EMフェスタ2004
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EMフェスタ2004 専門分科会
EMによる千原池および防火用水池の浄化について
植村 加奈子
(ウエムラ カナコ) 琉球大学農学研究科大学院
プロフィール:
1980年 三重県四日市生まれ
2002年3月 名古屋大学理学部卒業
2003年4月 琉球大学大学院農学研究科入学
現在 琉球大学大学院農学研究科在学中
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植村:
よろしくお願いします。私の方からは、EMによる池の浄化について発表したいと思います。
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千原池(せんばるいけ)という川が、沖縄県琉球大学(国立大学法人琉球大学)の中心にありまして、この池は、上流から川が流れ込み、オーバーフローした水が下流の河川に入っていく構造の、一種の小型のダムになっています。大学では、この水をろ過してトイレなどの水に利用しています。しかし、上流は下水道が整備されていない地区なので、生活廃水や汚水などが毎日流入してくる状況になっています。そのため池は、富栄養化が進んで、植物プランクトンが大量に繁殖して緑色になっています。また、その有機物が腐敗して、池の底にはヘドロがたまり、悪臭がひどい状態になっていました。そこで、これを改善するために、3年前からEM活性液による浄化活動を始めました。投入量は、週に2トンから6トン程度。現在までにトータルで390トン投入しています。
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EM活性液の培養ですが、この上流の地区にあるお宅の敷地をお借りして、このように2トンタンクで培養して、家のすぐ横にある排水溝に流していました。この地区は、住宅やアパートなどがたくさんあるのですが、そこの各家の浄化槽に、このように無料で私たちがお配りして、活性液を入れてもらいました。その結果、「排水溝からの悪臭が消えて、うれしい。」という声をいただいています。
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汚水が集まってくる大きな排水溝の出口には白い、汚水特有の水カビが生えていまして、悪臭がとてもひどい状態です。
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その先なのですが、琉大構内に入ってくると、下が土の普通の小川になります。
これは活性液を流したときの様子です。このように川全体が茶色くなりますが、PHは7.2程度で、魚も死ぬことはないので特に問題はないです。
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こちらは、その小川の途中にある、深さが1メートルほどの小さな池です。
ここにEM投入前は、植物プランクトンが繁殖していて緑色に濁っていて、表面には白い微生物膜が張っていました。投入後には、その膜も消えて透視度が上がって、悪臭がかなり消えました。
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これは、千原池の上流の部分に位置します。EM投入前、3年前はこのように小川から二手に分かれて流入していたのですが、ここの部分に大量にヘドロが堆積していました。EM投入を始めてから、台風による土砂崩れが起こりまして、ひとつの水路が消えてしまいました。EMが流れる方は、ヘドロがすごく減りました。砂の上を歩いて沈まない、(ヘドロがあるとボコボコ沈むのですけれども、)それがなくなるぐらいきれいになりましたが、もう一方は、淀んでしまっているので、大変浄化が遅れていました。そこで2年たった後で、ここに直接EM活性液を投入。また、EMに漬けて3日間寝かせた米ぬかも投入することにしました。
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その部分の拡大です。このように直接投入する前というのは、浮草が大変繁茂していて、水面には微生物膜が張っていたのですが、3カ月後には、富栄養化がなくなったということで、浮草が無くなって透視度も上がりました。底に堆積しているヘドロも、かなり分解が進みました。
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これは、池の最終地点の、2003の8月と10月の様子です。コンクリートの階段が、池の中へと続いている場所なのですが、夏でもこのように透視度で30センチくらい。秋になると50センチくらい見えるようになります。
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大学のトイレは千原池の水をろ過して、中水利用しています。清掃員の方にお話しを伺いました。その結果は、男子トイレの尿石とか、汚れの落ちが良くなって、洗剤の使用量が少量で済むようになったそうです。以前は悪臭がひどくて、1日中、換気扇を回していないと入れなかったが、現在ではそういう必要もなく、臭いが消えたということです。頻繁にトイレの水弁の部分で目詰まりを起こしていたのですが、それが現在は無くなったという変化を感じているそうです。
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こちら、オーバーフローした直後の下流河川の様子です。EM投入前は、このようにたくさんの藻が張っていて、それが下に流れていき、藻が浮いている状態。あと、コンクリートのところに付着藻類が繁殖していたのですが、投入後はそのような藻類の繁殖がなくなり、大変きれいになりました。この部分には、カワニナという貝がたくさん繁殖するようになりました。このカワニナがいるということは、つまり、ホタルも住めるようなきれいな川であるといえます。
