EMフェスタ99 > 発表大会


事例発表 No.10
1999.11.7
切削液の腐敗による臭気強度『0』への挑戦!
The Theater Event --------
Effectiv Microorganisms



 
 1947年大阪府東大阪市生まれ。1970年(株)中農製作所に入社。1989年 代表取締役社長に就任。1996年よりEMの活用を始める。
中農 康久
(なかのう やすひさ)
大阪府(株)中農製作所
代表取締役社長

 
 1966年大阪府東大阪市生まれ。1983年(株)中農製作所に入社。1997年よりEMによる職場環境改善に取り組み、工業分野でのEM普及の活動を行っている。

<(株)中農製作所>
〒579-8037 東大阪市新町21-26 
TEL 0729-81-0969 FAX 0729-82-4561

E-mail  nakanoss@nakanoss.com
URL http://www.nakanoss.com
浅田 裕則
(あさだ ひろのり)
大阪府(株)中農製作所
品質保証課課長



 まず最初に会社の説明をさせていただきます。当社は、大阪府東大阪市に居を構える金属の精密切削加工を得意とする会社でございます。主な製品は、オートマチック車のトルコンクラッチや各種産業機械および油空圧機器、通 信機器などの機能部品であり、アッセンブリーまで行っております。


▲ 中農製作所の加工品

<EMとの出会い>
 では、当社とEMとの出会いをご説明しましょう。当社ではかねてより、これらの製品の加工時に使用する切削液と、出来上がった製品の洗浄を行う洗浄液から発生する悪臭に悩み続けていました。この魚の腐ったような臭いは、切削、あるいは洗浄液が腐敗して出てくることは分かっているのですが、手の打ちようがありませんでした。
 そのようなときに、当社社長から「ひょっとしたら効き目があるかもしれないよ」と勧められたのがEMでした。
 それはどのようなものですか、とお聞きしたところ、「自宅の下水が臭くて困っていたときに、同じ大阪府中小企業家同友会の(有)シルクロード社長の畑山さんの進言でEM・1を下水に入れてみたら、完全に悪臭が消えた」とのことでした。畑山社長は、EM・X、EM・Zを製造しておられる(有)熱帯資源植物研究所の名護社長の妹さんです。
 さっそく、97年の夏休み直前に1台の機械に入れてみました。これまで、1週間も休むとタンクの中の切削液が腐って臭気強度5レベルの魚の腐った臭いがしていましたが、EM・1を投入した切削液は悪臭がまったくせず、糖蜜の匂いがするだけでした。
 これは『いける』ということになったのですが、いったい何がどうなって臭いが消えたのだろう?という疑問から、実験がスタートしました。
<実験1開始>
 まずは、切削液の循環を再現した実験水槽の作成から始まって、切削液のみ投入し何日で腐敗がはじまるのかを調査するため、EM活性液のみ投入、EM活性液とEM・XとEM・Xセラミックスの併用、EM・Xのみ、EM・XとEM・Xセラミックスの併用といった4つのパターンについてデータ取りを開始しました。


▲ データー取りのための実験水槽

 その結果を基に、EM研究機構の皆さんと情報交換を行い、今では全設備にEM活性液を投入し、臭気強度「1」レベルの設備が大半を占めるようになってきました。もちろん、金属製の設備に投入するわけですから、さびについての安全性を確認していることは言うまでもありません(安全どころか、さびたものまでピカピカになります)。
 加工する製品の材質によっては臭いの発生する物や、切削液の臭いはないが、機械内部がなぜか臭うといった問題も残されておりましたが、EM・2を機械内部にスプレーすることにより、かなり改善いたしました。


▲ EM活性液を投入

▲ EM・Xセラミックスを投入


<実験2開始>
 すべての機械設備にEM活性液を投入しているため、機械そのものでの比較実験ができない状態になってしまいました。この問題を解消するために、実験水槽を4台に増やして実験2を開始いたしました。
 この実験の狙いは、同じ条件と環境でデータ取りを行うという点にあり、より正確な結果 を得ることが目的となります。実験では、実験1同様に切削液のみ(EM活性液未投入)にマシンタンク内のヘドロを投入し、より実設備に近づけます。このヘドロの投入で、長年マシンタンク内に蓄積された切り粉やヘドロに雑菌が住みつき、ある一定の条件がそろえば猛烈な勢いで増殖し、腐敗する過程を調べることができます。
 また、もう1台の水槽では、上記と同じ内容にEM活性液とEM・Xセラミックスを投入し、経過を見ました。
 残り2台の実験水槽は、前述と同条件で洗浄液での変化を調査するための装置です。
 実験2の結果については、切削液の方はまだ実験継続中で、開始より109日目現在、若干臭いは出ているものの腐敗臭まではいきません。
 洗浄液については、開始より79日目で蒸発してしまい、実験を中止しました。しかし、この洗浄液の実験については、洗浄液のみ(EM活性液未投入)とEM活性液・EM・Xセラミックス併用の水槽を比べてみると、臭いこそほぼ変わりませんが明らかに異なる結果 が出ました。それは、ろ過機内部のアク(スカム)の発生です。洗浄液のみ(EM活性液未投入)では、スカムが発生しました。EM活性液・EM・Xセラミックス併用の水槽では、スカムがまったく発生しておりません。これについては、EM・Xセラミックスの抗酸化作用が影響しているのではないかと思われます。


