えでございます。和光市ではダイオキシンの問題にどのように取り組み、EMをどのように導入していこうと考えていらっしゃるのか、お話いただきたいと思います。


EM導入に立ちはだかる国の方針

田中:和光市では、6、7年前からEMを生ゴミに利用しまして、それを肥料に使っています。これをやったのには、比嘉先生の理論でやれば成功する…という直感があったからです。私は医師でございまして、私は大学で微生物学を3年ほど勉強しましたので、EMに対する認識がすぐにできました。土壌中のEMというものは、ちょうど人間のお腹の中にEMを入れたときと同じように有効な微生物が発展し、増えていく状況です。実際に使ってみますと、生ゴミを減少させると同時に、いい肥料になりました。これで作ったジャガイモなどはあんまり大きすぎて、誰も市場で買ってくれないということもあります。今ジャガイモの大きいのは買ってくれないんです。この理由は、各家庭でジャガイモを一回買えば長くもつ…というのは市場にとっては困るということのようです。したがって私は、病院ではこのイモを使っております。そのようなわけで、一番の原点は、私が和光市でEMを利用して生ゴミを肥料としてリサイクルしたことです。町民に理解をいただきながら今日までやっているわけで、この延長線上で、ダイオキシン問題もとらえよう、ダイオキシン抑制の実証試験をやってみようということで、比嘉先生にお願いいたしました。これは実験でございますから、いろいろな角度からやらなければいけません。こういう角度でノズルを使えば、これは効果 が上がらないとか、いろんなことも含めまして、和光市ではだいたい13.6ナノグラムが出ていたダイオキシンが10分の1ぐらいに減ってきております。これは基礎的な実験ですが、先ほどの報告を聞きますと、もう99.9パーセントというようなデータが出てきているとのことで、たいへんその成果 に驚いている次第でございます。今後、和光市ではどうするか。これは、次のご質問のときに詳しく話そうと思いますが、時間になりましたで。どうぞ、次の方へ。
玉城:そうですか、ずいぶん遠慮深い…(笑)。もっと率直にどうぞ。和光市といいますと埼玉 県です。今年でございましたか、某テレビ局が所沢のダイオキシン問題で報道しまして、埼玉 県のみなさんは非常に敏感になったようですが、田中さん、そのあたりの影響はいかがでしたか?
田中:所沢市と和光市は近いものですから、市民が非常にダイオキシンに対して心配をしており、そのために市内各地の土壌や空気などをテストいたしました。所沢ほどではございませんが、やはりダイオキシンが許容範囲内ではございますが出ております。ですから、市民の皆様、特に子供を持っているお母さん方は非常に心配をしております。このことがダイオキシン問題を真剣に取り組もうという契機になった一つの理由でもございました。
玉城:そういたしますと、和光市では、EMの導入について、市民の世論として盛り上がってきていると考えてよろしいでしょうか?
田中:今、国が考えているダイオキシン対策は、たいへん大きな装置をつくれ…というものです。そうするとダイオキシンを1ナノグラムに減らすために費用が12億円掛かります。そのうちの半分は国が補助金を出しますが、あと半分は市が出すことになります。では、もう少し低くして0.5ナノグラムにするにはさらに18億円の投資が必要です。これに対しては厚生省の規格がございまして、どうしても厚生省の指定する設備をしなければなりません。ですが、EM技術を使いますと、そういう設備は要らないというのが現状です。実験当時4億円。現在はもうすでに1億円以下でできるということも聞いております。しかしながら、国には、18億円なり12億円掛けて設備しなければEM技術の導入はできない…というような制約がございます。したがいまして、18億円、あるいは12億円を掛けざるを得ないのが、行政としての現状です。
玉城:ダイオキシン対策のために、かなりのコストがかかるという、自治体にとってはたいへん頭の痛い訳を説明していただきました。

