EMボカシ 分科会
EMフェスタ2001
専門分科会
『ボカシに秘められた「有機の力」とそれを引き出す「EMの働き」』


コーディネーター
翁長 裕次 ノーエン

パネリスト

植田 悦史 (株)イーエム研究機構 本社
江藤 幸一郎 (株)イーエム研究機構 福島連絡事務所
山田 研吾 (財)自然農法国際研究開発センター
2001.11.18



山田:
 EMボカシは好気で作るもの、嫌気で作るもの、2種類あります。材料は概ね米ぬか、油カス、魚粉と、あと骨粉を混ぜるケースもあります。それからカニ殻とか、比較的分解の早いものを材料として使っておられるということです。
 製造方法に関しまして、好気は当然好気ですが、切り返しを頻繁に行って7日前後ではもう完成しています。タイでお話を聞いたら、3日ぐらいで完成させるというような話もありましたけれども、暖かければ早く、涼しければちょっと時間がかかるということですね。もともと分解しやすいものですから、C/Nは10前後。非常に早効きをします。ただしその分腐植の生成は少ない。
 嫌気ボカシも大体同じです。ただ温度が嫌気状態にしていると高くならないということで、大体常温前後で経過するみたいです。
 製造の期間は、大体2、3週間前後、早くて2週間。けれどもこの後お話をしますが、大体1か月前後が目安かなというような感じもします。それからC/Nはやはり同じように10前後。施肥後の肥効は、こちらに比べるとやや遅効きですけれども、堆肥なんかに比べると即効性がある。
 一応堆肥とボカシの違いというものを、これからお話をする中で念頭に置いていただければと思います。


 このグラフは菌の数を現していますけれども、10の2乗、100 ですよね。これは乾いたボカシ1グラム中の微生物数なんですけれども、私どもがやりましたのは、25℃の室温の中でやっていますので多少夜中冷え込んだりします。やはり長野県ですので。それでレンジがちょっと長く日数がかかっているかと思うんですね。好気性の細菌ですが、発酵が始まった当初というのは、非常に増えるんですね。この時期に、空気中の酸素を消費します。ですからいろんな雑菌が当初出るわけですが、それが酸素を消費してくれるので、比較的数が減りはじめてあとは安定してしまう。そのまま動きが止まってしまうというかたちになると思います。
 嫌気性菌は比較的高く推移します。乳酸菌も大体42日ぐらいかけて、3週間めから6週間ぐらいにかけての間、比較的高く維持されているんですが、その後は徐々に低下してくるんですね。酵母も同じような傾向があります。どうしてそういうことが起こるかと言いますと、まあエサになるものが段々無くなってくる。ボカシはたぶん積み込んだ時から最後取り出す時まで、ほとんど形状が変わらないと思いますけれども。ですから表面的にはEMが、乳酸菌や酵母が広まっていくんですけれども、完全に中まで分解しきってしまっているものではない、というように考えています。


 EMを添加した場合としない場合、赤い色で比較してみても、EMを添加することによって乳酸菌や酵母というのは比較的高く、安定して推移しています。今申し上げたみたいに42日ぐらいから徐々に低下してくる。それからこちらの乳酸菌の方は、私どもは何回か見られたんですが、もう最後81日ですから、かなり長い期間なんですけれども、約3か月弱置いたらもうほとんど出ませんでした。ただこれはたぶん置き方がよかったのか、温度が若干低かったせいなのかも知れませんけれども、私どものところでは3か月経っても、10の7乗レベルくらいでは見ることは出来ました。


 有機酸の生成量なんですけれども、この酪酸が増えると腐ると言われているわけですけれども。当初若干酪酸も出るんですけれども、早くにそれが解消されて無くなってくる。結局酪酸菌というものが少ないのだろうと思います。それに対して、主体が乳酸になってくるということになって、あの芳香をもたらしているのではないかということです。


これが特にここ注目していただきたいんですが、EMを添加することによって乳酸が非常に多かったですが、pHの低いボカシになる。それからECの高いボカシになるというところが、どうもEMを添加して作ったボカシ、要するにEMボカシの特徴的ネ組成の変化ではないかと考えます。このあたりがEMボカシがうまくいっているのか、いってないかを見分ける指標に使えるんではないかというふうに考えております。
 好気と嫌気の違いで、まだ現場の中では好気で作られている方もいらっしゃるかと思います。一口で好気と言いましても、先程申し上げたように、好気であれば何回も攪拌しないと中まで均一な発酵は行われません。大量に積み込んだ場合に表面的には好気になるんですけれども、中の方は嫌気状態になっていくということが起こると思います。ですので、何かの容器に入れないと嫌気状態が出来ないかと言うと、必ずしもそうではないと思いますけれども、基本的に容器で作っておられる方が非常に多いかと思いますが、その場合は嫌気ですね。全炭素と全窒素、その物体の持っている窒素と炭素の量というのは、嫌気で作りますとほとんど変化しません。ですのでC/Nも変わりません。pHは下がります。ECは上がります。
 100 のところで赤い線が引いてありますが、これはその発酵前の状態ですね。材料だけの場合の値を100 にして指数で表していますので、pHは下がっている。ECは上がっている。


