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事例発表 No.10
2000.11.12
子どものまちづくり実践
〜EMを学び、まちづくりに活用する〜
The Theater Event --------
Effective Microorganisms



 
 1963年(昭和38)4月20日沖縄県沖縄市(旧コザ市)生まれ。琉球大学教育学部卒業後、熊本大学大学院教育学研究科修士課程終了。研究分野は、教育制度・戦後沖縄教育史・小学校社会科教育である。著書に『戦後沖縄教育の軌跡』(那覇出版社、1999年)、『アメリカ教育の光と影-見たまま・感じたままに-』沖縄時事出版、1999年)、『那覇市教育史(資料編)』(那覇市教育委員会編、2000-11 EMフェスタ2000、分担執筆)、他論文・実践記録等多数ある。現在、小学校における社会科教育(地域学習)の視点から、子どものまちづくりへの参画のあり方を模索している。
嘉納 英明
(かのう ひであき)
具志川市立あげな小学校教諭
 (沖縄県)



はじめに

 平成11年度のEMを使ったまちづくりの実践としまして、本校5年生主催の「あげな子ども市場」の開催があります。全国的に商店街の空洞化現象は問題となっておりますが、そこを活性化させていく方策の1つとして子ども市場を開催しました。子どもたちはEM野菜を仕入れ、即売していきます。子どもたちは市場活性化のために市産品のEMに着眼するというわけです。
 次に、本校の4年生は、EM関連品を含んだまちの特産品を再発見、学習しまして、「具志川市子ども物産展」を開催しました。子どもたちは、EM野菜を仕入れ即売するだけでなく、EMねぎを育て、EMおにぎりを作り、具志川市のEMをアピールしました。この活動は平成12年4月から7月にかけての活動であります。
 3つ目は、本校4年生が快適な公園、癒しの公園づくりのためのEM活用のあり方を構想し、提案する学習活動であります。

あげな子ども市場の開催

 さっそく実践事例1「あげな子ども市場」の開催に至るまでをお話したいと思います。
 子どもたちは、まず住んでいる地域の良さと改善が必要な点を、2日間にわたり220世帯にインタビューしました。調査の結果、特に安慶名市場の活性化問題が浮かび上がりました。近年の大型店舗の進出による商店街の沈滞化問題が校区内でもあったのです。子どもたちは、安慶名市場の空洞化問題へと迫っていきます。

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 安慶名市場区の回答は25世帯から得られました。住んでいる住人は、交通の便も良いし買い物にも便利だと言っていますが、やはり客が来ないために、駐車場を整備してほしい、客がたくさん来て繁盛してほしいと願っていることが分かりました。
 子どもたちの調査は、なぜ安慶名市場が暗くて客がいない市場なんだろうという素朴な疑問となり、昔の安慶名市場をよく知っている人をゲストに招くことになります。
 「30年前の安慶名と市場」と題しまして、本校PTA事務の方にお話をしていただきました。事務の方は、30年前の市場はすごくにぎやかで客が多く、正月や盆は本当に人でいっぱいだったこと、地域には映画館が4つ、結婚式場もあったことなどを語ります。
 その日の午後、安慶名市場とその近郊をフィールドワークし、30年前の活況にあった市場の足跡を確認していきます。子どもたちは30年前の市場への思いと再復興への願い、市場衰退の原因と再開発について、そして、市場再興は自分たちの問題であると認識するようになります。


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 市場のフィールドワークを終え、自分たちができることはないかと話し合いました。子どもたちから「フリーマーケットをしてお客を呼びたい」「今の市場と未来の市場を描いたポスターを描きたい」「壁にペンキを塗る」「屋根の色を変える」など、たくさんの意見が飛び出しました。その中で、市場のゴミを拾ったり、アルバイト、ボランティアをしようとの声も強くあり、話し合いの結果、安慶名市場近郊でボランティア活動を行うようになりました。活動は長いもので1週間に及びました。スライドは惣菜店やパーマ屋で活動する子どもたちです。

 ボランティアを展開する中、教室では夢と希望にあふれる安慶名地区の将来像を描いていました。これは10年後、20年後の安慶名地区はこうなってほしいと願う子どもたちの将来像であります。子どもたちはまず区画整理をし、デパート、公園、ボウリング場、スイミングスクール、あるいはおもちゃの専門店などを描いていきました。安慶名のシンボルタワーの制作もあり、ラミネート加工し、完成いたしました。


