それでは、三つの施設の発表が終わりましたので、これからパネルディスカッションに移りたいと思います。パネルディスカッションでは、皆さん20分という短い時間で伝えきれなかったことをぜひ多くの方に伝えていただきたいと思います。発表者同士、また会場からも質問を受け付けていきたいと思います。
永田:
まず初めに佐治さんたちは町内会の方々が大変熱心に協力してくれたということでした。会場の皆さんも何故このように協力的なのだろうかと疑問に感じたと思います。その点について、佐治さんよろしくお願い致します。
佐治:
町内会に伺いましたら、「ここの施設はとっても感じがいい。みんな一生懸命だから」と言ってくださるのです。本当に私ども小規模作業所職員2人で一生懸命この法人作りをやっていました。町内会で受け入れると決まってからは会長さんがたまに来所されて「何かないかい、手伝うことは?」「よし俺がやってやる」というような感じでした。
施設開設後、今度は逆に町内会から「盆踊りするので、やぐらを立てるため、6時に来てくれないか」とか「やぐらを壊すから、朝6時に来てくれる?」という御願いがあり、そのような御願いに応えていく中で信頼関係が生まれてきました。
あさかげ生活支援センター施設長の高井が職員を引っ張っていく力があり、町内会とのやり取りもものすごく上手く、誠実であって熱心である。それが町内会に受け入れられまして、恩返しとして多くの協力を得る事ができた理由だと思います。
永田:
ありがとうございました。今紹介があった高井さんは、ひかり授産施設の中に併設されている、「あさかげ生活支援センター」の施設長でもあります。では、ひかり授産施設とあさかげ生活支援センター、町内会との関係についてご説明御願いいたします。
高井:
今ご紹介を受けました高井と申します。いろいろとほめていただいて光栄です。まず地域との関係でうまくいっていると思うことの根本として、私達の佐治からの説明ありましたEMボカシネットワークの設立の時に設計事務所社長、松下さんがEMの活動に熱心であり、法人化の話を聞いた時に、その場所について建築屋さんでありながら「福祉施設は町のど真ん中になければいけない」と提案してくれました。今地下鉄から3分の所、本当に町内会といっても1,300人ぐらいいる。連合町内会となると、その辺の町村と同じぐらいの規模の札幌の東区のど真ん中にあるのです。
まずその場所が地域の中心にあったということで、本当に場所の力といいますか、地域活動の中で仕事をやらせていただくうえでアドバンテージだと思っております。
町内会との関係、私は4月に佐治さんに呼んでいただいて働いているのです。真新しい施設を見た時に気持ちとしては、床がぴかぴかだったのですけれども、そこにどれだけたくさんの足跡といいますか、それを付けてみたいという一つの希望がありました。人がたくさん出入りして、とにかく福祉とか障害とかいう問題はまず頭で考えるとすぐ変な方向に行ってしまうので、実際に関わるということからでないと何も始まらないということがあります。まず出入りをしていただく施設であってほしいということで、どれだけたくさんの方が出入りしていただくかということをスタッフ一同考えております。
実際今町内会も、たばこを単に吸いに来る方ですとか、うちの生活支援センターで新聞を読んで休んでいく方ですとか、もちろんそういう行事のことですとか「地域交流室」がありますのでそこで会議をするとか、5、60人の方が毎月来ている。そんなことで違和感なく、よく町内会の方に「精神疾患の方は、別に何でもないよね」と言われるのです。本当に普通というか、接していただければ全く問題ないことが分かるので、本当にそれは喜ばしく思っています。
あと町内会の対応という意味で、ちょっとこれは少しずれてしまうのかもしれないですけれども、EMフェスタは、これで2回目の参加になるのですけれども、EM研究機構の若い方ってすごく対応がいいのです。親切だしサービスはいいし、こちらも気持ちがいいのです。やはり、こういうふうに対応すれば何か誠意を感じて、ではこちらも何か協力することがあればやっていこうという、何か昨日から佐治と一緒に動いておりまして特にそんな、これは対人関係で特別なことというよりも日常的なかかわりが大事だということは改めて今日感じているところであります。これからも努力して、町内といい関係を作っていきたいと思っています。
永田:
高井さん、ありがとうございました。やはり福祉施設の中に生活支援センターという、日常的に皆さんが出入りできる空間があるというのは本当に大切なことだというのが今の高井さんのお話からわかりました。福祉施設とボランティアのかかわり方にはいろいろあると思うのですが、麦の会第二作業所とアースウォッチング堺とのかかわりというのもまた特別なことだと思います。その点について成本さん御願いいたします。
