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EMフェスタ2004 専門分科会
EMグラストーンのマルチ処理に関する研究
西村 和晃(ニシムラ カズアキ) 琉球大学大学院農学研究科

プロフィール:
1980年   兵庫県宝塚市生まれ
2003年3月 琉球大学農学部卒業
2003年4月 琉球大学大学院農学研究科入学
2004年4月 沖縄県立浦添工業高等学校(生活園芸)非常勤講師
現在    琉球大学大学院農学研究科在学中


西村:では、「EMグラストーンの農業利用に関する研究」について、発表させていただきます。



 私ども、琉球大学の研究室では、廃ガラスを資源として作られたEMグラストーンの農業利用の可能性を検討することを目的として、今回実験を行いました。そこでまず、EMグラストーンについてご説明させていただきます。



 EMグラストーンは、廃ガラス瓶をリサイクルして作られた、軽石のような多孔質の資材で、EMXのセラミックスなども含まれています。そして、生物の親和性に優れている資材の特徴から、主に水質浄化の資材として、活用が期待されています。今回の実験では、そうした生物との親和性に優れているという、この資材の特徴を生かし、マルチング資材として活用した場合の効果について調査しました。



 方法として、EMグラストーンを厚さ約2、3センチになるようにマルチ処理を行い、マルチな施肥区、敷草マルチ処理区を対象区として、キュウリ、トマト、ナス、オクラ、チンゲン菜の栽培を行いました。



 これがマルチの様子です。このように、土が見えなくなるように、すみずみまで敷き詰めました。



 まずはキュウリの栽培から説明させていただきます。



 これは初期成育の様子です。
 EMグラストーン区の特徴は、主に、節間が短くなるということと、葉っぱの葉面積が小さくなるので、マルチなし区、敷草区は下葉の方ですとか側枝が隠れるんですけれども、EMグラストーン区は非常に受光体制の良い側枝となりました。また、EMグラストーン区はまず葉色が濃く、葉が厚くなり、とても引き締まった生育をしました。



 これは収穫前半の様子です。EMグラストーン区は、摘心時期が遅かったので、初期の収量はすごく緩やかなものでした。



 しかし、途中、マルチなしの処理区や、敷草区は、べと病やうどん粉病などの病害が発生しました。



 しばらく経つとその差は顕著なものとなりました。実際この圃場で、ハウス内の湿度に差があるように体感しましたので、それについて調査してみました。



 すると、EMグラストーン区では、湿度が低くなっていました。マルチなしと比べると10%ぐらいの差です。これは、EMグラストーンが非常に吸水性の高い資材であるため、灌水した水が蒸発して、ハウス内の湿度が上昇していくというのを防いだからと考えられます。また、このべと病は、高湿度の条件下で空気感染するので、湿度の低いEMグラストーン区の環境では蔓延できなかったから、こういう結果になったものと考えられます。



 主に、この病害抑制に伴ない、EMグラストーン区は、後半でも収量を維持し、



 結果的に、他の処理区よりも高い収量となりました。



 品質について見てみましても、糖度が若干高めになり、品質改善効果もありました。



 そして次に、これは栽培終了時の処理ですけれども、このように細かく刻んで、表面に、施用するような形でやりました。すると、3日後にはこのように茶変して、



 拡大してみると、このように速やかに分解が行われていることがわかります。これはグラストーンの下に、ミミズやワラジムシやヤスデなどがたくさんいまして、こういった土壌生物が、残渣の分解を促進しているものと考えられます。このEMグラストーンの場合は、こうした土壌微生物がたくさん確認されたので、土壌微生物との親和性が非常に高い資材であるということがわかりました。



 次はトマトの栽培について、説明します。



 これは、定植直後の様子です。今回用いたこのEMグラストーンは、アルカリ性の資材なんですね。それに加えて土壌がちょっと過湿気味であったということ、さらにこのトマトを栽培していた時期が、7月から8月にかけての真夏であったということもあり、若干障害が出ました。



 これに対して、ちょっとわかりにくいかもしれないんですけど、実はここに、@ピップエレキバン、磁石を貼り付けてあり、またAこの株元にEMセラミックスのパウダーを水に溶いて塗ってやるという処理をすれば、この障害は回避されました。トマトを夏にやる場合は、こういった処理と併用してやると、正常に生育しました。



 その後、このように順調に生育しました。キュウリと同様、若干小ぶりなんですけども、しっかりと引き締まった生育をしました。



 しかしトマトの場合は、ちょっと水をやりすぎてしまった場合、このように萎れたりしてしまったので、水管理に十分注意する必要がありました。控えめに管理すると正常に生育したので、トマトの場合は、水管理に注意が必要です。



