EMフェスタ2000 > 発表大会


事例発表 No.06
2000.11.11
EM力が支える障害者雇用
〜命あふれる円を描こう〜
The Theater Event --------
Effective Microorganisms



 
 1962年横浜市生まれ。立教大学法学部法律学科卒業。東京都、神奈川県の社会福祉法人、知的障害者施設で働くが、「命多き環境」を求め1992年家族と共に北海道へ移住。たつかーむに勤務し、農業、EMボカシを学ぶ。1998年南アフリカオーストリッチ産業視察。1999年「障害者と共に働く」論文コンクール日本障害者雇用促進協会会長賞。EMボカシネットワーク北海道副支部長。少林寺拳法・中拳士三段。
高井 賢二
(たかい けんじ)
北海道そうべつ福祉ファームたつかーむ指導主任 (北海道)



 私たちの農場「北海道そうべつ福祉ファームたつかーむ」は、有珠山の麓、壮瞥町にあります。現在スタッフが4人、重度知的障害の方10人で、親鳥2,000羽、雛の飼育を含めますと3,000羽規模の自然養鶏を基幹事業とし、EMボカシづくり、有機農業、ダチョウ飼育、鶏糞肥料製造、アイスクリーム製造などを行っています。


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 これ(スライド1)は放し飼い鶏舎に牧草を与えているところです。自然養鶏の特徴は青草をたくさん与えるというところにあります。




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 次(スライド2)は今年6月に認可を受けましたアイスクリーム製造施設です。たまごアイスクリームと申しまして、卵黄をたっぷり使用したアイスクリームとなっています。また、ソースを作る段階で0.2%のEM-Xを添加しています。


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 これ(スライド3)は繁殖用ダチョウの放牧場です。現在5羽の親鳥を飼育しています。ダチョウについてはまた後ほど説明いたします。
 農場面積は8ヘクタールほどで、果樹なども栽培しています。年間事業費は約3,400万円。そのうち半分は自然卵販売によるもので、EMボカシは卵のお客様を中心に販売しており、今年はこれまで50万円くらいに伸びてきています。たつかーむは15年前に重度知的障害の方の経済的、社会的自立を目的に設立され、現在6名の方は10万円ほどの賃金となり、最低賃金をクリアした正式雇用関係が実現しています。設立以来、地元の方々、養護学校関係者、保護者の方々を中心に「たつかーむを支える会」を組織していただいており、会員は年々増え、現在280名ほどとなっています。


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 これ(スライド4)は昨年10月に完成した全室個室、サロンのあるグループホームです。ここでは今、知的障害の方5名が生活しています。

EMボカシネットワーク北海道支部の活動

 私たちとEMとの出会いは、1997年、EMボカシネットワーク北海道支部の設立準備会が発足され、一昨年、このEMフェスタで発表された勝俣支部長に声をかけられて参加したことがきっかけです。そのとき初めて比嘉節子名誉会長にもお会いすることができました。EMボカシネットワーク北海道支部は、当初加盟施設が数カ所であったものが、現在40以上の団体、個人が集まる組織に発展しています。活発な活動の理由は、比嘉節子名誉会長がいつもおっしゃっている「楽しくやろう」と言うことにあると思います。


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 これ(スライド5〜6)は、比嘉節子名誉会長が今年の6月の支部総会にて「家庭で取り組むボカシ生ゴミ処理」について講演なさっているところです。北海道では、場所によっては車で4時間かけての参加もありますが、施設の自主運営は、和気あいあいと和を広げています。

 このEMフェスタにも毎年1名を支部から旅費を出費し、意識を高め、交流を深める目的のために参加させています。また、道内のEM技術者の方々のバックアップがとても強力で、施設の問題にも即座に対応していただいており、ボカシを作る技術も年々レベルアップしております。
 特に、昨年指導されたEMボカシへのEM-Xセラミックスパウダーの混合により、さらに強力な、安定したEMボカシが作れるようになりました。
 福祉的立場から言うと、EMは障害者福祉に与えられたチャンスだと思います。EMという強力な手段を持っていれば、あらゆる可能性が生まれます。EMをどのように活用していくかは、それぞれの創意工夫だと思います。この機会を与えられたことを感謝するとともに、EMボカシネットワークが今後ますますEMの発信基地になっていくことと期待しています。

たつかーむでのEM活用事例

 次に、たつかーむでのEM活用とその素晴らしい効果について発表したいと思います。
 今年の目標はまず、EMボカシをたくさん作りたくさん使うということでした。そのため、ビニール袋でボカシを熟成させた場合、指で穴を開けてしまったり、保管場所が限られたりするので、今年からドラム缶を大量に入手し、日当たりの良い所で2カ月以上熟成させる方法を採りました。でき具合も良く、月平均の生産量が500キログラムほどになりました

