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EMフェスタ2004 専門分科会
EM利用による紙の土壌改良材化の研究
佐野 雄次郎(サノ ユウジロウ) 琉球大学大学院農学研究科

プロフィール:
昭和55年(1980)山梨県西八代郡下部町生まれ
2003年3月 琉球大学農学部卒業
2003年4月 琉球大学大学院農学研究科入学
現在    琉球大学大学院農学研究科在学中


佐野:宜しくお願いします。EMを用いた紙の土壌改良剤化の研究を行いました。



 研究目的としまして、EMを使用し、シュレッダーにかけました裁断紙を、畑の土壌改良剤としての可能性を検討しました。その背景としまして、都市ゴミの約半分が紙であること、また、その中で増えつつあるシュレッダー裁断紙の多くが、かさばるなどの理由からリサイクルされていないこと、また、有機栽培では一般に多くの有機物を必要としていることなどが挙げられます。また、次にその改良を行った跡地にて、EMを用いてキュウリの不耕起連作完全無農薬栽培を実施しました。



 これが処理前の畑の様子で、1年以上放置された場所にて実験を行いました。



 先ほどの雑草を全部取り除き、シュレッダーにかけた紙と、有機栽培でよく利用される枯れ草を用いて、4つの処理区を作りました。右から草を10アールあたり2トン敷いた区、紙を10アールあたり1トン敷き、その上にさらに草を10アールあたり1トン敷いた区、また、紙だけを10アールあたり2トン敷いた区、また、その紙の量を2倍にした区、4つの区を作りました。



 それぞれの区にこのように、米ぬかを10アールあたり200キロ散布し、
 通路となる部分から土を盛り上げ、畝を作りました。
 その上から、EM活性液50倍液をたっぷり灌水しました。



 さらに、その畝の上に、敷草マルチをし、畝の完成としました。処理区は、先ほどのように右から草が埋まっている区、草と紙が埋まっている区、紙が埋まっている区、紙の量が2倍の区となっています。これから、この4つの処理区について、変化を見ていきます。



 まず初めに、土壌中のそれぞれの資材の変化を見ていきます。これが1週間目の断面図です。草区、草プラス紙区におきましては、草が部分的に黒く腐植化し始めていますが、まだまだ資材がそのままの様子がわかりました。また、紙区、紙2倍区におきましては、変化は見られませんでした。



 これがその同じ時の平面図です。草プラス紙区におきましては、紙の上の草がこのように部分的に腐植化を始めていました。また、紙区におきましては、変化は見られませんでした。



 これは、2ヶ月目のそれぞれの土壌中の様子です。このように、草区におきましては、草が入っています。土の中で肩になっている所が処理したところですね。その下まで根の発達が見られました。これはキュウリが植わっています。草プラス紙区におきましても、それ以上下に、根の発達が見られました。しかし、紙区におきましては、この時は、途中で根が止まっており、処理より下には、根の発達は見られませんでした。



 また、これは草プラス紙区の2ヵ月後の様子ですが、部分的に、既に紙がとろとろになり、芳香臭、発酵して分解した様子が伺われました。



 これが、5ヶ月目の地中の様子です。草、紙殆ど分解し、跡は残っていませんでした。これは、キュウリ2作目の栽培後の跡です。このようにそれぞれ50センチまで地中の様子を調べました。処理区によっては、このように、50センチ下までキュウリの根が確認されました。また、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、無数の穴が開いており、先ほどの発表者の若杉君の話のように、いろいろな小動物がいることが推測されます。



 それでは、地上部のキュウリの様子を見ていきます。不耕起連作栽培を行ったんですけれども、これが1作目の様子です。このように、草区、草プラス紙区においては、健全に成長している様子が伺えますが、紙区、紙2倍区におきましては、明らかに成長阻害が起きていました。



 それを掘り起こしてみますと、このように、苗のすぐ下に紙が張り付いておりました。このため、根の活着が阻害され、生育阻害を起こしていました。



 これは50日目の様子で、このように草区、草プラス紙区におきまして、順調に成長しました。また、特に、草プラス紙区におきましては、やや初期の成長が早い傾向が見られました。