日本は深刻な公害先進国だった

玉城:次に、参議院議員の福本先生にお話をうかがいたのですが、政府としては、あるいは国会としては、ダイオキシン問題にどのように取り組まれて、どんな展開にあるのでしょうか。
福本:今、地方自治体のお話がありましたが、公明党といたしましては、ダイオキシン問題対策本部を作りました。そして今回ダイオキシン対策特別 措置法という法案を国会で通すことができたわけでございますが、この法案を通すまでの状況、経過がどうであったかを、若干振り返ってみたいと思います。日本で初めてダイオキシンが焼却炉から検出されたのは1983年でございます。今日から第16回大会のEMフェスタが開催されておりますが、ちょうど16年前、1983年に愛媛大学農学部の研究チームがダイオキシンを検出したのです。私はもともと水質の学者でございますが、20年前の1980年に愛媛大学に行きました。EMがスタートしたのもちょうど1980年頃ということで、同じような符合があるようでございます。
 さて、環境行政、環境問題と言われる以前、つまり環境庁ができる以前は、日本は深刻な公害先進国でございました。熊本の水俣病は、チッソという民間会社から出ました。現地の熊本大学医学部の先生方は、これは有機水銀が人間に与える有害化学物質の問題である…と、かなり深刻に訴えられました。国会でも、公害対策本部を作った公明党も含めて対策には取り組みましたが、行政のほうは「因果 関係が不明」というかたち。これが現実でした。さらにはカドミウムによるイタイイタイ病、カネミ油症事件…。
 このカネミ油症事件の「油症」は、PCB、つまりポリ塩化ビフェニールが混入したことによって発生したわけですが、ちょうど今年ベルギーで同じようにPCBが紛れ込んだという話があり、環境大臣を含めて2人の大臣が罷免になるという状況がヨーロッパではあったわけでございます。現実に、日本でも、そういう事件が深刻な公害問題として既にあったのです。
 今回法案を通した中身のなかで、コプラナーPCBという種類もダイオキシン類に入れる必要があるという形で作成させていただきました。そのコプラナーPCBというのは、PCBの一種でございますが、毒性からしますと、やはりダイオキシンの毒性にあたるということで、それもふまえて扱う必要があるのです。ですから、今の法律からいうと、カネミ油症事件にしても、今回のベルギーのコプラナーPCBにしても、むしろダイオキシンであったと考えられます。
 ダイオキシンの毒性を、国会では4年前、参議院議員として訴え、行政の姿勢がそれではいけないんじゃないか…と追及いたしました。予算委員会で「ここにおられる方はみんなはっきり言って、PCB、ダイオキシンを体内に取り込んで侵されています。他人ごとではございませんよ」という形で、連続で対策本部のメンバーを追究しましたところ、昨年の補正予算で1150億円という予算が焼却炉の対策に充てられました。
 これはたいへんな予算でして、私も日本各地、例えば所沢、茨城の竜ヶ崎などの現地調査を含めてやりました。その結果 、愛媛大学に勤務していたときより、現状は凄まじい…と実感しました。高速道路ができた途端に東京の夢の島が無くなり、高速道路によって、所沢市、東松山市、和光市など埼玉 県の各地に東京のゴミが集まるようになっている。それを細々と焼いている。最近はポリエチレン、プラスチック製品が非常に多くございますので、そういったものを家庭でも焼く、すると、ダイオキシンが出てきた…。
 焼却炉自体は、日本に世界の焼却炉の7割が集中しています。ほんとかな…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ドイツなどでは、ゴミを庭で焼いたりすると、まるで化学工場でサリンを作っているかのような目で見る。それほど真剣に対応策に取り組んでいるのです。
 日本でも、この状況を変えなければいけない…と、昨年12月、議員立法で国会にダイオキシン対策法案を出させていただきました。最初、マスコミに発表したところ、「こういうたいへんな法案をどうやって通 すんですか」という反応がありました。かなり厳しい法案でしたので、党内からでさえ「こんな法案、通 らないんじゃないか」という言い方をされました。野党の少数勢力の党でございましたので、自民党にも民主党にも「これは国を挙げて対応する問題になっている」と呼び掛けました。
 枯れ葉剤散布による“ベトちゃんドクちゃん”は有名ですが、10年間で170キログラムのダイオキシンがばら撒かれたといわれているベトナムでは、いまだに奇形児が生まれ続けている現状がございます。日本では、国が認めているのは焼却炉から年間5キログラムという話でございますが、それ以前の農薬からのダイオキシン…今は製造中止になっておりますが…それを含めると200キログラムは超えているだろうという現状認識がございます。それだけに「この法案は国会できちっと通 さなきゃいけん」と、各方面に呼び掛けた次第です。
 所沢で、ホウレンソウや、お茶の葉のダイオキシン汚染問題が起こりました。マスコミが国会を注目しまして、連日のように私も対策本部長としてテレビを見ていました。また今日もきちんとニュースをフォローしていかなければいけないというぐらい、連日報道になりました。大きく世論が盛り上がり、マスコミやNPOの団体の方々のご意見も取り入れて、法案が通 ったというのが現実でございます。

愛媛県はEMで「環境立県」化に本腰

福本:この法案の中身については、次の機会に詳しくはお話をさせていただきますが、1150億円の補正予算がつくと、今度は焼却炉業界が活性化いたしまして、巨額のお金が動くということで、5社の談合事件が起こりました。日本社会の政官財の癒着も含めまして、いろいろ複合的にシステムを変えなければいけないという段階で、そういう事件が起きたわけです。
 そんなときに、比嘉先生を、ダイオキシン研究のメッカの愛媛県にお招きしました。愛媛県には、PCB、ダイオキシンの学者がたくさんおりますし、世界でも第一人者と言われる学者もおります。200種類くらいの対応策の話が集まったなかに、比嘉先生をお呼びして、EMでダイオキシン対策ができる…という話をしていただきました。「これは文明構造を基底部から変えるかもわからんな」と思いました。同時に、比嘉先生のように対策も可能な実験データを出された人をぶつけてシンポジウムも行いました。すると、愛媛県知事に当選したばかりの加戸守行さんは、「これは県を挙げて取り組もう」ということになりまして、愛媛県から、今日はこの大会に5人来ております。
 国レベルでは、EMは世界中に広がっております。また、市レベルでも、やっているところがあります。ところが、県レベルでは案外、自治体の長が本気で取り組むところがみられませんので、愛媛県でプロジェクトチームを作りまして、スタートさせていただいたわけです。水質浄化も瀬戸内海浄化も、焼却炉によるダイオキシン対策も、下水道浄化も、本気で取り組もうという形で進んでいる県が出てきたことを御報告いたします。
玉城:ありがとうございます。福本先生は参議院議員でいらっしゃいますが、実は、愛媛大学在職当時、専攻が地球環境工学でいらっしゃいました。まさに環境問題のプロでいらっしゃいます。
 福本先生…。愛媛県をはじめ、広島県、香川県などの周辺の皆さんがひとつになって、瀬戸内海をEMで環境改善しようというネットワークが生まれたそうでございますね。それについても、少しご報告をお願いできますか。
福本:愛媛県知事が熱心でして…。比嘉先生ご夫妻と県知事ご夫妻、それに私を含めて懇談したときに、大いに感じるところがあったようです。もともと文部省の官僚の方でございましたが、本気で瀬戸内海の浄化に取り組まないといけない…という思いが前々からあったところ「できる」という話になったわけです。愛媛県はアコヤ貝の真珠が名産なのですが、ここ数年、これが死滅するというたいへんな問題が起こっており、頭を悩ましていました。そこへ、化学肥料や農薬の問題ばかりでなく、水質浄化の問題にまでEMが役立つということで、各副知事、また今日来ておられる西村さんも含め、本気で「環境立県」をやっていこうと取り組みを始めました。まずは現実に、河川をひとつ取り上げて浄化する…と。
 それから、宇和島市では、焼却炉の新しい取り組みとしてEMでダイオキシン対策を行なおうという和光市と似たような状況がございました。和光市の話はかなり煮詰まった段階で…既存の焼却炉で20億円近くの計画ですか…国から補助金を得ていくという段階になったようでございますが、宇和島市の場合はまだ話がそこまでいっていない段階でした。
 国の規約では、溶融炉など新しい焼却炉だけには補助金をつけることになっておりますが、EMでやったとしても、補助金はつかないのです。そこで、ダイオキシン法案をつくるときに仲良くなった知人に「テストケースとしてやったらどうか」ということでお話しましたところ、地元がそういう要望で対応するならば、国も補助金も含めて考えるということでした。20億円もの計画に本来7億円補助金が入るところが、全体計画が5億円ぐらいになったわけですから、国から例えば1億円、また県も援助するという形になって進んでいく…という流れが、若干進んだというところがあります。
玉城:会場の皆さん…。笹原さんの全体的な基調報告を受けまして、今、埼玉県和光市の田中市長のお話、福本参議院議員のお話がございました。各自治体でどのように取り組んでいるか、あるいは日本政府、国会としてはどのような方向を見い出しているかという、その一端をうかがったわけでございます。

