EMフェスタ2003 > 発表大会

国際EM事例発表 No.04
2003.11.16
■真の健康とはなにか
onv/s_01.JPG

渥美 和彦(あつみ かずひこ)

東京大学名誉教授
日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)理事長
日本統合医療学会(JIM)代表
生年月日:1928年 9月 25日生 (大阪)        
現住所:113-0023   東京都 文京区 向丘一丁目六番二号        
略  歴:1954年3月  東京大学医学部卒 
1955年4月  東京大学医学部付属病院木本外科において心臓外科を専攻し、人工臓器や医用工学の研究に従事
1964年5月  東京大学医学部医用電子研究施設助教授
1967年1月       同            教授
1989年3月      同大学定年退職、東京大学名誉教授
1990年5月  日本工学院専門学校校長に就任
1991年7月  第15期日本学術会議会員               
1994年7月  第16期日本学術会議会員第七部長
1995年3月  日本工学院専門学校退職
1995年4月  鈴鹿医療科学大学学長に就任  
1998年11月  鈴鹿医療科学大学退職 
1998年12月  日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)理事長              
2000年7月  第18期日本学術会議会員
2000年12月  日本統合医療学会(JIM)代表
主な賞:1966年 朝日学術奨励賞(朝日新聞社)
     1982年 アメリカレーザ医学会賞(アメリカレーザ医学会)
     1988年 バイオマテリアル科学功績賞(日本バイオマテリアル学会)
     1991年 日経BP技術賞(医療部門、日本経済新聞社)他多数
役  職:国際人工臓器学会 元会長、国際レーザー医学会 元会長        
     日本レーザー医学会 元会長、日本サーモロジー学会 元会長
     日本生体磁気学会 元会長、日本エム・イー学会 元会長
     日本人工臓器学会 元理事長、日本医療情報学会 元副会長
主な著書:人工臓器(東大出版会, 1970年)、医用サーモグラフィ図譜(医学書院, 1971年)、医療情報システム総説(企画センター, 1973年)、人工臓器─人間と機械の共存─(岩波書店, 1973年)、レーザー医学─基礎と臨床─(中山書店, 1980年)、バイオメディカルエンジニアリング─21世紀のMEを探る─(オーム社, 1984年)、医学これからこうなる(集英社, 1986年)、シリーズ1990 人工臓器─不老不死の時代は来るか─(東京書籍, 1987年)、人工心臓─未知なるミクロコスモスへの挑戦─(三田出版会、1989年)、人工臓器─生と死をみつめる新技術の周辺─(NHKブックス、1996年)、バイオメーション─21世紀の方法序説─(清流出版、1998年)、統合医療への道─21世紀の医療のすがた─(春秋社、2000年)、代替医療のすすめ─患者中心の医療をつくる(日本医療企画、2001年)、自分を守る患者学─なぜいま「統合医療」なのか(PHP新書、2002年)など他多数。