成本:
成本です。本当は先程紹介しました鮎川がこの場へきてお話しするべきだったのですが、ちょっと体調を崩しまして発表の場に出られないということで、たまたまピンチヒッターで私が出席いたしました。アースウォッチング堺の歴史は時々聞いているのですけれども、私がかかわったのはほんの1年ぐらいですから、本質的なことはよく分からないです。ただ、彼女の行動はよく見ているので、皆さん方に参考になると思いますのでお話ししたいと思います。
彼女は、いわゆる子育ての頃から消費生活センターなどを中心にいろいろな生活上のことの勉強をやっておりました。役所にも行っていろいろな要望をするのですが、彼女の考え方が一歩先へ行っている。行政はとてもそんなことは考えられないという時期に提案をしますから全然相手にしてくれなかった。最初窓口で対応していた人たちがだんだん偉くなっていくわけです。それなりの地位に就いていく。そうすると、ちょうど彼女が主張していた環境の問題だとかごみの問題だとかいうのは、今やっとみんながやはりやらなければいけない。役所もやらなければいけないということになってきて、彼女からの提案もかなり受け入れられるようになった。役所ではできないことはわれわれが先にやるから、いつでも教えてあげるのでという心構えでやってきたというところが素晴らしいことなのです。
従って、今は具体的に役所と提携してはやってないのですが、もう間近だとは思っています。先程麦の会のほうでザ・アース堺のお披露目会の時に、堺市のごみの減量化の担当の方が来て、いろいろ勉強してくれたと思います。例えばボカシの作り方、あるいは、ごみ減量ですからボカシから生ごみを堆肥にして畑へ入れるようなことを、実際現場に行って見てもらうという働き掛けをしたのが彼女なのです。畑までは行けなかったけれども作業所まで来てくれたということで、非常に密着してきたということです。
今ちょっと体調を崩していますが、ボカシなどでも5年以上やっています。彼女が欲を出しまして、ごみ減量という観点から各市内に露店みたいなかたち、人的協力で、「あなたはここの責任者としてボカシを使うのを広めてください」という所を点々と設置して、大体300人ぐらいがそれをやっています。ちょっと今フォローが足りないのでまだまだかと思っています。その300人の人たちがもっともっと理解していただいたら麦の会で作るボカシもまた、どんどん広がっていくかなと思っています。彼女の熱心な活動成果をぜひ皆さん方に知っていただきたいと思ってお話ししました。
永田:
ありがとうございました。ボカシを頑張って作っている福祉施設、そして、それを販売して生ごみリサイクル活動にまで大きく発展させているボランティアグループ、こういった二つの関係についてEMボカシネットワーク大阪支部の岸さんが会場に来ていますので、発表を聞いた感想を述べていただきたいと思います。お願いします。
岸:
EMボカシネットワーク大阪の岸です。私が麦の会さんにEMボカシのことで行ったのが3年前なのです。最初は鮎川さんから、突然電話が掛かってきました。「実はEMの勉強をしたいと思っているのだけど、来ていただけますか。私達がサポートしている作業所さんがあって、そこもボカシネットワークに入りたいのです」という話で伺いました。
その当時ボカシを見せてもらったら、赤かびや青かびが花咲いているのです。「このボカシ、もうちょっときっちり密閉してもらえませんか」と言ったら、「いやいや、気になるからしょっちゅう開けるのです」という段階でした。
その間も鮎川さんは一生懸命婦人会だとか自治会だとか走り回って生ごみ処理するメンバーを増やした。私が出会ってちょっとしたころに「岸さん、200人超えたよ」という話だったのです。すごいなと思っていたのです。
それである所から以前に聞いたことは「岸さん、堺市で1キロ100円のボカシ売っているみたいです。どんなボカシでしょう。それ見たいね」と言っていた施設が麦の会第二作業所さんのボカシで、実は濡れたまま1キロ100円で販売していたのです。
去年の8月、突然、前所長の木村さんから電話が掛かってきたのです。「岸さん、ボカシネットワーク、ぜひ入れてください」とすごい勢いなのです。いったい何があったのだろうと聞いていたら、「実は作業所の集まりで沖縄に行ってきたのです。ある人がどうしても会わせたいという人がいるので会わせてもらった方がウコンの栽培をして、EMのすごさを聞きました。」去年の8月もう1回講習に行って、ボカシネットワーク入りしてもらった。その間も鮎川さんは、先程あった府の申請で百倍利器を助成金で据え付けるということを考えた。それをたまたま、麦の会さんの敷地内に納屋みたいな所があって、そこをきれいに掃除して事務所にして百倍利器を置いて、地域の人がどんどん足を運んでくれるようになったらという彼女の思いがあり、成本さん達と協力したことによりその願いがかなったのです。