 好気でやりますと、好気性菌が酸素を吸って呼吸をしますから、当然炭素が減って行きます。材料の目減りが起こるということですね。その分相対的に窒素の割合は高くなって行きます。C/Nも下がりますので、こちらよりもまあより肥効的には高くなるわけです。pHはあまり下がりません。養分の可溶化が進んでいるということで、ECは高くなるということ。ここら辺が嫌気と好気の違いだろうと思います。ですからこの化学性の違いをもたらしているものは、この発酵に係わった微生物の種類によります。これが乳酸菌が係わっていたのか。あるいは糸状菌だとか、一般的な細菌が係わっていたかによって、当然この違いが生まれているということですね。というふうに乳酸菌が入っているって言うところが、かなりEMボカシの特徴ではないかと思います。
 一応そういったことからですね、EMボカシというものに関しましては、まずEMを使っている。なんでもいいわけじゃない。EMを種として使って、これを増やしているということ、つまりEMを使ってEMを増やしていなければEMボカシにならない。それから材料的には、分解の早い有機物を使っていますが、嫌気的に発酵することによってEMの特徴的な菌である乳酸菌を増やすことが出来る。ここ好気とあえてちょっと書いてありますけれども、基本的にEMを添加して嫌気的に発酵させることによって、EMの培養も出来ているということですね。単なる肥料としてのEMボカシではなくて、EMを増やしているというEMボカシが出来るのではないか、という意味でEMボカシそのものが微生物資材であるというように考えられると思います。


司会:
 続きまして、 植田 さんにボカシの出来るプロセスをご説明いただきたいと思います。



植田:
 通常ボカシを作るときに、「30%」とか、「手で握って、かたまってすぐ崩せるようなボカシ」が指導されていますが、今回は水分を最初の時点で、有機物に対して40%になるようにEM希釈液等を加えています。
 水分含量による影響についてはこちらの水分含量の方を見ていただきますと、若干最初に誤差があるんですけれども、基本的にどちらも同じ水分含量で発酵を始めています。
 EMボカシがおもしろい点は、3日目にして水分が40%ぐらいまで上がっています。この研究で推察されるところは、まず最初に酸素を使った微生物等が有機物を分解しまして、それで水が発生したものと思います。その後若干下がっていっていることが分かります。


これに対して、糖蜜ボカシの方は別にあまり変動がないくらいの値で推移しています。大体このような感じでボカシが発酵していくんですけれども、仕込みから2週間後のボカシの写真がこちらになります。左がEMボカシ、右が糖蜜ボカシになります。見て分かりますように、EMボカシの方は何も変化がないように見えますが、糖蜜ボカシの方はこちらに酵母などがぽつぽつと出て来ています。これらが優先しているのではないか、と考えています。こちらを引き続き、この状態で保存しておきました。


 これは2ヵ月間の水分含量の推移を示しています。先程の2週間のものに引き続き、糖蜜ボカシはこのように49%近くまで水分が上がっています。何故かと言いますと、有機物が分解されると、二酸化炭素と水に分解されるんですけれども、その場合に大量の水が出てきて水分が多くなった状態です。ボカシを作られて腐った方もいらっしゃると思うのですが、その際にボカシ自体がぐちゃぐちゃするのを見られたことがあると思うんですけれども、そういった状態というのはこういう分解が始まっていることを示します。これに対してEMをちゃんと使っていますと、こういうふうに水分含量がある程度一定、若干下がっていくんですけれども、ある程度一定のラインを推移してずっと保存が可能です。水分が飛びさえしなければ、今でもかなり長期で保存が可能です。


