EMフェスタ2001
> 発表大会
事例発表No.05
2001.11.18
■有明海 EMじゃぶじゃぶプロジェクト
白土 純(Mr.jun Shiratsuchi)
EM研究機構福岡事務所(EMRO Fukuoka)
1996年熊本大学大学院自然科学研究科修了。同年EM研究機構入社。現在はEM研究機 福岡事務所勤務。主に九州地方を中心としたEM普及に努める。
今年四月より十月まで半年間にわたって行われましたEMによる有明海浄化作戦、EMじゃぶじゃぶプロジェクトについて、これを行うにいたった経緯および内容を、周囲へのその後の広がりについて、スライドを交えながらお話しさせていただきます。
昨年十二月、テレビ、新聞等のマスコミで、有明海の海苔の色落ちの問題が報道されました。これは珪藻類の一種である植物プランクトンが異常発生し、海苔の栄養分を横取りしたために起こった、ということが分かっています。そのため今年は有明海全体の海苔の漁獲高が例年の3割にまで落ち込み、周辺の海苔生産者にとっては死活問題となっています。このようなことが起こった原因として、さまざまなことが言われていますが、我々が推察した一番の原因は、各家庭から流される生活廃水による栄養塩類の長年の蓄積であり、それに昨年の冬場に起こった水温上昇という異常気象がひきがねとなって発生したのではないかと考えています。
マスコミによれば諫早干拓、海苔の酸処理剤など、いわば犯人探しのようなことが行われていますが、もっとも大事なことは今目の前にある現実をどのように解決するか、ということであります。
すなわちいかにして有明海をきれいにするか、ということです。そこでEM研究機構福岡事務所では、EMを増やして、大量に流すことで、少しでも生態系の回復になるのではないかと考えておりましたところ、同じ有明海で海苔生産高が例年と変わらない地域があるという情報をいただきました。それが熊本県河内町の周辺地域でした。この情報によりEMを流すだけで川や海はきれいになるのだという確信を持ちました。そこで有明海に流れ込む、もっとも大きな河川である、筑後川の流域を中心として、九州の各地域で、長年にわたり、EMをボランティアで普及されているグループに協力を呼びかけました。そうしましたところ、考えるところは皆さん同じだったようで、EMネットワークヒロカワ、大牟田EMエバクラブ、久留米水と緑の会などから、ぜひやりましょうという、心強い返事をいただきました。
またそれらのグループの紹介で、大牟田市魚市場や柳川市、大和町、大川市の漁協および海苔生産者にも参加していただきました。長崎県諫早市ではUネット地球環境共生ネットワーク長崎県リーダーのスミダ様の協力で、諫早市連合婦人会及び周辺の町の婦人会の皆さんにも参加していただきました。有明海周辺以外でも瀬戸内海に面しているEMネットワークや神田町のEMグループにも呼びかけ参加していただきました。全部で22か所に、26基の1tタンクを設置し、毎週タンク1基につき、EM1合20リットルと糖蜜36リットルを配付しました。そして各地で責任者を決めてもらい、培養していただき、出来上がったものを近所に配ったり、河川に流したりと、あくまでも公共用のEMということでさまざまなかたちで流していただきました。
この半年間で、計345 立米、すなわち34万5千リットル以上のEMが流された計算になります。この間、各地にEMと糖蜜の配付、ペーハー測定と品質管理を行うと同時に、各地で起こったさまざまなびっくり現象を、皆様からお聞きし、写真を撮るなどして、情報を収集してまいりました。今からそれらについてスライドで紹介させていただきます。
05_03.jpg
これは本プロジェクトを行うにあたって、協力していただいた地域です。これが有明海になります。有明海の周辺の多数のグループ、諸団体に協力していただきました。全部で25のグループに参加していただいたということになります。
05_04.jpg
本プロジェクトのきっかけとなりました。
05_05.jpg
「熊本日々新聞」の今年2月の記事です。内容は河内町の河内校区約1,400 世帯からEM活性液が流された結果、その下流域にあたる海苔養殖によい影響を与えたということで、海苔生産者のツガワ氏によりますと、以前は河内川の河口に近い海苔漁場では、病気が多かった。ところが取り組みが始まってからは逆に、河内でも最高品質の海苔が採れるようになったと証言しており、今回の海苔不作でも被害はほとんどない、というような内容です。
河内川流域の海苔漁場の今年2月の様子です。ちょうど海苔の色落ち問題が騒がれている時期です。河内川流域から遠ざかるに従い、海苔の被害は大きくなっていったそうです。
05_07.jpg
これは本プロジェクトの準備の様子です。はじめに40基の1tタンクを準備しました。 各地にタンクを設置している様子です、全部で8地区、計22基を設置しました。