ダイオキシンは「事己責任」を問い掛けている

玉城:さて、比嘉先生…。今のお話をうかがいますと、ダイオキシンの問題ではEMでかなり結果 が出てきているといえますね。
比嘉:はい。一昨年、去年と、ずっとお話をしてきたんですけれども、会場のみなさんに、雑誌をひとつ紹介しておきます。「あしのうら」の、ダイオキシン特集号です。先ほど、笹原さんが発表された内容を含めて、ダイオキシンのQ&Aが特集されております。この一冊があれば、大体ダイオキシンのことが理解できるし、人に説明もできるのではないかと思います。
 ダイオキシンの問題は、このシンポジウムのテーマ「EMによるダイオキシン抑制システム」のほかに、ダイオキシンが社会へ問いかけるもの…が、サブタイトルになっているわけです。先ほど福本先生からもお話がありましたように、補正といいますか緊急対策として1150億円、そして、全国の焼却場をやろうということになりますと、ざっと見たところで数兆円の費用が掛かります。完璧にいこうとすると、もう国家予算並みという計算もあるわけです。これは、私たちに何を問いかけているかということです。
 要するに、燃やして問題があれば国が対策するべきだという、全て国任せで、国に責任を追及するという姿勢がありますと、国はみんなから追及されるのが嫌だから、絶対安全な方法を提示するわけです。そうすると、800度以上で燃やす、煙は200度以下に急激に冷やす、それでも安心できないからバグフィルターを入れて、皆さんが納得するようにしたわけです。「もう私たちは提示しました。あと、お金を払うのは皆さんです。税金を払って、やってください」と、こういうふうになっています。
 ですから、基本はどこにあるかということです。ダイオキシンは、われわれに何を問いかけているか。我々がみんな国任せで、自分がやるべきことをしないと、こんなに高くつきますよ…ということではないですか。それぞれの守備範囲、事己責任というものが問われているのが現実です。
 最初は、ダイオキシンの深刻さがでないように国もずっと隠して…隠してって言うと怒られますけどね…カモフラージュしてきたんです。しかしここにきて、新聞紙に海水の塩分を浸して燃やすと、塩化ビニールを燃やしたのに近いようなダイオキシンも発生すると最近は言われています。皆さんが、塩分が入っている生ゴミを、いや、生ゴミやプラスチックを分けたとしても、そのなかに塩分があり紙があって一緒に燃えたら、同じようにダイオキシンが出るということがだんだん分かってきた。
 国は対策を打ち出しましたから、次々とこのような正体を、皆さんのもとに投げ出してきたんです。
 実は、今お話したような例だけではないんです。本当にたいへんな、深刻な状況なのです。先ほど笹原さんが、慣行農法農地では64ピコグラムのダイオキシン濃度と言いましたが、ヨーロッパでは、40ピコグラムでは絶対農業をしてはならない。要するに、国際的常識からいいますと、64ピコグラムはもう、農業をやってはいけない地帯になっているんです。ところが日本には、40ピコグラムという農地はざらにあるわけです。ヨーロッパなどでは、農業のできる地帯はは10ピコグラム以下なんですよね。そこへ、先ほどの、EMを使って1年以上で9.4ピコグラムというレベルになるという、解決策が見えてきた。
 ダイオキシンというのは、今までのように焼却場だけで考えるのか、すでに放出されたものとして見るのか、それから私たちの生活のあり方、ライフスタイルの問題…と、たくさんの問題を、私たちに問いかけているんだということを、この機会にもっと掘り下げていただきたいと思います。
玉城:ありがとうございます。…比嘉先生のお話をうかがうと、ゴミ処理場で燃やすだけの話じゃないです。やはり農業の現場も関わってまいりますね。田中市長、いかがでございますか。
田中:農地のほうも、和光市では、ダイオキシンの調査を、市内の相当な箇所でしております。ところが、農地を持っている人は、ダイオキシンの調査を嫌がるんですよ。
玉城:それは、数値が出ると困るという…。本音ですね?
田中:そういうことです。ですから自由にやれませんから、市の持っている観光農業(農地)がございますので、そういうところで調査しております。しかし、「EMを使っているところは確かにダイオキシンが少ない」という話を、EMを使っている農家の方から聞いたことがあります。やはり将来は、こういう農業問題についても、真剣にダイオキシンの問題を考える時期がきているんじゃないかと思います。
玉城:笹原さん…。一般の農家のみなさんが、ダイオキシンの調査を嫌がるという気持ちは分かりますが、実際にやってみますと、日本の場合はかなりの農地が厳しいデータになるんでしょうか。
笹原:そうですね、日本の農地がどれぐらい汚染されているかについては、あまり調べられていませんが、実際のところは、かなり汚染されていると考えたほうがいいかもしれないです。
玉城:その調査も、今後のたいへん大きな課題になりますね。
笹原:そうですね、それから、先ほどお話をしましたように、ダイオキシンは、河川や土壌から海に行く過程で、魚、あるいは牛や豚など動物類の脂肪にもかなり蓄積されます。ですから、食物全般 がダイオキシンに汚染されているという、そのあたりも考えないといけないですね。
玉城:私たち一般市民は、お魚もいただきますが、その中のダイオキシンですとか、農地ですとか、牛や豚など、畜産の分野のリアクションをなかなか耳にしませんね。そういう調査とか研究は、まだこれからなんですか。
笹原:食物中にダイオキシンがどれぐらい含まれているかは、かなり調査はされています。ただ、実際に自分が今食べるものに、どれだけ含まれているかは分からないですから、これはもう防ぎようがないです。ですから、なるべくEMを使って作った農産物を選んで食べるなど、こちらが注意して食事をしていかないと、知らないうちにダイオキシンを体内に入れてしまう場合があると思いますね。
 
