EMフェスタ2004
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EMフェスタ2004 専門分科会
光合成細菌の生態と利用について
松下 愉久
(まつした よしひさ) EM研究機構
プロフィール:
1976年1月16日 和歌山県串本町 生まれ
東京大学大学院農学生命科学研究科卒業
2003年 株式会社EM研究機構入社
現在に至る
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松下
EM研究機構の松下です。よろしくお願い致します。本日は「光合成細菌の生態と利用」ということで、皆様が馴染みの薄いと思われます光合成細菌についてお話をさせて頂きたいと思います。乳酸菌や酵母、麹菌、大腸菌など、善きにつけ悪きにつけこれらの微生物は皆さんも聞いたことがあるかと思うのですが、今日は光合成細菌についても理解を深めて頂けたらと思います。
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本発表の目的をここで確認させて頂きたいと思います。
まず、光合成細菌の基本的な生態、つまり光合成細菌というのは一体どういった微生物なのかというところからご説明させて頂きたいと思います。
次に、本発表においてここが中心的なお話になってくるのですが、水処理や農業など、様々な分野でEMが活用されて効果を上げています。ところが、この光合成細菌自身は単体の菌でも実は農業や水処理などで利用され、研究されてきた菌であり、特に水処理に関しては30年以上も前から活用されている菌であるということを確認し、理解を深めて頂きたいと思います。
最後に、EMの中に光合成細菌が存在することでどういうメリットがあるのかを簡単にお話しさせて頂きたいと思います。
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光合成細菌と申しましても、広い範囲に渡っています。光合成細菌のことを聞いたことのある方は、それはおそらくそれはシアノバクテリアのことではないかと思います。シアノバクテリアというのは、地球上にまだ酸素がない時代から酸素がある時代への変遷に貢献した光合成細菌です。つまり、太陽光からエネルギーを得て、それで光合成を行い、酸素を生産して現代の地球上に酸素を供給してくれたということで、地球科学的にも非常に重要な菌です。
本日扱います光合成細菌はこのシアノバクテリアではなくて、紅色細菌、緑色細菌に分類されています。少し難しいのですが、これは光栄養細菌と呼ばれ、酸素が発生する光合成細菌が出現する前に光合成を行っていた細菌なのですが、実はこの紅色細菌、緑色細菌からシアノバクテリアに進化して、それから地球上に酸素が供給されるようになったという歴史を持っています。この紅色細菌について、次のスライドでもう少し詳しく見ていきたいと思います。
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この紅色細菌はさらに細かく分類されていて、紅色硫黄細菌と紅色非硫黄細菌に分かれています。大雑把に申し上げますと、硫黄化合物の代謝形態の違いによって分類されています。ここでは、大体こういったものがあるのだということを押さえておいていただければよいと思います。
どちらに注目していくかというと、この紅色非硫黄細菌の方を中心に見ていきたいと思います。
まず、この紅色非硫黄細菌の生息場所ですけれども、地球上の至るところに存在しています。特に、湖沼、下水処理場など、水のある場所が大好きな菌で、大体そういった場所に生息しております。
大きさはこう書いてもパッとこない方が多いかと思いますが、まずどんな形をしているかというと、桿菌といって長方形の形をしています。短い方が0.6〜0.9マイクロメーター。このマイクロメーターというのが1ミリの千分の一の大きさになります。長い方が1.2〜2.0マイクロメーターでとても小さく、当然顕微鏡を使わないと見えないような細菌です。
かなり専門的な話になってきますが、この細菌群にはロードシュードモナスやロドバクターといった属が含まれています。
基本的にこの紅色非硫黄細菌は通性嫌気性菌で、またカロチノイドという色素を持っているので、黄色から紅色、濃い紫に近いような色に見える細菌です。特にこれから扱うのは、EM3号をご存じかと思うのですが、濃い赤色の菌です
EMの中に含まれている光合成細菌は非常に高い運動性を持っています。映像の方をお願いいたします。
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これは400倍で撮影した画像ですが、非常に速く動いているのが分かると思います。これが1,000倍ですが、鞭毛を持っていて、これをものすごい速さで回転させながら運動しています。また、ロゼットといって、少し栄養条件が悪くなるとこのように固まる性質を持っているというのもこの光合成細菌の1つの特徴です。次に、これは10,000倍ですが、電子顕微鏡を使って見ると鞭毛まで見えます。この髪の毛みたいなものが鞭毛で、光合成細菌はこれを一生懸命回転させながら運動しています。
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次に、光合成細菌はどのようにしてエネルギーを獲得しているのかを説明していきます。基本的には光を利用して代謝を行うのですが、貯蔵物質として多糖やPHAといって生分解性プラスチックの原料になる物質も作ります。光がなくても酸素を使って呼吸をすることもでき、さまざまな条件に適応できるという特徴を持っています。無機物も有機物も代謝でき、非常に広範囲の物質を利用することができます。