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 完成した将来の安慶名像を、具志川市長に提案することになりました。その特徴としましては、緊急車輌が通れる大きな道路と区画整理された土地、緑化された区域、広場、遊園地、駐車場の整備、具志川市のシンボル・安慶名タワーの建設、住宅街と商店街が分かれている、ゴミ箱の設置などです。
 次の子どもの活動は、にぎやかだった30年前の安慶名市場を再現したいというものでした。活動は子ども主体による「あげな子ども市場」の開催に向かいます。
 今年3月18日、本校音楽クラブの協力により、市場通りのパレード、市場大通りでの演奏もあり、集客効果は抜群でありました。その後、あげな子ども市場の開会宣言で、子どもたちと住民との直接的な触れ合いの場となりました。
 子ども市場にはリサイクルショップ、手作りのお菓子、EM野菜の販売、地元製紙工場からはトイレットペーパーの提供などがあり、本校PTA役員バンドの生演奏も市場を盛り上げました。数百名の市民が詰め掛け、活況に満ちました。
 子どもたちは、子ども市場の活性化のために、EMプラザからEM野菜を仕入れ、即売したのでした。これは子どもとEMとの出会いでもありました。知念具志川市長にもEM野菜を買っていただきました。


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 子どもが地域のまちの問題の所在を探求して、問題解決に主体的に関わろうとした点が、今回のまちづくり学習の特徴であります。また、本校の子どもとEMとの出会いがあり、このことは私とEMとの出会いでもあったのです。


具志川市子ども物産展の開催

 次に、EMを具志川市の特産品として学習した事例を紹介したいと思います。具志川市子ども物産展についての報告です。
 さとうきびやパイナップルなど沖縄県の特産品については、子どもたちもよく知っていますが、具志川市の特産品についてはほとんど知らないことが分かりました。
 そこで子どもたちは、具志川市の特産品、つまり市産品にはどんなものがあるか探求していくことになりました。


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 特産品探しは、図書館の資料やインターネットを使うことから始めました。また、学校の近郊にはEM商品を幅広く扱ったEMプラザがあり、子どもの関心を広げるためにも、同店を訪れることにしました。  EMって何だろう? EMを使った商品はこんなにたくさんあるんだ…と、子どもたちはスタッフに矢継ぎ早に質問をしていました。特に子どもたちを驚かせた商品は、EM入りのちんすこうやEM入りの米や野菜、EM入りの牛乳などでありました。


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 子どもたちはEM関連用品が生活の中にもしっかり使われている現状を知り、具志川市の特産品の1つとしてEMをとらえていくようになります。
 訪問後の子どもの感想からは、EMそのものに対する関心の高まりがみられたことと、EMを家族に知らせたい、EMを開発した比嘉照夫教授に関心を持ったこと、EM関連用品を仕入れ、自分たちで販売したいという声でした。ここで、子どもの感想を1つご紹介したいと思います。


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 「今日私は、グループをつくってEMプラザに行きました。EMはなぜEMとつけられたかという質問に、有用微生物のことと言っていました。琉大の比嘉照夫教授が開発したと言っていました。EMを使うと、ゴミが少なくなり、家庭がさわやかになると言っていました。EMは地球の環境にもやさしい。生ゴミを土に埋めると植物が育ちやすくなると言っていました。EMはペットの小屋にかけたりすると臭いがなくなると言っていました。ボカシはいろいろな役目をしているそうです。EMのことをもっと知りたいです」


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 一方、EMに対する子どもの関心をもっと高めるために、昨年、具志川市役所内に設けられた「EM推進プロジェクトチーム」のスタッフの指導を仰ぎながら、EMについての学習会を開きました。基本的な話をしていただいた後、実際にハツカネギを植え、EM活性液をかけ、自分たちで育てることにしました。このハツカネギは、のちの「具志川市子ども物産展」で販売されることになります。
 EMに関心をもった子どもたちは、EMプラザで5日間のボランティア活動も行いました。最初はビデオを観てEMが生活の中でどのように活用されているのかを学習し、その後店内の商品の並べ替え、レジ、清掃活動、値札づけを行いました。また、スタッフに連れられて、市内の熱帯資源植物研究所でEMパンを試食したりもしました。こうしたボランティア活動を通して、EMを肌で知っていくのです。


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 スライドは実際にちんすこう作りを実践する子どもたちです。このグループは、具志川市子ども物産展でもそれを販売しました。このフェスタでもEM入りのちんすこうづくりにも挑戦し、展示棟の「パワフルEMっ子チーム」のブースで試食なされた方もいるかと思います。
 学習のまとめは、個々のグループが調べてまとめてきた具志川市の特産品を集め、「具志川市子ども物産展」を開催することでした。特産品はゴーヤー、ちんすこう、ヌチマース、赤野豆腐、具志川そば、EM野菜など、いろいろあります。