激しい反対を浴びたダイオキシン法案

玉城:福本さん、そうしますと、議員立法でできたダイオキシンの法案は、実は、ゴミ焼却場の問題だけではなくて、比嘉先生がおっしゃっていたライフスタイルと申しましょうか、生活全般 に関わるダイオキシンそのものを考える法案であるといっても過言ではないんですね。
福本:今回、法案が通ったときには、かなりの逆風が現実にございました。なぜ逆風が起こるかというと、通 産省を監督官庁として業としているところにとっては、とんでもない法案ということになりますし、農水省にとっては、規制が厳しい法案でございますので、例えば近海魚、沖縄のように外洋性のところならまだしもですが、瀬戸内海のようなところでは近海魚にダイオキシンが蓄積されています。脂身の多い魚になってきますと、(水に溶けない性質でございますので)大体2.4ピコグラムぐらいではないかとか、そういう問題が現実に起こってまいりましたので、かなり逆風がある厳しい法律を、あえて提示した格好です。ある意味では、今までの環境行政を、この法案で変えるエポックにしなければ…という思いもありました。
 法案が出来上がったときも、自民党内からもかなり激しい反対があったんですけれど、環境庁が、2001年から環境省になります。今までは、各省も企業も「環境」と言うことによって免罪符が得られるようなところがありました。その免罪符のような「環境」ではなく、それを変換しないといけない時代がきているということで、法案を出させていただきました。
 具体的に、「4ピコグラム以下」という、文面に規制の数値が入った初めての法律でございました。これだけで1月から6月まで延々と審議せざるを得なかったのですが、数値が入らな今までしたら、どうなっていたか。今までの環境がらみの法律は、ほとんど「法律にはかくあるべきである」というような形で書いた上で、政令、省令という、要するに法律に基づいて監督官庁が各企業を指導する、または監督される側に対して提示する、国がまた報告する…というようななかで決めるしかありませんでした。そこへ、規制の数値が法律のなかに初めて入ったわけです。ひとつ大きな抵抗がございました。
 さらには、国が「4ピコグラム以下」としたときに、削減計画を、きちっと作らないといけない。削減計画といいますと、例えば、所沢のようなところで、国は「4ピコグラム以下」と言っているけれど、これだけたいへんなゴミが来て、日常的にモウモウとして、現実に奇形児が日本で生まれていても、それは日本では表に出ません。病院の中で、また家族の方も隠します。そういうようなことを指摘しても、「それは承知しておりません」というのが国の返答になるわけです、現実に。したがって、例えば所沢で「うちは2ピコグラム以下で対応する」という形での条例が作れるような法律にいたしました。さらには、住民の要望を取り入れるために、たいへんな地域に総量 規制を被せられるようにしました。また、各環境の要因、土壌、水、さらには大気、この3要素にそれぞれ規制値をつけることができる…これも、ものすごく抵抗がございましたけれど、今回の法案の中に入っています。

 さらには、産廃業者も対象になります。今まで問題のある業者があって県に訴えても「もう認可しておりま
す」という答えが返ってきたり、「その産廃業者に行って調べさせてくれ」と現実に頼んだときに、「いやもう県で承認をとりますから」と、業者側も「県が許したら立ち入り調査をさせましょう」という言い方で…ある意味では両方とも逃げて…現実に具体的な問題が起こっても、何ら対策のできないまま時は流れていくことがありました。このように対応策がなかったことに対しても、この規制値をクリアしていない産廃業者は罰せられます。懲役と罰金刑、両方つけています。ここを自民党はものすごく抵抗いたしました。しかし、これはきちんと通 す必要があると主張しました。
 さらには一般廃棄物関係。これは産廃とは違って、皆さんが出す家庭ゴミ等を市町村が処理します。その責任者は、よく市長村長さんがなっておられますが、その焼却場から同じような問題を起こした場合、罰則が行われます。
 次の環境行政ですが、「公明党、福本は、どういう法案を通すか」「循環型社会という法案を通 そうとしているらしい」ということで、「どういう法案にしようとされているか」と言って、よく官公庁から来ます。
 これは三党合意で(自自公とよく言われますけど)政府をつくったときに、公明党が提案して、この三党合意の中で、「循環社会促進法」という法律を作りましょう…と決めていますので、今度は通 らない法案じゃなくて、通る法案として最初から提示したい。その中身を今、現実に官公庁は知りたがっている、という段階にきているという状況です。

