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専門分科会
2000.11.12
畜産分科会 『EMによる畜産の可能性』
コーディネーター:屋宜 芳文 (株)イーエム研究機構
 パネリスト  :松下 康隆 水田酪農家(鹿児島県)
 パネリスト  :鈴木一美 (有)久慈ピッグファーム代表取締役(茨城県)
 パネリスト  :大嶺自栄 知的障害者更生施設グリーンホーム指導主任(沖縄県)
The Theater Event --------
Effective Microorganisms


 畜産分科会は、コーディネーターの屋宜芳文さんがまず、「EMを利用することによって、いかに良い生産物を消費者に供給できるかが大きな課題だ」と述べ、3人のパネリストの発表に入った。松下康隆さんは、臭いがなくハエのいない畜舎で、下痢やアトピーの心配がない牛乳生産の実践例を紹介。鈴木一美さんは、高タンパク、低脂質、低カロリーの豚肉を生産する一方で、豚糞を利用したバランスの良い堆肥づくりについて報告。また、大嶺自栄さんは、更生施設内で健康維持増進と環境浄化にEMを活用して成果を挙げている事例を披露した。






環境に優しく、安全で美味しいものを

 EMを使い始めて約5年になるという酪農家の松下さんがまず、体験談を披露した。松下さんは、牛の餌にEM-1とEM-2の活性液をかけて混ぜ、そこに炭の粉を混ぜて作った米ぬかボカシを添加して牛に食べさせたり、牛舎に米ぬかボカシを散布、あるいはEM活性液を作り置きし、ときどき田んぼや畜舎周辺に散布しているという。
 EMを使用する前も微生物資材などを使っていたそうだが、夏場になるとハエに悩まされ、1週間に1回は薬剤を散布しないと「どうしようもなかった」そうだ。しかし、現在は「EMのお陰で臭いがしなくなり、ハエが少なくなってきた」。また、野積みしている堆肥の出来具合が、EMを使うようになって「ハエも寄らなくなった」。
 「ウチの牛乳を、牛乳に弱い人が飲んでも下痢をしない、アトピーの人が飲んでも症状が出ない…と評価してくれる。EMのお陰で牛の体調が良いのかもしれない。美味しいね…と言ってもらうと、それだけでうれしくて、続けようという気になる。これからも環境に優しく、安全でおいしいものを消費者に届けたい」  松下さんは、締めくくりの言葉のなかで「ただ簡単なことをやっていて、これだけの効果が出るのだから、本当にEMというのはすごい」と改めてフロアに訴えた。


EMで保水力のある肉質に

 続いて発表した鈴木さんは養豚歴約30年。豚づくりに良い環境を求めて茨城県の県北に農場を移転した。生態系を考慮した農場づくりを目指したものの、なかなか進歩がみられず、頭打ちの状態が続いた。  鈴木さんの農場では、飼料にEMを使っている。豚肉の獣臭をなくそうと、裏山の雑木林で採れた土着菌とEMを混ぜて餌を作ったところ、見事に成功したそうだ。  「肉質の特徴は保水力。専門語ではドリップが出ない…と表現する。それに糖質が多い。脂質が非常に少ない。コレステロールも少ない。タンパク質は非常に高い。ビタミンも多い。ナイアシンも非常にいい」と鈴木さん。科学的にも実証されたそうで、現在、OBP(オククジ・バイオ・ポーク、オククジは地名)のブランド名で出荷している。その一方で、EMの使用は堆肥にも効果が現れ、分析結果によると線虫、糸状菌、細菌、放線菌の各指数がバランスよく出てきているそうだ。  「現在、豚舎の面積の割に頭数が増えていて密飼いになっているが、抗生物質や他の病気を抑えるための添加剤などは全く使っていない。EMでバリアを作って防いでいる」とのこと。  発表の後、コーディネーターの屋宜さんが「うまく作った有機作物というのは、保水力がものすごい。メロンやスイカを切って室内に置いていても、一日中表面が湿っている。鈴木さんの豚肉も保水力が上がっている。これはやはり、質がものすごく高いと見てよいのではないか」とコメントした。


「癒しの風をグリーンホームから」が合言葉

 知的障害者更生施設・グリーンホームは、70名の利用者が30名の職員の指導の下に生活訓練や機能訓練などを行いながら暮らしている。大嶺さんは、利用者と職員の健康維持増進と環境浄化のためにEMの普及活動を始め、現在では、全職員があらゆるところでEMを活用しているという。  大嶺さんはまず、「利用者の居室にEMを散布し、毎日の風呂やシャワーにEMを使ったところ、風邪をひかなくなり、肌もすべすべになった。靴や靴箱、教室、トイレなどにも散布したら、臭いが完全になくなった」と報告。さらに、EMを使うようになってから、救急病院に駆けつけることがまるっきりなくなり、宿直の睡眠不足が解消され、外から入ってくるとクレゾールの臭いで息が詰まりそうだったのが解決した…などの具体例をあげた。
 施設では訓練の一環として養鶏作業を行っているが、その際「給水時にEM活性液を投入して与え、給餌の際にEMボカシを混入して与えている。鶏舎にはEM活性液の散布を行っている。その結果、悪臭が除去され、鶏も健康で、日持ちのよい上質な卵を産んでいる。鶏糞も平地飼いの利点が生かされて、自然発酵したすばらしいEM肥料として好評だ」と効果をアピールした。
 大嶺さんは「EMボカシの地域への普及活動を推進し、交流を図っていきたい。利用者の方々の健康を第一に、地域の環境浄化を目指して、『癒しの風をグリーンホームから』の合言葉で、職員ともどもがんばっていきたい」と抱負を語った。
 質疑応答では、松下さんに対し「堆肥と生ゴミは同じ有機質なのだから一緒に入れて、良質の発酵堆肥をつくれるのではないか」という問いがあった。松下さんは「いずれ堆肥舎を作って検討したい」と述べた。さらにフロアから「今後、施設費をかけずに、良質の堆肥化を考えていく必要があるのでは」という意見が続いた。
 鈴木さんの発表に対しては「土着微生物を使って獣臭を忌避できたというが、本当に土着微生物が関与したかのだろうか」と疑問が投げ掛けられた。鈴木さんは「EMと土着菌との相乗効果だと思うが、理論づけることはまだできない。もう少し勉強の機会があれば、証明できると思う」と答えた。