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EMフェスタ2004 専門分科会
タイ国における鳥インフルエンザの発生状況とEMの効果について
塩谷 圭子(シオヤ ケイコ) EM研究機構

プロフィール:
1958年生まれ
1984年  岩手大学農学部獣医学科修士課程卒
2002年  EM研究機構入社
      岩手大学農学部獣医学科研究生として牛の免疫機能に対するEMの効果を研究
2004年  EM研究機構東京事務所勤務、現在に至る


塩谷:初めまして。EM研究機構の塩谷と申します。宜しくお願い致します。



 まず鳥インフルエンザというのはどういうものかということで、説明させていただきます。鳥インフルエンザは、A型のインフルエンザウィルスの感染によって起こる家禽の病気です。
 この鳥インフルエンザウィルスの中に、非常に強い病原性を持ったものがあり、それを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼んでいます。ちょっと聞きなれない言葉ですが、そう呼んでいます。この「高病原性鳥インフルエンザ」と「鳥インフルエンザ」が、日本の「家畜伝染病予防法」の中では、区分されていますので、混同しないようにお願い致します。



 高病原性鳥インフルエンザとはどういう病気かといいますと、鶏を始めとする家禽に感染します。突然の死亡、発熱、昏睡などの全身性の症状が起こり、致死率が100%と非常に高く、また伝播力も非常に高い病気です。そのために、OIEすなわち、「国際獣疫事務局」では、最も感染力の高い「リストA」という病気に位置づけられています。これから「鳥インフルエンザ」という言葉を使いますけれど、それは、このリストAの中の「高病原性鳥インフルエンザ」と考えて下さい。



 次に、ヒトインフルエンザとの関係を説明します。本来、鳥類には鳥インフルエンザ、ヒトにはヒトインフルエンザのウィルスのみが感染します。しかし、近年、騒がれている鳥インフルエンザの中に、ヒトに直接感染する高病原性の鳥インフルエンザが現れました。感染例は少ないですが、死亡率がだいたい30%から70%に上がっていて、年々毒性が強力に変異してきました。過去において、アジア風邪とか香港風邪とかソ連風邪などというインフルエンザが流行って、人間を襲いましたが、そのインフルエンザは、全て鳥インフルエンザが先にあり、それが豚を介して変異したものが人間に流行したと考えられています。今流行している鳥インフルエンザがヒトからヒトへ伝播するタイプに変異すると、世界的に大流行の恐れがあります。



 皆さん、ご存知だと思いますけれど、日本における発生状況です。今年の1月に山口県で79年ぶりに発生がありました。その後、大分、京都と計4件の発生がありましたが、発生のあった農場の全部の鶏を処分することによって、日本では一応終息宣言をしております。



 タイにおいてはどうだったかということですが、昨年の末から鶏の大量死が噂されていたのですけれど、今年の1月23日、スパンブリ県の採卵鶏の農家で初めて報告されました。日本と同じ頃です。その時に、同時にタイではヒトの患者をWHOに報告しています。その後、タイでは終息することができず、7月からまた大規模な流行が起こっています。これは、日本でもあまり報道されていませんけれども、1月の流行よりもこの夏からの流行の方がすごい規模で起こっています。



 その流行の規模は、どのくらいかと申しますと、これはOIEというところの件数のデータを自分でまとめたものです。今年の7月からだんだん増えていきました。最後は10月となっていますけれども、これは10月22日のデータで、現在まだ更に増えています。



 どのくらい増えているかというと、タイにも日本と同じように県がありまして、発生のあった県をピンク色で塗りつぶしてみました。そうしたら、殆どの地域で起こっていることがわかりました。76県ある中で、57県。現在は、描いた時よりも増えていて、殆どの県で流行が起こっていると考えられます。



 このように感染が拡大している中でも、EM使用農場での鳥インフルエンザの発生は確認されておりません。今回そのEM使用農場の視察をしてきましたので、ご報告したいと思います。最初にバンコク、サラブリ県にある自然農法センターを視察しました。このサラブリ県でどのくらい鳥インフルエンザの発生が起こっているかというと、はっきりした農場数がデータ的にはわからないですけれど、地域的にいえば19の地域で起こっています。