ラッキーなことに今年6月にEMボカシネットワーク名誉会長である節子さんが来てくださいました。節子さんが「すごいことやってるね」と言ってくれたことで、みんなで「こんにちは」とかあいさつがお互いに交流できるようになった。
また堺とか大阪でもっと大きな生ごみの運動が広がると思います。12月に比嘉先生の講演会を東大阪でしますので、関心のある方は大阪までお越しください。ありがとうございました。
永田:
ありがとうございました。いろいろな地域とのかかわり、ボランティアグループとかかわっているのですけれども、三好さんたちもNPOボランティアと大きくかかわっていると思うのです。発表にもあったように、今後行政とも連携を取りたいという大きな目標を持って今活動が進んでいると思うのです。実際にそのように働き掛けていこうとしているのかについて少しお話を伺いたいと思います。
三好:
私自身、実は今日発表しました和泉蓮華会とNPO法人も担当しています。特に松山では、松山城のお堀の浄化という活動をNPOが中心になって行っています。その目的というのは、松山市のシンボルである松山城のお堀をきれいにすれば市民の関心も高くなるし、行政も認めてくれるだろうという期待をもって行っていることです。そこに「希望ヶ丘」の利用者も参加しているということで、これはやはりEMの普及と共に、行政に対してもアピールしたいという気持ちが一つあると思います。
八幡浜の「いきいきプチファーム」は、八幡浜市が設置した施設ですが、縁あって和泉蓮華会が受託して運営管理をさせていただいています。運営受託にあたり、私達は、EMを最初から全面的に取り入れた作業内容にしたい、そのためには作業棟も必要だし、百倍利器も蘇生利器も必要だという事業計画を八幡浜市に提出しました。そして、八幡浜市はそれを全面的に認めてくれました。行政があまりEMについて詳しくなかったということもありましたが、結果としてでも、行政が作った施設にEMが中心になった作業が含まれているという点は画期的なことですし、今後ますます行政の理解が得られるものと思っています。
写真の中でもありました八幡浜市内の川の浄化も八幡浜市の環境課からの依頼により開始をした訳ですし、消臭効果もかなり出ています。あとは汚泥といいますか、ヘドロをどう減らしていくかが今後の目標です。効果が出れば八幡浜市も評価をして認めてくれるのではないかと思っています。どのようにしたら評価してもらえるか、認めてもらえるかというのをこれからも、障害者施設として考えていきたいと思います。
永田:
ありがとうございました。三好さん、あのようなジャンボカボチャとか大根を作っていて、そこの農園を見に来た人たちの反応だとか、またそれを受けて利用者たちの反応についても少しお話をお願い致します。
三好:
希望ヶ丘がどうして地域に農園を開放しているかということになりますが、実際希望ヶ丘ではEMを取り入れる前から地域開放を行っていました。目的としては、障害者でも頑張ればこんなにいい野菜ができるのだというのを、やはり地域の人に知ってもらいたかったというのがあります。どうしても障害者施設というのは社会からちょっと閉鎖的になりがちだったものですから、そうではなくて、社会参加もどんどんしていきたいと思っていましたので、その一環で農園の地域開放をしたのです。
それに今回EMを取り入れて、EMを使用するとあんなに立派な作物ができるということを多くの人に知ってもらおうということで、EMの普及にもつながるということです。予想どおり、地域から参加され来園された方は、EMの効果に大変驚きます。
地域の方が見学や体験に来られたときには、できる限り施設の利用者に一緒に関わってもらうようにしています。「僕たちが一所懸命作りました」と、ほんの一言だけですが、地域の方々にすごく感動を与えることができる。そして「よく頑張って作ったね」と声でも掛けてもらえれば、それがまた利用者にとって次の作業への励みになるということで、すごい相乗効果になっています。EMの見えない部分の効果かもしれません。
ですから、収穫体験や地域の方の来園を積極的に促すことは、障害者に対する理解の促進とEMの効果の理解と普及という二つの目的があってやっているのです。それはもう充分発揮されていると思っています。
永田:
素晴らしい農園をご紹介していただいきありがとうございます。今回通所者ということで久保さんが参加していますので、実際にEMを作業の中で取り入れてみて、皆さんの変化した点だとか、EMを使う前と使ったあとで雰囲気がどのように変化したかについてお話ししていただけませんか。
