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バリ島でのEM技術による
      統合された農業モデルシステム
G.N.Wididana EM研究機構インドネシア駐在事務所所長

 インドネシアにおけるEM技術普及促進をするために、バリ島にEM技術トレーニングセンターが開設されました。
 センターを運営しているのは、財団法人である天然資源開発研究所IPSAです。
 そこではEM技術を応用して模範的な統合されたシステムを実際に運営しながらEM技術の研修を行っています。

 インドネシアの農家や農業普及員を中心とした研修生は、実際の現場を体験しながら、地方の発展及び農家の収入向上を目指し、自然農法を基本にしたEM技術を学ぶことができます。
 センターを運営している財団は農業省の研究所や農業教育普及局及び大学や農業組合と協力して1週間程度のトレーニングプログラムを準備し、研修を受けて入れています。
 モデル農場を活用しての教育活動はインドネシアの社会に大きな影響を及ぼしています。

 EMトレーニングセンターでは数種類の作物の栽培及び家畜を養っています。
 例えば野菜類やココヤシ、バナナ、クローブ、コーヒー、稲などはセンターの外部から肥料や農薬を購入しないで、センター内の有機物を有効に利用して栽培を行っており、良い結果が出ています。
 センター内から出る有機物とは収穫物以外の残渣や家畜の糞尿などです。
 それをEMで発酵させてボカシにして活用しています。

 鶏と山羊の糞のボカシは、豚や鶏やアヒルの餌として活用しています。
 豚とアヒルの糞は池に入りナマズの餌となります。
 その池の表面にはホテイアオイが繁殖し、汚水のフィルターとして、余分な栄養分を吸収しながら豚やアヒルや鶏の餌として利用されています。

 ナマズの養殖池からの廃水は灌漑用の水及び肥料として畑や水田に導かれており、畜舎を掃除する水としても活用しています。

 このモデル農場では作物生産に掛かる費用が減少し、収入が増えたために利益が通常の農家と比べると30〜50%増加しています。
 畜産における生産性も通常の農家の利益と比べると50〜70%増加しています。

 バリ島には特徴的な自然景観と文化があります。
 その特徴も有効に活用して、将来的にはインドネシアの人々だけではなく、世界中の様々な人々に活用していただけるように総合的にEM応用技術を組み込んだ農業及び環境、そして健康、教育、文化モデルセンターとして発展及び機能させる計画です。

 では、これからスライドを使ってEMトレーニングセンターの説明を続けます。
 



 
 

 バリ島のEMトレーニングセンターは1996年に建設されました。
  そのセンターの運営は天然資源開発研究所IPSAがおこなっています。
  センターの目的はEM技術の研究開発、及びデモンストレーションファームを作ることです。もうひとつは農家にEM技術を教育することです。

 
 

 センターの上の方から撮った写真です。このようにセンターにはココヤシ、バナナ、コーヒー、クローブ、ランブタンなどの熱帯の作物が栽培されています。これらの畑の下には水田があります。

 
 
 

 センター内には研修生用の宿泊施設があります。
  一度に25名の人が宿泊することができます。
  バリの伝統的な建築物を利用した施設です。

 
 

 宿泊施設の裏側です。スタッフが庭を作っています

 
 

 センターには多目的に使用できる開放型の施設があります。私たちはこの建物をワンティランと呼んでいます。
  この施設で授業をしたり、実習をしたり、ミーティングをしたりします。

 
 

 宿泊施設のトイレやシャワールームから出る廃水は、この浄化槽で浄化され再利用されます。
  EM浄化された廃水はトイレの水や庭の散水に利用できるくらいにきれいになります。

 
 

 3tのタンク2つと1.5tのタンク4つの合計12トンの浄化槽です。
  その間に木炭とゼオライトのフィルターがあります。EMは2週間に1回10リットルの拡大液を投入しています。放流槽から出る処理水をフィルターを通して循環しています。