 これは果実の様子です。マルチなしでは、夏場にトマトを作るのは、普通花も実もつかないとか、実がついても尻腐が起こるとかで、非常に難しいんです。その点はクリアしたけれども、最後の最後に割れてしまうという、これがすごい夏場は問題になるんですね。マルチなしでは深く割れてしまうのに対して、敷草とかグラストーンのようにマルチをしてやるとその劣化はかなり防げるという結果が出ました。



 何故こういうことが起こるかというと、これは地温のグラフなんですけれども、この紫がマルチなしでこの緑がグラストーンの地温、水色が途中からしか測ってないんですけど、敷草区の地温です。
 この黄色のラインなんですけれども、これがトマトの根の限界の温度なんですね。だいたい34度ぐらい、33度から4度。この温度を超えてしまうと、とてもストレスになって、実がつかなかったり、生殖関係にものすごい影響が出てしまう。マルチ処理をしてやることによって、この温度を超えるようなことが今回なくなりました。それに加えて、温度の日格差がかなり縮まったというので、この温度変化が少ないことも影響しているみたいで、裂果がかなり防がれたものと考えられます。



 これは、収量を比較したものです。ちょっと水管理でてこずったので、収量自体はちょっと低めになっています。これは、今後の研究課題です。
 秀品率も、数字で見てみると、敷草よりはちょっと悪いような感じです。



 実際の収穫物を見てみますと、割れ方のレベルが全然違います。マルチなしでは深く割れてしまう。こういう違いがあったので、このEMグラストーンに、十分なマルチ効果はあったと考えられます。



 また、これは、果実の断面なんですけれども、空洞化がこのマルチをしてないものにはちょっと見られました。それに対してマルチ処理をしてやることによって、中身の詰まった果実が得られました。



 これは果実の品質を見たものです。グラストーン区が特に、糖度、酸度、ビタミンCにおいて高い値を示し、果実の品質向上効果が確認されました。



 これはちょっと本題からずれるんですけど、今回、夏場でもこのような多くの実を付けた株も何株かありました。
 このハウス内の環境は37度なんですね。こういう環境でも、一応こういうなり方をすることもあり得るということで、EMによる夏季のトマト栽培というのがこれから十分な可能性を秘めているので、これも今後の研究課題としてやっていきたいと思っています。



 次はナス栽培について説明いたします。



 これは生育初期の様子です。キュウリとかトマトと同様、引き締まった生育をしました。



 途中こういったホコリダニが発生した時期がありました。この時期、このダニが発生すると、果実がこのようにものすごい被害なんです。その被害率を見てみると、EMグラストーン区はほとんど被害がありませんでした。先ほど石川君の方であったEMの活性液の原液処理というのを行いました。それによって、どの処理区も回復したものの、やはり実にはちょっと影響が出てしまったんですね。しかし、EMグラストーン区が最も回復のスピードが速かったので、このような結果になりました。



 これは、収穫時期の後半の様子です。EMグラストーン区は、このように葉っぱが小ぶりでいっぱいあります。



 とても受光体制が良いため、このように、後半でも高い収量を維持できて、顕著な増収効果が確認されました。
 数字で見てみるとかなりの差ですね。本数で言うと10本ぐらい差が出ました。
 また、原液処理のところで言い忘れてしまったので、補足しておきますと、EMの効きがEMグラストーン区が1番早かったということで、EMとEMグラストーンの相性がすごいいいということも、今回のナス栽培からわかりました。



 これ収穫物の様子ですね。マルチしなかった場合は、葉っぱのサイズがどうしても大きいので日が当たらなくてちょっとくすんでしまったりという状態になるんですけれども、グラストーン区はとても受光体制が良かったので、色艶のいい収穫物が得られました。



 次は、EMグラストーンを用いたオクラ栽培について、説明いたします。



 これも一緒ですね。他の作物同様、がっちりとした生育をしました。小ぶりなんですけど、がっちりした生育です。



 このオクラの場合、途中、ハマキムシという害虫が出ました。マルチをしなかったり、敷草をした場合はけっこう出るんですけれども、グラストーン、マルチの場合は、もうこの病害は殆ど見られませんでした。



 これは新芽の様子です。新芽の旺盛さがもう極端に違いまして、EMグラストーン区はかなり旺盛です。マルチをしなかった場合、このように新芽がちょっと縮れてしまいます。



 この影響を受けて、マルチなしは実がちょっとこのようにぶつぶつができて、見栄えの悪いものになってしまいました。それに対してグラストーンのマルチの場合、このようにしっかりとした実が収穫できました。



 これは、EMグラストーン区のオクラですね。側枝化がすごい発達していました。



 この赤いのがグラストーンの収量なんですけれども、前半から後半まで、他の処理区に比べて常に高い収量を維持することができました。



 側枝からかなり採れましたのでトータルして見てみると、もう倍近い収量になりました。オクラはアルカリを好む植物なんですね。ですから、オクラとこのEMグラストーンの相性というのは非常によいものだということが今回わかりました。



