EMフェスタ2003 > 専門分科会

片寄:
 それでは3件の事例が全て終わりましたので、これから質疑応答を始めます。

質問(1):

 河原さんにお聞きしますけれども、この浄化槽の値段は大体幾らぐらいするのでしょうか?

河原:
 この現在一番新しい大きなタイプですね?これは30万円です。設置費用は別途になります。

質問(1):
設置費用は条件によってまた変わってくるのですね?


河原:
 そうなります。

質問(2):
私も浄化槽からでる放流水は勿体ないなと思いまして、できれば畑の中に撒きたいなと思っているのですが、その水というのは直接畑に入れるときに葉面散布なんかはできないかとは思うのですが、これはできますでしょうか?

菅原:
 処理水は基本的に霞ヶ浦に流れていくのですが、我々の場合はゴルフ場の中の池を通って場外へ流しています。今のところ、水を直接引き抜いて散布するということは施設上できない状態にありますので、汚泥だけの利用になっております。ただ、これとは別なのですが排水でなく、EM活性液の薄めた液をスプリンクラーを使用して、コースの全面に撒いております。その効果というのは根の発育が良いとか病気になりづらいなどといったところに結びついております。まだ、排水の利用という点についてはまだ出来ない状態にあるので、データを持ち合わせておりません。


片寄:
 土、根っこに入れる場合と、葉面散布の場合は多少条件が変わってくるかもしれないです。先程の菅原さんのところの浄化のレベル、それから河原さんのところの浄化のレベルがありました、BODが約5ppm以下の5、4、3ppm位の状態になっていれば、葉面散布も問題は無いかと思われます。ただ、BODが20ppmとか30ppmなどになってきますと、葉っぱに直接かかることによってですね、その有機物が他のものと化合していく可能性がありますので、浄化のレベルに関係してくると思います。土の方が中にいる微生物の数も、より多いので直接色々な弊害が出てこない。いわゆるバッファ作用を土は持っていますので、土の方はより安全性が高いと言えます。
 この辺は、最後にまとめのところでお話ししようと思っている内容とも兼ね合いがあったのですが、葉面散布までは触れる予定ではなかったのですが、水の持つ性質にからめてお話しをしようと思っていました。

質問(3):
 韓国から来ました金と申します。河原さんにお聞きしたいのですが。何度も何度も試行錯誤をして開発されたとのことですが、その開発談のようなことや、BODなどいい数字が出なかったときの対策談なんかをお聞かせ頂けたらと思います。もう一つですね窒素のレベルについてですね、良く下がったのかお伺いしたいのですが?

河原:
 現在の装置が7回目ということで、それぞれに改善を行ってきたわけですが、ご質問はあくまでも最終的な処理水の状態のことですよね?だいたい匂いから始まりまして、水の色、汚泥の具合、SSも含めましてそのようなことで判断出来ます。また開発しているうちにあれも試してみたい、これも試してみたいと、色々でてくるわけです。私は、どちらかといえば完璧主義ですので徹底的に行いたいのです。ですから、結果的にBODや窒素、リンも下げることができたということです。じつは、最初から計算尽くでおこなった訳じゃ無いのです。
質問(3):
私が理解出来ていないのは水の流れなのですけれど、水を真ん中のところで曝気ゾーンへ入れて、次の嫌気ゾーンに行きますよね、これは下からいくのですか?それとも上からいくのでしょうか?

河原:
 下です。
質問(3):
もうひとつ、この工程の時の作業時間によって、結果が変わってくるのでしょうか?また曝気する部分は底の方でしょうか?