05_09.jpg
これがタンクの設置状況です。
これは活性液の仕込み方を教えているところです。水1,000 リットルあたり、EM20リットル、糖蜜36リットルを使います。
05_11.jpg
仕込みから1週間で使用します。基本的には近所の人にはペットボトルを持ってきてもらって配りますが、スライドのように、悪臭やヘドロが溜まっているところに直接投入したりもします。
05_12.jpg
それではまず大牟田市の事例から紹介します。ここは大牟田市浜町です。このようにじゃぶじゃぶ流しますと、河川が最初は茶色く濁ります、不法投棄と間違えられてはいけませんので、大牟田市では衛生協力連合会の方に予め話を通しておきました。
05_13.jpg
05_14.jpg
2週間経ちますと、変化が表れました。赤い固まりがご覧になれますでしょうか。これが拡大図です。この赤いのは糸ミミズの固まりです。ヘドロしかなかったドブ川に生物が発生しはじめ、浄化の兆しが見られたところです。
05_15.jpg
さらに数か月が経ちますと、ヘドロも大幅に減少し、悪臭もなくなりました。
05_16.jpg
これは大牟田市橘公民館です。本プロジェクトで、もっとも熱心にやっていただいたところの一つです。
05_17.jpg
これは橘町内にある製麺工場の浄化槽です。
05_18.jpg
05_19.jpg
夏場は特に悪臭がひどく、毎年この時期になると近所から苦情が出るのですが、今年は全くありませんでした。同じく橘町内の用水路です。毎年一回機械でどぶさらいをするそうですが、今年は例年と比べて臭いが全くなく、ヘドロもなくて、砂ばかりだったそうです。以前はこのあたりまでヘドロが溜まっていたそうです。
05_20.jpg
05_21.jpg
次にここは大牟田市吉野町まちづくり実行委員会が浄化に取り組んでいます、牟田堤です。透視度が上がり、魚が見えるほどになりました。
05_22.jpg
これはそのことが載った新聞記事です。
05_23.jpg
05_24.jpg
ここは大牟田市の天領町です。地元の海苔生産者である川口さんの自宅にタンクを設置して、近所の人に配っていただきました。ヘドロが堆積し、悪臭がひどかった水路に、小さな魚が無数に発生しました。地元ではこの魚をカダヤシと呼ぶそうです。蚊の幼虫であるボウフラを食べてくれるのでそう呼ばれています。
05_25.jpg
これが、その時の新聞です。
05_27.jpg
次に大牟田市魚市場です。ここにははじめ2基のタンクを設置していましたが、近所の人、魚市場での悪臭対策などから評判が広がり、小売り業者まで持って帰るようになり、足りなくなりましたので、最終的に4基になりました。残り2基のタンクは市場の方で購入してもらいました。
05_28.jpg
ここでは毎週2tから3tのEMの活性液が流されたことになります。
魚市場の側に小さな潟(ガタ)がありますが、ここには古くなった魚網などが捨てられています。ここを住処として活性液を撒いてみました。写真はEMエバクラブで、大牟田市衛生協力連合会理事の河野さんです。
05_29.jpg
潟がヘドロ化して、生物が見られない状況であった場所に、さまざまな生物が見え始めました。
05_30.jpg
これはアサリです。
05_31.jpg
それから赤貝、それから地元ではワッケと呼ばれていますが、イソギンチャクの一種です。それからゴカイもたくさん発生しました。
05_32.jpg
ゴカイは海のミミズとも言われ、畑の土がよくないと、ミミズがいないのと同様に、潟が健康でないとゴカイは発生しないそうです。これは鹿児島大学の理学部でゴカイを専門とする教授がそう言っておられました。実際この潟をすくって、臭いを嗅いでみましたが、ヘドロのような腐った臭いは消えていました。
これはいろんな生物が発生した周辺地域の5月の様子です。
05_33.jpg
それからこれが7月の同じ場所の様子です。
この違いがお分かりになりますでしょうか。
05_34.jpg
5月の時よりも、7月の時の方が、堆積物が分解され、この潟の部分が後退しているのが分かると思います。
05_35.jpg
これがこの周辺に生物が発生したという新聞記事です。
05_36.jpg
次に大牟田市の北に位置する大和町です。筑後川の北に矢部川という一級河川があり、ここはその流域になります。この町は毎年海苔の生産高1、2を競うほどの町なんですが、今年は例年の3割程度しか採れていないそうです。海苔生産者の堤さんの自宅にタンクを設置し、近所に配っていただきました。潟のムツゴロウが例年より異常発生し、地元では、EMの効果ではないかと確信されています。そこでさらに河内町にならって、EMドロ団子を作ることになりました。