 これは自然農法センターの中です。



 これは事務所の建物です。



 これは、タイで製造されて販売されているEMです。日本のEMとちょっと雰囲気が違いますが、1リットルで68バーツ、約200円ぐらいだそうです。タイでは、活性液を作らないでこの原液のまま使うことが多いそうです。



 これは自然農法センターの中のブロイラーです。視察した時は1,500羽、飼育されていました。飲み水の中に、500倍に希釈したさきほどのEMが入っていまして、餌の中には1%ボカシが添加されていました。



 鶏はこのようにとても元気でした。



 これは産卵鶏です。産卵鶏はケージ飼いでした。視察時には1,600羽飼育されていました。飲み水の中に、先ほどと同じように500倍に希釈したEMと、餌の方にはボカシを1%添加しているそうです。



 こちらも同じように、鶏はとても元気でした。



 EMを100倍に希釈したものを朝晩2回毎日散布しているそうです。



 散布風景です。



 産卵鶏の鶏舎の中にもこうやって撒いていました。



 この農場は、今年の3月9日、チャンネル3のニュースの中で取り上げられました。このニュースの内容がちょっと示せなかったのですけれど、これは、その取材を受けた時の様子です。このニュースの内容は、鳥インフルエンザが流行している中でも、全然影響を受けていない農場があるということで、農場のカニットさんがEMの使用方法をニュースの中で説明しています。



 もう1つ農場を視察してきました。スパンブリ県というところにあるパイチットさんの農場です。スパンブリ県というのは、46地域、10月だけでも27地域の報告があって、発生が止まらない地域です。



 パイチットさんの農場は、今年の1月23日にタイで最初に発生があった地域にありました。この周辺の農家はその時から壊滅的に鳥インフルエンザにかかり、周りに鶏を飼っているところはなくなったそうです。これはパイチットさんの農場で、こちらが鶏舎です。



 そのような状況の中でも、パイチットさんの農場では鶏はとても元気でした。



 飼養方法は、ちょっと日本とは違いまして、放牧方式で、鶏を外に自然に放して飼っていました。この人がパイチットさんです。



 鶏は全部で1,000羽飼育しています。



 この飲み水の中にEMを入れています。
 視察した時の鶏は、1月に飼っていた鶏は廃鶏にしてまして、ちょうど入れ替えたばっかりの鶏だとおっしゃっていました。14週令で卵を産んでいない状況なので、まだボカシは与えていなかったそうです。



 この農場でもきちんとEMを散布していまして、こういう簡単な噴霧器ですけれど、小まめに散布しているそうです。



 これも散布風景です。



 散布しています。






 奥の方がパイチットさんで、手前の方が自然農法センターのカニットさんです。2人のお話をうかがいましたら、「EMを使えば鳥インフルエンザは怖くない、絶対起こらない」とおっしゃっていました。



 スパンブリ県に行った時に、池の上にあるこういう建物をいっぱい見たのですけれど、これはブロイラーを飼っている鶏舎だそうです。殆どが廃業していまして、そのうちの1つにちょっと強引に入って視察してきました。



 中はこのようになっていまして、もう鶏はいませんでした。ここは大手企業の契約農家だったのですが、農家の人が言うには、鳥インフルエンザが起きた時から、餌も雛も入って来なくて、経営できなくて困っているということでした。



 ちょっと暗いですが、この鶏舎というのは、池の上にありまして、池の下に糞が落ちるようになっています。下に魚を飼っていまして、糞を魚が食べるというちょっと日本とは違う珍しい方式でした。



 今回視察した2つの農場のEMの使用方法はとても簡単で、EMを飲ませる、食べさせる、散布するということでした。特に、EMの散布は気候の違いがあるのかもしれませんけれど、小まめに行っているようでした。



