EMフェスタ97 > 発表大会

デンマーク、ヨーロッパ
におけるEM普及活動
Erik Nielsen デンマーク 環境コンサルタント


 私は幸運なことに田舎で育ちました。当時はトラクターなどもまだあまり普及しておりませんで、馬を使って農業をやるという大変幸せな経験をしております。
 自然、木、動物と親しく触れる機会を得ました。
 私の兄弟、家族は、私が大きくなって農業関係の仕事に就きたいと言ったら、農業というのは決していい仕事じゃないから止めた方がいいというふうに言われました。それで私は大学で経済を勉強いたしまして、デンマークで唯一の大きな都市コペンハーゲンに出まして、コンサルティング業を始めました。
 けれども私は仕事を通じて、健康というのが一番大事なことだということに気が付きました。それで15年前に農場を買うことにいたしました。今でもこの農場を使っており、15年間有機農法を続けております。
 この間、私はデンマークにおける有機農法の促進に力を注いでまいりました。
 有機農法の問題点の大きなところは、大きな生産量を上げることができないということです。普通の農業に比べますと20から25%ぐらい生産量が落ちてしまいます。
 2年前バンコクで比嘉先生にお会いした時に、有機農法でもEMを使えば収量は決して落ちないだけでなく、増加することができるということを聞きまして、大変嬉しく思いました。
 その時私は、デンマークの環境省の方でコンサルティングをしていたんですけれども、その関係でタイとかマレーシアに行く機会がありました。タイにいる時に、バンコクのデンマーク大使館で、このあたりで有機農法をやっている所はないかというふうに聞きましたところ、アプナンを紹介されました。
 早速ファックスをアプナンに送りましたところ、親切にいろいろ教えていただいただけでなく、ちょうどその時、自然農法会議があるということで、しかも比嘉先生がいらっしゃるということを知りまして、参加させていただきました。
 私は一応コンサルタントとして、農業環境関係ではエキスパートということで会議に出たんですけれども、2時間も経たない内にまた学ぶ側に戻ってしまいました。
 その後、EMのことをもっと学びたいということで、幸運にも1996年の春に日本に招待され、名古屋、沖縄でいろいろEMを使っている所を見学して、大変感激いたしました。
 それで比嘉先生にデンマーク、北ヨーロッパでEMの普及をしたいというふうに申し出ました。すぐにそのお願いは聞き入れられました。私は北ヨーロッパ地区でEMを普及することになりまして、しかもすぐにEMROの方からEM研究機構の方から技術者を送っていただけることになりました。
 その時送られてまいりましたのがEM研究機構の奥田文さんでして、昨年の5月から3カ月、また今年も同じように3カ月ほど私どもの所に来てくれました。
 日本とヨーロッパの間は物理的な距離が長いだけでなく、考え方の上でも大きな隔たりがあります。私にとって日本の人から直接にいろいろと教えていただくというのは、その心構えを学ぶというような意味でも大変役に立ちました。
 奥田文さんを通じましてEM1号の作り方、それといろいろなEMの使い方というのも勉強しました。いろいろな所にEMを使いました。農業から始めたのはもちろんです。
 私の農場のスライドをちょっとお見せしたいと思います。

 

これが私の農場です。コペンハーゲンから北へ50kmほど行った所にございます。

 新しい建物は、全部木で作られております。
 3年ほど前に火事がございまして、それまであった建物は全部なくなってしまいました。不幸ではありましたけれども、新しい建物を建てられたという意味では幸いだったかも知れません。
 一番手前にありますのがEMビルディングと申します。ここでEMの製造とEMの訓練をしております。
 自分で言うのも何ですが大変美しい所でして、広さ35haほどの湖もあります。



 

1 ha 当たり20リットルの拡大培養液を6,000トンの水で薄めたものを散布しているところです。 

農場を視察している所です。EMを撒く前は1 ha 当たり4トンの収量がありましたが、EMを散布した後は1 ha 当たり6トンに収量が上がりました。

 

比嘉先生が青草を使いまして雑草対策をする説明をしている所です。この草を地面の上に敷きまして、その上にEMを撒いて雑草の生育抑制します。


農場は豚が放し飼いに近いような状態で、これはデンマークでは大変珍しいことです。


デンマークでは1年間に2,200万頭の豚が生産されておりますが、食用の豚でこんなふうに飼われているのではございません。
 このように放し飼いに近いような状態で豚を飼えたら、現在の養豚業で起こっているいろいろな問題は解決できると思います。屠殺場に来る豚の30%は何らかの病気、特に肺の病気を持っております。豚の病気はデンマークだけではないんですけれども、一般的に見られるのはPRRSと呼ばれるウイルス性の病気です。これは豚のエイズとも呼ばれているもので、従来の療法ではこれを直すことはできません。今では32〜33%の豚がこの病気に罹っております。
 私どもの方では、EMを豚の飲料水に混ぜたところ、このウイルス性のエイズが治りました。拡大培養されたEMを500倍に薄めて豚の飲料水に混ぜておりますが、与え初めて1〜2カ月後でもう治っております。

 