 2ヵ月間経ったときの写真です。先程と同じように、左がEMボカシ、右が糖蜜ボカシです。見て分かるように、EMボカシの方はあまり先程のものと変化がありませんよね。これに対して、こちらは見ていただいたら先程の酵母等もいますし、汚い感じがしますね。分かりにくいんですが、このあたりにはウジが大量に発生していました。これが腐った状況ですね。EMを使った場合も、ちゃんと発酵しなければ、こういう状況になりますが、EMを効かせてちゃんと発酵させるとこちらの感じに近づきます。腐りにくい、腐らないようなボカシが出来ます。このときに、有機物を土壌に入れると、発酵して発酵熱が出ますよね。あちらと同じように、EMボカシの方はあまり発酵熱は出ない。外気がこの時27℃くらいだったんですけれども、EMボカシ自体は、1日を通して温度を計っても25℃から26℃、若干外気より低いぐらいだったんですけれども、こちらの糖蜜ボカシは35℃を超えるくらいまで温度が上がっています。これはもう酵母とかいろんな糸状菌などが入って、二次発酵というかたちで土壌に入れてあるのと同じような状況が起こって、腐ってきている状況になります。


 このときの微生物相について、説明させていただきます。2か月経ったときに培養しました。そうすると糖蜜ボカシの方は糸状菌は10の7 乗、放線菌が10の2乗以下なんですけれども、他の菌も10の9乗、10の8乗、6乗、9乗と、一般に含まれている、まあ土壌中にもそうですが、糸状菌などは土壌では10の4乗くらいで大体検出されるんですけれども、このボカシについては、かなり微生物数は多いですよね。こういった状況になっていると、もうかなり汚染が進んでいる状況です。環境によっては、ある程度安定してくると、微生物の数というのはある程度一定のラインで推移するのですけれども、こちらは糸状菌がいるのに放線菌がいない。好気性細菌も高いなど、いろんなものが増えている状況にあります。これに対してEMボカシですけれども、10の2乗以下とか、4乗以下などの低い値で検出されています。これを見る限りでは微生物がいないように感じられるかも知れないんですけれども、微生物は実際はいます。ただですね、通常の科学的な検出法と言いますか、培養をした感じでは、微生物をこの状況では検出出来なかった。ただし微生物はちゃんといることは確認していまして、ここの状態、培養では確認出来なかったということです。
 このような感じで、腐っていると、やっぱりいろんなものがいっぱい入っていたりするんですけれども、EMでどんどんどんどん発酵させて安定して熟成していくと、こういうかたちであまり微生物が争いを起こさないような感じになるということをご理解ください。

司会:
 はい、どうもありがとうございます。
 ボカシの定義として、今話されましたように、往々にして、堆肥とボカシの違いが十分ご理解なさってない方が多いわけですが、堆肥というのは、腐植、ファイバー、そういった性質のものを堆肥と言っておりますし、ボカシは今ありましたように、糠でありますとか、油カスでありますとか、そういったタンパクを中心とした分解しやすいエネルギーの高いものをボカシと称しております。
 ではこのボカシを使った事例の報告を、 江藤 さんの方から、スライドを使って発表をお願いしたいと思います。



江藤:
 これは沖縄にあるウコンですね。うちの方で真似して植えた人がいるんですが、つい最近の状態で、大体20〜30センチです。ボカシでこれは冬の間、1年間、活性液を入れて土作りをやって来ました。その結果出来ないところに、このように出来ましたね。
 花も秋頃に中心のところにきちんと咲きました。これを見た農協の人がおかしい、ってやっぱり言っていましたね。なんでなんだって。EMはよく言われます。大体2、3度地温が上がると。場所によっては10度くらい上がると。寒いときに上がります。暑いときには下げます。何故かは分かりません。微生物がそういうことをやってくれます。


 これはホウレンソウなんですが、これは手前の方が化学肥料でやった土地です。向こう側がEMのボカシですね。白いのは塩害障害です。EMでやったところはそういうのが出にくい。この後、4作ぐらい取ったらしいんですが、別に何の支障もなかったということで、よく生ゴミを畑に入れて塩類障害が出ないか、ということなんですが、EMはそれを回避出来ます。これを見て分かるかと思います。


 これは2型のボカシを作っているところです。うちの場合はいろいろやっていまして、黒いのが籾殻燻炭ですね。あと籾殻ですね。これをちょっと混ぜてボカシを振りやすいように、固まらないようにするために、混ぜて作っています。


 これはですね。うち3月にですね、生ゴミまとめて使うものですから、毎回毎回、穴掘ってるわけにはいきません。徹底的にいいボカシを作って、まあこれ1型になりますが、絶対腐らないというボカシを作りますとですね。


