EMフェスタ97 > 発表大会

中華人民共和国での
EM普及状況
上村 浩之 EM研究機構南京事務所 所長
EMRO-CHINA




 EM研究機構南京事務所EMRO-CHINA は、中国江蘇省南京市にございます。南京は上海より約400Kmほど内陸にありまして、現在、南京・上海間は高速道路がありますので、約3時間ほどで行き来することができます。また、鉄道も発達しており、快速車両で3時間弱ですが、以前は5時間以上要しておりました。
 南京市の北部には長江が横たわっており、水も非常に豊かな所です。長江には長江大橋という中国一長い橋が架かっています。この橋を渡って20分ほど車で走った所に以前EM実験室というのがありました。気候は盆地にありますので、日本の京都のように夏は非常に蒸し暑く、冬は非常に寒い所なんです。以前は自然農方センターの津曲氏、安達氏により、中国においてEMの製造・普及が行われておりましたが、EMRO-CHINA設立後、自然農法センターとEMRO-CHINAで表裏一体という形でEM製造・普及を展開してまいりました。
 現在は南京市内に近い所に製造工場があります。その成果が着々と出てきておりますので、詳しく説明したいのですが、時間の都合がありますので簡単になるだけ多くの事例を紹介させていただきます。
 まず、EMトレーニングセンター、汚水処理、砂漠緑化、EM工場と各地のプロジェクト、海南島農場という順番で進めていきたいと思います。

 まずは詔安富裕EM科技トレーニングセンターが今年7月福建省、詔安県に台湾の劉氏により設立されました。
 詔安県の西の方には広東省のスワト−というのがありまして、スワトーの空港よりEMトレーニングセンターまで車で約1時間半ほどで着きます。スワトーの空港には日本からの直行便はありませんが、香港からの直行便があり、沖縄からは比較的に楽に訪問することができます。気候は沖縄とほぼ同じと考えてもらっていいかと思っております。
 
EMトレーニングセンターのオーナーの劉氏と比嘉教授夫妻です。
 
EMトレーニングセンター正門前です。

実習農場です。比嘉教授が今年来られた際のものです。また、行程実習場等も学校には完備しております。

授業風景です。


中国語で「農は国の元なるぞ」書いてあります。比嘉教授の直筆を拡大してあります。
 校舎の総面積は3,300平方メートルあり、5階建の新築ビルです。1階にEMの成果展示場があり、中国だけでなく海外からもパネルをいただき、立派な展示館となりました。またこの階には、日本のEM関連商品も展示してあります。この場をお借りしてご協力いただいた方々に感謝申し上げます。展示パネル、関連商品の展示は随時受け付けておりますので、関連商品を扱っていらっしゃる皆さま、ご協力をお願いいたします。
 それから2階に教室、閲覧室、事務室があります。3階はオープンスペースになっておおり、会議等の時に使われます。4階には民族館があり、中国の庶民生活と歴史等を、展示物から想像することができます。5階には美術館があり、中国画を中心に展示されています。展示作品は定期的に変わります。
 EMトレーニングセンターは営利を目的とせず、お金も名誉も欲しがらないような道徳心を持ち、EM技術をマスターした人材の養成を目的としております。
 EMトレーニングセンターのオーナーである劉氏は、比嘉教授が正統派日本人と評価されておられる人物で、工業化で衰退する中国の農業問題を解決し、良い人材を育成したいということで福建省、詔安県の開発区に6階建のビルを構え、農機具や資材、障害者及び農民の芸術作品を展示する施設を造られました。その後EMと出会い、空きフロアーをEMのトレーニングセンターにして、また将来は大学にまで育てたいと思われ、EMトレーニングセンターが設立されました。
 設立までの経過は、サンマーク出版平成9年のエバ9月号に掲載中の比嘉照夫の『EM地球見聞録』に詳しくありますので、興味のあられる方はご覧になってください。ここではEMROから4月より高良研究員、少し遅れて吉岡研究員が駐在し、2名で指導に当たっています。
 既に第1期生は97年9月26日に卒業し、いまは第2期生が10月5日よりトレーニングを受けています。期間は6カ月、朝5時よりまず実習を開始し、朝食後は講義があり、EM技術の理論、応用、農業の基礎、環境保護、日英会話等を学び、午後は日が暮れるまで実習を行います。EMROスタッフの指導の下、みんな一生懸命技術習得に励んでいます。

