EMフェスタ2003
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EMフェスタ2003 専門分科会
■ EMボカシの考え方・作り方
津曲 徹
(つまがり とおる) (財)自然農法国際研究開発センター 四国地区普及所
プロフィール:
昭和40年3月22日生まれ 岐阜県山県郡出身
岐阜大学工学部卒業後、土木会社を経て平成4年EM研究所入所
平成13年 現在に至る
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新谷:
2番目の発表は津曲さんです。津曲さんにボカシの考え方・作り方というテーマで発表していただきます。ボカシというのはポピュラーなのですけれど、まだまだ分からない部分があるので、分かりやすく説明をお願い致します。では津曲さん、お願いします。
津曲:
皆さんこんにちは。ご紹介いただきました財団法人自然農法国際研究開発センターからまいりました津曲と申します。現在は四国地区の方でEMによる環境浄化の活動支援と、それから農家さんへの自然農法の普及をさせていただいております。今日はよろしくお願い申し上げます。
本日は、EMボカシについて皆さんと一緒にその考え方、作り方というのをもう一度整理してみたいと思います。
また、今日は海外から沢山の方がいらしておりますけれどもけれども、現在日本ではボカシというのは「ケンキボカシ」密閉の状態で長く寝かせた状態のものを皆さん使っております。ですから海外の方で、野積みをして上からEM活性液をかけて、それをボカシと呼んでいる方は、今日のこの発表内容とはちょっと変わってくるのかも知れませんので、その辺りはご了承いただきたいと思います。
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突然ですが皆さんに質問します。皆さんがお作りになっているボカシを、このように容器に入れて、水に漬けたらどうなるでしょうか?やったことある方、どうぞ手を挙げてください。いらっしゃらないですかね。どうなると思いますか?どなたか勇気がある方いないですかね?
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ほとんどの方が、こういうことをすると腐敗するので水には漬けない、それから2〜3日で悪臭を発し始めて、腐敗し始めるのじゃないか言われるのではないかと思います。
それから農家さんであれば2型ボカシ、これは米ぬかだけではなくて魚粕とか油粕とかですね、そういうチッソ分が多い物を発酵させたものを日本では2型ボカシと呼んでいますが、そのような物の抽出液を取ろうと思って水に漬けておいて撒くのを忘れていたら、臭くて撒けなかったので捨ててしまったという経験があるのじゃないかなと思うのです。いかがです?無いですか?
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それでは1型ボカシは、皆さん生ゴミ処理にお使いになります。生ゴミ処理に使いますよね? 先程のように水に漬けて1型ボカシが腐ったらどうなるのでしょうか?
生ゴミというのは80%くらいが水分と言われています。その中に入れて、ボカシが腐るようだったら当然生ゴミボカシは腐敗しますよね?それから夏場にウジがわくのは当然ということになります。
皆さん、こういう間違いをしていませんでしょうか?それから2型ボカシ、肥料用に使うボカシですけれど、これが水に漬けて腐敗したらですね、皆さん農業のことを考えてみてください、ボカシをまいて畝立てをします。畝を作りますね。そうすると土の中に入ります。まず、最初に農家の方がやられることは何でしょう?水を撒きますよね。ということは水分に合っている状態です。そうするとどうなるでしょう?そうすると土の中でボカシが腐っているという可能性が非常に大きいということになります。皆さんEMボカシは土を発酵させるためにお使いになっていますよね?という風に、「ちょっとこれは違いませんか」ということになりますよね?ボカシの考え方が。
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これから皆さんにご提案させていただきたいのは、ボカシの品質についてなのですけれど、まずEMボカシは水に漬けても腐敗しないということを、基本に考えていただけたらどうかなと思います。今までpHとか匂いとかが、ボカシの品質を決めるための一つの尺度のように、皆さん考えていらっしゃったと思うのですが、pHとか匂いというものは非常に問題があります。また後で説明させていただきますが、そう言う意味で、まず「水に漬けても腐敗しないということをボカシの目標にしませんか?」ということを、今日は提案させていただきたいと思います。