 鳥インフルエンザを、どういう方法、メカニズムで予防するのかについてご説明したいと思います。
 EMを飲ませる食べさせるということは、鶏の免疫力の向上に繋がります。その結果病気にかかりにくくさせます。EMを散布するということは、鶏舎内の衛生環境を向上させることになり、鶏舎内の環境中に病原微生物が存在しなくなります。また、散布することによって衛生環境を向上させることは、鶏のストレスを軽減させますので、鶏の免疫力を向上させます。この2つの効果から、EMを使用すると、鳥インフルエンザを含む他のいろいろな感染症の予防に繋がると考えられます。EMの使用は、流行の拡大を防いで、農家の経営を安定させるだけではなくて、鳥インフルエンザからヒトインフルエンザの感染変異の恐れがあるなかで、鳥インフルエンザを予防して、ヒトへの感染の拡大も予防できるという意味でも有益だと思います。



 9月27日に、OIEとFAOの両方で、「近未来に鳥インフルエンザは根絶されないだろう」と発表しました。では、どうしたらいいかという対策ですが、一般的に消毒が奨励されています。しかし、京都の第4例目の農家の人は、「怖いから徹底的に消毒していたにも関わらず発生した」とおっしゃっていました。それで、「消毒による予防が100%有効なのか」という問題が問われます。
 次に、ワクチンによる予防があります。これは詳しいことは省きますが、賛否両論あって、未だに使う方向には進んでいないようです。
 そこで、考えられるのがEMによる予防だと思います。所詮人間が、病原微生物を征服する、根絶するということは考えられないことだと思います。ですから、病原微生物を殺すということを考えるよりも、病原微生物がいても、発症しなければいいわけなので、病原微生物が増殖できない体や環境、そういうことを考えていくべきだと思います。そのような環境を作る方法としてEMの使用があり、使用した結果が予防に繋がります。そういう意味で、これからEMによって鳥インフルエンザも予防できると考えています。以上です。
 (拍手)

司会者:ありがとうございました。鳥インフルエンザは、人にも感染する非常に深刻な問題です。EMによる対策は、発表の中では、別に鳥インフルエンザだからこういう対策をしているというわけではなくて、一般的に、日本でも畜産で行われているような対策をしている。それが予防にも繋がっているということでした。もう1度確認の意味も込めまして、今、日本では畜産におけるEMの使われ方と、飲ませ方、食べさせ方、散布のし方ということで予防の方法がありましたけども、だいたい何倍ぐらいで、どのくらいの間隔でやっている、あるいはやった方がいいとお勧めがありましたら、お知らせ下さい。

塩谷:まず飲み水ですが、100倍から500倍に薄まるような形で飲ませてみて下さい。それから散布ですけど、100倍に希釈した活性液をだいたい週1回ぐらい散布していただければいいと思います。それから、あとボカシをだいたい餌の1%添加ということがいいのではないかなと思います。

司会者:タイの例を見ると、散布はできる限り多ければ多いほどいいというふうに考えていいでしょうか?

塩谷:そうですね。タイの場合は、乾季と雨季があって、乾季の時は一生懸命撒いていたみたいです。あれだけ撒くということは、やっぱりすごい予防につながるんだということを実感しました。散布もすごく重要で、できる限りやった方がいいと思います。

司会者:今の発表に対して質問がもしございましたら、お2人ぐらいだけ受けたいと思います。鳥インフルエンザに対する対策について、何かご質問ございますでしょうか?

 質問者C:私は、ブロイラーを年間に30万羽ぐらい出荷しておる専門の養鶏家です。法律で殺菌剤は必ず撒かなあかんといわれるので、私もずっとおっしゃるような方法でブロイラーにEMを使っておるんです。今年2月に比嘉先生が発表をされまして、EMを一生懸命使っておりますけれども、家畜保健所はそんなこと全く信用せんと、「法律で殺菌剤を散布しなければならない」と言われるので、非常にそこらあたりにジレンマがあるわけなんです。殺菌剤もやっぱり法律上撒かないかんということになれば撒かないかんのですけれども、それによる影響なんかはどうなんでしょうか?

塩谷:1つに、法律によって撒かなきゃいけないというよりも、あれは、家畜保健衛生所の「指導」なので、考え方によって撒かなくても大丈夫だと思います(笑)。
 でも、さっきの発表のなかでもおっしゃっていたのですけれど、腐敗型に変わってるところに撒いても、効果はすごく薄いと思うんですよね。なかなか効果は出ないと思います。それで、効果はどんなところから、というと、やっぱり消毒というよりも清掃の方をきちんとさせて、その上でEMを撒いた方が効果があると考えてます。

質問者C:ありがとうございました。

司会者:もうお一方、はい。

質問者D:私、開業医でございます。今のお話の中に、鳥インフルエンザから豚に移行して、豚から人間にというお話でしたが、そうしますと、鳥インフルエンが、結局ヒトインフルエンザということになるわけですか?