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さらに、400メートルほどいった下流は、川底が土とか砂に変わり、普通の小川になります。ここには、カニとか、カメ、エビなど、たくさんの生物が生息しています。透視度は、1メートル以上あって、大腸菌もほとんど検出されなくなっています。
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こちらは、その大学を出た下流河川の様子を紹介します。この地点では、以前は、このライン(現在の水面より50cm以上)までヘドロがあったと考えられています。現在の川底は、50センチも下がっていて、その分のヘドロが、消失or(分解)したといえます。
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もう少し下流にいったところで、手前側が千原池からの下流河川で、別の川との合流地点です。この川というのは、やはり生活廃水が入り込んでいて悪臭がひどい川なのですが、このような水質の悪い水が入ってきても、この下流の部分ではちゃんと緑藻が繁茂して、緑藻が繁茂することで川の浄化が促進されているという、いい状態を保っているということが分かります。
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そういう下流河川沿いに住んでいらっしゃる住民の方に川の様子の変化についてお話しを伺ったところ、「ヘドロが減少して、透視度が良くなった」「悪臭の発生が消えて、蚊も発生しなくなった」「魚やカメが増えた」「サギなどの野鳥の飛来が頻繁になった」また、「ホタルも見られるようになった」などの意見がありました。
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このようにEMの投入によって、千原池だけではなくて、上流の地区や下流の河川においても、悪臭が消えたり、ヘドロが無くなったり、水質が向上するなどの良い結果が得られました。
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ここで、水質の浄化の評価について考えてみたいと思いますが、その評価基準というのは、BODやTOCといった科学的な測定の数値が使われています。でも、これらは、サンプルを採る時間帯や場所などで異なりますし、また、池の底に堆積しているヘドロが残っていたら、そこからの有機物が供給される限り、こういう数値というのは下がりません。しかし、EMの効果がないのではなくて、その間にもヘドロはちゃんと減少したり、魚や鳥やたくさんの生き物が増えるといった生態系の回復が実際に起こっていて、池や川でこのような変化に気付いている人たちがちゃんといるわけです。この様なことなので、現場の本当の姿を知るためには、このような数値だけに頼らずに、数値で表せないものを重視した総合的な評価をすることが大切だといえます。
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次に、汚染の流入がない閉鎖環境では、EMで浄化するとどうなるかというのを紹介します。琉球大学の農学部にあるこの防火用水池に、昨年の9月から12月まで、約3カ月半、EM活性液を池の水量の1000分の1、60リットルを、毎週、点滴投入しました。また、この池は、全面がコンクリートで囲まれていますので、浄化を促進する生物が定着できる、すみかを作るという工夫も施しました。
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これは、EM投入前の様子です。20年以上、1度も掃除されたことがなく、一面緑色で、透視度は5センチ以下で大変汚い状態でした。
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しかし、EM投入後4カ月目に、急激に透視度が上がりまして、底がはっきりと見えるようになりました。糖蜜の色で茶色く見えるのですが、ビーカーにくんでみると、このようにきれいになっていることが分かります。この時点でEMの投入を中止しまして、その後、池がどう変化するか観察しました。
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これは投入をやめて2カ月後の、2004年3月の様子です。底に沈殿している藻類が、このようにくっつき合って、シート状になっているのですが、部分的にめくれあがっている様子です。その結果セメントの底が所々見えるような感じになりました。これが拡大したその藻の様子ですが、綿のような感じで、手で触ると簡単に崩れてパラパラと細かくなります。
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5月になると、その沈殿した藻の浮き上がりが活発になって、細かく藻が浮き上がってきて、水が濁り始めました。カエルの卵が見られるなど、池の中の生き物も増えました。この枠の中には、緑色の浮草が大変繁殖している様子が分かります。この点を覚えておいてください。
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6月下旬には、大規模な藻の浮き上がりが見られました。これは、厚さ10センチ以上の大きな固まりで浮き上がってきました。そのため、(全体図はこんな感じで、)水をくんでみると白濁して見えます。
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これは7月上旬の様子です。浮き上がった藻が、分解したり、また沈殿したりすると、このように少し透視度がまた上がってきます。水中には、細かく分かれた藻類がたくさん浮遊している状態です。池の沈殿物を拾ってみると、藻のほかは、枯れ葉とか砂利でした。また、このころになると、浮草の色が黄色くなってきていることが分かります。これは養分となる水中の窒素が減少してきたということを示しています。
