EMと出会い、「いま、ここをどう耕すか」 パネリストたちの紹介の後、沖縄県名護市の宮里日今子さんがまず、農業に直接は無縁だった自分が比嘉照夫教授の本と出会い、少量多品目の栽培を志すようになった体験談を語った。そのなかで、自宅の温州みかんにEMボカシを施したところ、その効果に驚嘆したエピソードを披露。しかし「味は素晴らしくても外見が良くない」ことから「EMの良さを分かっている人に買ってもらおう」と思うにいたり、EMマートでの展開に可能性をみいだしたという。いまや、夫や息子を巻き込んで、天芽(アマメ)を中心に葉野菜、果菜、ニンニク、ネギなどを栽培。少量多品目栽培は常識はずれ…という世間の常識をうち破り、「子や孫が喜んで後を継いでくれる農業を目差している」と語った。
続いて、従来の慣行栽培から完全EM有機栽培へ1年前に転換した高知県の山口純夫さんが、無農薬みかん栽培の成功事例を紹介。樹と果実の“極上のバランス”がスライドで映し出されると、フロアでは身を乗り出す姿が見られた。「樹勢が強く、浮皮のない糖度ののったみかんが収穫できた。生産コストも削減でき、鮮度保持期間も長い。1年目から、収量の増加やハダニの発生抑制など当初の不安を払拭する成果をみた」と山口さん。しかし、「果皮に青みが残り、これが市場評価を下げていることから、この改善が最大の課題」と述べた。
和歌山県からやってきたパネリスト・園井信雅さんは、まず「紀州大地の会」の活動を紹介。農薬・化学肥料を使わない有機農業を広げる運動に6年間打ち込み、流通販路を開拓し、生ゴミ原料化の推進などを行っている現況を説明した。
その中で園井さんは「本気で地域社会に飛び込めば、様々な真実があることが分かる。食を見つめれば世界が見えてくる。社会が直面している課題を背中に十分感じながら、いま、ここでどう耕すか…という具体的な実践のなかに、生産者としてのやりがいがある」と言及した。
おいしさ勝負にEMが効果を発揮 パネリストたちから取り組み状況が報告された後、稲福さゆりコーディネーターが質問を繰り出した。
「自分の農作物に対する評価と課題」について、宮里さんは「確実に味が良いのに、外見が悪いと評価されない。だから、分かっている人に買ってもらおうと思うようになったが、いつの日かすべての消費者に分かってもらいたい」と語った。続いて、山口さんは「色の良いものを選ぶ…という消費者行動に苦戦した。EMの本質を理解してくれる消費者が一人でも増えてほしい」と述べ、「しかし、栽培の方法によって色の問題もクリアできるはずで、それを目標にしている」とも語った。
園井さんは、流通ならびに消費者サイドの購買意識について「価格、味、安全性などのポイントのうち、安全性がみえてこない。本音は、減農薬レベルでいいから安定供給でき、慣行栽培のものと同じ価格…といったところではないか」と分析。その上で「おいしさが勝負になってくる。だからこそ、美味で安全性の高いEM効果が注目される。消費者に良いものを見分ける目を養ってもらいたいので、試食会なども開いている」と述べた。
続いて、「不耕起栽培」についてコーディネーターが質問をしたが、フロアから「不耕起は確かに大事なテーマだが、有機農業を目差す農家にとって目前の課題はまず、安定的な収量確保だ。生ゴミを堆肥にするとき、コストの問題や地域協力が必要になってくる…」と、「生ゴミ利用を通した地域との関わり」について意見を求めた。これに対し、各パネリストから、行政や地域とどのように協力関係を構築しているか…などの体験談が披露された。また、不耕起栽培がコスト低減につながる可能性についても示唆があった。
フロアから、EM作物に激励のエール フロアとのやりとりでは、「資源循環型の農業をやるには?」「除草対策はどうしているのか」「マルチは何を使ったか」などの質疑があり、そのなかで、販売に従事しているという参加者が「安全でおいしいEM作物を、適正価格で引き取りますよ」と激励のエールを送り、パネリストを感動させ、一瞬息を詰まらせる一幕もあった。「都市部と農村部を結びつけるのがEMだ」という声が続いた。