EMフェスタ2004 > 専門分科会

司会:それでは、以上の3つの事例を受けまして、ディスカッションに入っていきたいと思います。



 本日のテーマですね、「汚水処理でEMの効果を出すためのポイントとは?」。そのポイントとは何だろうと、誰もが知りたいところだと思うのですが。残念ながら時間の関係で、活発な議論が途中で終わるかもしれないのですが、皆さん、経験された中で、ここが境だったのではないか、ここがポイントだったのではないかというのを感じられているところがあると思います。それを、この会場に居合わせた皆さんで、情報の共有をさせていただければ、より有益な情報をお持ち帰りになれるのではないかと思います。なるべくたくさんの方のご意見をお聞きしたいので、簡潔に1点、このテーマに関してご意見とかお考えとかを、伺いたいと思います。始めに、コーディネーターから経験で言わせて頂きますと、技術的なものとは別の視点となりますが、EMの効果を出すためのポイントとは、現場を成功に導く秘訣とは、楽しんで事にあたるということではないか、とも感じております。

遠藤:道頓堀川の浄化で非常に効果を上げているとEMだんごというのがあります。身延町というのは、精進料理、ということで、湯葉の生産が盛んなのです。大きな湯葉工場がありまして、そこの湯葉のグチャグチャの残さですね、おからではないのですけれど、その処理に非常に困っておりました。要するに腐敗が早いのですね。それを逆手にとりまして、それをベースにしてダンゴを作り、いわゆる食堂等のグリストラップに投入したところ、あそこのすごい状態の油が分解していくのです。
先ほどの鈴木さんのおっしゃったように、特製ボカシと同じような効果が出ると思うのです。要するにEM活性液のまさに応援団としての役割になります。だからそういうものを総合的に使っていくということが大事だと思います。

司会:鈴木さんの発表の中で特製ボカシというのがありますよね。お聞きしたらいわゆる生ゴミが原料だということだと思うのですが、そのボカシというのはどうしてそういうパワーを持っているかというふうに考えられますか。

鈴木:生ゴミのボカシをうちで作るときには、おからをかなり発酵させておいたものを、遠藤さんのところも湯葉の残さということですけれども、微生物が増えるのに効果的な役割を果してくれるかなという気がします。うちはぬかボカシもかなり密度を高く、おからボカシも密度を高く、活性液もかなりしっかりした活性液を作ってということで、先ほど言いましたようにやはりEMの密度が普通の生ゴミボカシを作る数十倍の密度があるのではないかなというふうに思います。

司会:どのあたりで数十倍すごいというように思われるのでしょうか。

鈴木:そうですね、例えば、うちは生ゴミを餌にして鶏を飼っていますけれども、平飼いで床にふんをしてもらって、鶏ふんを完熟させて堆肥(たいひ)に使うのですけれども、時期によっては多少臭いが出てきてしまったりするときに、その生ゴミの餌に使っているボカシを床にまくのです。そして少しかき混ぜてやると、1時間ぐらいで臭いがパッと消えてしまう状態になります。次の日は甘酸っぱいいい臭いが床からしてきます。

司会:会場の皆さん、今の話を聞いてどう思われますか。いろいろ活動されている方もいらっしゃると思うのですけれども、ご自分の経験から今の話を受けてどう思われますでしょうか。どうぞ、真ん中の方。

質問者4:さっきの浄化槽の悪臭の話を教えてください。

鈴木:臭いを消すだけでしたら、さっき言うように、噴霧するだけで相当消えます。ただ、浄化施設そのものから臭いが消えていくには、やはり一定の期間はかかる。それが、やはり密度とか、あと温度、季節、時期によっても現れてくる時間が違うのではないかなと思います。
 私たちがやった施設では、施設の水の維持管理業者が入っていますので、BODだとかSSだとかそういったものが急激に増えてしまうと、行政が引いてしまう可能性があるものですから、寒いうちから入れようということで、スタートしまして暖かくなって量を徐々に増やしていきました。検査結果を見ながら、維持管理業者、行政と相談をしながら、こういう結果が出たから次はこのくらいに増やしてみようということで徐々に進めました。行政とやる場合にはどうしてもそういうことをやらないと。
 僕の個人的な考え方では、BODとかSSの量で川が汚ないのか、その水が悪いのかということは関係ないと思うのです、実際には。現実にBODがたくさん出ていても、それが流れていって下流で悪い現象が起こるかというと、実は化学的な処理をしているときのBODとかSSというのは、出ていけば確かに汚染源になるのだけれども、EMで処理をして出てくるBODとかSSは、逆に数値が上がっても流れ出ていった先で浄化源になっていく。
 これはたぶん、酸化されたBOD、SS、抗酸化状態のBOD、SSの、その違いであって、行政が基準としているBODとかSSの基準ではやはりEMの世界は測れないのかなというふうに思っています。