河原:
 底の部分で曝気しています。A層は強めにしまして、B層は弱めにしていますどちらも連続です。これはいい質問なのですが、一番下に穴が空いていまして、こちらの部分に汚泥が溜まるという話しをしましたよね。ここに溜まっている汚泥が、こちら側から水が入ってきますと圧力でもって押し出されますから、ここで渦を巻くようになります。渦を巻いて水が止まりますと沈静化します。そしてまた水が入ってきますとこちらから出ていきます。その時にこの汚泥が、行ったり来たりしている状態になります。溜まった状態が、さらにここで曝気しますので流れとしては上に流れるようになります。ですからここの汚泥が中に引き込まれる、つまり中に汚泥が溜まらないというのはコレなのだと考えています。ここで汚泥が行ったり来たりしている。そして降りた汚泥が巻かれてそれが微生物で分解されてまた出てきて、沈静化されたものが落ちる。このような繰り返しが、常にEMに浄化されているのではないかと、私は思います。

片寄:
 先程リンの質問もあったのですが、EMを長く使用していきますと浄化槽の中のポリリン酸蓄積菌というものが、リンを自分の細胞の中に取り込んで行くのですが、取り込んでその嫌気の世界になりますと本来ポリリン酸蓄積菌、自分が環境で生きようとするには自分が細胞の中に取り込んだリンを放出して、自分が生きていく為の栄養分を変わりに入れていくのです。ですから、長く置いておくとかならずリンは水中に溶出していくのです。結果として処理水に出てくる。ところがEMを長く使って行きますとこのポリリン酸蓄積菌が、嫌気状態になりまして、リンを放出しにくい状態になってくる。ちなみにこの様な調査はしたことがあまりないので、ほとんど資料が無いのですが、私が以前調べたことがあるのですが、通常の下水の活性汚泥、あれを1時間定置しておきますと、1時間で10%のリンを放出するのです。ところがEMをぐるぐるぐるぐる回していった、汚泥に匂いもない浄化槽の汚泥というのは、実は48時間放置しておいて7.3%しか放出をしないのですよ。何故48時間という話しになるかというと、たまたま私は48時間しか追跡してなかったのです。その実験の後で通常の汚泥が放出する量というのは1時間で10%であると知ったのです。
 そういったことで、EMを使っていきますとリンもなかなか放出しにくい。それともう一つ光合成細菌の密度も高くなってくるでしょうから、光合成細菌自体は嫌気環境というのは自分の生息環境ですから、光合成細菌もポリリン酸蓄積菌としてリンを取り込んで、嫌気環境というのは決して悪いところじゃ無いのです。リンを取り込んで、離さない、だから交互作用菌の密度が高くなれば嫌気環境でもリンを放出しないと言えると思うのです。

質問(4):
 沖縄のトモリと申します。河原さんにお伺いしたいのですが、浄化槽の前処理といいますと、もちろん汚水もそうですけれども、家庭の生活排水も入ってくると思うのですが、そうなると相当な量の水が入ると思うのです。その1日での処理能力というのは、どれくらいになるのでしょうか?それともう1点、そちらでテストされていますEM活性液と米のとぎ汁EM発酵液の利用料は、1日どれくらいになるのでしょうか?その辺をお伺いしたいと思います。

河原:
 水の量なのですが、合併処理浄化槽の場合は多いですね。先程のデータにありましたように合併処理浄化槽でも単独処理浄化槽でもほとんど変わらないということになっています。合併処理浄化槽の場合はEMの量が、大体コップ2杯(400〜500c)くらいを入れてもらっています。単独処理浄化槽の場合は200ccから、浄化槽の大きさによっても変わってきますが300ccぐらいです。大体、コップ1〜2杯いれてくださいと、これくらいが基本です。