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先程言いました、ボカシのpHのことについてなのですが。日本では山田式のpHメーターというのがございます。これはよく農家の方が、土壌のpHを測定する道具です。土に液を入れて「赤くなったらpHがいくつ」というものです。これはボカシのpH測定には不適です。この測定方法で「ウチのボカシはpHが4.5以下ですよ」と言われる方が多くいますが、これはちょっと実際のpHとは異なります。ボカシのpH測定という場合は、必ず水に希釈したその上澄みを測った値をpHというように考えていただきたいと思います。それを統一していただけたらありがたいなと思います。
それから、ここが一番問題なのですが、pH4.5以下だったら良いと皆さん覚えてらっしゃると思うのですが、材料によってpHの下がり方は違います。
それで、沍^の米ぬかボカシ、米ぬかのみを使った生ゴミ処理用に使うボカシというのは、これは非常にpHが下がり易いです。このボカシはpHが4.5以下であれば、非常に良い発酵をしてますよ、ということになります。ところが、型ボカシは、先程も言いましたように肥料的に、魚粕とか油粕とか、それからEMのすみかということで炭のような、セラミックもそうですね、そういう物を添加したものは、pHがあまり下がりません。ですから2型の合格ラインというのはpHが5.0くらいよりも下がっていれば良いということです。入っている材料によってpHの下がり具合が全然違うということを認識していただきたいと思います。
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それから、匂いについてなのですが。匂いとうと、非常にわかりづらいので、今日は先程もご紹介したように、匂いのサンプルを持ってまいりました。今から3本の試験管を、回していただきますので、是非それぞれの試験管の匂いをよく嗅いでいただいて匂いを覚えて帰っていただきたいと思います。
まずボカシの匂い基準なのですが、ボカシの中は基本的に有機酸とアルコールが結合したエステルというものが大量に発生しています。それがボカシの匂いの基になっています。このエステルの匂いを皆さん覚えていただくと「自分が作ってらっしゃるボカシが、どういう発酵をしたのか」ということがご理解いただけると思います。
発酵してできる酸には大きく分けて3つの種類があります。酢酸・乳酸・酪酸ですが、それぞれの酸にアルコールが結合したエステルを今回持ってきました。そのエステル臭の中で、まず一つ目が、酢酸エチルがあります。この匂いは皆さんがよくご存じなのがセメダインですね。セメダインの匂いがした場合は、酢酸発酵していると考えて下さい。その酢酸エチルがたくさんできている状態というのは、非常にpHが下がっていますので、ボカシは安定しているし、生ゴミの処理には非常に適しおります。しかし、本当の発酵ではないのです。
一つ飛ばして、酪酸エチルというものがございます。これはよく比嘉先生の本の中にも「酪酸発酵はいけない発酵ですよ」と出ていると思いますが、この酪酸エチルというのは、フルーツガムのようないい匂いがします。
実はこの匂いを嗅いで「いい匂いだ」と言われる方が多いんですね、その方が匂いが良いからこのボカシは良いと判断されるとちょっと困ります。ですので、今日は良く匂いを嗅いでいただいて、憶えていただきたいのです。ちなみにこのような匂いがしている場合はpHが余り下がっていません。そのようにご記憶下さい。
それから最後に乳酸エチルがあります。EMがきちんと動いて発酵すると乳酸が主体に生成されます。ボカシはこの匂いになっているはずです。この匂いは、私の表現では、青リンゴのような匂いと言っております。酪酸エチルと比べると、刺激が少ないのが特徴です。良いボカシの匂いはあまり強くない刺激がないのが良いと言えると思います。
今日はサンプルがございますので、じっくりと匂いを憶えていただけたらと思います。
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それで実際に、乳酸エチルがどんどんできているようなボカシを作るにはどうしたらいいのかということになるのです。先程言いましたように、これは嫌気ボカシの場合ですので、ご了承いただきたいのですけれども、まず水分量について。
私どもの財団で過去に水分量とpHの関係を調査しました。各水分含量によってどういうpHの下がり具合をするのかという実験です。