質問者5:遠藤さんにお伺いします。先ほど川にEMを投入されるとおっしゃいましたが、保健所でBODとCODの検査等その辺りはどうなっていますか。

遠藤:そうですね。行政と一体になってやっているので、保健所等とも合議をしながらやっていくのですが、当然数値的にはクリアをしていきまして、透視度も毎月検査しています。透視度が30センチだったものが、2カ月ぐらいで50センチまでになったという状況で、浄化槽管理、これは県の課長さん自ら出向いて年1回の検査をやったのですが、非常にきれいになっていますという報告がありました。

司会:いわゆる数字ということですね。この点はひとつの課題なのか、それとも見方の違いなのか、EMのような抗酸化という新しい視点を持った技術で浄化する場合の壁と言いますか、やはり法律をもう一度見直す必要があるのではないかというところです。
 ただ、やはり行政の方は法律に従って事務的にやってしまいますので、そうすると数字が規制値よりも上がったらもう駄目ということになるのですが、これを乗り越えるためには逆に、一緒に現場を見ることです。数字は確かにそうなのだけれども、実際にその水を見てどう思われるのかです。
 それを体感して頂いて、確かにこれは数字も高いし規制値をオーバーしているから駄目だというのであれば、もうそこでおしまいかもしれませんが、そうでなくて、確かに放流先の河川で魚が増えているとか、実際にそこに住んでいらっしゃる方のご意見で、とてもいいと、やらないよりやった方がやはりよかったというような意見があれば、行政としても一緒に住民の方と取り組んでいくというかたちになって、その数字についてどういう見方をしていこうかという道も開けてくるのではないでしょうか。

鈴木:今、少し言いましたけれども、やはり行政の人というのは数値の問題というのを非常に重視するし、彼ら自身がいいと感じても検査が通らなければ、彼らは職務を全うしているということにならないというところもあります。私たちが今回のEM活動を行った中では、要するに、一管理業者の検査結果を見ながら徐々に進めていったということは、許容範囲の中で数値が少々増えても、その限界の中でEMをどんどん増やしていくという方法をとらないと、増えたからといってやめられたらまったく意味がなくなってしまうのです。そこら辺りはやはり維持管理業者も、現場の責任者も、行政の担当者も味方に付けながら、少々時間がかかってもクリアをしていくという方法をとらないと、行政相手の場合にはなかなかうまくいかないと思います。
 もう1つ、私たちの町で、下水をずっとサンプルしている所で、やはりEM散布をしていない川では大腸菌がものすごくたくさん増えている。でも、我々が携わった、下水が流れ込んでいる部分では、大腸菌がほとんど見られなくなるぐらいまで減少してきているというのは、たぶん琉球大学の池の方とまったく同じ状況が起こっていて、むしろBODとかそういったことよりも、大腸菌が出ないことの方が重視されるのではないかなと思います。