国民一人一人に新しい義務感を

玉城:比嘉先生…。福本さんを中心に、こうも通しにくい法案を議員立法で、しかも、数値が入るという法律も珍しいと思いますけれども、ただ、田中市長の表情を先ほどからうかがっていますと、なお、地方自治体の現場では、厳しい現実があるように思われます。地方自治体は、どのような打開策を考えればいいのでしょうか。
比嘉:福本先生が法律に数値を入れるという当時、お話がありました。それで、4ピコグラムといわずに1ピコグラムにしてください…と申し上げました(笑)。まぁ、1ピコグラムというと日本中たいへんなことになるんですが、可能な限り厳しく規制をしてください…と。
 厳しい規制をしますと、今までの方法では立ち行かなくなる。そうすると、第3の道を選ばないといけなくなります。例えば、自動車でもそうです。排気ガスの規制を厳しくすると、燃料電池だとかハイブリッドカーだとか、素晴らしい技術革新がはじまっていくんですよね。ですから、ダイオキシンの場合も、EMを使う。
 私は通常、EMは何もかもOKと言いますが、その裏には、EMより悪いものは使うな、EMよりいいものがあればどんどん使ってくれという意味が含まれています。私たちよりいいものがあれば、EMは全部撤退してもいいですよ…という立場です。これが全て一番だとは言ってない、とりあえずEMでしかできない、だから、これより悪いのは使うな…というのが、われわれの立場です。
 先ほどの話のように、非常に厳しい条件があって、それを受けないと燃やせないというのでしたら、閉塞した状況を突破するには、私たちの考え方を根本から変えるという、そういうチャンスにしなければいけないわけです。ですから、燃やすということが問題の全ての根源ですから、まずは燃やさない。そのためにはリサイクル。生ゴミは、特にダイオキシンを発生させる大きな原因ですから。
 今日の報告にも、生ゴミのリサイクルに取り組み、実用的成果を挙げている事例がありましたね。しかもそれを販売して儲かっているところもあります。今まではちょっと赤字だと言っていた岡山県船穂町は、ペレットがよく売れるものですから家庭のゴミが足りなくなったそうです。その町内からは、ひと切れも生ゴミが出てこないんです。船穂町自体は循環型社会の構築を目指しており、その切り替えをやったわけです。そのようなまちづくりをきちんとやれて、しかも生ゴミが足りないのなら、隣の倉敷市からEMで処理した生ゴミを引き取って、生ゴミ処理費をもらって、いい肥料を作って倉敷市に売りなさいと、私はそう言っているわけです。
 そういう意味で、私たちの立場は第3の道。要するに、従来行っているようなところを抜けていく。具志川市、石川市にあるような古い炉でも、2002年までは今の基準でカバーできますし、EMを使えば当然この古い炉でも長く使えるわけですから、そういう経過措置をしながら、上手に切り替えていくのです。
 ですから、やむを得ずというところもありますが、あまり早く国に妥協せずに、皆さんに、「これくらい掛かるんだけど、それは本当にそれでいいのか」と提案したい。非常に大きな意味で行政改革につながるし、また、いろいろな意味での機構改革につながる大きなチャンスです。同時に、ここでバブルがはじけて、私たちは原点に戻ったわけですから、国がじゃなくて、私たち個々人が、国のために…と大上段に振りかぶる必要はないんですが、公のために何をすべきかという、国民一人一人の新しい義務感を植え付けないと、根本的な解決にはつながりません。ですから、今、ここで覚悟を決めてもらうという、ここが大事ではないか…と、そう思っています。

18億円に対してEMなら1億円以下

玉城:田中さん…。先ほど、ダイオキシン対策の新しい焼却炉のお話のなかで、18億円という金額が挙がりましたね。相当な負担です。たいへんじゃないですか、実際のところ…。
田中:自治体にとって18億円というのは…。仮に国が半分出してくれても、県もいくらか出すとは言っているんですが、しかし、自治体にとっては、今はどこも苦しいですからね。
玉城:そうでしょうね。
田中:そんなときに、こういう莫大な費用で2002年12月までにやらなきゃならんという、これは厚生省の強い要望が来ておりますので、どんなことがあってもやらなければ…というんですから、自治体にとってもたいへん厳しいわけです。  
 先ほどの福本先生のお話によると、宇和島市では、特例を以てダイオキシンの抑制のためにEM技術を導入することを認めた…と。これは、たいへんなことだと思います。新しい焼却炉をつくるのに掛かる莫大な国費や、地方自治体のお金を、ものすごく倹約できるわけですから。   
 今はさらに困ったことに、焼却炉業者5社が、談合疑惑でいろいろ問題になっておるわけです。しかし、技術は優秀だからやらせるべきだ…という意見もあります。
 一番の根本は、財政上の問題を、地方自治体で今後どうするのかということでしょう。これは和光市だけではありません、全部の地方自治体がたいへんな問題になっている。同時に、隣の朝霞市のダイオキシンは0.1ナノグラムです。これは最近、焼却炉を新しく替えたからです。何十億の金が掛かっています。ですから、和光市のほうは0.5にしたとしても、住民から「隣の朝霞の5倍出るじゃないか」という苦情が必ず出てくると思うのです。
 ですから、新技術を導入することを、国家が勇気をもって…これはEM技術だけとは限りません、日進月歩にいろんな技術が進んでいるわけですから、英断をもって国家がそういう技術を取り入れて、補助金も出すという姿勢をとらない限り、たいへんな無駄 遣いが起こる。国費の無駄遣い、地方財政の無駄遣い、これは先ほど比嘉教授が言われましたが、数兆円の無駄 遣いになるでしょう。今、私が知っている範囲では1900以上の炉を直さなければいけないはずです。
玉城:1900以上も…。
田中:と、私は聞いておりますが。それをひとつひとつ直さなければならないとなりますと、たいへんなお金が掛かります。
玉城:比嘉先生…。もし、先ほどのスライドのような簡易型でダイオキシン対策が本当にできるとすると、率直に言ってどのくらいの製造費用が掛かるのですか。
比嘉:高くついても1億円くらいじゃないですかね。
玉城:1清掃工場で。
比嘉:はい。
玉城:それじゃあ、12分の1、18分の1…。
比嘉:小さいレベルのものでしたら、5000万円以下、あるいは数千万円で済むと思います。自分たちで工夫すれば、もっと安くなると思いますよ。
玉城:それこそ、2000万円から3000万円…という感じですね。
比嘉:はい。ですから、補助金を受けなくてもいいんじゃないかと思いますし、そのほうが楽なんですが、ただ、先ほど田中市長が言われましたように、管理会社を含めて全部システムになっていて、部分的にこれを…というふうにはいかないんですよ。
 茨城県の守谷町では下水処理にEMを取り入れてますが、町長も担当者も、みんなよく決心したなと私は思います。管理会社にみんな頼んでいますから、なかなかたいへんです。要するに、社会全体が非常にコストが掛かって、それが利権化して、生活の場でそれを変えようとすると、ちょっと革命的なことになってしまう。この流れをどう上手に橋渡しして、被害者が出ずにみんなうまくいくようにするか…という段階なのです。
 私たちも、環境庁や厚生省に行き、事実をたくさん説明しています。希望している自治体には保証値というものを出して、ちゃんと運転をして、問題なく引き渡します…と言っております。たくさん希望を出していただければ、私たちは実績をたくさん作り上げる…。国は、それは認めようって言うわけです。そういう意味では、みんなの責任を負う国の立場としては、非常に慎重にならざるを得ない。まして、EMに対するいろいろな批判も聞いているわけですから、みんなちょっと引いたりということもあるんです。でも、福本先生をはじめ、国会議員の勉強会をずいぶんやりました。
 野中広務・前官房長官にも、ダイオキシンの問題と、今の問題については、日本の国はたいへんなんで、これをぜひ認識しながら協力してほしいと申しましたら、ご本人も、「一生懸命やります」ということでしたので、大体の話は分かってきたんです。
 あと、だれが、エイヤッ…と場所を作るかですね、お互いに話し合ってです。そのためにはやっぱり、モデルが必要です。
 ですから、各市町村のみなさんが勇気を出して、「うちが」と手を挙げていただければ、私どもは2002年の規準を絶対にクリアできるということを保証する前提として指導したい。こういうことをアピールしているんです。
 それから、先ほど言いましたように、すでに環境中に放出されたダイオキシンに対しては、EMを撒けばいいというのが大体分かってきました。もう一つは、体の中に入っているダイオキシンをどうするか。これはEMでかなり排出する、しかも分解するということもある程度分かってきました。もう一つは、焼却して残った灰にもたくさんダイオキシンが残っています。高いお金を出して、溶融炉でまた溶かせと言うのですが、私たちが今までやった実験では、焼却場でどんどんEM活性液を撒いて、落ちてくる灰を冷やすための水にもEMを入れておくと、その灰を持って行って積んで置くだけで、いつの間にかダイオキシンは消えちゃうんですよ。ですから、上からザバザバかけて、時間を待てば済む話なんですが、あれに何百億円もかけるというですね…。
玉城:ちょっとナンセンスな感じがいたしますね。
比嘉:ですけど、やはりそれは、先ほど言いました社会の仕組み、それを動かしている仕組みといいますか…巨大な仕組みが出来上がっていますので、だいぶ根気がいるなという感じはしております。しかし、やはり予算を使わずにローコストでうまくいくことは、日本の国にとって非常に大事なことです。役所の人たちも、彼らに責任の追及がいかないなら、進めていこう…と考えてはいるんです。