20%、25%、30%、40%水分が増えるにしたがって、pHがよく下がるようになっております。40%前後の水分量にすると、pHの下がりがスムーズであることが解ります。
水分量を、もう一度見直していただきたいということです。
実際作成する場合、添加する水分量としては、米ぬかの中にはだいたい10%〜15%くらいの水分が入っておりますので、それを差し引いた量、約30%の水分を添加して頂きたい。米糠30kgでしたら10Kgくらいの水を添加する量だと言うことです。
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2番目は、初期の温度を確保する。これがなかなかできていないのですが、ボカシでも活性液でもそうです。発酵というのは初期で決まってしまいます。先程、星野さんが言われていましたように、材料の中にいる常在菌に勝たせるのか、EM菌に勝たせるのか、これでいい発酵するのかしないか決まってしまいます。初期にきちっと温度をかけて、いい菌だけをどんどん増やす、それが必要になってきます。
具体的には、乳酸菌のような酸を生成する菌を一気に繁殖させるために、やはり30とか35度くらいの温度が必要になります。
そういう意味でこの時期、この冬の時期からボカシを作ると気温が低いですよね。余り好ましくないと思いますので、できれば夏の時期に、あたたかい時期にどんと作っていただきたいと思います。
いつでも加温ができる方は、発酵の初期の1週間くらい、温度を頂ければ結構ではないかと思います。
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良いボカシを作るポイントの3番目として、やはり活性が高い状態で液を使うということです。
左はEM1号と糖蜜をまぜて、すぐにボカシを作った状態 青カビが発生しています。右は事前に活性液を作ってそれでボカシを作った状態、カビが発生せずきれいに発酵しています。EMと糖蜜を混ぜても、EM1号の中というのは、眠っている菌が多いです。だからEM菌を入れたと言っても、やっぱりボカシの中の悪い菌に勝てないのです。ですから、なるべくEMの密度を上げた状態で、米ぬか等の材料と合わせる工夫をすると、より材料の中の雑菌を押さえ込んで良いボカシができるということです。
そういうことで、水代わりに活性液を使ってもらうとか、米のとぎ汁発酵液ですね、これを水代わりに使っていただいて、糖蜜を少し足していただいて、ボカシを作っていただければ非常にいい状態になるということが分かっていただけると思います。
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今言いましたように、活性が高く密度が濃い状態で作るためには、EM活性液と米のとぎ汁発酵液を事前に作ってあるというのであれば、水代わりに使っていただいて、糖蜜とEMを更に添加していただくといいものができる。活性液やとぎ汁発酵液が無い場合、EM1号と糖蜜の希釈液を、ボカシを作る2〜3日前に作成しておいて、菌を活性化させた状態で、米ぬかに合わせてあげる。そういう工夫をしていただくと、活性が高い状態でボカシが発酵できるという事になります。
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また、EMボカシの特長としては「長期間熟成することで非常に良いものができる」と、と言うことがあります。ボカシを熟成するのに空気が入いるようないい加減な状態で、保管すると、熟成になりませんので、できればこのような、タッパーのような密閉容器であるとか、こういうドラム缶ですね、プラスチックのドラム缶に直接仕込んでいただき、長い期間熟成をかけるということをしていただけたら、良いものができると思います。
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後もう一つ。水に漬けて腐敗しにくいボカシを作るためには、材料もちょっと選ばなければいけないということです。材料に注意していただきたいということです。
アルカリ側に変化する物は、あまり添加しないほうが良いですよ、ということですが、特に2型ボカシですね、魚粕とか大豆粕とかチッソ含量の高い物というのは、水に漬けて分解がかかるとアンモニアの形態になって、水の中に溶けだしてきます。
アンモニアって何ですかね?pHが高いですよね。EMボカシはpHが下がった方が良いので、上がるようなものをあまり入れると、発酵が難しくなるということです。
