EMフェスタ2003
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西渕:
3人のパネリストの方々に様々な立場から、発表をいただきました。EMの事例に関しましては、水質浄化、有機資源のリサイクル、害虫対策、有機農業など、個々に付きましては、既にかなりのモデルがあります。今問題になっているのは、これをいかに広く伝えていって、そして実行に移していくかというシステム作りの問題だと思いますけれども、それぞれのお立場からその辺について伺います。
初めに、柳川市の田中さんに伺いますけれども、EM活性液の全戸配布をして協力を頂くというのはかなりの苦労があった部分だと思います。これに取り組んだことによって職員の方、また市民の方々の意識の変化などはあったでしょうか?
田中:
小さいことを言えば私たちも同じですけれども、川を観察するようになったとか、ゴミを川に捨てない、掘割に捨てない、そのようなことが実際EMに取り組んだ結果によりまして出てきたと思います。それから私、昨年まで教育委員会におりましたので、教育委員会の方で昨年小中学生と柳川市とで50周年の記念式典がございましたので、50の提言として作文を募集致しました。その時に小中学生が書いた作文の内容を見ますと、柳川市では7割が掘割をなんとかしたいという願いの作文が多い状況でございました。それで私たちEMプロジェクトが、今目指しているものとしましては、とにかく生活環境を改善することが、地域の環境を改善、ひいては有明海の環境改善になるということで、期待しているところでございます。そのために今後は、柳川市だけではなくて特に柳川市は下流にありますので、地域の上流の市町村を巻き込んだようなことをしていかなければと考えております。
またそのことが、洗剤の使用、消毒や農薬などの使用の減少、そのようなことで自然の生態系を崩さずに浄化能力をアップさせることにより有明海の再生、これが最終的な目的でございます。そのためにはこのEMの導入が、生活環境改善の一端を担ってくれていると考えるところでございます。
西渕:
ありがとうございます。
行政の取り組みといいましても、役場の方がEMを増やして、それをただ水路に流しているということではなくて、これを実際に増やして使っているのは住民の方々です。汚染の根本であり難問である生活排水を、EMで何とかしようという形に進んでいまして、また、それをよく活用できるように、役場の方が勉強会などの体制作りをしているというところが、意識の変化までもたらし始めているという非常にモデル的な取組みであると思います。
そして、住民の立場から取り組んでいらっしゃる、U-ネットの佐藤さんに伺いますけれども、住民の立場から、自分でEMを使ってみていいなと思っても、次にそれを地域の環境運動につなげるに当たっては、苦労した部分があるのではないかと思いますが、そのあたりではどうでしょうか?
佐藤:
先ほど3年間の活動を淡々とお話したのですが、そのような結果を出すまでには色々なことがあります。特に、自分達は本当にEMの良さを知って感激したり、感動したりしているので、これをもっと市などで使用してもらえないかと。柳川市のようにとても理解のある市長や行政が、そのような形でできているというのは羨ましい限りといいますか、私もとてもびっくりしています。しかしやはり、現実はそうではなくて、私たち主婦がそのような話をするには、理解を頂くのは本当に大変です。具体的には、お堀に関して言いますと、一度平成9年にEMをやって失敗しています。何が失敗だったかというと、投入量が全然少なかったんです。一度うまくいかなかったものを市に分かっていただくには相当の根性がないと難しかったわけです。そして、「そんなに言うならやってみろ」という感じでやることになりましたから失敗できないですね。背水の陣で望むというような思いがありました。
初年度はそのようなことがありましたし、一ノ倉邸も盛岡市の保護庭園なので、私たちボランティアとしては、市の保護するべきものをボランティア住民の力できれいにするんだ、という思いで朝の6時に行きましたら、町内会長さんに農薬か何かと勘違いされていて、一歩も通さないと言われ、怒鳴られたりで、本当に何をやっているのだろうと思うこともありました。
本当にコミュニケーションを取りながら、理解していただくというところが何よりも一番大変な作業だったとも思います。そしてもうひとつは、平泉無量光陰跡の松のことです。史跡の松を助けたいという、純粋な思いなのですが、林業技術センターという県の機関に行きますと、プロの方がたくさんいらっしゃって、私たちはEMに対し少しは分かってはいるけれど、そこは農薬でやるんだという考えで、私たちは松をEMで助けたいんだと言っても、全然話が噛み合わない訳です。そういうところで、それでもやりたいという思いだけだと思うのです。今後、皆さんがEMを使って地域の環境を保全していきたいと思っても、敵はどこにいるか分からないというか、戦いではないですが、そういうところだと思うので、やっぱりがんばってこれたのは、信念と本当に仲間内での励ましあい、これにつきます。
それでは具体的に、今のような障害があったときにどのようにしたのかと言うと、真っ当に行ってだめなら横からというように、知恵を出しながら行くのです。無量光院に関しては、本当に理解していただけなくて、方針も決まっていると言われたので、岩手県知事に上から言ってもらうというような苦肉の策をし、鶴の一声をやっていただくというようなことをやりました。
西渕:
結果的にはどのような事例も紹介のように成功を収めたのですが、その後は、理解を頂けなかった方など、住民の方々の反応などはいかがでしょうか?
