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EMフェスタ2003 専門分科会
■ EMを用いた汚水浄化装置マシコクリーンによる浄化槽処理水の品質向上とその可能性
河原 弘道(かわはら ひろみち) (有)レックEM益子(代表取締役)

プロフィール:
(有)レックEM益子(代表取締役)
昭和22年3月栃木県生まれ。専修大学松戸高等学校卒業後、
三井金属(株)を経て、陶芸の道に入る(益子焼河原窯元を設立)。
平成14年(有)レックEM益子を設立し、現在に至る。

河原:
 河原でございます。今日は、浄化槽の処理水の品質改善、それと今後の可能性を発表させていただきます。
 益子から参りました、益子と言いますと益子焼きで特に沖縄と益子は、深いつながりがございます。
 これからご紹介します装置は、環境活動から生まれました装置です。
 私たちの住んでいる地域に、ゴミ焼却場がございます。私たちの自治会はダイオキシンだとか排水の汚染など、非常に不安でたまりませんでした。その中から、被害意識だけを見ていては、ゴミ問題あるいは環境問題は解決しないと、自分達でゴミを出す側で何か活動しなくてはいけないということで、自治会の中に環境部会というものをつくりました。それでEMを活用した生ゴミ堆肥づくりが始まったわけです。今では、自治会の事業の一環として行っております。


 浄化槽をもっと綺麗にしたいという思いから、浄化槽前処理装置を開発、名称は「益子クリーン」と言います。最大の特徴は、浄化槽内に汚泥を発生させないで水を飛躍的に浄化する。現在その浄化槽で、金魚がたくさん泳いでいます。


 私はひょんなことから、浄化槽の中を毎日覗くようになりました。私は、浄化槽のことはサッパリ分からなかったのですが、素朴な疑問が涌いてきました。「なぜ、浄化槽にはカスがこんなに浮くのだろう?」。専門家に聞けば聞くほど、「河原さん、これで良いのですよと、良い水が次の層に行くわけですから、この貯まったカスは汲み取れば良いのです。」というお話しだった。私は、どうしても納得が行きませんでした。
 それで、貯まらないようにするにはどういう方法があるのだろうか?そして今から6年前、EMと出合いました。生ゴミ発酵液を流した訳です。それから米のとぎ汁EM発酵液も流しました。そうしましたら、今までカスが浮いてしょうがなかった浄化槽が、カスが浮かなくなり、水も改善してきたということで、私は喜んで色々なところで話しをしました。
 タウン誌にも載りまして、みなさんEMを流し始めたわけです。そうしましたら、ある奥さんから電話がありまして、「流しているのですが改善しませんよ」と、「いや、そのようなことは有りません。私の所は綺麗になりましたから」と、言いました。そしたら、「じゃあ、どうしたら良いのか?」ということで、私はその浄化槽を見に行きました。そうしましたら型が違うのですね、私が使用している浄化槽の型と、奥さんが使用している浄化槽の型は違うのです。
 それで、なんとかEMを流して解決を図ろうとしたのですが、難しかった。これでは装置を開発しなければ、解決できないなということで、装置を考え出しました。
 その奥さんの浄化槽はですね、単独処理浄化槽でした。極端に浄化が悪く、すごい悪臭でした。それと浄化槽の中に汚物が固まってしまうのです。それで、汲み取るときに水を入れて、崩して汲み取っていて、年に3回、汲み取っているのです。
 その処理しきれない廃水が、浸透マスで竹藪に流れ込んでいるのです、農家で、広い敷地で田舎なものですから。そして竹藪の先に田圃があるのですが、その竹が枯れまして、広い田圃が一望できるようになってしまいまして、私は非常に驚きました。
 そして、これは何とかしてあげなくてはいけないということで、試行錯誤がはじまったわけです。


 この浄化槽の中、槽の中に何かを入れて解決したいなという、7年間眺めましてそうした発想がありまして、色々と図面を書きまして、比較的早い時期にこの装置の形は出来ました。原点はバケツなのです。バケツを買ってきまして、この様に2つ重ねまして、中に塩ビパイプを入れまして中に曝気をしました。そうしましたところ、これまで酷い状態だった浄化槽が、臭いもだいぶ少なくなり、固まり状のものが無くなって、サラサラの水になったのです。ただ、完全ではありません。でも、もの凄く良くなったのです。そちらのお宅の奥さんも旦那さんも、「河原さん、もうこれで良いですよ」と言うのですね。ですが私はこれでは納得せずに、次から次へと、もう7回改造をしています。
 今現在この装置を量産して事業として行っております。
 このように単にこのバケツの発想が、酷い状況下を改善したということです。この装置にしましたら金魚が飼えるほど改善いたしまして、周りからとても喜ばれております。
 この装置を埋め込みますと、こういう状態になります。前処理装置で前処理をしまして、処理をした廃水が浄化槽に入ります。ですから、この装置で前処理しますから、浄化槽に負担がかからない。負荷がかからないということでスカムと汚泥が発生しない。BOD、SS、窒素、リン、これらも非常に微量で、ほとんど出ない状態です。BODが合併処理浄化槽で5ppm前後です。そして単独処理浄化槽は、この装置を設置する前は100ppmですが設置後は10ppm以下、平均すると6〜7ppmぐらいです。

