EMフェスタ2000 > 発表大会


事例発表 No.07
2000.11.11
行政におけるEMへの取り組み
〜岡山県船穂町の場合〜
The Theater Event --------
Effective Microorganisms



 
 昭和23年3月13日船穂町に生まれる。昭和41年3月岡山県立倉敷青陸高等学校卒業。昭和45年3月岡山大学農学部農業工業科卒業。昭和47年岡山大学院農学研究科農工専攻卒業。昭和47年岡山県庁入庁(技術吏員)。平成5年6月岡山県地域振興部交通対策室。(地域振興主幹を最後に退職)。平成5年11月1日船穂町長に就任。平成9年11月1日再任。趣味は散策、読書。特に上杉鷹山に関するものは好んで読む。
土井 博義
(どい ひろよし)
船穂町長(岡山県)
 


 船穂町がEMに取り組み出して、もう丸6年が過ぎようとしていますが、現在では本当にいろいろな方面に活用の輪が広がっています。その経緯や活動の成果などを、今回は時間の許す限りご説明したいと思います。
 私は町長になって7年目ですが、自信と誇りを持って次の世代に継承できるような輝く町をつくろうという、非常に勇ましい推進方針がありまして、町での施策については、すべてそういう考えで取り組んでいます。
 その中でEMを使うことに決めた町のいきさつについてお話いたします。
 船穂町は町の人口が8,000人足らず。面積はたった11平方キロメートルと小さな町ですが、全部で52カ所のゴミステーションがあります。このステーションが夏場に生ゴミが混入することで非常に悪臭を放つ。野良犬や猫、カラスがつつきに来るという住民からの苦情がありました。また、不燃物の埋め立て地の中に、生ゴミや可燃ゴミが混入してしまい、同じような苦情が付近住民から長い間続いていました。
 もうひとつ、船穂町は早出しマスカットの全国一の生産地で、高梁川の下流に拓けた清流とマスカットの町というキャッチフレーズで広く知られております。21世紀もこのような良いイメージを残し、船穂町の農産物というのは安心で安全なものだと思っていただくためには、循環型、環境保全型の農業というものを意識して作り上げていかなくてはならないという農家の声も高くなっています。
 人口の面では、毎年1%ずつ高齢者の数が増えております。高齢化は政府や一般的なマスコミでは社会的に暗いイメージの要因として取り上げられていますが、見方を変えれば、まだまだ青春ということ。時間を持て余していることは町としても寂しいことですから、元気な人生の先輩方にもどんどん役割を持って頑張っていただこうと社会福祉協議会の中にシルバー人材センター、愛称・いきがいセンターを作り、会員制で約150人の方に登録していただいてます。しかし、なかなか仕事がなく面映いというのが現状だったわけです。
 さらに、婦人会や青少年を育てる会といったいろいろな団体があり、それぞれが環境問題に対する活動をされているわけですが、みんなが連動していけばもっと成果が出るのではという課題がありました。
 また、これは全国どこでも同じだと思いますが、ゴミの処理場や集落排水、公共下水の処理場を造っても、その二次管理にとても高い経費が伴うという問題もあります。この運営経費を削減し、焼却、排水などによる汚染の軽減をいかに実現していくかが今後の行政の重大な課題です。
 そこでこのような諸問題の対策にEMを活用していくということになったわけです。
 実は今年度、汚泥をEMによって堆肥化する施設整備に取り組んでいます。ゆくゆくは、事情があって合併浄化槽や公共下水を利用できない家庭のし尿も、EMによってスラリー化して処理用の施設に運び込むという計画も、数字の上では可能ですので、実現できればと考えています。
 どこの町の処理施設も、その能力を十分発揮していないと思います。船穂町の場合も、実は能力の60%の稼働率ですから、その負荷をEMによってさらに下げて、残った余力で先ほどのし尿をスラリー化したものの処理を行いたいと計画しています。現在、7,000万円ほどの税金が、燃やすだけに使われているのです。これを将来は半分にしようという構想で、取り組んでいます。
 1度にすべてを行うのは不可能なので、今、四つの事業を進めています。