 国営の明陽の澱粉工場の件をちょっと紹介させていただきます。ここでは汚水処理を行っております。ここの工場は、広西壮族自治区にあります。簡単に説明しますと、1日約7,000トンの廃液をラグーンで処理するという方法です。ラグーンの大きさは小さいもので25万トン、最大350 万トンの容量があります。ちなみに廃液のBOD:約7,000PPM、COD:約13,000PPM です。
 澱粉工場に行かれたことのある方ならお分かりでしょうが、物凄い悪臭です。明陽も例外ではなく、処理を始める前は10Km先から悪臭がしていました。しかし現在はほぼ無臭状態です。この悪臭は、人体にもかなり悪影響を及ぼしていたらしく、汚水処理を始めてから工場の医療費は大幅に削減されたそうです。汚水処理のデータは13回大会でも発表がありましたが、その後のデータを見て頂きましょう。


ラグーンに流入する廃液の様子。



EM投入後、廃液がかなり浄化された状態。



一番大きな350万トンのラグーン、浄化前の様子。


同じく350万トンのラグーン、現在の様子。
 下のグラフは、今年の7月18日のサンプリングデータですが、最終ラグーンに到達するまでの20日間ぐらいの滞留時間で、このようにBOD:15PPM 、COD:96PPM まで浄化されます。(ちなみにこのグラフの縦軸は対数を取っております。



グラフ








 また、あしのうら発行委員会、97年発行のあしのうら8月号にこの件を担当した芝研究員作成のこのプロジェクトに関する詳しい報告があります。興味のある方はご覧になってください。
この汚水処理での広西壮族自治区、また中国における影響は予想以上でした。中国の新聞に数回紹介されましたし、政府要人の方も視察に来られました。また、広西壮族自治区科学技術委員会の主催するEM技術による澱粉アルコール工場排水処理に対する評定会が97年7月27日に開かれました。結果を要約しますと、本試験の結果、国内初であり、澱粉アルコール工場の排水処理において、国内最高水準に達し、今後広範囲な技術応用の見通しがあるとして、正式に技術として認可されました。


神内センター、北京農業大学内にあります。


小川。内モンゴルの様子です。


砂漠。この辺りになりますと本当の砂漠です。
 砂漠緑化についてなんですが、これは中国に日中友好神内中国農業区援助プロジェクトというのがあります。このプロジェクトは、日中農業交流事業団の神内理事長の尽力によりスタートしました。我々はEM技術をとおして支援するにあたり、神内センターと支援調印式を1995年10月に行い、それより進めております。詳しくは財団法人自然農法開発センター発行の自然農法ニュース平成7年第4号に詳しくありますので、ご参照ください。
 内モンゴル自治区では、日中友好神内中国農業区援助プロジェクトの一環として、1996年6月比嘉教授が視察に来られた際、協力して砂漠緑化を進めることになりました、超大型のプロジェクトです。現在、内モンゴル自治区農業庁でプロジェクトの指導者の養成を行っております。政府の技術員、農家の方、合わせて6,500 名余りが講習会にすでに参加されております。農業庁よりはEMトレーニングセンターに4名ほど派遣されております。

