EMフェスタ99 > 発表大会


事例発表 No.04
1999.11.6
EMから『癒しの島づくり』を求めて
〜瀬戸内海環境蘇生の夢〜
The Theater Event --------
Effectiv Microorganisms



 
 1925年生まれ。広島県沼隈郡内海町出身。内海中学校卒業後、家業の漁業を引き継ぎ、海苔の養殖と加工にEMを使用し始める。いずれ魚の養殖、下水処理、家庭環境浄化等にもEM活用の輪が広がり、いつか綺麗な海を取り戻した『蘇生型の癒しの島づくり』に発展していくこを夢みている。
兼田 功
(かねだ いさお)
広島県田島漁業組合・海苔養殖業



 私は、広島県沼隅郡で海苔の養殖に従事している兼田功です。今日は、海苔の養殖と加工におけるEM技術について報告させていただきます。EMを導入してまだ3年目で課題はございますが、現在においてのEM効果について、また海苔業者がこのEMを活用することで汚染された瀬戸内海をきれいにできることを夢見て発表したいと思います。
 私の住む内海町の田島は、広島県沼隅郡半島から約500メートル沖に浮かぶ島です。ここは福山市を流れる芦田川の河口部に位置し、昔から栄養豊富な天然養殖の場でもあります。これを生かして昭和38年に海苔養殖が始まりました。しかし、近年、芦田川に河口堰ができてからは、合成洗剤による生活排水や工業排水、さらに浄化槽の処理による富栄養化現象によって大量にヘドロが発生し、それが海に流れ込むことで極度に海が汚染され、そのため赤潮や汚染による貧酸素水塊が起こり、海苔の養殖にも大きなダメージを与えてきています。特に汚染が進むとケイ藻の発生が著しくなり、それが海苔に付着して生育を弱め、色落ちや質の劣化を招いてしまいます。この対策として、今日までケイ藻を抑える有機酸による処理などを施してきましたが、十分な成果を得られませんでした。
 平成九年、EMが環境によく海苔の養殖にも効果があることを初めて知りました。さっそく広島EM普及協会の指導を受け、海苔の種づけからEM・Xを活用し、育苗時や生育時にもEMの1号・2号・3号を活用したところ、長年の悩みであったケイ藻の発生を抑え、海苔の2次芽・3次芽が出やすくなり、きわめて海苔の品質と生産性においてよい結果を得ることができました。
 また、海苔の加工処理の段階では海苔の洗浄に大量の水を使用しますが、この時に水の汚れからケイ藻が増殖し、これがパイプやスキ機にべっとりと付着して清掃作業に手間取り、労力的にもたいへんでした。さらに、水の汚れから大腸菌の発生が多くなり、消毒として塩素処理や泡消しの薬を使用しなければなりませんでした。しかし、EMを活用することでこれらの問題も一挙に解決し、結果的に水の汚れも改善され、ケイ藻の付着がなくなりました。さらに、塩素処理や消泡剤を使用する必要もなくなり、全国でも初めて有機海苔を製品化することができました。EM処理した海苔は、抗酸化物質が多く含まれ、黒光りして光沢もあり、きわめて良質です。海苔養殖業者にとっては画期的なことであると思います。
 コスト的にも、EMを使用することでこれまでの水の汚れが改善されて、その分だけ水のリサイクル量が多くなり、全体の使用量が半減できました。また、EMを処理した水(40トン/日)やEMで洗浄した水(600トン/日)が大量に海に流れ、河口付近のヘドロが完全に除去されて、今まで苦情の絶えなかった悪臭が消えて住民を驚かすことになりました。現在では、きれいになった河口にはいつのまにか魚が復活しています。いつか田島漁業組合員11軒の皆さんがEMの素晴らしさを理解し活用するようになれば、きっと近い将来、汚染された田島近海の瀬戸内海も昔のきれいな海を取り戻せるに違いない…。そんな大きな夢を抱いてEMを活用する喜びを持って取り組んでおります。

