今回、この発表大会のために、一つの論文を用意しました。しかし、昨日の晩、沖縄に到着した後、少し事情が変わったことが分かりました。その事情とは、今年9月に平壌で行われたEM国際討論会(EM技術と自然農法に関する国際会議)で私が発表したものも、そのまま発表したらどうかという意見です。
そこで、今回は最初にその要望にお答えし、朝鮮におけるEMの活用の総括をお話しして、それから用意した論文を発表したいと思います。
朝鮮民主主義人民共和国におけるEMの導入 朝鮮でEM技術が導入されて、約5年が過ぎました。朝鮮におけるEMの発展の段階を、大きく3つに区別することができます。最初の段階は95年、次は96年から98年まで、今は3番目の段階に入っています。
最初の段階では、EMの技術を日本から導入し、これに対して実験室の規模、パイロットスケールの規模でEMの元菌を作る技術を学び、そして一方ではこれを農地で小さな規模の実験を通してEMの効果を調べる段階だったのです。この過程で、私たち朝鮮の研究家はEMに対するひとつの見解を持つようになりました。
次の第2段階では全国的な規模でラージスケールの生産能力をつくること、それから、EMを全国の農地でどう適応するかという段階だったのです。この時期で、朝鮮ではEMの元菌を年間1,200トン生産できるベースができました。
また、農業でEMを使用している面積は、今では80万から100万ヘクタールになりました。
現在は第3の研究段階で、朝鮮式のEMをどういうふうに発展させるかの時期に来ています。比嘉先生も私どもに話してくださいましたが、朝鮮ではサトウキビの糖蜜がありません。その条件下で、どういうふうに培養の問題を解決するかが課題です。ですから、朝鮮式のEMを作らないといけないという結論が出ました。それで、トウモロコシで作る水あめを利用して、質の良いEMの元菌やEM活性液を生産する研究が活発に行われています。
これまでは農業分野でEMを活用してきたのですが、それ以外の環境や保健医療など、いろいろな面で活用する研究も、昨年から始められています。
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先ほど言いましたが、これ(スライド1)は平壌にある複合微生物センターです。こちらは、EMの研究やEMの元菌を生産するベースになっています。97年の6月に完成しました。
私が勤務する国際親善EM技術研究所は、比嘉先生をはじめとし、沖縄にあるEM研究機構とそれから自然農法国際研究開発センターからのサポートで完成しました。ここでは昨年の4月から仕事を始めています。先に述べましたセンターとこちらを合わせて、EM1、2、3号の元菌1,200トンを毎年生産しておりますが、現在の能力でしたら3,000トンくらいは生産できると見込まれています。
 3 ↑黒く丸いタンクはEM3号の、白いタンクはEM1号のタンクです。EM1号はここで600tほど生産できます。 |  4 ↑これは国際親善EM研究所の中にあるEM2号の元菌を生産する6tのタンクです。 |
 5 ↑これはEM3号の製造タンクです。EM3号も年間650tつくることができます。 |
EMの抗酸化力を実証する実験結果 今、朝鮮でのEM研究は大きく分けて3つのシステムからなっております。1つは、EMの作用やメカニズムに関する基礎的な研究。2つ目は農業でEMをどのように適応したら効果的かを調べる研究。3つ目は農業以外の環境、医療、食料への適応技術を開発する研究です。これは昨年から始まっております。
皆様ご理解されているとは思いますが、EMの一番重要な作用は抗酸化作用だと思います。私たちは、これを実証するための実験を行いました。
まず不利な条件下における抗酸化酵素の活性に対するEMの効果を調べ、次に植物の生育段階での抗酸化力の活性と光合成能力に対するEMの影響を調べてみました。
最初の実験では、MDA(過酸化脂質)、これが身体の中に多量に貯積されると具合が悪くなるのですが、これの形成に対するEMの影響を、マウスの肝臓のエキスとキュウリの葉のエキスを利用して実験してみました。
 6 ↑EMの20倍希釈液は、もともと抗酸化力が高い物質とされるL-cystein(アミノ酸の一種)やビタミンcと同じレベルの過酸化脂質抑制効果が確認できました。これは、マウス(動物)にない |
結果だけをここでは発表いたします。また、キュウリの実験では光合成には不利な暗くした条件で、キュウリの葉の抗酸化力の活性とクロロフィル(葉緑素)に対するEMの効果を調べました。その結果、過酸化水素を水と酸素に分解するカタラーゼという酵素の活性をみると、EM処理した場合、抗酸化力の活性とクロロフィルの活性は上がり、逆にMDAの値は下がるということが分かりました。つまり、どちらの実験でもEMの抗酸化力を見ることができたのです。