EMフェスタ97 > 専門分科会
農業・畜産に対するEM利用の
実際と未来への展望について

農業畜産分科会

コーディネーター
屋宜 芳文  沖縄県 EM研究機構

パネリスト

仲田 芳文  沖縄県 果樹経営
仲本 政勝  沖縄県 養豚経営─我那覇畜産課長
高橋  剛  山形県 稲作経営
寺本 豊一  北海道 乳牛経営
宮城 盛彦  沖縄県 養豚経営


 現在では多岐に渡って活用が進められて いるEMは、その開発がなされた当時の目的は農業用の土壌改良剤であった。その後に畜産にも応用が広がり、各食料生産の現場で、そして水処理やゴミ問題などの様々な他の分野でも次第に使われるようになったという経緯がある。
 こうした1次産業への活用、つまり安全でおいしい食べ物を大量に作る技術は、EM技術の原点とも言える。  農業・畜産分科会は、実際の農業生産者によってEMの利用とその効果についての報告が行われた。会場は立ち見がでるほどの聴衆であふれ、この分野でのEM利用について一般の関心が高いことがうかがわれた。
 EMを利用し始めて九年となる山形県の高橋氏は、水稲と肥育牛の経営者であり、ボカシや拡大培養液作りも自家生産で行っている。  ボカシは水稲に用いるほか、牛にも食べさせ、出てきた牛糞を水田に還元している。
餌に稲ワラを与えている牛の糞は、EMによってすぐに発酵し、非常に品質の良い堆肥として使える。水田では主にコシヒカリを栽培しており、10アールあたり30俵取りというケタ外れの収穫を上げている。
高橋氏はEM使用以前からの自然農法での積み重ね、有機物投入の効果がEMによって十分発揮されてきていると考えており、丈夫な稲作り、冷害に強い稲作りを心がけている。このため、稲籾を氷温のEMX希釈液に漬けて処理し、ワリフ栽培でEMを散布してしっかりした苗を作っている。
平成5年の時の冷害の時も、例年通りの収穫を得られたのは、こういった苗作り、そしてEMの土壌処理によって地温がいくぶん高まっていたことからであると分析している。
北海道・千歳で酪農を営む寺岡氏は、地元のビール会社より入手したビールかすにEMを用いて、良質な、また変質しにくいサイレージを作ることに成功した。
このサイレージを与えた牛たちは乳質が格段に向上し、搾乳期間が長くなった。また、病気も4分の1まで減り、良質の牛乳を生産できること。畜舎がきれいになり、家族が仲良く働けることがEMの効果で、本当に良かったと語っている。
沖縄県今帰仁村でマンゴーを栽培している仲田氏は、ハウス環境下で発生するダニやタンソ病に悩まされていた。ダニは農薬に対して対抗性がつきやすく、農薬が人間の身体にも良くないことが分かっていたので、無農薬に転向した。
EMを使いはじめて1年間はあまり効果が認められなかったが、2年目からはタンソ病がほとんど出なくなった。有機質をたくさん投入し、かなり強めの切り換えし選定をおこなって、管理をしている。
沖縄県名護市にある我那覇畜産に勤務されている仲本氏は、EMについて、最初は半信半疑で使用し始めたが、悪臭が消え、豚肉の品質や日持ちが向上し、また豚の成長も良くなった。
豚舎ではEM希釈液を散布する他、飲水や飼料にもEMを添加し、出てきた豚糞と敷き料を合わせて再発酵させた堆肥も販売している。 この堆肥の評判は良く、現在は生産が間に合わない程の売れ行きを見せている。豚肉の方は『琉美豚』という銘柄肉として、県内の消費者にも、県外にも好評である。
 宮城氏は、沖縄県大里村で養鶏を営んでいる。形式は平飼いの採卵鶏で、ヒナの時のワクチン以外、全く薬を使わず、自然の法則に従った形の養鶏を目指している。
通常より低タンパクの飼料にEMを添加し、飲み水にもEMを加え、青草を与えることにより鶏本来の生命力を引き出し、硬いカラを持つ自然卵として独自のルートで販売している。
鶏糞は、敷き料のオガクズと土床にクッションのように積もっており、鶏がかいて外に出す分以外はそのままになっているが、これが鶏舎の温度管理や微生物のすみかとして重要な役割を果たしており、匂いが全く無いのが特徴的である。
 各氏の取り組の紹介の後、コーディネーターの屋宜氏から、EMを扱うにあたって大切な点について問い掛けが出された。  EMは農薬に比べて即効性は無いが、害が無く穏やかな効きめという漢方的な特徴がある。しかも、効果が持続してくれる。(仲田氏)
 大量に作って儲けようとするより、安全な食物を作るという信念でないとEMで成功するのは難しい。今日のパネラーの皆さんも同じだと思う。(高橋氏)
 EMを他人に勧める時は、目に見えない微生物だけに、わかりやすく説明する事が大切だと思う。長く使えば使うだけ効くのがEMである。(仲本氏)  広くEMが定着するように管理している。洗って飲めない牛乳だけに、安全性は重要である。環境全てをEMが守ってくれるような農業を目指したい。(寺岡氏)
 消毒剤や肥料とは違ってEMは生き物であり、どうやって環境を調えたらEMが生きて行けるか考えて欲しい。そして、物の生産だけでなく、癒しの場を作れるような使い方をして欲しい。(宮城氏)
 最後に屋宜氏は、EMを資材としてではなく、生き物、そして仲間として扱っているという事を、質問の答えの中に受け取る事ができたと感じている。  いろんな環境があって、成育の手助けをする農家の皆さんがいる。そして、そのフォローをするEMがいる。全てが助け合う共存共栄の中にEMの効果が生まれるように思う、と感想を述べた。