EMフェスタ2003
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EMフェスタ2003 専門分科会
■ 「ミャンマーにおけるEM技術を利用した大規模水稲栽培」
谷木 伸行(たにき のぶゆき) アジア太平洋自然農法ネットワーク(アプナン)
プロフィール:
1973年2月6日 香川県さぬき市生まれ
香川大学農学部農業生産学科卒業
1997年〜98年 香川県立農業大学校嘱託職員(果樹コース助手)
1998年〜 (財)自然農法国際研究開発センター
1999年〜 APNAN事務所出向 現在に至る
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谷木
ありがとうございます。
みなさんはじめまして。東南アジア地域を中心に、現在EM技術と自然農法の普及を進めております、アジア・太平洋自然農法ネットワークの谷木と申します。本日は、私共が進めてまいりましたミャンマーでの普及状況に関しまして、EM技術を利用した大規模水稲栽培について発表させていただきます。
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1989年にタイで第1回救世自然農法国際会議が開催されました。この会議においてEM技術の開発者の比嘉照夫琉球大学農学部教授からEM技術が世界に向けて紹介されました。この会議には、各国から科学者や農学者他、政府関係者が参加しておりました。ミャンマーからはイエジン農学大学の先生方が参加されており、後にこの先生方によってEM技術と自然農法がミャンマーに導入されることになりました。
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イエジン農学大学での水稲の試験栽培で、EMの有効性が認められ、1992年12月、ミャンマー政府との間で普及に関する合意書を結び、本格的な普及が始まりました。現在は、第3次の合意書が今年1月に調印され、更なる普及が進められております。
現在ミャンマーにおける普及を担当しているのは農業潅漑省のミャンマー農業サービスという部署です。この部署は、主に水稲やマメ科作物等の基幹作物に関する技術普及や資材供給を行っている部署です。EM技術の普及を主に担っているのはこの部署の普及部です。
この他、中央農業調査研究所では、本格的な普及開始後もEMを利用した水稲栽培に関する調査研究が継続的に行われております。また中央農業研究訓練センターではEM技術に関する研修会が定期的に開催され、人材育成も進められております。同センターでは、2000年度の雨期水稲栽培から自然農法とEM技術によるモデル圃場技術が進められております。
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これは、本格的な導入が開始された1993年から2002年度までのEM原液の供給量とその使用面積の推移を表したものです。折れ線グラフは、供給量を示し、棒グラフは、使用面積の推移を示しています。EMは現在基幹作物である水稲栽培に大規模に利用されています。普及開始当初は、EMの散布が中心でしたが、現在は、国の農業政策が有機物の有効利用を目標としていることもあり、EMを使った堆肥やボカシの利用が増えてきています。
1970年から1998年にかけて使用量・使用面積等減っておりますが、これはアジア経済危機の影響を受け、EMの輸送に必要な燃料費等の高騰があげられます。政治的な問題もあったのですが、その後、順調に回復してきまして、現在2002年度で見ますと、約130トン余りのEMが約136万エーカーですから約54万ヘクタールの水稲栽培に利用されています。これはミャンマーの水稲耕作面積の約1割にあたります。ただ2001年にEMの使用量・使用面積等が急激に伸びているのは、農業灌漑省の計画ではなかった計画が一つありまして、その追加的な使用量も加えられているので、ちょっと増えています。しかし、基本的にはグラフのようにEM原液の供給量と使用面積は順調に増えてきております。
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これはミャンマー農業サービスの普及所で作られている堆肥です。普及所の管轄範囲の農家に対して、EMを使った堆肥の作り方を教えています。堆肥に使う材料は生ゴミ・植物残渣や家畜糞等、農家で入手できる有機物を使っています。
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これは、中央農業研究訓練センターで試作しましたトウモロコシ残渣を用いた堆肥です。通常の約半分の期間で体積が半減し、堆肥化期間が短縮できました。
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これは、ミャンマー農業サービスの普及所の展示圃場の前にある堆肥ピットです。展示圃場では、EMを使用した水稲とEM未使用の水稲との比較栽培を近隣の農家が見学できるようになっています。普及所では、この比較栽培に使用しているEMを使った堆肥やボカシの作り方も併せて指導しています。
写真は、穴を掘った場所に有機物を投入し、堆肥を作っています。
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農家さんは、圃場近くでこのように堆肥を作っており、現在ではこの方法が一般的になっています。
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これは、中央農業研究訓練センターで、2000年から始めましたモデル圃場作りの時に用いました作業暦です。これを決める時には、現地の担当者とEMの効果や、ミャンマーの栽培方法に合ったEMの使い方・使用量等話し合いを行いまして、現地担当者の理解を得てから、このような作業暦を作りました。もちろん将来的には、農家さんへの普及も考慮して、農家レベルで手に入る有機物を利用することを念頭に作成しております。