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 これ(スライド7)は、元厩舎として使われていた50坪の屋内にてボカシを乾燥させているところです。また、自然養鶏の自家配合飼料に、常時3〜5%の配合が可能となりました。同時に、鶏の飲水をEMセラミックスで処理し、平飼い鶏舎の床には定期的にEM活性液の300倍希釈液を散布しました。
 その結果、いろいろな効果が現れました。まず、鶏舎内の鶏糞が戸口や金網からあふれ出てきました。非常に状態の良い乾燥した鶏糞が、隙間のあちこちから流れ出てきたのです。以前使用していた好気性菌や土着菌では床の下層は固まってしまい、こういうことはなかったのですが、EMの場合、奥深く発酵が進んでいるものと思われます。


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 この発酵鶏糞(スライド8)は、10キログラム400円で販売しており、「ミミズの湧く鶏糞」としてとても好評です。また、15年ほど使用している餌を配合する攪拌機がピカピカになりました。(スライド9)私たちは毎日使用しているので気づかなかったのですが、道内の自然養鶏家の方たちがたつかーむを見学した際、「なんでこんなにピカピカなんだ?」と皆さんが驚き、私たちも改めてEM効果を確認した次第です。そしてそのとき、EM効果を説明すると、全員の方々がペットボトルにEM活性液を詰めて帰りました。

 


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 その他にも、EMを使い始めてからコクシジウムという雛の病気が全くなくなり、避けていた高音多湿の7、8月の雛の飼育が可能になりました。  鶏の体を解体してみると、以前は時々みられた肝臓の斑点などがなくなり、とてもきれいな内臓になっています。また、今年は猛暑であったため、お盆以降の産卵率の低下が予想されましたが、その産卵率も80%以上に安定し、黄身や濃厚卵白のへたりもなく、鮮度をしっかり保っていました。  最近、飼料のベースである小麦のタンクの残量から飼料効果率が1割アップしていることが分かり、非常に驚いています。


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 この写真(スライド13)は、デントコーンのEMサイレージです。青草がなくなる冬場に与えるのですが、その効果も今から楽しみです。  私たちは抗生物質やワクチンなどの薬剤は一切使用していません。「健康な鶏は病気にならない」という考え方です。病原菌や腐敗菌に対して強力に力を発揮するEMという強い味方を得て、薬剤フリーの養鶏に自信を持つことができるようになりました。

 この(スライド14)有精自然卵の値段は、10個400円で1日の生産量は1,500個。年間の売上は1,600万円ほどで、主な販路としては、市民生協の共同購入、自然食品店、宅配などです。今年から地元の広域学校給食センターにも利用していただいています。たつかーむの卵は、それまでこの給食センターが使用していた卵の倍の値段でしたが、「地元の良いものを」と快く引き受けてくれました。子供たちにEM密度の濃い卵を食べさせたいと、一同とても張り切っているところです。また、マーケットの方から「扱ってみたい」という引き合いもいくつかあり、これも「EM力」なのかもしれない、と話しています。

ダチョウの雛の死亡率を抑制するEM効果

 次にダチョウの飼育についてご説明します。
 鳥類の王様を飼ってみたいという夢もあり、4年前からダチョウ飼育を始めました。ダチョウ産業は21世紀の畜産として、日本では1994年に沖縄で始まり、現在は北海道が全国一農場数の多い地域となっています。私たちの施設では5羽の親鳥と20羽の雛を飼育中です。

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 孵化器から出した雛は、初期育雛室でしっかりと餌付けをして次の段階へと進みますが、この生後1カ月以内の死亡率が高く、ここが産業の重要なポイントです。


 雛を育てる育雛室は10坪のコンクリートの床にすべり止めの網を敷いた施設ですが、ある時期から羽数が増え、糞尿が溜まりだし、乾燥が悪くベタベタな状態になってしまいました。1週ごとに床を水で洗い、毛布で水分をふき取る作業を行いますが、そのたびに雛を移動させなくてはなりません。当然、群れ全体にストレスがかかり、立て続けに5羽の雛が死んでしまうということも起こりました。
 私自身、一時育児ノイローゼ気味になり、困り果てたときに部屋中に濃い目のEM活性液を散布してみました。それまでは「水分が多い床に水分を散布するのは逆効果」と、あえてやらなかったのですが、打つ手がなく半ばやけ気味になって撒いたところ、それまで室内にこもっていた糞の臭いが一瞬で消え、すがすがしく、不思議と気持ちも落ち着きました。
 2、3日続けると、床が見る見る乾き出し、雛も落ち着きを取り戻して、糞もすべて餌になり消えてしまいました。あちこちに白い菌糸が発生し始めたので、発酵による乾燥だと分かりました。