 液肥もこのようにきれいな液肥が取れます。ちなみにこの液肥が白っぽいようなものが出ているのであれば、これはちょっと危ないです。腐りやすいです。注意して下さい。


 こんなかたちの容器を用意します。これは夏作ってもいいんですが、冬ですとボカシの中心まで熱が入りにくいです。夜が寒いですから。そのために敢えてですね、小さな容器に小分けして冬は作ります。この中に空気が入らないように、ビニールをもう1枚入れまして作っています。

司会:
 では良質なボカシとはどういったものを指すのか。その作るポイントについて、 山田 さんの方から触れていただいて、あと 山田 さんの方で、今までなさってきた試験データ等もご紹介いただきたいと思います。

山田:
 いいボカシって何だろうかというのを、4人の中で話してきたんですね。それで出てきたのが腐敗しないボカシということです。水の中に入れて腐らないボカシがいいのではないか、ということですね。これはまあ、一つこれを目標にするということが、いいボカシを作って、そうすると上手に使うと 江藤 さんのような結果になるのかなあ、というふうにちょっと期待しているわけなんですけれども、ちょっとこれに関連しまして、私どもの財団の方で、やはりボカシの熟度の判定法というので、これは現場の指導者の方にお伝えしているというかたちでやっているものがありますので、ちょっと見ていただきたいと思います。


 これはある農家の方のボカシなんですけれども、これが普通ボカシの場合いい発酵をしますと乳酸が増えますのでpHが低下します。そのpHが大体5.5 くらいから下になりますと、かなりいい発酵をしていると考えていいと思うんですが、この方の場合は、ちょっと今の 江藤 さんと同じように燻炭を混ぜられていますので、それがバッファになりまして、pHがあまり下がっていないんですね。7 前後になっているんですね。燻炭の中に入っているアルカリ分のせいだと思うんですけれども。ですので、ただ単純にボカシのpHを5.5 にしただけでは、よしあしが分からない。
 ということで、これpHを計るために、1対10で水の中に入れて置いておくんです。測定するんですが、これをそのまま1日置いておきます。ちょっとこう色が変わったかなというのはあるかと思うんですね。それで、今日7ぐらいだったのが、翌日若干ちょっと上がったかな。ECもこちらにありますけれども、6.5 ぐらいだったのが、7.5 ぐらいに上がっているわけですね。これがどういうことを意味するかと言いますと、これは60日熟成したボカシと、それから3日間、これはもう本当に対象のために3日間だけで、測定したもののpHとECをそれぞれ計ってみますと、60日、よく熟成したものですと、今日計ったpHは、明日計ってもそんなに変化しないんです。


 これはもう先程申し上げたみたいに、ボカシの表面にいる菌が安定していて、ボカシの表面が簡単に分解出来ないようなかたちに変わっているわけですね。ですので、そのまま置いていても変化しない。ところがそれが不十分ですと、まあこれはもともとのpHも高いんですけれども、急激な変化を翌日にかけて起こしてきます。ですからこんなボカシを使いますと、例えば浸出液を作っておいたら、中が臭くなった、という経験がよくあるかと思うんですね。うちでも時々まだやるんですけれども、そういったことが起きるというのは熟成が足りていない、ということだろう。ということはEMがそれだけ増えていないボカシだということですね。EC見ても同じなんです。よく熟成が進んでいますと、ほとんど変化しません。
 こちらから見ると、ちょっと斜めに見えるんですけれども、真横に行っているかと思いますね。それに対して進んでいないのは、急激に水の中にいる雑菌によって、その分解が進んでしまう。急激な変化を起こすということになります。ですので、是非皆さんもまた、自分の作っているボカシは大丈夫かな、というような心配があったときには、一般的に米ぬか、油カス、魚粉みたいな、だけの材料で作られる場合は、pHが5.5 というのは一つの目安にされればいいと思いますが、それ以外が入っている場合は、是非1日置いて、その熟度を確かめられることがいいのではないか、ということで、ちょっと先程の話に関連して、ご紹介申し上げておきます。


司会:
 はい。それと 植田 さんの方からボカシで、ちょっとした試験をしております。それをちょっとお願いします。

植田:
 先程説明させていただいたボカシの補足実験みたいなものなんですけれども、ちょっとそれについて説明させていただきます。


 こちらの方サントウサイなんですけれども、播種1週間で、このようにちょっと疎らではあるんですが、芽が出ています。これに対して、EMボカシと糖蜜ボカシ、先程申し上げたものなんですけれども、こんなかたちで、両面からそのままかけました。通常1週間でかけたりすると葉焼けとか起こすと思うんですけれども、一応かけて、水をかけました。それがどのようになったかというのが、こちらの写真です。