このようにして、現在EMを散布しております。

トウモロコシも順調に成育しております。
 製造設備が内モンゴルに1カ所、神内センター内にも設置しております。ここでプロジェクト用のEMを生産しております。

違うエリアのの砂漠



風景
 ここは甘粛省、蘭州と言います。1996年10月、比嘉教授が訪問された際、省畜牧局と協力してEMプロジェクトを進めることとなりました。既にEM生産設備もあります。ここでは主に牧畜への応用、アルカリ土壌の改良、野菜栽培などにEMを活用しております。また、この写真からはちょっとお分かりにくいかと思いますけれども、市内は大気汚染が非常にひどい地域ですので、EMを空中散布するなど、そういう形でEM応用を現地の方では積極的に進める準備をいたしております。
 同じ甘粛省蘭州、張掖という所でも1996年10月、比嘉教授が訪問された際、行政公署という政府の一機関と協力してEMプロジェクトを進めることとなりました。EM製造設備の他、実験室、EMトレーニング室、消毒室、無菌室などを備えるかなり立派な設備があります。



現地の土壌はこのようなちょっと塩障害が出ているような土壌です。
 ここでも主に牧畜への応用、アルカリ土壌の改良、野菜栽培などにEMを活用しております。
 甘粛省の蘭州と張掖はシルクロードの始まりの地域ですので、現地の方はEMロードにしようと言って張り切っておられます。
 EM工場、普及基地、プロジェクトが中国には数カ所あります。普及基地の現状、各工場、普及情況、プロジェクト等を今から紹介します。しかし、各普及基地、各工場、関係機関が進めているプロジェクトは、我々ではもう既に把握できないほどの広がりを見せている状況ですので、把握している分だけですが紹介いたします。
 製造に関しましてはEMRO-CHINAの山口研究員を中心に2人1組で中国中でEMを製造いたしております。

 今年2月より10月末までのEM1号の普及用、実験用、販売用の総生産量は、990 トンほどです。
 また、他の地域でも工場、普及基地を作りたいという要望が殺到しており、対応に追われております。最近新しく阿部、大村研究員が加わり、もっと細かい対応並びにEM普及ができることと思っております。
 まず北の方から紹介します。

黒龍江省

普及基地の状況。室内養殖場。

EM処理後の小麦畑。
 黒劉江省の大慶という所で、石油管理局第5採油場が中心となり、土壌改良にEMを活用しております。

北京市

養豚場。

北京市内ではEM卵は現在スーパーで買えるようになっています。
 北京EM生物技術有限公司が北京、天津を中心に農業、畜産全般で普及をいたしております。


山東省

1回の散布で見事に立派なイチゴが採れました。

いちごハウス。農家の方も自慢げに見せてくれましたので、写真を持ってきました。
 Campas総公司内、山東済南億安生物技術開発センターというのが農業、畜産全般で普及をいたしております。


江蘇省
 江蘇省はちょっとスライドないんですけれども、中国科学院南京土壌研究所という研究機関で主に研究されています。ここは南京、江蘇省は研究機関がかなり集まって、盛んに研究されているエリアであります。

上海

爆気槽、いわゆる汚水処理場の様子です。

汚水処理場の全景。
 上海市の水質浄化場で上海市政工程設計研究院、復旦大学の協力で現在計画中のプロジェクトがあります。処理場が非常に積極的ですので、比較的早く準備が整う事と思います。ここは1日2万5,000 トンを処理しております。EMで解決したいのは余剰汚泥と悪臭です。
 福建のEMトレーニングセンターより北に600Kmの所に福州緑豊EM生物技術有限公司があります。

工場内の成果展示コーナーの様子。
スッポン、ウサギ等の養殖をはじめ農業、畜産全般で普及を進めています。

江西省
 天意生物技術開発有限公司が中心となり、省の牧畜局と協力して普及を進めております。



ウコッケイ。
 ここの普及は非常に早く、平均して現在、月に約20トンペースでEMを普及しております。

四川省

なす。

はくさい。
 四川省新都EM微生物製剤工場。農業、畜産全般で普及をしております。

雲南省

田七という漢方薬の栽培状況。もちろんEMを使用して栽培されております。

別に120haをインテグレードファームにという要望があり、今準備中です。
 雲南雲日保健品実業発展有限公司でEMが活用されています。この会社は日本の株式会社アドバンスと雲南省にある薬剤会社との合弁会社です。