05_37.jpg
これがムツゴロウですね。
05_38.jpg
05_39.jpg
大和町ノリ生産組合で、まず2万個のダンゴが作られ、海に投入されました。さらに隣の高田町など、5つのノリ生産組合で、それぞれ2万個、計12万個のEM団子が海に投入されました。
05_40.jpg
05_41.jpg
これは朝日新聞に掲載された新聞記事で、EMのことをよく知らない人でも、もう藁にもすがる気持ちでやっている、というようなことが書いてあります。
05_42.jpg
さらにEMに関心のある筑後川流域の海苔生産者が集まり、有明EM海苔研究会が発足しました。
次に八女郡広川町です。ここはEMネットワークヒ広川の山下さん夫婦を中心に協力していただきました。
05_43.jpg
05_44.jpg
これは矢部川の支流にあたるマツノキ川です。はじめはミドロ藻というのがたくさんはびこっていましたが、このように藻がどんどん減ってきて、下の砂地が見えるまでになりました。
05_45.jpg
ここは町内を流れる用水路で、EMネットワーク広川のメンバーの一人が、この上流から毎日活性液を流したところ、驚くべき効果が現れました。
05_46.jpg
はじめはジャンボタニシかと思われましたが、実はこれはホタルの幼虫のエサとなるカワニナでした。地元ではホウベと呼ばれているそうですが、ここ十数年見られなかったそうです。来年はホタルが出るのではないか、と期待されています。
05_47.jpg
次に柳川市です。ここでは地元の海苔生産者であるカバシマさんの自宅にタンクを設置しました。
05_49.jpg
すぐ側のクリークに活性液を流しつづけたところ、溜まっていたヘドロが減少しました。ヘドロの減り方としましては、ヘドロが発酵して、このようにガスが発生し、スライドのように表面からはがれながら徐々に減っていくというのが観察されました。
また柳川市では、今年8月に市長選挙が行われ、EMによる河川浄化を公約に挙げた、河野市長が当選しました。そしてさっそく約500 万円弱の予算がつきまして、現在100 倍力利器を婦人会館に設置し、婦人会や柳川EM研究会、市の環境衛生課を中心に、柳川市全世帯、2万戸への活性液の配付と、米のとぎ汁発酵液の普及が始まろうとしています。
05_51.jpg
次に諫早市です。活動のリーダーシップを取っているのは、Uネットメンバーのスミヤさんとサカイさんで、ともに会社の社長さんなんですが、本業そっちのけでボランティアされています。サカイさんの自宅に100倍利器を設置し、婦人会等に配付しています。
05_55.jpg
その他にも諫早市周辺では、EMの講習依頼が殺到し、我々とUネットのみなさんでは対応できなくなったため、EMを教える人を育成する目的で、EMインストラクター養成講座を開催しました。
05_56.jpg
そして諫早市周辺地域で、すでに55名のインストラクターを養成しました。スライドはこの終業式のもので、この皆さん手に持っている認定証は、比嘉教授の直筆サイン入りのものです。
最後のスライドになりますが、今年の海苔の状況です。これは10月25日の新聞記事なんですが、今のところ順調、という情報が入っており、このまま来年まで無事に終わってくれることと信じております。
このプロジェクトを進めていくうちにさまざまな反響が出てまいりました。各地でのEM勉強会の開催依頼はもちろん、全国各地から視察依頼が多数、そして9月に行われました大牟田市での比嘉教授の講演会では、1,500 人の会場が満席になるほどの大盛況で、地元の人々の環境に対する関心の高さが伺えました。
大牟田市の隣の柳川市では、先程も申し上げましたように、行政主導のEM普及が始まりました。さらに今年9月の福岡県議会では、シゲノ県会議員が、県議会の代表質問で、EMによる水質浄化活動について取り上げました。
このように各方面で引き合いが増えてくるものと予想されます。
以上で、私の発表を終わりますが、本来ならば私が説明するよりも実際に活躍されたボランティアの皆さんの生の声、体験談を聞いていただく方がいいのですが、今回のこの発表は私どもの方でまとめさせていただきました。そのためここで紹介できなかった事例がまだまだたくさんあります。このあと、午後から分科会の方で、今度は何故EMで浄化出来るのか、という部分についてもう少し詳しい説明をすることになっております。興味のある方はぜひご参加ください。
最後にこのプロジェクトに参加されたボランティアの皆さんの今後のEM普及のますますのご健闘と有明海の再生を願いまして、私の発表を終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。
The Theater Event --------
Effective Microorganisms