進むときには必ず逆風が起こる

玉城:福本先生…。先ほど、笹原さんのスライドレポートで、具志川のシーンがありましたが、私も実は取材に行ったんですよ。具志川の当局の方にインタビューをしましたら、皆さん、EMが効くってことは聞いているわけです。その現場の人は、第3者の科学分析センターにお願いして分析してあるそのデータを見ました。75パーセントぐらい下がっているわけです。その後、EM研究機構のほうでチェックしましたら、99.9パーセントまで下がったという…。
 それからすると、今の論議ですが、政府も自治体もこんな緊迫した財政状態のときに十何億もかけて、数千ケ所も炉を直さなければならないのか。これは、議論の余地があるんじゃないでしょうか?
福本:先ほど話した法案の中で、比嘉先生から、もっと厳しくあるべきじゃないかというお話がありました。われわれが通 した、4ピコグラム以下、0から4…に対してです。一方では、田中市長さんのように具体的に焼却炉をたいへんな金を掛けてやらなければいけないというような、一つの自治体での大きな問題点がここにきて現実に出てきた。現時点の状況を物語っていると思っております。
 愛媛大学は、ダイオキシンの研究も、PCBの研究も、そういう意味ではスタートがすごく早かった。と同時に、農学部の中の環境保全学科でしたが、農学部全体でもいろいろな対応策を考えて、出てきたものがいっぱいあるわけです。
 例えば、ダイオキシンを食べるキノコ。新聞紙上を賑わせたのでご存じかとは思いますが、私もダイオキシン対策本部の仕事をしているときに、そういう研究者、また現場の事業所、さらには「こういう焼却炉でもこういう方法だとより安くできますよ」というような200種類ぐらいの対応策が来ました。私の、学者の目で見て良いものは、厚生省…(環境庁にもうすぐ移設になりますけれど)…の焼却炉部門へ紹介しました。そういう形のなかで、徐々にダイオキシン対策の技術を国が認知し始めているという状況が生まれてきております。
 基本的に日本の行政には、新しい技術、…いいぞというもの…に対して、ひどく慎重な姿勢があります。ひとつは、既得権益。これは下水道業界でもあります。活性炭できちっとシステムが出来上がり、流通 ルートも出来上がって、日本の第二次下水処理は活性炭となっています。そこはもう一定の流通 ルートで、新しい形を入れ込ませないぐらいのシステムが出来上がっているわけです。しかし、それを打ち壊すもの、また政治の中で利権集団的な状況の中で生まれているものを、新しく変革するっていう動きが、やはりどこの社会でも起こってくるわけです。
 ただ、われわれ、国会議員になって4年でございますし、既得権益と結び付いて「何とか族」とか呼ばれる議員にはなっておりませんので、いいものはいい…という形で、ある意味ではストレートに物事をとらえていこうと思っております。しかし、進むときには必ず、良いものであろうと悪いものであろうと、逆風が必ず起こりますよね。
 もちろん愛媛大学農学部にも、微生物をやっておられる方がいっぱいおります。その方々の評価もいろいろあります。ですので、私としては、EMは現実にダイオキシンが分解できていると主張されるので、ダイオキシン研究の第一人者の脇本先生に調査してもらっています。その調査データも出来上がりつつあります。