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次が本日のメインテーマになるのですが、先程ご紹介申し上げた光合成細菌が一体どういった分野に応用されているのか、また、どういった分野で発展する技術として研究されているのかを紹介したいと思います。
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まず、水処理です。これは最も光合成細菌が利用されてきた分野です。光合成細菌で水処理を行うことの利点は、光合成細菌は有機物の除去能力が高いということが1点挙げられると思います。また、活性汚泥法などではある程度BODを落としてから処理しなければいけないのですが、光合成細菌を利用した水処理法では希釈なしでそのまま処理することができるという特長があります。また、地球温暖化の原因になるといわれていますCO2(二酸化炭素)の発生量が非常に少なくて済むという特典もあります。
さらに、この光合成菌体は先程も少し紹介させて頂いたと思うのですが、生分解プラスチックの原料となる物質が蓄積されており、有価物として回収するということも可能とされています。また、様々な物質を代謝することができ、悪臭の除去にも有用であるということがいえると思います。ただ、この光合成細菌を用いた水処理には欠点もありまして、単一の菌で処理しますので、他の細菌と一緒になった時に生存競争に負けてしまうという難しいところがあります。
これは30年前にはかなり盛んに行われていたのですが、活性汚泥法が台頭してきて、今はあまり行われていないのが現状です。ただ、この処理法は非常に有用な部分を持ち合わせていますので、現在再検討をしている研究者もいます。
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次に悪臭除去についてです。ここでは、光合成細菌がどういうメカニズムで悪臭を除去するかを簡単に見ていきたいと思います。まず、悪臭の発生から見ていきたいと思います。悪臭は大抵、タンパク質が腐敗し、微生物の嫌気発酵によって分解された結果、悪臭原因物質が発生するところから始まります。光合成細菌はこういった物質を餌として食べて取り除いてしまいます。それを自分の体の一部分にしたり、エネルギー源にしたりして悪臭を除去します。
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次は水素生産です。現在、石油エネルギーの代替エネルギーということで注目されている水素ですが、これは二次エネルギーといって作るのにエネルギーが必要になってきます。また、水素はクリーンなエネルギーなのですが、非常にコストがかかるというところに問題があります。ところが、この光合成細菌を使えば、安価で水素を生産できる可能性があります。また、これは廃棄物から水素生産が可能になるという可能性もありますので、基礎研究が盛んに行われて、次世代のエネルギー源として利用できないかが検討されています。代表的な菌の中には、先程もEM中の光合成細菌ということで紹介させていただきましたロードシュードモナスパルストリスもいます。
他にはどういったものから作ろうとしているかというと、牛糞の発酵産物や都市下水汚泥から処理して水素を作るという研究も行われています。
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次に、光合成細菌は有用な物質を生産するという特性も持っているので、これを大量に培養して有用な物質を抽出して、商品にしようという研究も行われています。
メリットは、大量に培養することが可能で安価ということが挙げられると思います。
どういったものが生産できるかというと、ポルフィリンや、ユビキノン、ビタミンB12などがあります。ポルフィリンは肝臓薬に用いられたりしています。こうした医薬品やビタミン類を作ることが可能です。
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畜産への利用ということで2つの研究報告を紹介させていただきたいと思います。まず1つ目は京都大学の小林先生の研究です。産卵用のニワトリの飼料に光合成細菌の菌体約1万分の1を噴霧して食べさせた、という研究です。
産卵率がおおよそ15〜20%アップしたといった結果と、卵の中の特にビタミンAの含有量が増えたという結果が報告されています。
次は鳥取大学の平山先生の研究です。飲み水として光合成細菌菌体希釈液を与えると、産卵した卵は各種ビタミン類の含有量が増大したという結果が得られています
ユビキノンは普通卵には含まれていないのですが、含まれるようになったという結果も出ています。さらに、コレステロールの含有量が減ったといった結果も得られています
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次は水産です。水産も畜産と同様に、光合成細菌の菌体を添加したところ産卵率がアップしたという結果と、金魚や赤貝、コイなどの稚魚に与えたところ、生存率や体重が増えたなどの結果が得られています