片寄:
 最初の河原さんの事例の時に、実は浄化機能不全で藪を枯らす放流水だったと、これを憶えておいてくださいというお話しをしました。
 藪を枯らす放流水というのは、先程河原さんのお話にもあったのですが、あれは実は分離曝気という方法の単独処理浄化槽なのです。単独処理浄化槽の分離曝気というのは、放流→沈殿放流で行くのです。沈殿分離槽でのBODの除去率が30%を見ているのです。ですから汚水が入ってきて、ここで30%除去されて、次の曝気槽に入っていくという方法になるのです。分離曝気の単独処理浄化槽はBODで260ppm、これで入ってくるようになっているのです。そこから30%をカットされますから、曝気槽に入っていくときは180ppmになるのです。この場合の曝気槽というのは、BODの除去率が50%は見ることができるのです。そうすると放流時で90ppm。これが普通の機能を持った浄化槽なのです。ところが、藪を枯らすということになりますと、このBOD260ppmで入ってきまして、多少は沈殿分離と、多少は曝気されたかもしれない。せいぜい推測すると流入から放流までの間で、総BOD除去が20〜30%くらいしかカット出来ていないのであろう。通常ですと入り口から最後のところまでの間で、BODの除去率が65%になるのです。入りが260ppmに対して60%カットの機能があればこれは90になるのです。ですが、藪を枯らすということになりますと、流入から放流まででせいぜい20〜30%しかカット出来ていないであろう。そのような事になりますと、想定なのですが180〜200ppmというBODで出ていった結果、藪を枯らす結果になったと思われます。これで藪を枯らす放流水の水質が推測できたわけです。これは当然EMを使用する前なのでEM無しなのです。藪を枯らすBODが180〜200ppmなのです。
 それで実は、3番目の事例、梁さんがご紹介になった事例なのですが。農業に使う潅漑用水。CODで規定され、300ppmとなっていました。COD 300ppmというのはBOD換算しますと200ppmくらいなのです。梁さんは、EM処理を施してありますので、EM有りなのですよ。私たちはいつもBODの値で見ていくのですが、BOD値が低いから水が綺麗なのだと、BOD値が高いからこの水は汚れているという、そういう判断しか出来ないのです。EM無しで藪を枯らす放流水がBOD値200ppm、EM有りで作物を増収する放流水がBOD 200ppmです。藪を枯らす水の方は、実は腐敗を促進する有機質なのです。こちらの梁さんの事例は、腐敗を抑制して安全な有機質なのです。質が違うということなのです。この違いをご理解して欲しいと思うわけです。
 あと、日本においても、下水道に隣接している農業用地で、その農業用地に水がない、非常に不足しています。それから有機質が不足して、土がカチカチになってしまって作物がなかなか獲れない、というような農地が結構あるのです。そのようなところの行政はですね、何を考えるのかというと、現在の下水道放流水を更に浄化のレベルを上げて、お金を賭けてより高度な処理をかけて浄化のレベルを上げないと水が使えないと考えるのです。ですが、農業利用を前提で考えたら、そこまで浄化のレベルを上げる必要は無いということです。ですから先程の作物を増収させる能力、EMの作りだした生理活性物質、抗酸化物質、色々な微生物が作りだした代謝産物が入っているわけです。ですから作物を増収させることができる。
 今、地球温暖化による異常気象、それによって水資源が不足して、有機質が不足してなかなか作物が獲れないという、そういう農地がたくさんあります。そういう現状、危機に直面している行政、国がたくさんあります。EMを水処理に投入することによって、臭気の無い汚泥というのは非常に良い肥料になるわけです。それから浄化された水は水循環を担っていくわけで、そして残存する有機物は、液状となって農地を潤してゆく。私たち水処理をする人間は、いつも水処理の枠内だけでその効果の出現を考えていくのですが、そういう意味ではこのEMの及ぼす効果、これを広い視野で考えて、決して水処理の枠内だけでなく、その水処理にEMを投入する意味の理解を、是非深めて頂けたらと思います。

今日は本当にどうもありがとうございました。

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 [コーディネーター

  片寄 滋(かたよせ しげる) EM研究機構 

 プロフィール:
  昭和26年秋田県北秋田郡比内町生まれ、青森市出身
  昭和48年大東文化大学経済学部経済学科卒業
  昭和52年麻布公衆衛生短期大学環境衛生学科卒業
  (株)ヤマハ、(株)ヤマハリゾートを経て平成12年(株)EM研究機構に入社し、現在に至る
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