広東省

会議中
 広東省中山大学と琉球大学のEM共同研究が現在行われております。これは日中政府間科学技術交流、日本の文部省と中国の教育部が推進している中日政府間科学技術合同プロジェクトの実施内容に基づき行われる研究です。詳しくは財団法人自然農法研究開発センター発行の自然農法ニュース平成9年5月号に詳しくありますので、ご参照下さい。

広西省
 ここは先ほどご紹介しました国営明陽澱粉工場がある所です。必佳微生物工程責任有限公司が、農業、畜産全般、汚水処理で普及を進めています。来春までに池の汚水処理も始める予定です。
 海南島農場は中国最南端の島にあります。空港のある海口より高速を使い、車で1時間半の所にあります。EMトレーニングセンターのオーナーである劉氏の所有する広大な農場です。ちなみに農場は60ha、湖180haといったかなり大きなものです。

海南島農場。

これが劉氏です。

堆肥をこうやって作っております。

マンゴーに堆肥を入れている所。

椰子。
 現在は土地が痩せておりなかなかうまく作物が育たないので、自然農法センターの安達氏が中心となり、環境整備と土壌改良を中心に作業を進めております。また並行してアヒル、魚の養殖も行っております。

アヒルのひな。

少し大きくなり外で飼育が始まったアヒルのヒナ。

アヒル


アヒル拡大。

 ここのアヒルは写真を見ていただけると解かると思いますが、とても成長が良いのと毛並みがすごい良いので、地域で非常に有名なアヒルです。毎日たくさんの方が見学に訪れられています。もちろんEMを餌に添加しておりますので、水際で小魚が大繁殖しており、網で容易にすくうことができます。前回行った時にはすくったばかりの小魚をテンプラでいただきまた。もちろん味は格別です。将来はここを食養生のできるEM保養センターとして宿泊設備等にもEM応用をして充実させていくという計画です。

バナナ園
 また海南島では約700ムー(46ha)のバナナ園を持つ中国熱帯農業科学院生物技術国家重点実験室、華南熱帯農業大学より全面的に来年よりEMを応用したいとの話もあり、海南島では劉氏の農場とここのバナナ園を中心にEM活用が盛り上がっております。

 97年10月、北京で自然農法国際会議が開催される予定でしたが、急遽中止となりました。自然農法センターの鈴木氏、津曲氏、安達氏らが懸命に準備を進めてこられたにも関わらず、中国農大側の一方的都合により開催を中止せざるを得ない状況となりましたことは大変残念です。しかし北京での会議と同じ日程でタイのバンコクで会議が開かれました。短い期間での準備となりましたが、アプナンをはじめ各関係組織の努力により、無事開催されました。


見学コースとしていた北京市のゴミ処理場です。

 今後も中国でEMを活用し、EMの可能性を実証すると共に、中国の抱えるであろうと思われている食料問題、環境問題の解決の手助けを我々はしていきたいと考えております。人口12億、一説では13億とも言われております。世界の約5人に1人は中国人です。その中国でEMによって食料確保、環境保全が達成されれば、全世界に広がり、地球の未来は明るくなると確信します。
 しかしこれは我々だけでは達成することはできません。世界中の一人一人が自覚を持ち、各人、各団体がエゴを捨て、皆で協力をして初めて達成されることと思います。
 今後とも関係各位の皆さまのご支援、ご協力よろしくお願いいたします。     【うえむら ひろゆき】
−1997.11.9
上村 浩之
 アメリカ、WESTERN MICHIGAN UNVERSITY(ウエスタン・ミシガン大学)在学中に中国南京大学にて語学研修を受け、大学卒業後にEM研究機構に入社。現在に至る。