▲ EM未投入槽ではスカムの発生が見られる

▲ EM活性液、EM・Xセラミックス投入槽 スカムが全く発生しない

 これを受けて、次のステップとして、切削液1(新液)、切削液2(EM活性液を投入していたが腐敗した物)、切削液3(EM活性液未投入で腐敗した物)、これら3つを検体として悪臭物質の分析(特定物質)についてEM研究機構の皆様に協力をお願いし、ただいま分析の真っ最中です。
 この分析結果により、どの物質が悪臭源になっているのか、また、EMのどの菌がどの物質に作用して腐敗を抑制しているのかが判明すれば、今後の工業分野でのEM活用の指標になると思っております。今回の発表に間に合わなかったのが残念です。

<今後の取り組み>
 当社の今後のEMの取り組みについては、大きく分けて基礎研究と応用研究(応用事例の拡大および二次製品の開発)という二本柱で実践していこうと思っております。
 まず、基礎研究では、まだ解明されていない『EMの不思議』についての研究を進めていきます。一例を挙げますと、腐敗液の容器とEM投与による未腐敗液の容器を近接して置いておくと、腐敗液の腐敗が改善されるというような現象は、EMのどのような作用で物質移動(情報伝達)するのかを解明することです。言いかえれば、EMの抗酸化作用だけでは解明できない他の作用、すなわち、ラジカル・フリーラジカル反応などからアプローチをかけた研究が必要ではないかと思っております。この面 からも物質科学の分野から研究を進めております。


▲ 中農製作所では切削油が腐敗しない

 もう一つの応用研究は、もちろんEMの持つ素晴らしいパワーを十分に活用する研究です。当社では、切削液・洗浄液にEMを活用することにより多大な効果 を挙げることができました。そして、その延長線として、次にあげる二次製品の開発に着手したわけです。それでは、特許出願資料を引用してご説明いたします。

〔発明の名称〕処理液の腐敗遅延処理方法
〔発明者〕比嘉照夫・中農康久
〔特許出願人〕(株)中農製作所・(株)イーエム研究機構
〔発明の属する技術分野〕
 本発明は、処理液の腐敗遅延処理方法に関し、特に、たとえば工作機械など各種機械の使用の際に用いられる切削油、作動液、金属引き抜き油、フラッシング油、防サビ油などの潤滑組成物及びそれに類似するもの、および、たとえば機械部品を洗浄する洗浄機械に用いられる洗浄液、清浄液の洗浄性組成物およびそれに類似するものを含む処理液の腐敗遅延処理方法に関する。
〔従来の技術〕
 従来、NC旋盤など工作機械に用いられる切削油、作動油、防サビ油などは、温度の高い機械の中で使われている間に腐敗していくため、所定の期間使用された後、廃油としてそのまま廃棄処分されていた。そして、工作機械には、新たに切削油などが注入される。また、工作機械などで製造された各種部品などを洗浄機械で洗浄するときに用いられる洗浄液、清浄液などの使用についても、同様なことが行われていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
 しかしながら、このような腐敗した切削油などの廃液は悪臭を発生し、その悪臭が工場内および工場周辺にまでおよぶことがある。特に、夏季などはこれら廃液の悪臭がひどく、工場内で作業する作業員の作業環境および工場周辺の住民にとっての生活環境を害するものとなっている。また、切削油などの廃液を廃棄する周期が短くなればなるほど、切削油などの取り替え頻度も多くなり、ランニングコストも高くつく。
 それゆえに、本発明の主たる目的は、各種機械の使用の際に用いる切削油、作動油、洗浄液などの処理液の腐敗を遅延させるとともに、処理液の悪臭発生を防止し、処理液の腐敗遅延処理方法を提供することである。


▲ 廃砂にEMを含有させた"EMだんご"

▲切削油受けにEMだんごをカゴに入れたものを設置する

〔課題を解決するための手段〕
 本発明は、嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群を鋳型の廃砂に含有させて形成された抗酸化作用を有する腐敗抑止体を各種機械の使用の際に用いられる処理液に混入する工程を包有する、処理液の腐敗遅延処理方法である。
 当社は、まだEMについてほんのわずかの知識を得たに過ぎません。今後は、EMによる自社および関係企業の工場環境のさらなる改善はもとより、EMをもっと広く知ってもらうために、物造り屋の立場から健全な情報発信をしようと思っております。
 願いかなって、今年の4月から滋賀県の瀬田にある龍谷大学のREC(リュウコク・エクステンション・センター)に研究室を開設することができました。研究テーマはもちろんEMです。素晴らしい理学博士の中沖先生と知り合うこともできました。実は、先生も本日はこの会場にご出席されております。これからEMをもっと知ることができると思うと本当にワクワクしてきます。


▲ REC全景(リュウコク エクステンションセンター)

 最後になりましたが、EMの存在をご教授くださいました(有)シルクロードの畑山社長様、このような過分な発表の機会を与えてくださいました(有)熱帯資源植物研究所の名護社長、および(株)EM研究機構の皆様に厚く御礼申し上げます。そして、いろいろなハードルがありながら、私たちにこの素晴らしいEMをプレゼントしてくださいました比嘉教授に心より感謝申し上げて、当社の事例発表とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。