 糖蜜ボカシがこちらでEMボカシがこちらなんですけれども、糖蜜ボカシの方もですね、水をかけている部分、落ちたものは正常に育っている部分もあるんですけれども、しばらく栽培していると次々に枯れて倒れてしまって、今写真で示しているような感じに、こういうふうに間が空いた感じ、全体的にこういう感じになっていました。それに対して、これは同じ時期に写真を撮っているんですけれども、EMボカシでは一応間引きをしてなかったもので、このような状況になっているんですけれども、両面からかけて、そういうふうに栽培を続けたとしても、全然問題がなく、生育しています。つまり腐敗していないものを使うか。腐敗したもの、発酵したものの使い分けによって、こういうようなかたちの結果になっています。
 ちなみにこちらですね、10アールあたり500 キロぐらいの規模で、かなりの量のボカシを葉っぱの上からかけています。

司会:
 はい、どうもありがとうございます。
 今の話で分かるとおり、いい発酵させたボカシを使わないと、畑に入れたときに、もしそれが十分でないと、根っこを傷めてしまう。腐敗の原因になってしまうわけですね。ですからいい発酵をさせるというのがポイントになります。その中でちょっと戻りますが、ボカシを作るポイントとして、水分量、温度管理とあると思うんですが、どれぐらいの水分量がベターなのか 山田 さんの方からお願いします。


山田:
 これも皆さんもう作っておられるので、またマニュアルにも書いてありますからお分かりだと思いますけれども、大体30%前後が望ましいのではないか、ということですね。
 こちらの図が、仕込みの時の水分量を段階的に変えていまして、一番上の赤いのが20%くらいで始めているんですね。でもよく手で握って、開いたら2、3に割れるぐらいの水分と言われますけれども、実はこれ私の方に来る研修生に何人もそれを教えて、で実際に水分を計ってみますと、みんなここら辺なんですね。ちょっとそれでは水分が少ないと。30%ってどのくらいかと言いますと、握って開いたら、崩れない程度なんです。崩れない。それでも揺すったら2、3に割れるぐらいの程度。それぐらいでないとなかなか。
 実際にそれで計ってみますと30%にならないんですね。ですのでマニュアルに書いてあるのは、水分がちょっと少なくなってしまいますので、見ていただいて、結局pHを下げている微生物の働きというのは、これぐらい、30%以上ないと十分な乳酸を生成してくれないということになります。
 ですので先程5.5 が一つの目安になりますよ、と言いましたけれども、そういったものが上手にやれば7日ぐらいでも出来るわけですけれども、水分が少ないとなかなか発酵が進まない。だけどEMをかけているからいいだろうということで、長くおいても、やはり発酵は進んでいきませんから、長期であっても、作物にかえって害を与えてします。結局作物の根っこを傷めるようなボカシが出てくる可能性があるということですね。
 ですので、是非とも30%手で握って、団子が壊れない程度の水分ですね。一方、50%、60%になるとどうか、ということなんですが、もう握って滲みだすようなものになって来ますと、これはもう50%以上になるんですね。その場合は、嫌気でやりますと腐ります。

司会:
 EMを使っても腐りますか?

山田:
 ええ、EMを使っても腐ります。ということでものすごく臭い、触れられないようなのが出きてしまいますので。よく生ゴミで失敗するという例の中で、一つはそれもあるかと思いますね。

司会:
 それと温度の方はどうなりますでしょうか。

山田:
 温度なんですけれども、これは実は試験はしてないんですけれども、常識的に判断しまして、初期ある程度温度が高い方が望ましいだろうと思っています。出来れば30℃前後で始められたらベターだと思いますけれども、私どもの場合は25℃以上でやって、先程お見せしたような経過を辿りましたので、最低そのあたりかなというふうに考えております。
 ですのでそれを下回るような環境の中で長期間置いていてもやはり発酵は進んでいない、ということで、加温するのはボカシの場合、難しいと思いますけれども、最低限暖かい時期に作られることが望ましいのではないかなと思います。

司会:
 はい、どうもありがとうございます。 山田 さんの方から残りの発表をまとめていただいて、質問コーナーを設けたいと思います。
 では 山田 さんの方から、財団の方で取り組まれている状況をご報告お願いします。