貝化石とか炭とかは、中にアルカリ分が入っています。石灰はカルシウムですよね?カルシウムはpHを上げるために使います。そういうものをボカシの材料に使用するとpHを上げます。
pHが上がるようなものを使用すると発酵が難しくなるということをご理解いただきたいです。入れてはいけないということではありません。難しくなりますよということです。
まとめてみますと、ボカシというのはpHを下げて、微生物を、雑菌を制御・抑制しておりますので、それと逆方向に引っ張っていくようなもの、チッソが多いようなものとか、炭とかというのは発酵を難しくします。
こういう物を入れるのであれば、発酵に十分気を付けて頂いて糖分を少し多めに入れるなどの工夫をしていただかないと、水に漬けてもなかなか腐敗しないボカシができにくいと、ご理解いただきたい。
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それから、ボカシの評価の仕方なのですが、pHの測定については、かならずボカシの浸出液のpHを測定して頂くこと 水とボカシ 5:1と呼んでいますけれど、水100ccにボカシ20gを混ぜて、その上澄みのpHを測定して頂きます。
匂いについては、作った状態のボカシの匂いを嗅いで乳酸エステルの匂いがしている。さらに水に入れて1週間放置した後の匂いも変化せず良い匂いがしている。
そういうボカシを良いと考えて頂きたい。
水の中に入れて、長く置いた物で変化していないことが第一目標と考えて頂ければボカシの品質については十分ではないかと思います。
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今日ご提案させていただいたのは。まず、ボカシというのは、水に漬けても腐敗しないというのが、良いボカシじゃないかなということです。そのボカシを作るためには40%くらいの水分で仕込む事、それから活性液のようにEMに活性のついたもので仕込んでいただく。それから温度がある時に作っていただく。なるべくチッソ分のようにアルカリ側に引っ張るようなものを入れないで作る。ということによって良い物ができるということが考えられます。
以上、ボカシの考え方・作り方についてご説明させていただきました。ありがとうございました。
新谷:
津曲さん、どうもありがとうございました。非常に面白い内容でした。私も学生達にボカシを教えていたんですが、匂いというのは個人的に差があり評価が難しいですし、かと言ってpHだけに頼って良いものかということで不安な面があったので、水に漬けて評価するという方法はわかりやすくていいですね。皆さんも自分で作られたボカシの品質を今度この方法でチェックしてみられることをお勧めします。津曲さん、一つ質問です。一週間ぼかしを水に漬けて放置する時、これは蓋をしておくのですか?それとも開けておくのですか?
津曲:
やはり蓋を開けておくと、違う菌が入り込む可能性が非常に高いので、密閉した状態で1週間置いてください。
新谷:
容器は水で満たしてしまっても良いのですか?それとも空気を残しておいた方が良いのですか?
津曲:
残しておいて結構です。残しておいた表面の状態も参考になります。ちなみに一つお伝えしておきますと、水に漬けて1日2日置いた状態で、すぐ上に白い物が張ってしまうようなボカシというのは、早く匂いが悪くなります。水に漬けてよく振って、そのままの状態で米ぬかだけがスッと沈むような、上澄みが透明で、向こう側が透けて見えるような状態のものは、非常にいい匂いがしているという傾向があります。
新谷:
ちなみに、水に漬けるとおっしゃっていましたが、これは水道水でもいいのでしょうか?
津曲:
本当でしたら、普通の井戸水のようなもので、雑菌がいないものがいいと思うのですが、手に入らない環境が多いと思いますので水道水で結構だと思います。
新谷:
それで室温に置いておけば良いのですね?
津曲:
はい。
新谷:
それから、この匂いというのは言葉で表現するのが難しいので、今回のように、試験管にいれた乳酸エチルとか匂いのサンプルを皆さんに実際に嗅いでもらい、良いぼかしの匂いや酪酸の匂いを教えるというのは、普及指導の手段として素晴らしいと思うのですが、こういった匂いの薬品サンプルは、一般の方でも簡単に買えるのですか?
津曲:
私も実験室の方へ頼みましたので、簡単に入手できるかどうかは分かりません。今度確認してみます
新谷:
これらの試薬は安全なものですか?
津曲:
体にはよくありません。でも、ずうっと吸い続けなければ大丈夫です。
新谷:
どうも津曲さん、ありがとうございました。
(拍手)
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