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EMフェスタ2003 専門分科会
■ 発見・体験・ほっとけん
泉谷 一郎(いずたに いちろう) 社会福祉法人麦の会 身体障害者小規模授産施設 麦の会第二作業所

プロフィール:
社会福祉法人麦の会 身体障害者小規模授産施設 麦の会第二作業所
昭和39年8月24日生まれ、大阪出身。麦の会第二作業所施設長。
久保 宗一(くぼ そういち) 麦の会第二作業所

昭和11年12月18日生まれ、宮崎出身。前歴トラック運転手、麦の会第二作業所通所者。
鮎川 佳寿子(あゆかわ かずこ) アースウォッチング堺

昭和19年3月20日生まれ、大阪出身。
アースウォッチング堺代表。生ゴミリサイクル研究会(E・W・S)代表

  ※発表代理:成本清志(なりもと きよし)
   昭和11年8月31日生まれ、三重県出身
   アースウォッチング堺 副代表、ザ・アース境 代表

 続きまして、大阪からお越しいただいています「麦の会第二作業所」施設長、泉谷 一郎さん、通所者の久保宗一さん、「アースウォッチング堺」副会長成本清志さんです。それではお願い致します。


泉谷:
 大阪の堺から参りました麦の会第二作業所と申します。麦の会第二作業所から私と通所者の久保さんで発表させていただきます。


 麦の会といいますと身体障害者の小規模授産施設、いわゆる作業所でございます。ほかの障害者の作業所と大きく違うのが、中途障害者が働く場ということです。それが堺市に3カ所ございます。1985年に設立されまして18年の無認可作業所時代を経て、2003年4月に法人化することができました。これがうちのパンフレットの表紙でございます。「一人一人が主人公」と書いています。通所者の方が、一人一人生き生きと活動できるということを信念にやっています。


 中途障害者ということでお聞きになられたことがない方も多くおられると思いますので、中途障害者とは何かということをまずお話しさせていただきたいと思います。中途障害者を平たく言いますと、生まれつき障害をもたず人生半ばにして脳血管障害や難病、交通事故などによる後遺症障害、内部障害などの障害を持たれた方たちのことを指します。脳血管障害といいますと、脳梗塞・脳卒中という方達。私達の作業所の場合大半の方が脳卒中の方達です。ですから、年齢層としても50代の方が多いです。
 事故とか病気はだれの身にも起こることです。明日交通事故にあって障害者になるかもしれません。ただ、本当にそういうときまで障害者の問題、福祉の問題について普通、人は関心がないですから慌てることになる。「障害者としてどうやって生きていったらいいのか。わしの人生はもうこれで終わりか」と絶望の淵に追いやられるのです。その人たちをサポートできるように私たちは頑張っています。
 本当に障害者問題は、いつ、だれの身にも起こることですので、皆さんも関心を持っていただきたいと思います。


 麦の会作業所、皆さんでバス旅行に行った時の写真です。身体障害者が作業・レクリエーションを通じて社会復帰、社会参加を目指す場です。現在大阪府堺市に3カ所、60人の身体障害者が通所していらっしゃいます。


 三つある作業所の中の麦の会第二作業所がうちの作業所でございます。1995年、8年前に開所しまして通所者数が現在19名。作業時間が10時から15時。主な作業にこのEMボカシ、お菓子の製造販売。自主製品の平均月収が10万円。10万円といいましても、1人が10万円ではなくてみんなで稼いだお金が月10万円。ということは、1日で割りますと1人当たり1日500円ぐらいにしかならないということです。
 障害を受けられる前は皆さんばりばり働いていた方たちばかりです。月数十万という給料をもらっていた人もいらっしゃるでしょう。ただ、障害になった時に「わしの人生はもうこれで終わりや。わしはもう働くことできへんのや」と思った方が、作業所に来て、自分でできることがある。「こういうことやったらわしが働けるのだ」と自信を持って働いています。私たちはこの500円に甘んじていてはいけないと思いますので、もっと頑張っていきたいと思っております。
 でも、見ていただいたら分かりますように、皆さん本当に作業所に来られた時は不幸のどん底みたいな顔をしているのです。これが通ってらっしゃるうちにどんどん明るくなってくるのです。