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 今年7月1日に「子ども物産展」は開催されました。具志川市のメーンストリート、県道75号線沿いの空き店舗を活用したものでした。会場はあげな小PTA役員バンドによる演奏で雰囲気を盛り上げ、4年生全員によるダンスで幕を開けました。ダンス終了後、子どもによる開会宣言で物産展は始まりました。


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 物産展会場には、EMハツカネギ120本、これはEM活性液をかけて子どもたちが育てたものです。それから、EM野菜、ヌチマース、農林高校から仕入れた野菜、ちんすこう、ゴーヤー、あるいはEMおにぎりというものも子どもたちが作って販売しました。これはEMプラザから購入したEM米を用いたものです。品数は1千を超えました。  「子ども物産展」の会場は多くの市民でにぎわい、商品も1時間足らずで完売しました。


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また、空き店舗を有効活用できたことはまちづくりの観点からも貴重な意味があったと思います。手作りちんすこうやEMおにぎり、EMハツカネギなど、子どもの発想によるあげな小学校特産品も開発されました。


子どもたちが考えた「あげなEM公園」

 次に、あげなEM公園の構想と提案について報告したいと思います。あげな小学校から歩いて5分ほどの場所に公園建設予定地があります。すでに用地は確保され、現在基本設計に入り始めているところであります。公園は子どもたちをはじめ、地域住民が利用することが多いにもかかわらず、なかなか子どもや地域住民の希望が基本設計に取り入れられることはありません。そこで、子どもたちと公園の学習をすることにしたのでした。


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 調査した市内外の公園の実態から浮かび上がったことは、公園の管理運営のまずさでした。つくられたばかりであるはずの公園も、トイレの落書き、施設設備の破損が指摘されました。公園で遊ぶ人はいませんでした、という報告もありました。こうした実態をもとにして、自分たちの公園を構想していくのでした。


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 まず地域の住民からの聞き取りを行い、新しくできる公園にはどんなものが必要ですか、どのような公園になってほしいですか、と子どもたちが戸別訪問し、聞き取っていきました。調査は181世帯に及びました。  あげな小学校の校区である安慶名区と西原区の住民が希望したのは、ベンチ、ブランコ、滑り台、トイレなどであり、明るい公園を望んでいました。また、本校3年生から6年生までの300人の子どもたちにもアンケート調査を実施したところ、滑り台、ブランコ、トイレ、広場、水飲み場の設置を要望しております。


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 これらの要望と、学習してきたEMを公園の中に活かすことはできないかと考えました。子どもたちからは多くのアイディアが出ました。例えば、EMを活用したトイレであったり、EM入りカラー砂場などです。EMを使ってトイレの臭みを取ったり、砂場の犬や猫の糞を浄化することはできないかと、子どもたちなりに考えたものでした。ちなみにカラー砂場とは、白っぽい砂だけでなく、黒っぽい砂、赤っぽい砂を活用しての砂場です。


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 これ(スライド)は、あげなEM公園を制作している光景です。この名称も子どもたちから募集したものでした。この公園の特徴としましては、まずEMを使ったカラー砂場、EMを使ったトイレ、土や草花にEMを散布することなどです。また、遊具もEM製品がいいという意見がありました。その他、明るくにぎやかな公園がいい、遊園地みたいな公園がいいという声もありました。
 これを市長に提言し、「あげなEM公園」の特徴も市長にアピールすることができました。


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 公園の学習を展開する中、EM推進プロジェクトチームの協力を得、4年生全員が米の研ぎ汁EM発酵液の学習会に参加しました。プラザで購入したEM米を研ぎ、研ぎ汁にEM1と糖蜜を加えて発酵させた後、学校の清掃活動や栽培活動に活用していきました。トイレの清掃に使ったり、教室のじゅうたんにかけたり、飼育小屋などにも散布しました。特に飼育小屋の臭いが数日で消えたことに、子どもたちは大変驚いていました。


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今後の展望

 最後に今後の展望について付言しておきたいと思います。
 まず、日常生活においてEMに触れる機会をつくるということが、学校現場においては重要ではないかと思われます。例えば社会科の学習や理科の学習、あるいは総合的な学習の時間の中で、EMを含めた環境学習、環境教育の実践が望まれます。同時に、校内の清掃活動、栽培活動の中で、効果的にEMを活用するしくみを作り出すということも大切だと思います。
 こうした実践を踏まえていきますと、将来は子どもによるEM環境宣言、子どもEM物産展、あるいはEMによる学校改造大作戦というものもあっていいかなと思います。どうもありがとうございました。