司会:本日の事例で、例えば植村さんの発表だと4カ月目で突然劇的に効果が出たとか、遠藤さんの方も2カ月目から、しかも思い切って大量に入れてから効果が現われたとか、そういうかたちで、入れた量に比例して効果が出てくるのではなくて、あるポイント、私たちの言葉では例えば臨界点と言っているのですけれども、その臨界点に達するか、臨界点に必要な量はどれぐらいなのか、というのがポイントです。それまで地道にベースとしてある一定量を入れて、それから、その引き金となるような工夫です。たくさん入れるとか、ループを作るとか、ボカシで酵素を溶出したりとか、抗酸化物質を考えたEMの作り方をするとか、そういった工夫をすることによって、初めて期待していた効果が出てきているので、始めから、入れて3日目に効果が10パーセント出たから、6日目に20パーセント出るかというと、そうではないというのが、今の事例でお分かりになったと思います。
 ですので、行政の方も、EMを使った場合はこういう過程を踏むのだという情報があれば、最初からうまくいかなくても、それは計算どおりだということになるのではないでしょうか。ただ、そういう情報が共有されているのが少ないため、なかなか行政の方でもEMに積極的に取り組めないと言う方がいらっしゃるのかなと思います。
時間が圧しておりますが、議論の一助として、お手元にあるレジュメのEM研究機構が作成した推考について少し説明させて頂きます。



 資料は汚水処理施設を例にとって、EM投入量と効果が出てくるのに必要な時間、これの関係を、過去の事例からピックアップして推考した資料です。



 具体的でないと分かりづらいと思いまして、接触曝気法という浄化槽ではポピュラーな方法をピックアップしました。接触曝気法というのは、いわゆる接触曝気槽という曝気している所の前段に沈殿槽、もしくは嫌気ろ床槽という、曝気していない、汚物をいったん沈殿させたり空気を使わない微生物で分解させるといった槽がついているものです。
 臭気の抑制効果の出現はどうかというのを見ますと、流入汚水の2,000分の1から4,000分の1の活性液を投入すると、流量調整槽というものが付いたタイプでは、だいたい3〜6カ月で臭いの抑制効果が見られ、嫌気ろ床槽というものが付いているタイプでは、その倍の6カ月〜1年かかっていると、そういったデータが得られました。
 汚泥の減量効果について見ていると、投入する方法も少し工夫しまして、上流の方から入れたり、貯留槽の方に追加で入れたりとか、そういった工夫をして1年以降に3割から4割の減少が見られたという事例もありました。
 その他に、EMによる効果を促進する手法としては、はく離汚泥というのが接触曝気槽の後の沈殿槽にたまるのですが、それと処理水を前に戻す、つまり、EMと、EMと一緒に働く菌と、抗酸化物質、生理活性物質、水、その他を含んだものを前に戻して、そこの環境の抗酸化のレベルを上げる工夫をするということです。
 あと、点滴投入だけではなくてバッチ投入もする。EMを点滴でベース的に入れながら、バッチ投入で時々密度を高めて効果の起爆を狙う。同じEM投入でもこういった組合せが効果を促進しているという結果が得られました。



 チェックポイントですが、これはどうやったら基本的な方法よりも効果的になるのか。例えば、EMの投入量が流入量に対して多ければ当然効果的だし、少なければ逆に効果は遅延している。それは実際の事例として出ている。投入方法についても、ただ点滴とかバッチとか1つのやり方に絞るのではなくて、組み合せてやるとより効果的だという結果が得られているということです。
 あと、滞留時間についても、数値について議論はいろいろあると思うのですが、16時間から24時間という数値を基本としますと、当然それより短くなれば効果が遅延するし、長くなれば早くなるという傾向が見られております。
 それから、その他、施設の処理能力に余裕があるとか、酸素を抑制したり、つまり普通に曝気する基準どおりの溶存酸素、DOを守る運転ではなくて、必要最小限の酸素を送ってあげる、そういう運転をしてあげるとか、汚泥の戻す量を増やすとか、つまり、EMの密度を高める工夫をすることがより効果的であると、そういった傾向が見られました。



 EMの効果を出現させるにはということですが、汚水処理施設で見ますと、基本としては、EMの密度を上げて、代謝物、例えば微生物がそこの有機物を分解して作り出したいろいろな物質酵素とか、その他排せつ物があると思うのですが、その中で抗酸化物質と呼ばれているものや、生理活性物質とみられるものについて、それを蓄積する環境を構築する、それができないといけないのではないか、というように推考されます。
 また、効果の方向性の面では、いっぺんに放流先で環境改善がされたというようになるわけではなくて、やはり順番があるということです。図の下の方から、EMの密度を高めて、代謝物を蓄積させて、それから、嫌気環境、酸素のない環境で、腐敗ではなくて有用発酵を進めたり、そこで分解してガス化しやすくなったものを好気環境化でガス化することによって汚泥が減ったり、臭いも腐敗が抑制されているので落ちる。
 それに伴って、もう少し頑張ると、処理水の抗酸化物質とか生理活性物質の量が増える。つまり、放流水に流れるこれらの物質、生物にとって決してマイナスにはならない、環境を蘇生する方の性質を持つものが増えることによって初めて放流先の環境改善につながる。効果の出現にはそういった方向性が考えられます。