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7月下旬には、その浮草の量がだいぶ減ってきました。拡大してみると、このように分解しかけています。以前の葉っぱの大きさよりも、ずいぶん小さくなっていることが分かります。
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8月の様子ですが、藻が、沈んだり浮いたりということが繰り返し起こりました。浮草というのは、もうこの頃になるとだいぶ減少してきています。
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10月になると、水温が低下するということもあって、魚の姿がはっきり見えるぐらい透視度が上がりました。浮草も、完全に無くなりました。
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このような様子変化を、透視度とCOD、(有機物の量を表すような測定数値なのですが、)この観点から見てみますと、EMの投入前というのは、CODは100以上の高い値で、透視度も5センチ以下の低い状態でした。ここにEMを投入すると、CODは更に上昇して、透視度は3カ月間そんなにも変わらなかったのですが、4カ月後、急にCODが、ガンと下がって、それと連動して透視度が50センチ以上に上がりました。この状態というのは、水中にいた植物プランクトンなどの有機物が分解されたということですが、まだ、池の底には沈殿している藻類が残っていましたので、これが春になって水温の上昇とともに浮き沈みを繰り返したため、夏にCODが上下しました。透視度も20〜30センチに下がっていました。しかし注目すべき点は、真夏でも以前のように水が真緑の色になることがなかったということです。
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まとめますと、このように閉鎖環境でのEMによる浄化というのは、新たな汚染が入ってこないという条件であって、EMによって1回、浄化というのを経験した場合、その場所には、浄化を促進する生物、(バクテリアや小動物など)が増えているので、これによってEMを入れなくても、ある程度の期間、自浄作用が安定的に続くということが分かりました。どれくらい続くかというのは、今後も観察していく予定です。以上です。ご清聴ありがとうございました。
司会:
はい、どうも植村さん、ありがとうございました。とても写真が多くて、変化が見られて、皆さんいかがだったでしょうか。4カ月目、沖縄でいう1月ですと、本土の方でいえば秋ぐらいですかね。そのほかの期間は、もうずっと夏という状態なのですが、水温が下がってきて、腐敗菌の活動が落ち着いて、その他の分解する方の菌が相対的に動いてきたということもあるかと私は思うのですが、ただ、いきなり透視度が上がりましたよね。ああいう形でEMというのは、入れれば比例的に効果が出るというものではないということもわかりました。しかも、1年後になって水がどうだったかというと、最初10月から始まって緑色の状態が、次の年の8月になると、決して水道水のような色ではないのですが、魚が見えるような、見ていて生物が住めるような感じになっているということでした。この辺りが、いわゆる池を浄化するという薬剤などを使った方法とは違ったアプローチである、ということが見られたのではないかなと思います。それでは、同じ質問をさせていただきます。活性液1リットル当たりいくらぐらいかかっていますか?
植村:
お二人に比べて大変安くて、資材としては、EMセラミックスのパウダーとか、にがりとか、米ぬかをちょっと入れて、ほとんどの値段は、EM原液、1号原液と、糖蜜なのですが、コストは、1リットル当たり23円程度です。また、プラスアルファで、光合成細菌のEM3号も投入すると浄化が促進されるということで、これは、研究室で単独培養して、活性液と一緒に流しています。
司会:
はい、ありがとうございます。それでは、2つの事例があったのですが、植村さんが期待していた効果、千原池や、防火用水池の水がきれいになったその効果が出てきたその境というのは、今から考えると何だと思われますか。
植村:
千原池の方ですと、毎日、新たに汚水が流入してくるという悪条件なのですが、プロジェクトを始めた最初の3カ月間は、週5トン流していたので、2カ月ぐらいで、上流の小川の表面の膜が消えたり、臭いが消えたりという部分は早目に現れてきました。貯水量が、池全体で6万3000トンということで、週2トンから6トン入れても、1万や1万5000分の1等に希釈されてしまうので、下流の方ではヘドロがまだ全然分解しきっていないので、そういう意味では、もう少し入れようかなと思います。防火用水池の方だと1000分の1量を、毎週、毎週コンスタントに入れていてもそんなに変わらなくて、一ヶ月経つと「下にごみがたまっていたんだ」ということが分かるぐらいは見えてきました。
司会:
はい、どうもありがとうございました。それでは、植村さんの発表を聞きまして、簡潔にちょっと1点聞きたいという方がいらっしゃいますででしょうか。
質問者3:
光合成細菌の投入もされておられますね。どれぐらいの量を入れたのか。それともう1点、にがりも活用されていますね、それがどういう効果を期待しているのかということと、量はどのくらい投入したのか。お願いいたします。
植村:
はい。光合成細菌の方なのですが、最初はEMの2トンタンクでの培養のときに一緒に入れて、0.3%ぐらい混入して一緒に培養していましたが。2004年は少しやり方を変えて単独に培養しそれを一緒に流していました。にがりなのですけれども、もう少しミネラルを入れることによって、微生物がよりいい状態で増えるということで、今は実験段階で5000分の1程度にがりを溶かして入れて培養しています。