テストケースが新技術導入の突破口に

福本:そういう状況になってきますと、新しい技術を国がどういうふうに取り入れるかというときに、1ケ所でも2ケ所でもテストケースができないかということになってきます。現在、市町村長にとって、国からどれだけ補助金を持ってきたかは、逆の意味で、大きい額ほど良い市長というふうに評価されてしまうところがあるわけです。
 例えば、宇和島市長さん。この前お会いして話しましたが、20億円で焼却炉を作るときに、国から7億円、きちっと確実に補助金が出る。その金を「これが何億円、これが何億円」ということで吸い出したというところに、政治パワーの源泉のようなものとして評価する人たちもいるようでございますので、それが一旦ゼロになり、そんな評価の仕方を変えるっていうのはたいへんなことなわけです。そういうときに、宇和島市の公明の市議会議員も含めて説得して、市長さんに、テストケースという形で国に提案するように…と促しました。それなら国は、そういう形でダイオキシン対策ができるということで、テストケースをやる…。
 行政マンは法律がないと動けないのが基本的にあります。何かの予算を出す理由が問われるわけです。これは行政マンとしては、やはりひとつの道理でございますので、テストケースでスタートさせます。先ほど比嘉先生が1億円で済むって言っておりましたけれど、5億円の計画で、その中の1億円が国の予算から入ったとすると地元としては、例えば県から5000万円出ますと、3億5000万くらいでやれます。本来は20億のうちの13億円出さなければならないところを、です。国としても出費が少なくなっている。ただ、補助金は7億円くるはずが1億円になったという、現実の状況が生まれますけれども、そこは問題じゃなくて、環境問題を現実に本気で取り入れようというなかで、新しい展開を作り出すひとつのきっかけにしていく…。
 先ほど言ったダイオキシンを食べるキノコですが、どういう状態で食べるかといいますと、要するに根から吸って、キノコの中に溜まるという状態です。ですから、食べると言ってもダイオキシン自体は無くなっていないのです。キノコを燃やしてやると、800度以下だったらやはり空気中にダイオキシンがまた撒き散らされる状態になるわけです。だからダイオキシンを先ほどの分子式で見たら分かるように、CO2(二酸化炭素)、H2O(水)、Cl2(塩素)。そういうレベルに変えていくという状況が生まれれば、ダイオキシンでなくなるわけですから、毒性が無くなるということで初めて分解ができる。
 先ほどから1ピコグラム、1ナノグラムっていうことを言っておりました。皆さん方もちょっと心配になったのではありませんか。ダイオキシンは、人間の体でいうと、お腹の脂肪に溜まり、また女性の胸は脂肪ですので、やはり溜まります。そして、赤ちゃんへの母乳にいく。どれぐらい溜まっているか心配だから検査してもらおう…ということで病院へ行くと、1回の検査で30万円くらい掛かるんです。実験で10人のデータ、100人のデータでとったら、それだけで目が飛び出るくらいの検査費用が現実にかかります。そこが、ダイオキシンの難しさです。
 1ピコグラムというのは、東京ドームに一滴、それぐらいの量です。1ナノグラムというのは、50メートルプールに一滴入っていたものを見つけ出すというぐらいの、ゼロに近いものを検査している。田辺先生、脇本先生がこの実験をあえてやる気になっていただきましたので、今後ひとつの環境技術というものが、良いものは良いとして評価されて現実に国の政策に取り入れられます。そういう大きな変換点のエポックにする必要があるということで、ダイオキシン法案を通 しましたし、次の法案もやっていこうと思っておりますので、時間は掛かりますが、テストケースでスタートするということです。

ダイオキシン対策に「循環型」の技術を

玉城:行政の長が政府の補助金をいくらとってきたかによって選ばれるとすると、非常に愚かな現実でございますが、そういうものもEM導入の機会に改善されるとよろしいかと願います。
 さて、時間が迫ってまいりました。4人のパネリストの皆さんには、研究の立場、地方自治体、そして国、比嘉先生には総括の立場で、今後EMの世界からダイオキシンを中心とした課題にどんなふうに取り組むべきなのか、あるいは今後の課題をお話いただいて、シンポジウムの幕としたいと思います。
 まず、笹原さん、ずいぶん研究のデータも揃ってきたようですけども、海外にもいろいろなデータはあるでしょうし、研究者の立場からの課題をお話しくださいますか。
笹原:今、福本先生が言われましたように、ダイオキシンの分析というのは非常にお金が掛かるんです。いくつかサンプルを採ってきまして、それを分析しようとしますと、すぐ何百万円、へたすると何千万円というような額になってしまいますから、そういう点で、ダイオキシンの研究は非常に難しいという面 があります。研究の面だけではなく、研究しているだけではダイオキシンというのは減らないですから、先ほど比嘉先生が言われましたように、我々みんな一人一人が、ダイオキシンを減らすにはどうしたらいいかというのを、考えていっていただきたいです。先ほどお話ししましたが、ゴミ焼却場のゴミにEMとかEMセラミックスパウダーをかけるっていうのは、その規模を小さくしていきますと家庭でできることです。家庭のゴミにEMをかけて、EMセラミックスパウダーをパラパラって振りかければ、ゴミが処理をされたことになりますから。
玉城:先ほど、ゴミピットとありました。あそこにEMを撒いているわけでしょう。結局、あれは、突き詰めれば各家庭の…。
笹原:そうですね、あれと同じことが各家庭でできますから。ゴミを出さないことが一番なんですが、どうしても出さなければいけないゴミには、そういうEM処理をしてもらえると、少しでもコストの削減になっていくと思いますね。
玉城:あと、ひとつ伺いたいのですが、「循環型社会」「リサイクル」というキーワードが出ましたね。それについては、笹原さん、どういうふうに見ていらっしゃいますか。
笹原:先ほどからもいろいろお話が出ていますけど、既存のダイオキシン削減技術のなかには、そういう循環型の技術は無いんです。焼却場での削減にしましても、排ガスのダイオキシンを削減する技術、あるいは焼却灰中のダイオキシンを削減する技術。いろんな技術があるのですが、非常に高価な上に、では削減してできた灰をどうするか…となると、リサイクルという形になっていないんです。そういう点で、EMによるダイオキシンの抑制技術と大きな違いがあると思います。
玉城:ありがとうございました。田中市長、先ほど福本、比嘉、両先生から話がございましたが、今後田中市長は、行政者として、どのようにEMを使ってダイオキシンに取り組んでいかれるプランをお持ちですか。
田中:現在、国は各自治体が広域で大きな焼却場をつくれという指導をしております。とりあえず和光市のほうは、隣の朝霞市と共同で一つの大きな炉をつくろうということになっておりますので、平成22年にはそのようにしなければなりません。その間は、朝霞市が0.1ナノグラムで、和光市が0.5ナノグラムですが、直してもそういう状態でございますので、これはやはり、10年の間そのままにしておくということは、果 たして住民が満足がいくかどうか。こうなるとやはり、将来的には、0.1と0.5の格差を縮めていく必要があるから、やはり厚生省が、新しい技術を認可し、補助金も出すということが必要だと思うんです。
玉城:新しい技術というのはEM技術のことですか?
田中:もちろん、それを含めまして。もしEMを超えるような技術があるならば、それもやはり認可していくべきではないかと思います。今のところは私は無いと思いますが。
 それは、やはり国会におります参議院ですとか、衆議院の諸先生方に努力していただかないと、通 らないです。われわれはもう、国の法律には従わざるを得ませんので、うんと金がかかってもやれと国が言う以上は、やらなければ燃させないぞというんですから。これはもう、たいへんなことになりますから。ひとつ、頑張ってください。
玉城:頑張ってくださいと(笑)、福本さん、言われましたが。どうです、これからダイオキシンの行方としてはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
福本:現場でよりいいものを分かっている人、または技術として、エコビジネスとしてそれが今後発展していくものが、新しい産業の芽に結び付くというようなことが、いろいろ起こっている段階でございます。
 ですので、既存ですと24時間連続で、しかも1000度以上くらいの温度で燃やして、ダイオキシンはとりあえずでない。ただ、たいへんな費用がかかる。これが沖縄、また一つの島で考えていただくと、例えば石垣島で24時間連続でそういうものをつくる必要があるのか、またさらにはもっと小さな島で…瀬戸内海にも島がありますが…そういうところでもつくらなきゃいけないとなると、現実にかなり無駄 な投資をしないといけない。そういうところでEMでダイオキシン対策をやれることになると、ひとつの方向性がエコビジネスとしても出てくるんだというふうに思っています。
 環境行政の姿勢を変えた上で、今後、循環型社会を…という言葉が出てきているのには…1980年にアメリカが報告書を出していますが…このまま成長していったら、資源問題、人口問題、環境問題はたいへんな状態になる。それが2000年になったら、こんな深刻な状態になるという、その深刻な事態がもう来始めているからでございます。その段階で持続可能な発展が人類は可能なのだろうかと問われたのが、リオの「地球環境サミット」でございました。今のまま行っていたら、必ず行き詰まると。行き詰まるのを転換するにはどうしたらいいかというときに、持続可能な発展や展開をしていかない限り、環境問題、人口問題も含めて行き詰まる。それを転換する社会を、文明構造を、変える流れがいる…と。
 工業があまりにも進展しますと、行き詰まるわけです。そこに、私のイメージでございますが、生物的な、親が子を生み、子がまた親になり…という形で循環していくような社会、資源問題に関しても、そういう循環型の発想が必要になってくる。さらには環境と生命という関係を考えたときに、人間の生命が何でつくられているか…。もちろん、この肉体には生命はあるわけですが、物質構成は、全部環境からつくられているわけです。食べたものが栄養になり、肉体になり…という形ですので、環境が途絶えることは、ある意味では生命の死滅にまで至るということで、環境と人間の関係も含めた上で、新しい環境行政をしなければいけない。
 これを、来年は「循環型社会元年」と位置づけて、そういう法案が通った暁には、さらに新しい促進法を、エコビジネスにも発達するような形も含めてつくろうと思っております。今後、大きな動きになっていくと思いますので、われわれも精いっぱい頑張りますので、地方自治体の長、またこういう新しい技術を生かして環境に取り組もうという皆さん方とも、大いに協力し合って、今後の21世紀の地球をいい世界にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