佐藤:
一ノ倉邸の時に一歩も通さないと言っていた住民の方も、2回目3回目の投入の時は、「おらほの庭さも撒いてけろ」と言うんですね。やっぱり、その良さが分かってすっかり変わってきていることはあります。
西渕:
成果が出て、理解もしていただけたと言うことですね。
佐藤:
はい、そうですね。
西渕:
ありがとうございます。
東谷さんの場合にはご職業、クリーニング業に活用されているということですが、一般の方々にもEMの効果的な使用方法などをお店などでお知らせしたりもされているのでしょうか?
東谷:
そうですね。私たちの町は、あまり行政が乗り気ではないので、小さな団体があちらこちらで独自でやっているような形です。私たちも店頭にパネルでEMクリーニングとはどのようなものか、というのは展示してありますし、また関心を持たれた方には私たちの本を見せながらお話をしたりしています。
西渕:
それを実際に活用されている方も、米のとぎ汁EM発酵液を作ってやっていられる方も増えていると言うことですね。やっぱりプロの方がこのようにやった方が良いと、実績をもって説明してくださると、使う方も安心して、そして正しい方法で使えるということだと思います。
会場からも、パネリストの方に実践的なことで質問がありましたらどうぞ。
質問者1:
田中さんに質問があります。市が取り組んでいるということで大変興味があります。
私は、途上国のいろいろな汚水や、下水などの対策に取り組むときがあるので、その事例として大変面白いと思うのですが、大事なのは財務分析などの経済効果。特に、市の行政の中における環境保全対策費用がこれだけ安くなるなど、そのような対比をされていると思うのですが、たとえば下水道を普及されたらこれだけの費用が掛かるが、EMを使うとこれだけで済む、などという財務分析は現在なされているのでしょうか?それとも今後の課題にされているのでしょうか?
田中:
私たちは、市長のトップダウン方式でできまして、当然公共団体は、そのようなもので結局評価が出てくると思います。費用対効果などデータ的に示すなどの必要が出てくると思います。ただ、先ほども申しましたように意識の向上や、プロセスの問題などがありまして、実際そのようなことを言ってくる住民の方はいるかと思います。今は数字的なものは出してはいませんが、今後下水道が普及していくことを考えていった場合に金額的な面を示していかなければならない時期に来ているかとは思います。
質問者1:
無量光院跡ですが、確かに木がなくなると更地で何もないところですが、一本くらいEMをやらなかった木はなかったのでしょうか?一本や二本残して、対比させるというようなことは出来なかったのかも知れませんけれども・・・。
佐藤:
行ってご覧になっていただくと分かるかと思いますが、非常に隣接して生えていまして、私たちがこの情報を知ったときにはもう樹幹注入剤をやった後でした。
質問者1:
そうではなくて、EM処理をしないものを1〜2本取っておいて、その比較をすると面白かったのではないかと思って、そのようなアイデアはなかったのですか?