塩谷:何故かと言うと、豚は、鳥インフルエンザもヒトインフルエンザも両方かかります。鳥は鳥しかかからない。ヒトはヒトしかかからない。ですから、鳥インフルエンザにかかる豚が両方にかかった時に、ウィルスが変異する可能性がすごく高くて、今まではそういう経路、鳥がいて、豚がいて、ヒトに変わっていったのではないかという説があります。今回は、逆に鳥から豚を介さずに、特に、H5N1型が直接人間にうつっていますので、その直接うつった人から別の人に感染するタイプに変異した時がすごく恐ろしいということがいわれています。

質問者D:そうしますと、鳥インフルエンザは直接ヒトインフルエンザというわけではないですね?

塩谷:はい。そうですね。

質問者D:鳥インフルエンザから人間のヒトインフルエンザに移行する割合というのは、どんなもんですか?

塩谷:直接ですか?豚を介してですか?

質問者D:直接の場合も、豚を介した場合もです。

塩谷:ちょっと割合というのはわからないのですけれど、過去のヒトインフルエンザが大流行したのは、全部元は鳥から起きていると言われています。
 今回も割合というのはわからないのですが、かなり高いのではないかなという気がします。

質問者D:そうしますと、鳥インフルエンザの流行の状態がヒトインフルエンザの流行の予測に繋がることもあり得るわけですね?

塩谷:その予測はだいたい豚で行っています。豚にうつる時が1番怖いのですけれども、今回はそういうこともありますので、WHOではかなり警戒しているようです。

質問者D:ヒトへもあり得る。

塩谷:あり得ますね。はい。

 発表者追記:鳥インフルエンザウィルスは、ヒトでは増殖できないため直接ヒトに感染することはないと考えられていましたが、今回流行している鳥インフルエンザでは、初めてトリからヒトへ感染しました。いずれも感染鶏に濃密に接触したヒトが感染しています。タイでは、17名が感染しこのうち12名が死亡しています(10/25現在)。鳥インフルエンザが直接ヒトに感染したことから、今後鳥インフルエンザの流行が続く場合、ヒトからヒトへ感染するタイプに変異する恐れがあり、その場合ヒトの間で爆発的な流行の恐れがありますので、警戒が必要です。

質問者:どうもありがとうございました。

司会者:どうもありがとうございました。今年のEM農法分科会、情報として、例えばEM石鹸。これは、1,000倍ぐらいに希釈して、展着剤、あるいは、一時的に出てしまったものの殺虫剤として有効である。あるいは今まで薄めて使うというのが当たり前のように言われていました活性液。これを株元に薄めずにそのまま使うことで、樹勢の回復が図られる。それから、有機物。生ゴミにしても、全部必ずボカシと一緒にしなければいけないと、やり方を限定せずに、生のままでも土に還していくというような方法、新しい方法がたくさん出てきております。ですから、倍率などに関しましてはぜひ皆さん、育てていらっしゃる植物、ご自分の圃場でこういう報告を参考にしていただいて、何倍と言われたから何倍で撒いて効果がなかったということではなくて、何回もかける、あるいは濃くかける、かけ方を工夫してみると、そういう時に参考にしていただければと思います。
 それから、畜産の話で、予防効果があるという報告もありましたけれども、農業全般を通して、基本となる活性液ですとか、ボカシ、こういったものの品質によって成果が左右される場合も非常に多いです。ですから、もう1度その基本の部分もしっかりと確認していただけるいい機会にしていただければと思います。以上で分科会EM農法を終わらせていただきます。どうもパネリストの方々、ありがとうございました。


 
コーディネーター
  西渕 泰(にしぶち やすし) EM研究機構
 プロフィール:

  昭和52年11月18日生まれ。宮城県出身。琉球大学大学院農学研究科を終了。
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