山田:
 ちょっと好気、嫌気あるんですけれども、好気の方はもう気にしないでおいていただきたいんですが、土にボカシを添加しまして、そのあとの無機体の窒素ですね。硝酸とアンモニアの変化がどうなるかというのを、土のもともと持っていた量というのをゼロにしまして、当然温度が上がりますと、土からも出てきてしまいますので、その都度都度で、加えない土をさっ引いたものから出した図なんですけれども、嫌気ボカシの場合、もともとアンモニアも硝酸もあるわけなんですけれども、硝酸は比較的スムーズに放出されます。
 しかし一方でアンモニアというのが出てきまして、通常の畑作物の根っこには、有害な成分です。ですのでアンモニアが一回土の中の硝酸菌によって酸化されて初めて、作物に吸収利用されるということになるわけですけれども、アミノ酸が直接吸収される話を、ちょっと横に置いておきますと、大体アンモニアの影響が消えるのが、14日前後ですね。これは25℃の室温の中でやっていますので、普通の畑ですと、25℃で作物を植えるというのは、ちょっと温度が高いですよね。ということから言いますと、最低限でも2週間できれば1か月ぐらいの期間を見ておかないとアンモニアの悪さを受けることになると。ボカシを使っても、ということになろうかと思います。
  という意味で、私どもの方では、なるたけ春先ですとか、あるいは秋、かなり深まったあとはですね、1か月ぐらい早く鋤き込む場合には入れた方がいいですよ、というかたちでやっております。


 これはボカシの中で、先程申し上げたEMが増えているという話をしましたけれども、そのEMを加えたボカシ、それから加えていないボカシ、なしというのがそれですね。それぞれ鶏糞と有機肥料と化学肥料で使って、EMのありなしという。化学肥料はEMで発酵しませんから、これは化学肥料プラスEMの液をかけたということになるわけですけれども、やってみますとこれはトマトなんですけれども、植えつけて50日目とそれから90日目のを抜き取って、乾かした重さなんですが、全体にEMを添加した方が生育がよくなる。
 これはもう皆さんも経験されていることだと思いますが、その中でも特に50日の差よりも、後半の差の方が大きくなっていますね。ということはEMを添加しておきますと、一時期の、初期生育だけじゃなくて、後半の生育を助けてくれている。これは今ちょっとここにはデータがないんですけれども、根っこがあって、根粒が増えているということと、根の活性が高くなります。ですのでEMボカシを使っていきますと、先程の 江藤 さんの話にもありましたけれども、土の中のEMの密度が上がっていくんじゃないか。それが根っこの活性を助けていくから、作物が順調に生育するようになるんじゃないか。
 逆にうまくいっていないボカシを使っていると、逆にその生育を抑制してしまうというのは、根っこを傷めている。先程のアンモニアのようなことがあるのではないかと思います。
 これを見られると、化学肥料とEMを組み合わせたら一番よさそうに見えるんですが。




 これもやはり同じように、果実の収量、それから果実の数なんですが。重さと数なんですけれども、EMを添加すると、先程見ていただいたように全部プラスの効果が出るわけです。が、やはり化学肥料が一番いいじゃないか、ということになるわけですね。ただ成分を見ていただきますと、化学肥料でやったものは確かにEMを加えることで、多少改善されてはいますけれども、非常に落ちてしまうわけですね。ですからマイナスを多少カバーはしてくれますけれども、根本的なことを違うことでやりますと、こういったかたちで品質のいいものが採れない、ということになります。このアスコルビン酸というのがビタミンCですね。
 ということでボカシを作るときに、肥料成分だけだったら別にEMじゃなくてもいいんじゃないかと、よく言われる人もいるんですけれども、EMを添加することによって、こういった効果もボカシに期待することが出来るというように考えられます。

司会:
 はい、ありがとうございます。今までちょっと駆け足で進めてきたんですが、今日の発表で分かるとおり、肥料というかたちではなくて、有機酸を利用したり、あるいはEMを活用したかたちでの二次的効果もいろいろと出てきております。これはあくまでも事例でありまして、それが本当に自分の畑で出し切れるかというのは、皆さんの研究努力にかかっていると思います。
 最後に一言ずつまとめをいただいて、次に移りたいと思います。これからの課題等含めて、 江藤 さんの方からお願いします。

