水処理分科会は、関東以北からやってきたパネリスト3人によって成果が披露された。福島県いわき市における市民運動による河川をきれいにする取り組み、青森県の陸奥湾浄化を台所から目差している活動、茨城県守谷町の浄化センターにおけるEM浄化法の実施状況…について、“生みの苦しみ”と“育ての楽しみ”が、それぞれスライドやOHPを駆使して紹介された。発表のなかで、奇しくも3人とも同じ体験を披露。EMによる水質浄化を推進した結果、「ある日、稚魚がわきだしているのを見てとても驚いた」という。
『水質B』をEMでくつがえした 最初に発表したのは、福島県いわき市四倉で「河川をきれいにする運動実行委員会」委員長を務める中村義さん。「町の真ん中を流れる境川の河口に四倉海水浴場があり、水質が良いので知られていた。ところが99年、『水質B』の評価を下され、ショックが走った。境川は、近隣の住宅から生活排水が流れ込むため濁りや悪臭が発生し、96年から木炭や塩素を使った浄化活動を始めてはいたが、一向に成果があがっていなかったのだ」。
そんなとき、「うつくしま未来博 河川をきれいにする運動シンポジウム」でEMに出会ったという。中村さんたちはさっそく、区長会、保健委員会、商工会から推薦をもらった人々で実行委員会を組織し、県の町づくりサポート事業の補助を受けた。2000-11 EMフェスタ20004月からEMによる浄化活動を本格的に開始。その様子を中村さんはスライドを使い、力の籠もった福島訛りで詳しく解説した。「EMを使ってからの一番の変化は、悪臭がまずなくなったこと。ドブではなくなったのだ」。
5月末には水深30〜50?の川底が見えるようになり、体長5〜10?のボラや5、6?のウナギの稚魚を確認。「長いこと福島に住んでいるが、ウナギの稚魚を見たのは初めて」と中村さん。「EM浄化の成果で海水浴場は『水質A』に戻り、なんとアカウミガメまでが、北限を越えて産卵に来た。EMを使って7カ月しか経ってないが、着々と川や海がきれいになっている」と締めくくった。
台所から陸奥湾をきれいにしていこう 続いて「むつ湾浄化を実践する会・青森」会長の小林みどりさんが発表。小林さんは、同会のプロフィールを紹介した後で、EMとの出会いを「陸奥湾がいかに汚れているかをマスコミは大きく取り上げるが、市民がどうしたらよいのか言及していないことに疑問を持ち、仲間たちと話し合っているときにEMを知った」と振り返った。
勉強会を重ね、自分たち自身でEMを使った浄化を試してみよう…と、98年8月から青森市内にある合浦公園の池に、EM活性液と米のとぎ汁EM発酵液の投入を開始(5日おきに計5回)。「ドブ臭い池で、売店のお婆さんが『青森の顔にあたる公園なのにこんな臭いがして、メグセーメグセー(恥ずかしいよ)』と嘆いていた。だが、投入5日目に出掛けてみたら、そのお婆さんが『昨日から臭くなくなってきたよ』と報告してくれた」。
投入15日後には「プチプチ…と、どこからわいてきたのか」小魚を確認。元気のなかった蓮の葉が「ピンと立った」。透視度10〜15cm程度だったコーラ色の池が約45cmにもなり、水中の蓮の茎や蕾まで見え、鯉が泳ぐ姿も確認できるようになったという。さらに同年9月には、「清流でしか見られないカワセミがきてくれた」 と“決定的瞬間”をスライドで披露した。
小林さんは「この効果を実際に体験して、むつ湾浄化を実践する会・青森を発足。以来、毎月勉強会を続けている。主婦として、台所から環境を見直すため、出前教室…と銘打った講習会も行っている。ぐるっと陸奥湾を囲む町や村に住む人たちひとりひとりが、想いをもって行動することで、陸奥湾の環境浄化につながり、青森県の自然を21世紀に残していくことができれば…と願っている」と結んだ。
この発表の後、稲富聖宗コーディネーターが「水処理には大きく分けて、物理的処理、化学的処理、生物的処理がある。そのうち化学的処理は、見た目でだまされるケースがある。塩素で殺菌するときれいに見える場合があるからだ」と述べ、生物的処理の意義をコメントした。
守谷浄化センターにおけるEM浄化法
続いて浅野弘一さんが、下水処理場で初めて導入した、EMを自動で作成・投入する世界で2台目のEM連続培養システムを使った実施状況を報告した。
浅野さんは、下水処理のしくみ(守谷浄化センター浄化フロー)をまず紹介。EMを使うことになった経緯について「EM効果を確かめるために実験を開始したところ、硫化水素などの悪臭や汚泥発生量が減少するなどの効果が見られた」と述べ、「99年7月から2000-11 EMフェスタ20004月まで試験的にEM投入を一時停止したところ、汚泥量や臭気が増加してきたことから、EMの効果を改めて認識するに至った」と述べた。
2000-11 EMフェスタ20004月下旬からEMの投入を再会し、現在は、EMを自動で作成・投入するEM連続培養システムを導入。「現在のところ、運転管理を変更したためか汚泥発生量が減少したといえる状況にはまだなっていない。しかし、塩素滅菌前の放流水に含まれる大腸菌群数が7月の調査時に約10,000個/pであったのに対し、2カ月後の9月には1,000〜2,000個にまで抑制できている。また、地下に設置された沈砂池では、硫化水素をはじめ、メチルメルカプタン、硫化メチルなどの悪臭物質の発生が減少。さらに、重力濃縮槽から発生する硫化水素も減少している」と、浅野さんはデータを紹介した。