この作業暦の中で特に考慮したのは、有機物の有効利用とEMをいかに土壌中に定着させるかということ、もちろん化学肥料を使わずに、収量を如何に確保するかということでした。EMを定着させるために定期的なEMの散布を行い、また、作物残渣等の有効利用のためにEMを使って有機物を堆肥化しました。そして収量を確保するために、国内で通常使用する有機物量の3倍程度の有機物量を投入しました。その他、EMをできる限り多く使用するよう考慮して、作業暦を作りました。
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このセンターでは写真のようにモデル圃場作りに際し、収穫後、稲藁・米糠・籾殻の食物残渣や家畜糞等を利用して堆肥を作っています。
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この後ビニールシートを掛けて堆積し堆肥を作っています。雨水による養分の流出を少なくするためにビニールシートを使っています。通常の農家では先程お見せしました写真のように材料にも稲藁を使うのですが、堆積したものをカバーするのにも稲藁が使われております。
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これは代掻き後水田に水を張りEMを散布しているところです。日本のように動力噴霧器が一般的でないので、水田の中で最終希釈倍率が1000倍程度になる量を手桶によってEM活性液を散布しています。
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分けつ期のモデル圃場の状態です。
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これは動力噴霧器を使ったEMの散布風景です。先程はミャンマーではこのような機械は一般的でないと説明しましたが、中央農業研究訓練センターというのは日本のJICAの支援で作られた経緯があり、多くの水稲栽培用の機械が寄贈されていますので、このセンターでは農作業にこのような機械を使うこともあるということです。通常農家では手桶散布が普通です。もちろん栽培期間中の散布も手桶散布が主流です。
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これは登熟期のモデル圃場です。
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これは収穫期のモデル圃場です。
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作成した作業暦に基づいて栽培した結果は開始2年目の平均収量で、化学肥料を併用するミャンマー全体での平均収量程度を確保することができました。下段はタイのサラブリ救世自然農法センターとタイの平均収量を示しています。品種が違い、また栽培条件も異なるので一概には比較できませんが、一応参考程度にご紹介いたします。この結果を基にミャンマー農業サービスでは、全国の80カ所で、この作成した作業暦を用いた地域適応性試験を行っております。そして中央農業調査研究所でこの試験栽培の調査報告書をまとめ、ミャンマー農業サービスの次年度の活動に生かされています。これは地域の実情に応じた作業暦の改善が行われるということです。
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これは完成した堆肥の横で収量調査を行っているところです。ミャンマーでは1年を通して水を確保できる所では、年2回の水稲栽培が行われています。このセンターでも通常年2回の水稲栽培が行われています。収穫が終わればすぐに、次の水稲栽培の準備が行われます。これは収穫直前の時期なのですけれども、すぐ隣で次作の水稲栽培用に堆肥が作られています。
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これはEMの出荷風景です。現在EMと糖蜜は、ミャンマー農業サービスが地区普及所を通して農家や利用者に供給しております。
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これはミャンマー農業サービスの普及所で作られているEMボカシです。このEMボカシは通常販売されておりまして、大規模に使う所とか、その他、育苗関係の会社に販売されております。
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これは実際の農家で作られていた堆肥です。非常に良い品質のものができておりました。
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これは実際の農家の水田での堆肥の散布風景です。通常はほぼ人力でEMの散布もEMの堆肥もEMボカシの散布も行われております。
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以上私達が10年間以上ミャンマー政府と協力して進めてきたEM普及活動の一部を紹介させていただきました。ありがとうございました。
(拍手)
今井
ありがとうございました。もう既にミャンマーでの取り組みは10数年過ぎているわけでありますが、政府が中心となって取り組んだ結果、地道に普及活動が広がっていることが分かります。先程途中に表がございましたけれども、稲の栽培方針が示されていたわけですけれども、あのような具体的な栽培方針とか説明書があれば、自然農法とかEM技術というのは非常に普及しやすいのではないかというふうに思います。また日本における現在の有機栽培というのは約0.1%くらいなのですが、それに比べてミャンマーは水稲面積の1割ですから、本当に凄い広がりを見せているということがお分かりになると思います。その辺も何故それほど広がったのか時間があれば聞いて見たいと思います。
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