 私は、東京大学の医学部の教授を務めましたがその当時、人工心臓、レーザ医学、医用サーモロジー、生体磁気などと医学の最先端の研究をしていました。しかし、ある時に、このような研究をしていても、臨床の分野で患者は治癒しないのではないかと疑問をもつようになりました。それは、医療は科学のみでは解決しないからです。これは当たり前のようにみえますが、実際は、医者も患者も科学の進歩で病気は治ると信じている人が多い。病気の大部分は、科学的な方法で診断され、そして科学的な方法で治癒されて、治る場合が多い。しかし、そうではない場合も随分あるが、それは例外として、無視されてきました。
 近代西洋医学は、科学に基盤をおいてきたために、判り易く、広く拡がるようになった。ここで、科学とは何かというと、客観性、再現性、普遍性です。客観性というのは、個人、個人の主観に左右されずに誰がみても正しいということです。再現性とは、一度起ったことは必ず起るということです。普遍性とは、米国で起ったことは日本でも起るということです。これらは理解され易いために、広く拡がることになったのです。
この科学的ということになると、統計学的ということが問題になります。数十万人のデータを集めると、煙草を吸う人には“がん”が多いという結果になります。とくに、ヘビースモーカーの30%は肺がんになるという結果がでています。そこで、健康を保つためには禁煙が良いということになり、これは正しいことです。しかし、ヘビースモーカーでも肺がんにならない人がいるし、煙草を1本も吸ったことのない人で肺がんになる人がいる。これらの人々は、例外として無視されてきたのです。
 世界は今や“個人の時代”になり、医療も個人中心、患者中心になってきています。そこで、西洋医学の統計学的な治療では不充分で個人の医学がのぞまれるようになったのです。それは、いわゆるテーラード・メディシンといって、今後、遺伝科学が進み、ゲノムの解析が進むと、個人的医学が展開されることになると思います。現実には、伝統医学や民間療法などには個人差を重んじて医学やケアが行われてきました。これらを、近代西洋医学と区別して、相補・代替医療および伝統医学といって、最近、脚光を浴びている分野です。これらを統合して、患者中心に組み立てた医療が統合医療といってこれからの医療の主流となることが期待されているのです。
 さて、相補・代替医療はCAMといって、その中には中国医学やアーユルヴェーダなどの伝統医学が含まれますし、鍼灸、ハーブ、指圧、マッサージ、カイロプラクティック、レフレクソロジー、あるいは抗酸化剤、キレート療法などがあります。また、心と身体が相互に関連し合うという立場から、精神療法、カウンセリング、フィードバック、さらに、瞑想、ヨーガ、音楽療法まであります。
 とくに、伝統医学は4〜5,000年前より、インドや中国で始まって現在まで受け継がれてきたわけですが、科学的に検討されたものばかりではありません。その中には、現代の科学では解明できないものも多く含まれています。そこで、これらの有効性や安全性を、できれば科学的に実証する必要があります。そこで、欧米では、CAMについて、実証性の研究が進められています。
 さて、私は“治療の医学”の時代は終わりつつあり、新しい“保健・予防”の時代に入ったと考えています。
 その理由として、先ず遺伝科学の進歩です。ヒトのゲノムの解析が進むと人間のかかる病気が予測できるようになり、さらに人間の個体差が判って、薬やハーブなどの治療法への反応の仕方や強さが判り、個体差を考えたいわゆるテーラード、メディシンが可能になる。つまり、僅かな血液を採取し、ゲノムの解析により、診断とその人に応じた治療が可能となる。そこで、現在、病院にあるX線、CTやMRIなどの大型装置は、将来、不必要となってくることでしょう。
 この遺伝子診断で、治らない病気に対しては、再生医療があります。その患者の幹細胞を骨髄などより採取し、その細胞採操作によりその人の心臓や肝臓を創り出すことができる。それを移植すると自己移植となり、他人のドナーの臓器が不要となる。しかも自己移植であるために、その人に生着する率はきわめて高い。つまり、最後の手段として病気になった人の臓器を置き換えることができるのです。これが、治療医学の時代は終わったという根拠であります。
 また、遺伝科学の進歩により、人間の寿命が延長し、120才まで長生きできるようになります。
 何故、120才が限界なのか、それは、生物の寿命の法則というものがあります。昆虫でも魚でもまた、鼠や犬,象でも、大体あてはまる法則です。それは、生れて成長し,成人期になる、それを1とすると、その5倍の時間を使って老化し、そして死ぬのです。人間の成長には20年かかるとして、その5倍つまり100年で老化し死ぬとすると120才になるのです。
 今までの医学は、病気の克服に追われ、病気の原因の研究“何故がんが生じるのか?”それを治療する研究“手術方法”や“抗がん剤などの開発”に全力を尽くしてきました。それが上述の遺伝科学や再生医学の進歩により、根本的治療が可能になってきた。そこで医学の本来の目的である病気を予防し、健康を守り、長生きすることが目標となってきたのです。
 長生きの間、病気をしないで、健康に生きて、寿命がくるとポックリ死ぬ、家族が集って120才のお祝いをしてくれた、ご馳走を食べてワインを飲んで“今日は良い日であった”といって寝て、朝起きると死んでいたというのが理想なのです。120才までピンピン生きてコロリと死ぬこれをPPKという、人間の理想の死です。
 生活習慣病というのがあります。糖尿病、肥満、高血圧病など生活の習慣が悪いとおこる病気です。禁煙、肥満、睡眠不足、運動不足などでおこり、これは本人の努力によって、かからない病気です。
 先程、遺伝の話をしましたが、遺伝の素質が良くても環境が悪いと健康を保ち長生きすることができません。環境とは、狭くは、地域の環境ですが広くは地球環境です。
 この環境を良くするのにEMが役立つわけです。地球は宇宙に一つしかない、人類の生存にとってかけがえのない環境です。これを住み易い安全な環境を保ち、人間のみならず、植物も動物も微生物も共存することが必要です。この本質的技術がEMです。この度は、世界から、食糧、水、空気、医療、環境、企業と多様な専門家が集って、EMの基礎的研究、それを応用する研究が報告され、討論されました。
 西洋医学のみならず相補・代替・伝統医療を統合し統合医学をつくりあげる。さらに精神の健康、さらに霊性の健康をつくりあげてゆく、そして、人間生れて死ぬまでのヒトの一生の健康・医療を考える。
 これが包括医療です。身体のみならず、精神をも癒してゆく、それがホリスティック医学であり、統合医療の目標となります。
 その次の段階、あるいは同時併行で、病気の予後、健康維持さらに増進の方向を推進する、そして究極の医学の目的であるトータル・ヘルス・ケアのレベルに到達することができると思います。
 このトータル・ヘルス・ケアを目標として、人類の理想の夢を考えると、EMの重要性が理解されることになると思います。

The Theater Event --------
Effective Microorganisms