根本的に環境に対する思想を変えよう

玉城:ありがとうございます。2時間近くにわたりましてディスカッションを行ってまいりました。今年は去年に続きまして、ダイオキシンがメインテーマでございましたが、最後に、比嘉先生に、今日のシンポジウムの総括をお願いいたします。
比嘉:御三名の方々から、ご意見をいただきましたが、福本先生が言われました、循環型または持続可能社会ということに対して、私たちは根本から環境に対する思想、考え方を変えなければいけないと思います。そういうことを、実は話し合った対談がございます。また本の宣伝をいたしますが、「月刊環境自治体」で、21世紀の環境行政はこれだ…という特集がありました。その中に、「バイオ、EM菌が地球を救う」という記事がありまして、「環境世紀への提言」という、私と福本先生の対談が載っております。
 この対談の中には、今お話をしましたことを含めて、先ほどエコビジネスと言われましたが、それについても触れています。福本先生がエコビジネスと言われたのは、談合して大きい金を取れ、どうせみんな困っているんだから高く取れ…という話ではなくて、例えば、化学肥料や農薬を作っている会社がEM技術を使って有機肥料の会社をつくったり、リサイクル会社をつくったり、あらゆる意味で、EMという蘇生型技術が入ることによって、ゴミを資源にした新しい産業が具体的に動く。そういう意味で、エコビジネスと言われたわけです。今までの延長ではないんです。だから私どもとしては、既存の業者と対抗してどうしようということではなくて、すでに高い技術を持っている既存の企業が、この方向に考え方を変えて、そして資源化し、しかも持続可能なシステムの中に参入してくれれば、専門家も多いわけですし知識もあるわけですから、ぜひそうしてほしいと思っているわけです。
 そういうことも、この月刊誌の対談で触れてあります。環境の問題はもう、個々の利害ではなくて、全ての人の義務なんですよね。ですから、それに対してどういう義務を果 たすべきか…と、エゴや利害という話は通らないというところにきているということを、私たちは認識する必要があります。
 この「月刊環境自治体」は、当然EMも含め最新の技術をスポット的に記事にし、たくさんの方に、その情報を伝えていこうという約束もできております。ですから、今日参加された皆さんも、いい事例がありましたら、どしどし編集部に情報をお寄せいただきたいと思います。この雑誌は全国の自治体にも行きますので、それをもとに、どんどん詰めて発展させていけば、国家も個人も企業も損することなく、みんなハッピーに結論を出せるのではないかと思っています。私どもは、そういう方向で、運動を展開すべきだろうと考えております。どうもありがとうございました。
玉城:ありがとうございました。今年のEMフェスタは16回目でございまして、メインシンポジウムは「ダイオキシン」で、去年から2年連続でございましたが、また来年へとつなげまして、いろいろな報告をまた次の機会にもお伝えしたいと思います。今日は長時間、皆さまありがとうございました。会場の皆さんもありがとうございました。