 これまでの自主製品というのは、お菓子の製造をしていたわけです。今も続けています。パウンドケーキ、チーズケーキ、マドレーヌ。本当に今まで台所にも立ったことのない人たちばかりだと思います。ましてやお菓子など考えたこともないと思います。でもやはり、自分たちが稼げることは何やということで、皆さん自分で本を買ってお菓子の勉強をしたり、休みの日にはお菓子屋さんに行って研究したり。そういうふうに皆さん自身が営業して販売して、また、自分のつながりのある保健所とか病院などで営業していらっしゃいます。本当に自分たちで稼ぐのだというプライドを持って頑張られています。
 ただ問題点として、甘いものというのは夏場なかなか売り上げが伸びないのです。それとまた、私達の製品は防腐剤等は入ってない生ものなので、保存がきかない夏場にはつらい面があるのです。7月8月はバザーも少ないですし、この時期の売り上げが少ないのを何とかならないかとみんなで考えていたのです。


 そこでEMボカシの導入が始まりました。保健所に、この7月8月の売り上げがどうにかならないかと相談しに行きましたら、環境衛生課の職員さんに「1回EMボカシというのをやってみたらどうですか」と言われまして、いったいそれは何だろうということで、隣にいる久保さんと施設の職員が勉強しに行きました。これだったらいけるのではないかということで始まりました。その後アースウォッチング堺さんと出会うことになります。
私達は作業所だけでやっていたのですけれども、市民ボランティアサークルと一緒に活動するというのはどういうことなのか、お互い分からないながら関係が始まりました。この写真は今年6月にアースウォッチング堺(アースさん)さんのお披露目会が私達の作業所であり、その時の写真です。



 ここでアースウォッチング堺さんを紹介します。1999年に発足しました。代表が鮎川佳寿子さんです。ボランティアグループに所属していた鮎川さんが堺市の衛生監視員からEMボカシについてお聞きになったのがきっかけです。それまでは市の生ごみ処理問題について疑問を感じていた鮎川さんですけれども、先程の保健衛生監視員の方からEM生ごみ処理を聞いたことで、「これだったら、私たち一人一人の思いでできる」ということで始められました。主婦7人から始めたグループで、現在は参加者の農地と会員数30名で広がっています。


 アースさんの始まりは、初めは大阪府立大学での実験農場の開墾から始まりました。その時の写真です。家庭の主婦が手探りで始められたそうです。一番下の写真がキャベツです。初めてできたキャベツに皆さん感動されたそうです。
 ただ、この大学という研究機関と一緒に活動していたのですけれども、行政の構造改革のあおりで、大学側から「同じ研究活動を行うのだからアースからも出資を」という申し入れがきたそうです。市民サークルが そのような資金を捻出できるわけもなく、残念ながら畑を移転をすることになりました。



 これからどうしていこうということで、やはり地域に、一人一人に啓蒙していかなくてはと、生ごみリサイクル研究会として活動を始められました。学習会や講演会を企画してどんどん仲間を増やしていきます。それと同時に、新たに農地がどこかないか探すためメンバーが東奔西走をされていたそうです。一番下が、そのときの写真です。


 その結果2000年に辻之サンセットファーム、辻之と言う所で夕日のきれいな農場です。2001年にコミュニティー農園石原、2002年に大庭寺農場と、三つの農場をお借りになられました。この三つは堺市にあります。その地域、地域でご近所の方が耕せるように、働けるようにとされています。ここでうちのボカシが使われているわけです。
本当にEMボカシというのはいい商品であるということをなかなか言ってもよく理解していただけない。やはり作業所で作るのは作っても、どうやって販売していくのかというのは大きな問題なのですが、私達は幸運なことにアースさんがこの三つの農場を持っていただいているおかげで定期的に月100袋を買っていただいています。非常にありがたい話です。ここで私たちが継続してEMボカシ製造を始めることができたということです。



 2003年4月から新たな展開を見せるのですけれども、「アースウォッチング堺」と並んで「ザ・アース堺」が発足しました。高齢者中心のグループで、生きがい作りとして、EM活性液の製造・販売を目的として活動を始めたのです。麦の会第二作業所の中にEM百倍利器を設置し、作業所の隣に「ザ・アース堺」と、「アースウォッチング堺」の両方の事務所を構えていただきました。ここでも本当に密着した関係で麦の会とアースさんとが一緒に活動できることになりました。この百倍利器も高齢者の福祉を目的とするということで、市の助成金で買われたそうです。


 これが2003年4月からそれぞれ始まって、左の写真が麦の会第二作業所の玄関の写真です。見ていただいた通り非常に古い、明治時代からの建物です。左の写真の左側にEMボカシの看板が下がっています。真ん中に第二作業所という看板があって、その下にケーキの看板があります。本当に今まで作業所とメンバー、通所者、職員だけで固まっていたのが、アースさんが入ってきていただいたおかげで、うちの通所者の方々が「どないでっか」、「元気ですか」、「やってまっか」という声の掛け合いが生まれ、そこから開かれた外へ出ていく環境になってきたと思います。