<EMによる海苔の養殖と加工について>

▲ 海苔網をEM処理する

▲抗酸化力のある網に…
1. 海苔網のEM処理
 通常、3月上旬に海苔養殖のシーズンが終わると、海から引き上げた海苔網に付着した残渣を処理するために網を何枚か重ね、それにシートを被せて数ヶ月放置していましたが、夏場になると海苔の残渣が腐敗してウジが発生し、島中に悪臭が立ち込めてたいへん困っていました。これといった対策もないままあきらめておりましたが、海苔網の残渣にEMボカシ1型を撒き、シートを被せておくだけで、悪臭は完全に除去でき、長年の環境問題が一挙に解決しました。ただ、年によっては夏場の乾燥期間が長いときは、中央部に水を入れるか、または処理の最初からEMボカシに土を混ぜて撒くともっと早く分解すると思います。EMで処理した網は抗酸化の働きがあり、腐敗による悪玉 菌ではなく、EMの善玉菌が住み着いていますから、海苔の種づけにも良い結果を生みます。


▲ 海苔の種つけ作業
2. 海苔の種づけ
 9月の後半になり水温が20度以下になると海苔の種づけが始まりますが、この時点で水車槽にEM・Xを海水の10000分の1投入。さらにEM・Xセラミックスを活用することで病害に強い海苔を育てます。
 種の段階でEM・Xの抗酸化作用を効かせることで、遺伝子レベルで影響して海苔が強くなると思われます。赤潮が発生したときも、ほかの海苔が全滅したのにEMを処理した海苔だけがその後も育成した例もあります。


▲ 種付け後のつけ置き
3. 水槽に4〜5時間つけ置き
 海苔の種づけ後、水槽に4〜5時間つけ置きします。この時も、海水の量に対してEM・Xを10000万分の1投入。さらにEM・Xセラミックスも活用します。このつけ置きの段階で、海苔の種が2ミクロンに成長します。


▲ 種つけした網を冷凍保存

4.冷凍庫に保存
 種づけした海苔網は冷凍庫に保存します。保存前に、EM・Xの10000倍希釈液を噴霧し、水を切って保存すると良いと思います。



▲ 洋水で海苔を育苗

▲ 育苗中の海苔網へのEM散布状況

5. 育苗時期のEM処理
 11月に入ると、冷凍庫から海苔網を出し、海で10枚重ねにして育苗します。網についた海苔は2ミクロンから1センチに育ちます。洋上での育苗段階での乾湿作業は、海苔に付着するケイ藻の汚れを洗い流して乾燥させ、海苔を鍛えて強くする作業です。海水で海苔網を洗い流した後に、EMの1/2/3の200倍希釈液を散布します。この結果 、海苔にケイ藻の付着がめっきり少なくなり、海苔の2次芽・3次芽がつきやすく育成がよくなって、海苔の乾きにムラがなくなり、労働時間を短縮できました。


▲ 海苔刈り取り用の船

▲ 刈り取った海苔

6. 海苔の収穫
 12月には海苔の刈り取りを行います。EM処理した海苔は、通常よりケイ藻の付着が少なく、育成が良く、長く伸ばしても品質は悪くなりません。こののち、有機クエン酸にEM・1/2/3の2000倍希釈液を混ぜて処理を行います。これは、海苔を刈り取った後の傷に、ケイ藻の付着を抑制する効果 を期待してのことです。
 海苔の養殖の良し悪しは、海の栄養素、アンモニア態窒素、硝酸態窒素などの窒素分が海に豊富にあり、それを分解する善玉 菌やプランクトンが生息していること、さらに低めの温度の維持が必要になります。しかし、海が汚染されると、逆に富栄養になってケイ藻の発生を増長させ、病気がちな海苔しか養殖できなくなります。したがって、海苔加工の時に出るEM処理水を洋上の海苔網に大量 に散布し、海の汚れをなくすようにすれば、生産性は一挙に上がると思います。



▲ 加工された海苔

▲ 海苔は大量の真水で洗浄する

7. 海苔の加工場
 加工場では1日に13万枚を製造します。問題点は、海苔の洗浄のために大量の真水を使用し、その水の汚れからケイ藻が発生すること。ケイ藻はパイプやスキ機、各種機械に付着するので、その清掃作業に苦慮します。しかも、水の汚れから起こる大腸菌の発生を抑えるために塩素処理が必要になり、泡消しの薬品も使用します。こうした加工処理に対して、EMを活用することでさまざまな効果 が出てきています。
 それでは次に具体的なEM活用方法に触れてみたいと思います。



▲ スペシャルがEM活性液製造機械

8. 200リットル製造機械
 1日に約40トンの処理水を海に流しますので、相当量のEMを使用します。1年目は20リットル容器でEM・1 の活性液を作っていましたが、2年目からは200リットル製造の機械を導入しました。これによって大幅な労力削減と経費削減が可能になりました。