これはコペンハーゲンの中にあります有名なチボリ公園という所の写真です。
私どもがやっておりますもう一つのプロジェクトは湖の浄化で、ここでもやはりEMの拡大培養液を使って処理いたしました。0.01%の希釈で混ぜております。
 私どもの方では、それに加えて池の中に空気中の酸素を入れるための特別な機械を使っております。この機械はバイオレコと申しまして、今まで5年間、試作を重ねてまいりましたが、やっと製造にこぎつけました。

 

EMの拡大培養液を散布しているところです。ここでは、全部で1万7,000リットルのEMを撒きました。
 私どもはヨーロッパの様々な国でEMを普及しております。オーストラリア、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、スペイン、ノルウェー、デンマーク、東欧諸国でもやっておりまして、ウクライナとかベラルーシでも普及に努めております。
 ヨーロッパに共通している問題は、土壌が非常に劣化しており、微生物がほとんど住んでいないということです。アメリカではデンマークの農地全部を集めたくらいの広さの所が毎年、毎年砂漠化しております。
 ですから、土壌の改良というのは非常に必要に迫られていることです。
 長年の化学肥料と農薬の使用は、土壌をとても貧しくしてしまいました。このことについて科学者と話をするのはなかなか話しても分かってもらえないんですけれども、農業、農家の人と話をすると非常によく理解してくれます。
 先日も農家の一人が参りまして、どうしたらいいんでしょうと言うんです。彼は今までと同じような方法でシュガービーツと言う砂糖大根を育てているんですけれども、それがサラダに入れる小さな赤蕪ぐらいにしか育たないそうです。私はEMを使って土壌の微生物を育てなさいと伝えました。
 ウクナイナはご存じのように、崩壊する前のソビエトの連邦の一部でして、大変豊かな農地を持っておりました。けれども、1920年代からソビエト連邦の一部にあった間に、その豊かな農地もそれから社会構造も全く壊されてしまいました。工業化が進めば進むほど問題は大きくなっておりまして、病気は増えておりますし、土の劣化が非常に進んでおります。
 私はウクライナの農家の人達に招かれまして、もう既に3回ほどウクライナに出向きまして、EMのトレーニングのセッションを行いました。このように私どもは近隣のヨーロッパの国に出掛けまして、EMの製造の指導をしたり、農家の指導に当たっております。
 私どもは今EM1号を製造しておりますが、これはスカンジナビア諸国、ドイツ、それから自国のためにやっております。計画としては、もっと製造量を増加して、いろんな国に勧めるということです。そのためにも、世界中、特に日本で今まで経験して積み重ねてこられた知識とか、経験というのが大切になってきます。
 世界の状況は変わりまして、今では国々の間の距離が大変短くなり、私どもの責任も大きくなってまいりました。土壌をどういうふうに変えていったらいいのかということを知っている者には、それを伝える責任があると私は思います。
 いろいろな団体が世界中にあり、EMの普及に努めているということを知って、大変嬉しく思いました。私もそうあるべきだと思っていたからです。
 この団体は、自分の国だけでなく国境を越えて普及に努めておりますので、友達と言うんですか、隣国を殺したくないと言うか、皆で共存というようなことを考えております。 それでEMROとかアプナン、INFRCの活動を見てまいりまして、私もぜひ協力してEMの普及に努めていきたいと思うようになりました。
 そのようにして汚染、農業問題、土壌問題、廃棄物問題などの解決に向けて行けたら大変嬉しく思います。
 今までこのようなことはとても信じられないことでしたが、今日では皆さんもご存じのように、これらは解決できる問題になってきました。今ならまだ間に合うと思います。活動を起こすのは今がその時期だと思います。悪い物を食べ土壌を汚染していけば、我々に未来はないからです。

 私にとってEMというのは、愛とも言えるようなもので、地上にあるすべてのものを愛するということにもつながると思います。この愛は、微生物、植物、動物…、地球上の全ての生き物を含めます。
 ですから昨日の医薬実験でネズミが使われているというのを聞いてちょっと悲しく思いました。これは通常広く行われている科学の方法ですし、受け入れられていることとは知ってはいますが、大変残念に思います。EMを研究していく上では、私としては使ってほしくはないと思います。
 動物も友達です。実験とはいえ彼らに苦痛を与えたり、ガン細胞を植え付けたりするというのは、とても絶えられないことです。ネズミの霊はどこかでこのような実験はとても嫌だと思っていることでしょう。
 私の考え方では、愛はいろいろな国境、動物の種類を越えて存在し、微生物やネズミなども含むものです。
 微生物もやはり生物の一つで、私たちがどういうふうに扱うかによって非常に影響を受けます。微生物は、私たちのために働いてくれて、私たちを使って結果的に地球全体を助けてくれることでしょう。
 私は、これからもEMと、そして皆さまと、長らくお付き合いしていきたいと願っているのです。  【エリック・ニールセン】

−1997.11.9
Erik Nielsen
  1946年デンマーク生まれ。農学、経済学を学び、デンマーク環境庁コンサルタント、デンマーク有機農業に長年従事する。1995年に比嘉教授よりEMを紹介される。Draebjerggard(35ha)の農地を所有し、EMのトレーニングと研究センターにしている。