 本当に作業所だけでお菓子を作っていればこの様な広がりはなかったと思います。岸和田市の消費生活研究会さんが、バスをチャーターし30人〜40人ぐらいで来られました。私達通所者の方はボカシだけ作っていたのですけれども、「EMボカシはどうやって作るのですか」と皆さんがメモを片手に聞かれて、「こんなことをしてはるのですか。すごいですね」と言われました。皆さんちょっと舞い上がってしまい、俺らはすごいことをやっているのだなと思ったようです。
 その下の写真が、岸和田市の消費生活研究会さんが農地で見学、アースさんが解説している写真です。この前もEMボカシネットワーク名誉会長比嘉節子さんが来ていただきまして、「比嘉さんが来た。すごい活動だって。何かおいらはすごいらしいぞ」と、皆さん自信を持ってきました。本当に自信を持つというのが大切なことで、いったん自信を失っておられる人たちばかりですから、自分たちがやっていることというのは社会に意味があるのだ、ということが非常に皆さんの勇気になって、生きる力になるのです。
 


 ボカシだけ買いに来られた人が「お菓子も作っているのですか。中途障害って何ですか」ということから、またつながっていくわけです。それでまたアースさんが作業所に出入りしてくれるのです。作業所というのは、障害者の人が通っているというと近所の人から少し敬遠されるのです。それがアースさんのメンバーの方が、失礼ですけど自分たちと同じように一般のおばちゃんとかおっちゃんとかだったら、「私たちと同じような人が出入りしている」ということで、非常に親近感を持っていただけるということです。
 おかげさまで作業所は、アースさんのおかげでいろいろな方たちが来て、ボカシ見学に来たついでにケーキもどんどん買ってくれます。おかげでボカシの販売収入も安定し、軌道に乗っている状態です。下の写真がバザーなどでも作業所とアースウォッチング堺が共に地域の皆さんに販売をアピールしています。ボカシを売りながら横でケーキを売って、ケーキを売りながら横でボカシを売ってというかんじでやっております。


 これからの夢として、自分たちが作ったEMボカシでアースさんが野菜を作る。この野菜でケーキができないだろうかと今考えています。ニンジンケーキを考えているのですけれども、「これもうちの農場で取れたニンジンやで」と持ってきてくれたのですけれども、これが恒久的にずっと続けられたらいいなと思っているのです。今後は、やはり自分たちの手で野菜を育てたいというのが皆さんの夢です。身体に障害を持ってらっしゃいますので、畝の中に入っていくとか、植物の世話をするのがどのようにできるのか、これからアースさんと一緒に取り組めたらと思っております。それでは実際の作業風景を久保さんに解説していただきたいと思います。


久保:
 久保と申します。よろしくお願いします。EMボカシの作り方の流れをご説明したいのですけれども、脳梗塞で障害が残っているので、話が分かりにくい点もあると思いますけれども、よろしくお願いします。
 この方は両手使えるので、EM希釈液を作っていただいているところです。


 これは私たちが別に計量しまして、向かって右側に混ぜているところです。EMのにおいが脳に良いというお話を聞いておりますので、混ぜながらそのにおいを嗅ぐということを意識的に行っています。


 これはEMボカシを混ぜて、発泡スチロールに詰めているところです。


 下は密閉して発酵するように倉庫に入れるところです。


 これは倉庫から出してきて、生のボカシを乾燥するところです。


 これは乾燥したものを袋詰めするところです。これは二人一組で袋詰めしています。


 これは袋詰めしてシールと製造年月日を張って、きちんと倉庫に入れるところです。

泉谷:
  ということで、皆さんの表情を見ていただいたら分かりますけれども、明るく元気にされています。先程の袋詰めされているのに、「手作りのスコップを使っています」と書いていましたけれども、あれも通所者の方が自分で休みの日にスコップを作ってきて、「これやったらいけるやろ」と言って作ってこられたのです。本当に皆さん自身が作業に対して、このEMに対して私たちの作業をどうやっていったらいいようになるだろうということを熱心に考えてらっしゃいます。
 ですから、これから本当にアースさんと一緒に地域に声を広げていけたらと思っております。以上です。
 
永田:
 泉谷さん、久保さんありがとうございました。地域ボランティアと福祉施設がこのように密接な関係をもちながら活動を進めていくというのは本当に数少ないと思います。良いモデルとして今後も情報を発信し続けて下さい。
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