▲ EM活性液を点滴で各水槽へ

▲ EM活性液をしみこませるスポンジ

9. スペシャルEM活性液
 水処理の鉄則として、処理する水に最も適したEM活性液を使うのが、その処理水を浄化する秘訣であることを教えていただきました。スペシャルEM活性液の作り方は、その現場の処理水にEM・1 と糖蜜を加えるだけ。6時間後には急激に発酵してきます。とてもパワーがあるEM活性液です。これを各水槽に点滴で落とすか、スポンジに染み込ませて落とします。



▲ スポンジがEMの住み家となる

10.スペシャルEM活性液をしみ込ませたスポンジ
 スペシャルEM活性液をスポンジにしみ込ませることが、ここでの水処理の成功の大事な発見につながりました。流速の早い海苔加工処理では、通 常の設備ではEMが住み着く場所がなく流れてしまうからです。当初、EM活性液を点滴で落としていてもなかなか良い結果 が得られませんでしたが、スキ機の脱水用のスポンジだけが汚れていないことに気づき、EMが住み着けることに確信が持てました。さっそくEM活性液をスポンジに染み込ませ、各水槽に落としたところ、一挙に水質改善が図られました。



▲ 腐敗しないEM処理水

11.20トンの水槽
 2年目から、滞留時間を長くし、EMの密度を上げ、働きを高めるために20トンの水槽を追加しました。この結果 、水の改善がすこぶる良くなり、水のリサイクル量が増え、50パーセントの削減が可能となりました。
12.腐敗しない20トンのEM処理水
 海苔加工を終えた後も、そのまま処理水を20トンの水槽に残してみました。通常、EM処理していない水は2、3日で腐敗して悪臭が出ますが、EM処理した水はまったく腐敗せず、液面 酵母が張った状態になっています。このことから、いかにEMの抗酸化作用が高いかが分かります。


▲ 光沢のあるEM海苔

13.黒光りした海苔
 EM処理した海苔は黒光りして光沢があり、柔らかくて味が良く、高品質な海苔になります。さらに、通 常の海苔はあぶって水につけると赤く変色しますが、EMで処理した海苔は青いままの状態なのが特徴です。これはEM処理で抗酸化物質が多く含まれているためだと思われます。通 常の海苔は塩素処理や泡消しの薬品を使っていますので、いわば初めての有機海苔を製品化することができたことは、海苔業界では画期的だと思います。



▲ ヘドロが悪臭を放っていた河口域

14.ヘドロの消えた河口域/魚の復活
 海苔のシーズンが終わる3月以降は、海苔加工で出された汚水によって河口域はヘドロが10センチくらい溜まり、それが腐敗して悪臭を放つので住民の苦情が絶えませんでした。11軒の組合員のうち、6軒がEMを使用してその処理した水が河口域に流れることで、ヘドロはまったくなくなり、セメントの地肌が現れるほどきれいになり、魚が上っていきます。海はまちがいなくきれいになってきています。



▲ EM処理水が清流にかえた

▲ 河口域は魚が姿をみせるほどに

 今年になって田島の近海では、タコが捕れるようになり、イカも大量に捕れました。さらに、十数年来採れなかったトリ貝が、田島のすぐ沖で大量 発生し、短期間にたいへんな収益を得るといううれしい現象が起こっています。EM処理した水がシーズン3ヶ月間で、実施6軒、約20000トンにも及びますので、流れた処理水がトリ貝の発生に深いかかわりがあったと信じています。来年も同じ現象が起こればほぼ間違いないことになると期待しています。
 極度に汚染された瀬戸内海ですが、数人の者がEMを活用するだけで海がきれいになり、魚介類も復活するのですから、EMの素晴らしさを理解し、よい環境を取り戻すためにEMの活用が広がれば、我々の未来に希望が持てます。
 いずれ田島漁業組合員11軒のすべてがEMの素晴らしさを理解し活用するようになれば、それこそ汚染された田島近海の瀬戸内海も昔のきれいな海を取り戻すに違いありません。そしてさらに、瀬戸内海全域にEMの活用が広がっていくならば、3年で瀬戸内海がきれいになるのも夢ではないかもしれません。海苔の養殖と加工のEM技術から、いずれ魚の養殖、下水処理、家庭環境浄化などにも活用の輪が広がり、いつかきれいな海を取り戻した「蘇生型の癒しの島づくり」に発展していくことを夢見ています。美しい瀬戸内海を子どもたちに!… それが私の願いです。
 以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。