 これは栽培終了時の様子です。これは雑草です。マルチをしなかった場合は、このように除草にとても手間がかかります。EMグラストーン区の場合は、このようにもう全く雑草は、生えませんでした。敷草の場合も、殆ど生えなかったのですが、敷草の場合は、有機物ですので、分解されてしまいます。特に夏場とかは分解が早いので、なくなってくると、常に敷草を入れてやらないといけないというのがあります。その労力を考えると、1度入れたら半永久的に効果のあるEMグラストーンというのは、非常に労力を軽減できる資材であると考えられます。



 また、これは、EM活性液やEMボカシによって栽培しましたけれども、このEM活性液やEMボカシを入れることによる土壌の団粒化を非常によく促進しました。



 これは、最後になります。現在まだ試験中ですが、チンゲン菜の栽培の様子を少しだけ紹介させていただきます。



 EMグラストーン区の場合は、播種方法が実はすごく簡単になります。上からもう種を撒き散らして落として、水を入れるだけ。掘ったり埋めたりとかしなくて、もうこの間を拭って、下に落ちていくので、それだけでいいんですね。それだけでこのようにしっかりと発芽しました。
 また、草が生えないので、初期段階での除草の手間が省けて、とても快適な栽培が可能になると考えられます。



 これは、現在の様子です。病害虫の被害もなく、今のところ順調に生育しています。



 最後に、このEMグラストーンマルチの効果をまとめます。通常の一般的なマルチ資材というのは、雑草抑制とか保湿性という面のみを重視したものが多いんですけれども、EMグラストーンの場合、日中の地温上昇抑制、雑草抑制、これは他のものと類似するんですけれども、それだけでなく、植物の健全な生育や、病害虫抑制、収穫物の品質向上、土壌生物の多様化というか活性化ですね。こういうことに伴なって労力が軽減されるといった副次的な効果が高いので、優良なマルチ資材として、十分な可能性を期待できることが今回わかりました。以上で今回の発表を終わらせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。
 (拍手)

司会者:ありがとうございました。EMグラストーン、聞きなれない言葉だと思いますけれども、もう1度どんな資材か確認いたします。廃ガラスを発泡させて軽石状にしたものです。これを製造する過程でEMを使っております。ですから、軽石のようなEMセラミックスというふうに皆さん捉えていただければいいかと思います。西村さんは、EMグラスストーンをマルチとして使っているんですけれども、不耕起栽培だからこそ、ずっとそのまんまでいいということで非常に相性のいい資材だと思います。
 それから補足しておきますと、アルカリ障害が出ていましたけれども、元々アルカリ性の土壌だいたいpHはどれぐらいの圃場ですか?

西村:殆ど中性に近い6ぐらいです。

司会者:アルカリ性の土壌とは中性に近いぐらい。比較的日本の本土だと火山灰土とか酸性土壌が多いですけれども、中性ぐらいの土壌で発表された植物の生育状態だったということです。
 それから、技術的にセラミックスパウダーを幹に塗るというようなやり方が途中でありました。これは主に樹木、桜とか松なんかで、毛虫の対策とかマツクイムシ対策で紹介されているものですが、セラミックスの粉末状のものを、水または樹木の場合には活性液を使ってペンキのように塗ります。これは刷毛とかを使って塗っていくといいと思います。ですから、手間がかけられる作物、かけられない作物があると思いますけれども、例えばメロンとかトマトのようなものの、比較的集約的な栽培が可能なものには有効かと思います。それで、磁石を使ったりしていましたけれども、磁石とかセラミックスは一体どういった働きでアルカリ障害を抑えているというふうに考えていますか?

西村:これは、実はヒントにしましたのが、よくメロンの栽培とかで茎と実の付け根のところに、ピップエレキバンみたいな磁石を貼ってやると、糖度が上がったりですとか、ちょっとサイズが大きくなったり、そういう効果が今までよく確認されていたんですね。だから磁石処理をしてやることによって、人間で言う血行のようなものがよくなるんじゃないかなあということです。物質の転流がよくなるので、実が大きくなったり、また質がよくなったりとかっていうのをヒントにしました。

司会者:それによって、障害も防がれているということでしょうか?

西村:はい。これを逆に付け根でなく、株元にやると、植物全体がよくなるのではないかという発想で今回この処理を行いました。

司会者:これも新しい情報だと思います。試していただくといいかと思います。
 それでは、琉球大学の報告ということで、この後、ひき続きまして、鳥インフルエンザの報告ということに移らせていただきます。
 それでは、「タイ国における鳥インフルエンザの発生状況とEMの効果について」というテーマで、EM研究機構東京事務所の獣医師の塩谷さんお願いします。