江藤:
 まあどんなボカシを作ったらいいかとか、よく皆さん、今回のこの内容聞いて、見て、感じたかと思います。
 一番簡単に申し上げますと、逆に難しくなるかなという言葉の表現なんですが、皆さん、毎日食事を取られています。毎日トイレに行きます。いろんなことやる上でいろんなことが必要になってきます。何故やるんですか、と聞かれると、皆さん、えっ、って考えるんですよね。当たり前のようにやっています。
 実はボカシを作るときにも当たり前のようにやってほしいんですよ。日常ですね。それをですね、大変だとか、今出来ないとか、そういう出来ない要因ばかり上げるから、いいのができません。ですから微生物の立場になって、いつどのようにしたらいいボカシが出来るかということを考えてください。あと時間ですね。長期ボカシとか短期ボカシとかあるんですが、自分の場合には今半年以上のものを使っています。水分利用によっても発酵する時間が違いますので、まあ1か月過ぎてから使えるものもあれば、半年以上置かなければ使えないものもあります。これは皆さん、今使っていいかどうか確認してから使ってください。ダメだと思ったもの使って、結局失敗しては何にもなりません。ですから愛情込めて、相手は生き物です、ということで、ボカシを作ってもらえれば、畑もいいものが出来るかと思います。
 大変ですが、よろしくがんばってください。

司会:
 はい、次 山田 さんお願いします。

山田:
 ボカシのそれから始めまして、今やはり自然農法、要するに化学肥料、農薬を使わない栽培の中では、やはり病害虫、雑草の対策というのは問題になっていると思うんですね。
 比嘉先生が昔から言われているように、土が発酵状態になれば、ボカシはあまりいらないよ、と言われているのが、なんとなく最近思うのは、その生の有機物を入れても土の中で発酵すればいいんだろうなと。どうすればその土の状態を高めていけるかな、それを維持出来るかな、というのが今のところ我々の課題になっているわけです。
 ですので、ボカシというものの、ただ資材、肥料資材としての効果だけを期待するのではなくて、基本は土を発酵させることかなと考えています。最初にお話したみたいに、腐植はボカシでは補えないんですね。何回かやって来ましたけれども、やはり腐植は徐々に減少します。ですので、残渣の多い作物でしたら問題はないんですけれども、それ以外の場合には、ボカシを発酵の種菌として使いながら、有機物を還元していくということを、やはり考えていかなければいけないかなというのを、ちょっと最後補足というかたちで終わらせていただきます。


司会:
 はい、ありがとうございます。では最後に植田 さんお願いします。

植田:
 今回もボカシについて、いろいろ討議させていただきまして、いろいろなことを吸収させてもらいました。
 EMを使っていても、EMから学ぶ。EMをどんどん使っていきますと、その時々によって、見せるものが全然違うんですよね。その表情とかをですね、使っていただかないと分からない。まず使ってもらって、そこからいろいろ学んでもらいたい。自分もそうして学んで、これからそれを皆さんに伝えていきたいなと考えています。
 皆さんにもそういうふうに使っていただいて、もしそれで自分とか、いろいろな方と共有出来たら、それがすばらしいなと思いますので、これから楽しさを知っていただいて、いろいろな方に伝えていただけたらなと思っています。

司会:
 はい、どうもありがとうございます。
 これからフロアの方から質問を受けたいと思いますが、どなたかご質問のある方、挙手をお願いします。では、お願いします。

質問者1:
 すみません、四つ程お願いしたいんですが、一つは言われたかも分かりませんが、ボカシのいわゆる見た目ですかね。あっこれはいいボカシだなというのが、pHとかいうのを計らないで、見た状態での判定があれば教えていただきたいということ。
 それと関連があるんですが、pHを計るのに水が要りますけれども、ボカシはちょっと水を加えないといけないですけれども、標準的な測定方法を、これが二つめです。
 それから長期ボカシ、まあ話がありましたように、いい条件のときに作って冬は置け、という話だったんですが、先程のデータの報告では20日から40日間ぐらいが乳酸菌が最も多くて、それから徐々に減ると言われましたですね。それは表面だけのことであるのか。例えば米ぬかでも中まで分解状態になるのか。表面の菌数が少なくなるのか、ですね。従って長期においても、混ぜたりすると、中まで入っていって、結果的には乳酸菌も減っているんではないのか、どうなのかということですね。それが三つめです。
 それから四番目は、ボカシは腐植が残らないというように言われたんですが、私も使ってみても、やっぱり有機物と言いますか、腐植のいいものを入れないと、結果的には地力というものは出来ないような気がするんですが、これはボカシということのかたちでですね。今は畑の残渣なんかを入れるというようなことを言われたんですが、一般に畑の残渣といえど、水分がすごく多いわけですが、その辺を何か、麦のようなものを、何か並行して植えることによって、それを今のような畑の残渣のようなかたちにして利用するか。その辺の地力を増やす方法を教えていただけたらと思います。