 
 

 左が流入水です。
  右が浄化処理を行った水です。

 
 

 この単純な浄化システムは人々が簡単に真似することができます。
  EM処理によって悪臭は発生しません。

 
 

 浄化した水はこのタンクに保存してトイレや庭木の散水に使用します。

 
 

 センター内には鶏、山羊、豚、牛、魚、そしてアヒルなどの家畜も飼育しています。
  鶏と山羊の分はEMで発酵させ、それに10%の米ぬかとそれに10%の魚糞を混合して、再発酵させます。
  このボカシを家畜の餌として与えることで餌のコストが50%減少し、収入は47%増加しています。

 
 

 EM処理を行うことで、鶏小屋の中は悪臭が発生しません。
  毎日自分の糞を食べて、1日65%以上の鶏が卵を生みます。

 
 

 鶏の卵を1ケ月室温で保存しました。
  ボカシを食べている鶏の卵はこのように良い状態を保ちましたが、普通の配合飼料を食べている鶏の卵は悪臭を放ち腐ってしまいました。

 
 

餌用のボカシを作るミキサーです。
センターのトレーナーがこのボカシの作り方を研修生に説明しています 。

 
 

 これは、鶏と山羊の糞から作った餌用のボカシです。
  このボカシを鶏や豚やそしてアヒルの餌として与えています。

 
 

 この池は、豚小屋から出る汚水を集める池です。
  この池ではナマズを養殖しホテイアオイが池の表面で繁殖しています。
  このホテイアオイは汚水の有機物を吸収したり、家畜の餌として利用しています。

 
 

 この写真は、豚がホテイアオイを食べているところです。

 
 
 

 この豚の親子には鶏の糞と山羊の糞から作ったボカシを与えています。しかし、栄養失調を起こすことなく順調に成育しています。
  豚小屋から出る汚水は最初の池で固形分を分離して、その水は次の池で魚の養殖にしたり、灌水をしたり、牛の飲み水や体を洗う水に使います。

 
 

 このように牛も元気です。
  この牛は豚小屋から出る汚水を毎日飲んだり、その水で体を洗ったりしています。

 
 

 これは山羊とアヒルを一緒に飼っている様子です。
  このアヒルも鶏と山羊の糞から作ったボカシを毎日食べています。
  また豚小屋からの汚水を使って生活しています。

 
 

 センターの一番下の方は水田になっており、化学肥料や農薬を使用せずに米を生産しています。
  肥料はセンター内で発生する家畜の糞から作ったボカシや、上の方から流れて来る汚水が全てです。
  この水田の収量は周辺の化学肥料や農薬を使用している農家よりも80%増加しました。
  しかも生産コストが50%減少しています。

 
 

 水田の上の段々畑では化学肥料や農薬を使用せずにコーヒーを生産しています。
  肥料はセンター内で発生する家畜の糞から作ったボカシや、上の方から流れてくる汚水が全てです。

 
 

 これは収穫後の水田です。
  私たちは牛を使ってしろかきを1回行うだけで、次の田植えを行います。

 
 

 これが最後のスライドですが、この絵は人々の暮らしと、神様と農業が一体であるというバリの哲学を表現したものです。
人類と環境の質を向上させて、それを維持して行くために今私たちがすべきことは、他の生き物を助け、お互いに協力し合うことです。
 以上で私の発表を終わります。

−1997.11.8
G.N.Wididana
1990年、琉球大学農学部・比嘉教授のもとで修士課程終了。同年よりナショナル大学講師として教鞭を取る。1992年大学の教え子と共にインドネシアにおけるEMの製造・普及拠点を作り活動を開始する。1997-11 EMフェスタ97に出身地であるバリ島にEMトレーニングセンターを開設。現在、政府のEM普及活動を牽引しながら観光地であるバリ島の特色を生かし、世界的なEM普及の一端を担おうと活動している。