西渕:
私の方から説明させていただきます。全部で12本あるうち6本はEMをかけてなかったのですが、結果的には全部助かったということです。本来マツノザイセンチュウが一度検出されると、これが再検査していなくなるということは、樹幹注入剤でもありえないことです。実際にはそれがすべてなくなっているということなので、我々の解釈としては非常に近い場所で大量にEMを使っていると、その10メートル20メートルしか離れていない場所では、良い結果が出たのではないかという見方をしております。
また、樹幹注入剤というものは、副作用がありまして予防薬として使用したときに、これによって松が弱ってしまうということもあります。毛越寺の境内のほうでは、樹幹注入剤を使用したことによって、弱ってしまった松がEMを併用したことで緑が非常に鮮やかになったということも確認しています。EMが木を元気にするという効果が、樹幹注入剤の副作用も減らすという効果なども実際に確認されております。
質問者1:
ありがとうございました。
西渕:
まだお時間のほうありますのでご質問がありましたら・・・。
質問者2:
千葉で活動させて頂いているのですが、環境というと行政の協力を頂けるのが一番助かるのですが、なかなか行政のほうがEMを特別な微生物資材という見方をされまして、EMを投入することで、今ある環境の生態系を崩すという言い方をされまして、なかなかやらせて頂けないのが現状です。そのあたりの考え方や、見方次第なのでしょうが、行政サイドからEMというものが農業資材という見方をするのか、環境保全資材、またはいろいろな見方があると思いますが、どのような見方をされているのかということと、先ほどEM教室を開催されているということでしたが、指導員の方の構成や、その方々の給料等の費用がどれくらい掛かっているのかなど詳しく聞かせて頂けないかと思います。
あと、廃油石鹸の部分で、今まで通常の廃油石鹸ではpHがなかなか下がらないので、逆に環境を汚すというところがあったかと思いますが、EMを使うと10くらいまで下がるのですが、それ以上なかなかpHが下がらないのでその辺のコツなどがあれば教えていただきたいのですが。
西渕:
はい、わかりました。まず初めに田中さんのほうですが、行政としてEMについてどのような資材だと捉えていらっしゃるのかという質問でしたけれども・・・。
田中:
EMというのが、農業の土壌改良資材ということで知っていましたけれど、柳川市では一番の願いが水質環境の改善。それに何度かこれまでも取り組んできましたけれども、なかなか思うように行かなかったということがありまして、とにかく水環境の改善にこれがなんとか利用できないかということで、今、方々の面で考えております。とにかく水路を汚さない、ということを柳川市の場合はなんとかできないかと考えているところです。
西渕:
勉強会の仕組についてのご質問がありましたが、講師はどのような方で構成されているのでしょうか?
田中:
私たちがEMのEの字も知らないような状況の中で、それ以前に取り組んでいた方がいらっしゃいます。
この8名の中の2名は、現在柳川市の空き店舗を利用しましてEMショップをしています。あとは主婦の方、これもEMの講習を受けたインストラクターの方ですが、すでに私たちはまだ2年にしかなりませんが、その前にそのような方々がいらっしゃって、私たちもその方たちから反対に教えを受けました。
それから、報酬の問題などありますが、今ほかの面でも柳川市で講師の謝金を決めております。現在1時間3500円で2時間まで。1度講習に行って頂ければ、7000円を支払っております。昨年までは3000円でしたが、なかなか大変だということでそのようになりました。
西渕:
よろしいでしょうか?
EM石鹸の質問へは岩村さんがよろしいかと思いますが、pHに関してでした。これは鹸化率を安定させるための工夫に繋がってくるかと思いますが、工夫があればお知らせください。
岩村:
米のとぎ汁EM発酵液よりは、EM1の原液でやるほうがpHがとても下がりやすい、というのは感じております。研究機構でなにかコツというのは?
西渕:
米のとぎ汁EM発酵液の質が大きく関わってきます。EM1の方が良くなるということは、EM1に近いような高品質の発酵液を使えば良い石鹸になるということで、それが鹸化を安定させて、pHを下げるということになります。米のとぎ汁EM発酵液作りの際に材料や温度管理、密封、雑菌の抑制等の点で工夫をするといいと思います。
よろしいでしょうか?
それでは、環境分科会を終わりにさせていただきます。 パネリストの方々、どうもありがとうございました。
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[コーディネーター]
西渕 泰(にしぶち やすし) EM研究機構
プロフィール:
昭和52年11月18日生まれ。宮城県出身。琉球大学大学院農学研究科を修了。
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