司会:
 はい、では 江藤 さんの方からお願い出来ますか。

江藤:
 見た目なんですが、出来れば色が少し茶色くなったかなという。これは見方として2種類あります。酸化して茶色になったのか。本当に嫌気状態で、抗酸化が高まって茶色になったのか、ということですね。一番簡単に言いますと、皆さん味噌を自分で作られている方は分かるかと思いますが、密閉状態で、色が段々段々変色して来ますよね。まあそんなかたちで捉えていただければと思います。
 臭いはですね、甘い匂いは低温発酵です。ですから出来ればちょっとつんとするような酸っぱい臭い、及びシンナーとかそんな臭いになりますよね。これがどんどんどんどん熟成しますと、本当に味噌のようなワインのような臭いになって来ます。まあこの辺の範囲内でやってもらえばと。先程言ったようにあまりにもつんとすっぱいような臭いがする場合には、乳酸が強いと。ちょっと時期をおいて作ってくださいよ、ということでやってもらえればと思います。
 次のときにですね、乳酸が強いと根焼け起こします。ですからその辺は気をつけてください。長期ですと、私の場合は今追肥でそのままダイレクトに入れています。それからどうしても間に合わない場合には、元肥として入れていますが、やはり2、3日、元肥の場合は置いていますが、追肥ですと、普通なんですね。問題が出るかと思いますが、今のところ出ていません。過去においては、やはり根焼けを起こして、生育不良を起こしています。ですから何度も何度も、そういう失敗ですか、苦い経験をした上で、いろんな使い分けをしています。ですから1年でうまくいく、ということを考えないで、少しずつ実験区を設けて、自分なりに観察して、自分の土地でどうやったらいいかというのを、データやメモを取って、写真なりを撮って、比較しながらやってもらえればと思います。

司会:
 はい、最後に 山田 さんの方から、堆肥作りについて。

山田:
 見た目で、今 江藤 さんがおっしゃってくださったので、見た目はいいと思うんですが、測定ですね、先程おっしゃられた。通常、土壌なんかですと1対5と言って、容積で1対5で水を加えるんですが、ボカシは吸ってしまいますので、10対1ぐらいでやっております。特にpHの場合は、水の量が倍になったって、数値には影響を与えませんので、1対10でやっております。それから高いものじゃありませんので、pH試験紙というのがありまして、色が変わる薬品の付いた紙があるんですね。デジタルメーターの方より、そちらの方が簡便に測定出来るんじゃないかと思います。近くに理科教材を扱っているお店があれば聞いてみてください。
 それから中の方まで発酵しているか、ということなんですけれども、米ぬか自体の成分の中で発酵は進んでいると思うんですけれども、米粉みたいに、米の固まりがあった場合にはどうかというと、表面のたぶん分子量が大きすぎて、すぐには分解が出来ていないと思います。徐々にしか表面いきませんので、これは長くにわたっても、ちょっとずつしか出来ないと思うんですね。
 ただそれを分解してくれるのは、本当は糸状菌なんですけれども、嫌気で長く続けていますと、糸状菌の活動が低下しているというか、ほとんど出て来ません。100 も出て来ないんですね。ですので、おそらくそれは表面だけがちょっと出来て、最初の段階で、好気で分解したときに、表面だけが分解して、それが乳酸が取っ付いているだけで、中の方はたぶん進んでいないと思います。
 それから腐植の関係は、結局水溶性の糖分ですとか、窒素分を持ったもの、ですからどちらかというと比較的青いままの、枯れて茶色くなってしまったものではなくて、青いままのものの方が、EMの発酵を助けてくれると考えています。ですので、休閑期があれば、緑肥等を作付けすればかなりの量の生草量が得られますので、そういったものを利用出来ると思いますが、もし休閑期が取れないような場合は、先程ちょっと不十分なんですけれども、写真で見ていただいたみたいに、作物だけじゃなくて、緑肥というものを、作物栽培の時に、今はどこの畑を見てもそうなんです、絶対空いているところがあるんです。ですので、植物で地面を覆うという前提に立った、緑肥の使い方をされれば、いいんじゃないかと思います。ただそれだけでプラスにどんどんしていこう、というのはなかなか厳しいと思うんですけれどもね。
 今の段階ではそれだけでは難しいと思いますので、出来れば蔬菜という、収穫残渣の少ないものだけじゃなくて、たまに麦だとか大豆といったようなものですね、残渣のある穀類を作付けの中に取り入れていくというのも一つの方法だと考えております。

司会:
 はい、どうもありがとうございます。本日はどうもお疲れさまでした。