 ある程度収穫が終わった後草勢が弱ったため、うどん粉病が蔓延し、栽培終了としました。



 それらの残渣も全て畑に戻し、資材であるネットや鉄パイプ、畝も全くそのままに、



 2作目の苗を植えていきました。



 これが22日目の様子です。このように、今度は、どの処理区も健全に育っている様子がうかがわれました。



 これが46日目の写真です。このように、夏なので、人が通るのも困難なほど、よく繁茂しました。



 これが2作目のキュウリの着果の様子です。EMを使用した時に、草勢が強いため、節に2つずつ、3つずつなるなど、ハウス全体にこのような現象が見られました。



 これがその実がなった時の様子です。このようによく節なりでなり、収穫産物もこのようなものがたくさん採れました。



 それらの1、2作目の収量を見てみます。この赤いラインが、沖縄県の栽培要綱で示されている夏における収穫量です。10アールあたり8トンです。1、2作目の総量である黄色い棒グラフを見ていただきます。草区、草プラス紙区におきましては、収穫期間は、1、2作目を足しましても、栽培要綱よりも短かったんですが十分に栽培要綱以上の収穫量が得られることがわかりました。また、紙区、紙2倍区におきましても、1作目の収量が殆ど採れなかったため、このような結果となりました。

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 これは、先ほどの2作目の終了時です。収量は、短期に多数採れたんですが、そのため草の維持が難しく、べと病が抑えきれなくなり、このような結果となりました。それらの残渣も全てこのように畑に還元し、1作目と同様、この上にEMボカシを処理し、EM活性液50倍液をたっぷり灌水し、ハウス内は比嘉先生の指示により、ちょっと天井の上まで上りまして、EM活性液の5倍液を本当にすみずみまで噴霧器で散布しました。



 これは3連作目の様子です。2連作目までにおきまして、収量、土壌中の様子などからどの処理区も、順調に生育することがわかりましたので、3作目からは、さらに短期多収を行うために、密植栽培試験を行いました。これが、1、2作目で行ったのと同様、45センチ間隔の処理区です。それから30センチ間隔、20センチ間隔、10センチ間隔です。



 これが35日目の様子です。このようにどの処理区も、順調に育ったのですが、特に10センチ区におきましては、葉っぱの矮化、葉っぱが小さくなり、とても密植した感じになりました。やや徒長も見られました。しかし、この後10センチ区におきましては、過繁茂すぎるため、着果、実、花のつきが悪く、密植においては、20センチ区までがとても有効だと考えられました。この実験におきましては、今ひき続き行っています。



 これらのまとめをしますと、シュレッダー裁断紙を草と一緒に土に施すことで、土壌改良を促進し、その結果、初期から成長促進の効果が見られました。また、シュレッダー裁断紙だけの処理では、土に馴染むまでの発根の阻害が見られました。しかし、2作目以降は全ての処理区に対して、土壌の改良効果が確認されました。つまり、どの処理区もよく育つようになりました。また、土壌改良の結果、キュウリの短期多収穫ができまして、不耕起連作完全無農薬栽培の可能性も見られました。以上の結果をまとめますと、EMを用いて、廃材となる紙を畑の土壌改良剤として改良でき、不耕起連作完全無農薬の栽培もできるのではないかという結果を得ました。ご清聴ありがとうございました。
 (拍手)

司会者:はい。ありがとうございます。時間が経つと紙が使えるようになるというのはわかったんですが、そのまま使うと根っこに障害が出てしまう。それが1作目で見られたということでした。
 佐野さんに質問です。もし、家庭にシュレッダーがあって、それを家庭菜園で使いたいという場合に、1作目のような障害が起きないようにするには、使い方、あるいは使う量、例えばどういった工夫が考えられますか?

佐野:紙の量を減らすという方法もあります。私の場合は、紙を処理した上に土を被せました。その土を被せた量が不十分なため、根のすぐ真下になってしまったので、障害が起きました。紙だけの場合は、先に土を掘りまして、紙の上に十分に土をかけて畝を作ります。今そのような方法で別の作物を育てているんですけれども、そうしましたら、1作目から障害がなくていけます。

司会者:根っこの真下に、紙だけが固まっている状態というのがよくなかったという反省でいいでしょうか?

佐野:はい。

司会者:あと、おそらく家庭の場合ですと、生ゴミなんかと一緒に使うには紙はとても相性がよく、先ほどの実験では障害が出ていなかったということもあります。これでも、草と併せることで生育がよくなったというのもあります。単独で使うよりは、他の資材と組み合わせた方がいいというふうに考えられます。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、ここからは西村さんの研究、「EMグラストーンの農業利用に関する研究」ということで宜しくお願い致します。