 今度、宇都宮大学の嘉木教授と共同研究して理論化するという話しになっています。槽の中で曝気をします。ブロワーで空気を送り込むわけです。ここでは好気性の微生物が働き、有機物あるいは汚物を破砕するということです。それで次にまた水が入りまして、その圧力で外に出ます。


 外に出たものは、多少は貯まりますが全部は貯まりません。この1層目、A層・B層とあるのですが、これが一組なのです。ここのA層というのは、ほとんどが細かいです。ここまできますと、味噌汁を澄ますと下に貯まるあのくらいの状態です。ここの外側の色は黄色いのですが、最後へ来るともう透明です。
 それで次に入ります。ここに汚泥が5〜6cmあるだけです。これが2年間続いています。つまりほとんど貯まらないということになります。ですからSSも少ないということです。


 色々な効果がございます。
 汚泥の抜き取りがほとんど要らないということになります。今、3年経っているところも抜いておりません。


 これはですね、その装置の改造をしていく課程時の写真です。


 これほど汚かったのが、益子クリーンを付けたとたんグーンと下がって、こういう状態です。これは、単独処理浄化槽です。単独処理浄化槽でBOD20ppm以下、だいたい平均すると10ppm位です。良いのは4.3ppmがでました。


 これは合併処理浄化槽です。合併処理浄化槽の基準はBOD20ppmなのですが、ほとんどは10ppmくらいです。


 水を採ってみました。左は単独処理浄化槽の放流水です。透明ではなく黄ばんでいるのですが、非常に綺麗です。臭いもなければSSも少ないです。それから真ん中は合併処理浄化槽の放流水です。非常に透明度が高いです。BODを測るときに透視度を測っているのですが、ほとんどが30以上です。それから私たち自治会公民館にも益子クリーンを設置しております。右はその単独処理浄化槽の放流水なのですが、家庭よりも使用頻度が低いということもありますが、非常に綺麗です。


 装置内では金魚が元気に泳いでおります。


 こちらが今後の目標と可能性です。単独処理浄化槽の合併化、風呂、台所そういった水も引けます。それには流量調整層も必要になります。それから中水の有効利用です。大きな仮題なのですが、ディスポーザーによる生ゴミ処理に是非取り組みたいと思います。それと畜産の屎尿処理、現在これも数社と話し合いをしております。それから池のヘドロ分解、そして大きな浄化槽、これは清掃費が莫大にかかりますので、益子クリーンを付けてほしいと、いろいろな公共施設や自治体に進めております。


片寄:
 この益子クリーンの発想がEMの水処理の原点なのですけれども、実は有機物には、水とそれから沈殿するもの、2通りあるのです。EMの水処理の原点というのは、この沈むものをその場に置いて水だけ処理ということでやっているのです。水だけ通常の浄化をさせてそれをまた前段にフィードバックしてあげるのです。その前段にフィードバックさせた、沈殿物のあるところは、嫌気、微好気ですから、発酵分解がはじまるのです。いわゆる有用発酵分解が始まるのです。そういう意味では益子クリーンさんの考え方、一つのスペースの中に好気と嫌気と微好気、この3つを上手に入れこんでいるということで非常に面白い発想です。最初に、ベースにあるのは有用発酵分解です。そのような環境を作るということが大切なのです。沈殿分離槽を使うのには、スペースがすごく必要になるのです。スペースが無い場合にはなかなか機能が果たせない場合があるのですが、この益子クリーンの場合は省スペースでそういう環境を作っていることで、非常に発想がすばらしいと思います。
 従来の浄化槽ですと、沈殿分離槽がありまして、次に曝気槽がありまして、最後に沈殿分離槽です。それで放流するのですけども、このままですと汚泥が貯まっていくのです。最近の浄化槽は最初に嫌気ろ床と言いまして、嫌気の生物幕を張らせるものを作りだしたのです。それで次の工程に水を送ってやるという考え方なのです。嫌気性接触沈殿法というのは、最初の段階で曝気をかける方法なのです。30分に約3秒、1時間に約15秒、これはまだ研究段階なのです。この30分で3秒、1時間で15秒撹拌してあげると、ここの嫌気性汚泥の沈降が良くなるそうです。沈降性が良くなるのと同時にこの中での汚泥転換率が、嫌気ろ床で汚泥転換率が39%となります。これだけ嫌気ろ床でも汚泥が出てくるということになります。この嫌気性接触沈殿法は汚泥転換率26%しかない。
 こういうことが今既存の浄化槽メーカーで研究されて、まだ表には正式に製品としては出ていないのですが、研究されている方法です。これからは浄化槽に入るその前段で撹拌をしてやる、というのが主流になってくるのかもしれません。
 先ほどの益子クリーンの放流水は、水資源として、水循環の役割を担っていけるだけの水のレベルです。
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