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次に農業です。まずメカニズムから見ていきたいと思うのですが、農業では例えば光合成細菌の菌体を施用すると、水田や畑の中の光合成細菌の密度が向上します。そうしますと、アミノ酸や核酸が供給されます。またこの光合成細菌密度の上昇の結果、土壌中の窒素固定菌とともに窒素固定が盛んになり、窒素源の供給という面でも非常に大きな役割を果たしています。さらに、この光合成細菌は有害な物質を除去するという特徴もありますので、病気の減少につながってきます。光合成細菌を添加すると、拮抗菌、有害菌に対する拮抗性の放線菌などが増えてきて、有害菌の密度が減少するという効果があります。その結果として、土壌が肥沃になって、果実が充実して、収量も上がり、味も品質も良くなってくるという報告があります。
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これが最後のスライドですが、今までご紹介させて頂いたように、光合成細菌は農業や水処理など、多くの面で非常に有用であるということがお分かりいただけたと思います。ただ、水処理のところで少し申し上げたと思いますが、他の有害な菌が入ってきた場合に少し弱いところがあります。そういったところが難しいのですが、EMでは乳酸菌、酵母と共に光合成細菌が働くことで、それぞれが共生して働き、さらに有害菌と拮抗性のある菌が誘導されるということがEMを使う一つのメリットになります。
EMフェスタでもご覧になったと思うのですが、EMによる河川の浄化や農業による作物の収量増加という効果は、今まで見ていただいたような光合成細菌の力が中心となり、乳酸菌、酵母と協力しながら、こうした効果が現れているということがいえると思います。以上で発表を終わらせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
新谷
松下さん、発表ありがとうございました。今日は皆さんに初めてEMの中の、光合成細菌の実際の映像や電子顕微鏡写真を見ていただいて、これが光合成細菌だというのが分かっていただいたと思います。1,000倍で見て、ものすごく速い動きをしているので、いかに光合成細菌がエネルギーを持っているかというのが分かります。つまり、このエネルギーが波動などの比嘉先生のおっしゃっている理論につながっているのではないかと考えております。光合成細菌については、今、世界中で多くの研究者の方が研究されていて、競争の激しい分野でもあります。特にこれからのエネルギーである水素の発生、それから、30年前に流行った汚水処理の分野ではもう一度光合成細菌を見直して、光合成細菌で汚水処理をしようという動きがあります。それと、光合成細菌の赤い色はカロチノイドですけれども、実は天然のカロチノイドはなかなか取れにくのです。それが、光合成細菌を利用するとできる。そして、この光合成細菌の出すカロチノイドは抗酸化力が強いという研究論文が出てきているので、これからは、いかに光合成細菌から抗酸化能力の強いカロチノイドを出すかがポイントになってくると思います。
それと、松下さんから発表がありましたように、光合成細菌単独でもかなりの報告が出ているのですけれども、実際、河川の浄化などの現場では光合成細菌単独の商品はなかなか伸びていないのです。これは松下さんの報告にもありましたように、光合成細菌単独で施用すると、どうしても他の菌に負けたり、光合成細菌はもともとメタン細菌などと相性がよいので、他のちょっと悪い菌と組んでしまうというところがあります。また、光合成細菌自身が動物性プランクトンのえさになってしまうので、なかなか密度を高められないということもあります。
普通、この光合成細菌はpHの低いところでは生存できないというのが今の一般的な理解ですが、私どもが研究している中で、実は光合成細菌にとってはpHが低いというのはかなり厳しい状況ですけれども、このパルステルスの仲間はちょっと強い形になって、形態を強い形態に変えて、つまり、生き残るようになるということがわかってきました。また、EMの中では光合成細菌は形態を変えて存在しているので、通常の方法でやると取り出しにくいということも分かってきました。
EM中で光合成細菌を強くなった状態にして、それを海や河川にまくことによってほかの微生物に負けてしまわないようにするとか、かなり環境の厳しいところにも光合成細菌を送り込むということができるようになるとかが、EMの利点ではないかと考えております。
この光合成細菌については、皆様もすごくご興味を持っておられて質問もあるかと思いますけれども、先に次の松本さんの発表に移らせていただいて、後半に質問の時間を確保したいと思います。
2番目のパネリストは松本さんです。松本さんは琉球大学で比嘉先生の研究室で修士号を取得され、現在EM研究機構研究部でEMの研究、特に乳酸菌関係を研究されています。発表のタイトルは「乳酸菌、酵母の関係から見たEM活性液のポイント」です。昨年も「EM活性液の考え方と作り方」というテーマで星野さんに発表していただきましたけれども、去年からEMによる河川や海の浄化活動が日本中に、ボランティアやUネットの皆様のおかげでどんどん広がっています。そして、EM活性液の利用も飛躍的に増えています。道頓堀側浄化で見られるように1度に170トンの活性液を仕込むようなケースも出てきたので、これから皆様が現場で大量にいかに速く活性液を作るかということが課題になってくると思います。そこで本日はその活性液を作る上でのポイントを、乳酸菌と酵母の視点、つまり、微生物の視点から見ると、こうすれば活性液はうまく作れるというのが分かると思います。その点について松本さんに発表していただきます。松本さん、お願いします。