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 それ以後、雛は1羽も死ぬことなく、「EMの使い方はまだまだ奥が深い」と教えられました。日本オーストリッチ協議会の技術顧問で道立畜産試験場の課長がこの育雛室の見学に来られたとき、2カ月以上まったく掃除をしていないことを説明すると、「見事だ!」とEM効果をしきりに感心しておられました。それほど臭いもなくきれいな状態で、雛はその後順調に生育し、現在は屋外施設で元気に飛び跳ねています。

周辺農家が驚くほどのEM有機農業の成果

 鶏糞とEMボカシを使った有機農業も、今年は大きな成果が出ています。

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 以前の畑は窒素過多による徒長も目立ち、バランスの悪さを感じましたが、EMボカシを鶏の糞に混ぜ、それを畑に入れると、作物の出来が非常に良くなりました。今年は花豆、トラ豆、小豆、大豆といった豆科の作物を3ヘクタールほど作付けしましたが、成長は非常に順調です。



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 豆科の植物は、これまであまり収穫が上がらなかったので、これもEM効果だと思います。秋の収穫の時期に非常に長雨にたたられ、高温という悪条件も重なり、周りの農家の方たちは半分もの豆にカビが生えてしまったそうです。その方たちは「早めに豆を落とさないとひどいことになるぞ」とたびたび忠告してくれたのですが、不思議と私たちの豆にはカビがつきません。やはり生命力が強いのだと思います。現在収穫中で、質量ともとても良いものとなっています。最終的に他の畑の豆とどれくらいの違いが出るのか、収穫の結果を楽しみにしています。



福祉からのEM発信

 私たちの農場には、毎年たくさんの見学者が訪れます。とくに夏は研修の若者たちが集まり、今年も福祉職を目指す専門課程の学生や東京農業大学の学生、東京の農業高校の学生など、多くの人たちとの楽しくにぎやかな夏となりました。

 


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 彼らの目的は、福祉、養鶏、ダチョウ、堆肥など、それぞれです。見学はもともと福祉的要素が強いのですが、最近は農業に関心を持つ若者も多く、EMの効果はとてもインパクトがあるようです。
 いつも研修に来られた人たち全員に感想文を書いてもらっているのですが、東京農大の3年生の感想文に、こういうものがありました。
 「たつかーむ、最高に楽しかったです。非常に勉強になりました。養鶏のこと、ダチョウのこと、EMのこと、学ぶものはたくさんありました。(中略)今回ここへ来て、僕が一番興味を持ったのがEMでした。こんなすごいものがあるなんて……。これは大学に帰り、何とか先生を説得して、僕はEMを使った研究をやりたいと思っています。EMにホレました。すごい!」
 私たちは今年になってEMの発信力がついてきたなと感じています。これは昨年よりもたくさんEMを使い、EM力を高めた結果だと思っています。


命あふれる円を描こう

 私たちのEM活動はまだまだ始まったばかりです。今年はEMボカシを鶏にたくさん与え、鶏がとても健康になり、その鶏糞で畑が良くなりました。健康な卵や野菜をお客様に提供し、またEMボカシを地域の方々に使っていただき、それがまたとても喜ばれています。
 障害を持った方たちも素晴らしい生産物を作り、賃金を得、元気に楽しく働いています。今や私たちの事業は、EM力によってしっかり支えられていると言っても過言ではありません。
 最近少しずつ福祉・養鶏・農業、そして、さまざまな人たちが、EM力によって円のように繋がり出した実感があります。養鶏から畑へ、卵や野菜を人へ、そして多くの人たちとEMによる未来展望を語り、青空の下でともに汗を流して達成感を喜ぶ。循環型とは無駄がなく、さらに大きく広がっていくイメージがあります。EMとはそのような理想を追求していくために与えられた答えであり、贈り物だと思います。
 来年はもっとEM力を高めることで、さらに大きく、さらに楽しい円が描けるよう、みんなでがんばっていきたいと思います。
 最後になりましたが、このたびの有珠山噴火では、比嘉教授ご夫妻、関係者の方々に多大なご支援をいただき、心よりお礼申し上げます。また、たくさんの方々のご協力の申し出に、一部の方に卵の発送が遅れ、たいへんご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたしまして、私の発表を終ります。ありがとうございました。