700世帯の生ゴミをEMにより堆肥化

 平成8年の6月1日から始めた「生ゴミの分別」で、現在びんや缶などの5種分別に町民の皆さんのご理解をいただいております。当然、分別が進むとゴミの処理費用も減ります。町の中で、一番多くEMを活用したのが、この生ゴミの処理でございます。
 2,300世帯のうち700世帯の方々に生ゴミの分別に協力していただき、農業公社で生ゴミの堆肥化プラントを運営しています。農業公社というのは、循環型農業を推進する意味で設立された第3セクターの施設です。


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 ここでは、いきがいセンターから10人のシルバー人材の方々も運転に参画していただいており、1時間あたり900円という高給をお支払いしています。その1割を社会福祉協議会に寄付をしていただき、この5年間に2,000万円というお金がたまりました。これを介護保険の審査にもれた方のホームヘルパー活用などに利用しようということになっています。



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 この農業公社で働いているお年寄りの平均年齢は73歳。700世帯から集まる生ゴミは約300トンですが、これから年間10キロ袋で1万4,000袋の堆肥が生産できます。これを1俵750円で買っていただいて、約900万円の収入が得られるようになりました。この300トンの生ゴミを従来どおり焼却すれば、1トンあたり2万3,000円ですから、約600万円かかります。それが節約できるわけですから、900万円プラス600万円で1,500万円という金額ができます。それをお年寄りの人件費や工場の運営費に拠出し、プラスマイナス0の経営ができているのです。
 この運営を始めて5年目になりますが、皆様の協力のおかげで、持続することができています。


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快適な家庭環境づくりにEMを活用

 次に、廃水処理についてお話します。
 農林省の補助事業で集落排水施設、あるいは厚生省による合併浄化槽の推進という事業を進めてきました。


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  実はこの施設は計画では750人分の処理機能をもっているのですが、まだ430人分の機能しか使っていません。6割しか稼動していないのですが、これをさらにEMを投入することによって負荷を下げ、機械の効率を良くし、その中に先ほどお話したし尿のスラリー化したものを入れることで、処理の軽減を図ることを計画しています。
 もう1つは、今年から消費者問題研究協議会という女性の婦人会のグループが、子供たちと一緒になって、家庭の台所や風呂場、トイレの悪臭を改善するためにEMを配布し、快適な生活環境をつくろうと自主的に活動しはじめました。これは本当にありがたいことです。

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 そこで、私は、農業公社でお年寄りの作業として、EM培養液をつくる「百倍利器」、を設置いたしました。それを計算すると、1リットルで60円もいただければ農業公社としては賃金や電気代などの消耗経費がまかなえますので、1リットル100円で婦人会の方が販売していただければ、1リットルあたり40円の活動経費が生まれます。これは行政としても、ゴミの減量化や質の高い生活環境づくりという観点から、有形無形の形で応援していきたいと思っています。


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 また、昨年から農業少年団という活動も始まりました。これはゴミを減量化した結果生まれる有機肥料を使い、無農薬で自分たちが食べる給食の素材も育てていこうという運動です。面積はまだまだ二反ほどですが、自分たちで作って自分たちの給食で食べるという活動も子供たちの間で始まっているのです。
 それと、今年は、し尿の汚泥をプラント化し堆肥を作ろうと今取り組んでいます。
 これから、このような事業を持続的発展的に継続するために町としてどのようなことを進めるべきかが大切になってきます。

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 私はEMの持つ物理的、化学的効果だけを目的にこれらの事業に取り組んできたのですが、始めてみて思ったことは、これまで行政には直接関係がなかった各地区の市民団体の目に見えない大きな協力の輪が、今後はぜひ必要になってくるということです。
 今ではEMの効果というものが、そういう住民の善意の輪が結果として広がっていくという副次的な大きな効果となって見えてきました。そのことを私はぜひ皆様にお伝えしたいと思います。小さな行政でも住民との連携を取ることによって、行政事業費が軽減され、人の和が広がっていくことを、今年度は見ることができたということをご報告して、発表を終わります。ありがとうございました。