久保:
私たちは先程申し上げたように脳梗塞で倒れた方たちの集まりでして片手しか動かない人もいるのです。それで、よく考えたら、右と左ですから2人が1人分なのです。その方たちと一緒にお互い励まし合って、作業所をもり立てていっているわけです。やはり働くばかりではなくて、次の若い人たちもEMの活動に付いてくるようにしたいと思っております。
それとやはりリハビリの関係があるわけです。どうしたらリハビリが上手くできるか、何とかその病気を治したい。もうこれは治ることはないのです。今のところは現状維持を目標にしているのです。
永田:
久保さんありがとうございました。同じように沖縄でも農業とボカシ作りを通してリハビリを行っている農芸リハビリセンター「のぞみの里」の永坂さんも今回来ていますので、ボカシ作り、EMを活用することによって地域とどのように今かかわっているかについて、少しお話ししていただきたいと思います。
永坂:
社団法人沖縄県脳卒中等リハビリテーション推進協議会のものです。
私たちは沖縄の脳卒中の患者会で去年農芸リハビリセンター「のぞみの里」という作業所、農芸を通してリハビリを兼ねた就労所を作りました。
農園はEM研究機構さんの協力を得て、荒れ地を立派な農場にしまして、今野菜作りを一生懸命やっています。畑の肥料は地域の生ごみを回収して、それを堆肥にして野菜を作っていますけれども、今日発表された方みたいに地域に根ざした協力が得られる作業所作りまでは到っていません。始めたばかりで今一生懸命、南風原町のエコセンターという環境問題に取り組んでいる方々にアタックしまして、一緒にEMの普及を広めたい、生ごみも回収を広げたいということです。
近くに四つの児童館があり、先週もその児童館に来る若いお母さんたちに、生ごみを資源化しようと講習会を行い、広めているところです。
私たちは、乾燥させないEMボカシを生ごみ用に300円で販売しています。まだ始めたばかりで今日の発表はすごく勉強になったと思いました。野菜作りでも、自分たちで食べたり、来る人たちに100円で売るぐらいで本当に収入になるようなことをしてないので、問題をたくさん抱えています。
昨日も「麦の会第二作業所」の施設長泉谷さんたち、先輩の作業所から運営について学んだところなのです。これからもっとボカシネットワークと作業所の皆さんとの連携を深めながら、一生懸命勉強していい作業所にしていきたいと思っています。
まだ本当に農作業に関心を持ってやってくれているのが5、6人です。普通は作業所の通所者を14名ぐらいにしているのですけれども、農作業に関してまだまだ、「脳卒中になってまでこの作業はできない」とかいうような、魅力を彼らに与えるところまではいってないので、これからそのようにたくさんの人がかかわってくれるか、それを今模索しているところです。ぜひこれからいろいろなご指導よろしくお願いします。
実は木村さんを私たちが作業所を作るときに呼んだのです。来てもらって、それがきっかけでいろいろ広がってきたのです。やはり一人で悩んだら駄目ですね。昨日も言われました。うんとネットワークを広げていって、一人で悩まないで行動してやっていきなさいと言われたのです。本当だなと思いました。実は落ち込んでいたのです。今後どのように作業所を、みんなに魅力あるものに作っていくかということで今本当は落ち込んでいるところです。今回こういう勉強会に参加できて、また何か夢が、頑張ろうかなと少しだけ力を得たような気がします。ありがとうございました。
永田:
永坂さんありがとうございました。このように毎年素晴らしい発表を福祉分科会で行うことによって、発表する側から最新情報を発信し、聞きに来た方たちがそれを受けて、やる気だとか新しい展開へつながっていけるといった交流の場となればうれしい事だと感じました。今回「地域に支えられ、地域を活性化する」にふさわしい三つの施設に発表していただき、本当にありがとうございました。では、以上をもちまして福祉分科会を終わらせていただきます。皆様長い間どうもありがとうございました。
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[コーディネーター] 永田 麻知子(ながた まちこ) EM研究機構 プロフィール: 昭和52年7月30日生まれ。沖縄県出身。琉球大学大学院農学研究科を終了。 現在(株)EM研究機構 東京事務所にて、EMボカシネットワーク、環境学習ネット ワーク(EL-net)の事務局を担当。 |
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