 重要なポイントとして挙げらるのは、投入量と滞留時間です。この2つの組み合わせがどうか。投入量と滞留時間がその場に合致すれば効果は早く出る傾向があるし、少なければ遅れる傾向が見られました。
 それでは、十分な投入量を得るのが難しいとか、滞留時間を長くできない所ではどうするのか。例えば活性汚泥方式とか、まさに一番難しいところなのですが、滞留時間が短くて規模がものすごく大きいところでもEMの効果を出すにはどうすれば良いのか。これに対しては、維持管理方法を工夫することで補える。先ほどの酸素量をぎりぎりまで落とすとか、そういった工夫を、単独ではなくて実際に運転している維持管理会社の人に理解していただいて、行政の人も一緒に現場に入って頂いて、同じ認識の下で、同じ目的の下にいろいろ工夫を重ねていく、これがEMの効果を出現させるための1つのポイントだと思います。



 技術的な内容で分かりづらい点もあったかと思いますので、別の見方として5つのキーワードでくくってみます。EM効果を早期に出現させるキーワードというのは、1番、@良い活性液を作る、A必要相当量の活性液を安価に作成して投入する、B投入個所を検討する、Cループを作り接触滞留時間の延長に努める、D維持管理業者などの協力を得て、その現場に合った創意工夫をする、こういったことが挙げられます。



 意見 皆さんまず一番お金のことが心配と思います。EMはお金がかかりそうです。最初はかかりますが、3年で取り返せます。EMは、環境に良いし、まず自分が健康になります。私は病弱ですが健康になりました。また、失敗こそ成功のもとという言葉はEMのためにあるのではないかと思います。行政をまず動かすこと、大変ですけれども、お互いがんばっていきたいと思います。

司会:それではまとめに入らせていただきたいと思います。



 本日のディスカッションの結果から、汚水処理でEMの効果を出すためのポイントを3つにまとめてみましょう。
 1つ目は「EMの密度を高める」。鈴木さんが言われていたことではないかと私は思いました。
 あと、言い方がいろいろあると思うのですが、起爆を起こすとか、臨界点に到達させるとか。つまり、「効果が出るまで続ける」ということです。比例的に効果が出るわけではないので、やはり臨界点がくるところまで、我慢するのではなくて工夫するということがあるのではないかと思います。
 3つ目は行政との協力です。協力というか協働といいますか。行政と住民を分けるのではなくて、一緒にやっていく。つまり、行政の方にどんどん現場に出てきてもらって、会議だけで終わらせない、一緒にということです。行政の方も実際に自分が住んでいるところはやはり大事ですから、一緒にやろうという気になって前向きになって、補助金とか委託料が出たり、そういったかたちで続ける環境ができるのではないか。つまり、「行政との協働」です。
 この3つではないかと思います。



 では、最後にEMの本質は生理活性物質や抗酸化物質の産生能力にあって、これが環境再生につながります。汚水処理施設へEMを投入するということは、環境浄化活動といえます。環境の世紀といわれます中、汚水処理を行政だけの仕事のエリアととらえず、NPOとか住民ボランティアの方が参加する時代になったと言えるのではないでしょうか。これが、EM研究機構の推考の結果です。
 以上で、本日の環境分科会を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。


 
コーディネーター
  水野 照久(みずの てるひさ) EM研究機構
 プロフィール:

  昭和46年4月 三重県桑名市生まれ
  平成6年   日本水工設計(株)(上下水道設計コンサルタント)に入社し、下水処理場のプラント機械部門の計画:設計に従事
  平成13年  EM研究機構に入社し現在に至る
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