建築分科会はまず、コーディネーターが「いま、シックハウス症候群や化学物質過敏症など住まいの安全性が危惧されている」と問題提起し、「EMの活用が、健康で安全な“住”を実現するものとして期待されている」と議論を喚起した。パネリストからは「襖製作時の事例」「内装の壁材に使用した事例」「具志川市の公共建築物への応用事例」「建築への応用実例と使用方法」について貴重な報告があり、フロアから質疑が相次いだ。
接着剤の悪臭防止などにEM効果 パネリストの報告では、栃木県で襖製作業に従事している津村明史さんがまず、製造工程で襖紙を貼る化学糊と襖の縁を接着する木工ボンドにEM・Xセラミックスパウダー(蘇生7)を混入している事例を披露。「EMを使用する以前は、工場内の化学糊の臭いに悩まされていたが、今では臭いが気にならなくなっただけでなく、心地のよい空間に変わった」と述べた。フロアに、EMを混入した化学糊で作った襖と、EMを使用していない襖のサンプルが持ち込まれ、その臭いの違いを参加者も体験できた。
適正なEM混入量を決定するのに苦労し、現在のEM混入量(糊18キロに、EM・Xセラミックスパウダー150グラム、水5リットル)は、試行錯誤で到達したという。「今後は、業界全体に情報を提供し、EM使用の襖を普及させていきたい」と抱負を語った。
続いて、広島県で左官業及びエクステリアの仕事を営んでいる藤岡昭二さんが報告。1年前に内装の塗り替え工事を請け負った際、使用建材にEMを使用してほしい…という施工条件があり、「わからないものを使うことに抵抗があった」という。しかし、「既存の壁材の剥がし、下地補修、仕上げ材塗りという工程でEMを混入したところ、工事終了後にいつものボンド臭がなくて、代わりに擦りリンゴのような匂いがした」と藤岡さん。
その後、ゼロホルムアルデヒド接着剤を使用したケースの計測を試み、「ゼロホルムアルデヒド…とうたったものを使用しても、室温が上昇するとホルムアルデヒド濃度の基準値を超えてしまうことがわかった(厚生省の基準値は0.08ppm以下)」と報告した。また、仕上げ材などにEMを使用したものを計測した結果、「室温が33度で0.038ppmの結果が出たものの、夏を除けば限りなくゼロに近いことがわかった」。
最後に藤岡さんは「健康住宅を実現するにはEM施工をするだけではなく、家電や家具の選択、換気にも考慮する必要がある」と訴えた。
具志川市は公共建築物にEM技術 公共建築物へのEM技術導入を平成9年度から実施している具志川市の建設部建築課に勤務している天願哲也さんは、安慶名保育所改築工事と市立川崎小学校校舎改築工事の事例を紹介した。
「建物すべてのコンクリートにEMを混入している。EMの持つ抗酸化力により、コンクリート内部で起きる化学反応を抑制し、鉄筋などの防錆効果やコンクリートの劣化防止に期待できる。様々な建築資材に使用されている有害物質の抑制効果も期待している。しかし、こうした効果はすぐに確認できるものではなく、長期的に試験や経過を観察していくことが重要だと考えている」と述べた。
具志川市は、EMをまちづくりの核として位置づけ、平成11年4月に「環境に優しい癒しのまちづくり」を目的に、EMによるまちづくり推進プロジェクトチームを発足させた。
今後の課題について天願さんは「EM混入方法の明確化、技術面での使用の確立に努め、積極的に試験活動を行い、その結果に基づいたデータづくり、コストの問題などに取り組んでいきたい」と述べた。
4人目のパネリスト・新崎一樹さんは、インテリアショップを沖縄市内で経営している。EMとの出会いは約6年前、新築の家でシックハウス症候群の症状を体験したとき。「EMを使い始めたら、室内の嫌な臭いが気にならなくなった」。そこでインテリアショップのショールームでEMを紹介したところ、施主や施工業者から申し出があり、建築全般に関わるようになった。
新崎さんは、土壌・資材(木材)・コンクリートへのEM処理について解説。内装工事では「壁紙の接着剤にEMを混入している」という。「EM・Zは抗酸化力が最も強いと言われているが、問題はコストが高いこと。カーテンには最後の仕上げのアイロンがけの際、水にEM・Zを混入している。臭いの低減効果を高めており、施主にはサングレースを適当な量、週に1回室内に撒くことを勧めている」。
最後に新崎さんは「これまで私たちは自然を破壊し、居心地の悪い住環境を作っていたのではないか。EMの力で元の環境に修復したい」と決意を語った。 その後、フロアとのやりとりでは「建築費はどのくらい高くなるのか」「木材に生菌は使わない方がいいのか」などの質問があり、パネリストたちがそれぞれアドバイスした。
しめくくりに、濱川隼一コーディネーターが「近年『健康住宅』が多くの住宅メーカーのキーワードとなっているが、その内容はあいまいであり、国(各省庁)でもシックハウス症候群や化学物質過敏症が国内で深刻化していることから対策に乗り出している。今日の4人の取り組みは、EM技術を活用した、シックハウス症候群対策の成功例として高く評価されるべきだ」と結んだ。