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事例発表 No.01
2000.11.11
EM善循環型地域(社会)づくり
The Theater Event --------
Effective Microorganisms




 昭和49年12月23日生まれ。大阪府出身。琉球大学大学院農学研究科を修了。現在(株)イーエム研究機構勤務。
吉田 正二
(よしだ しょうじ )
(株)EM研究機構 大阪事務所
研究員 (大阪府)
 


 環境保全かつ資源循環型農業の一つのあり方として、酪農を中心としたEMの効果について発表いたします。

乳量が増加し、乳房炎の発生を抑制するEM

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 本実験は、沖縄県恩納村(オンナソン)の宇加治(ウカジ)にて行いました。これ(スライド1)はご協力いただいた牧場です。規模は搾乳牛55頭、育成牛15頭です。平成11年3月より平成12年1月まで、乳量、乳質、乳房炎、悪臭、ハエの問題について調査を行いました。

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 EMの使用量は、通常の飼育管理のもと、EMボカシを1日1頭あたり約300グラム給餌し、EM活性液を5,000〜10,000倍に希釈したものを飲水に使用し、さらにEM活性液を100〜500倍に希釈したものを月に2〜4回牛舎内に散布しました。(スライド2)
 変化はすぐに見られました。まず初めに、便が黒っぽく硬くなり、便の中に残るトウモロコシの大きさが小さくなることが確認されました。また、餌の食い付きが良く、食べ残しが減り、さらにハエが牛にまとわりつかなくなりました。
 このようなことから、牛の消化率が向上し、ストレスが軽減されたと考えられます。

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 次に、結果を示します。(スライド3)
 1日あたりの平均乳量を月別に調べると、EMを使用すると乳量が増加し、年平均にして日量約1.5キログラム増加しました。平成10年度の県平均に比べても高い値を示しました。


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 次に生乳の中に含まれる体細胞数を調べてみました。(スライド4)この値は牛の健康状態を表すもので、1ミリリットルあたり30万数を超えると出荷の制限や罰金が課せられます。そのため、経済的にたいへん重要な意味を持ちます。EMを使用しなかった昨年(平成10年度)は、生乳1ミリリットルあたり30万数を超える値が4回あったのに対し、EMを使用した平成11年度は1度だけでした。その他の乳質については、時間の都合上、割愛いたします。

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 次に乳房炎についてご報告します。(スライド5)これはもっとも多発する病気で、罹患すると乳量、乳質が低下し、時には廃牛を招きます。治療には抗生物質を用いるため、約1週間出荷停止となり、経済的損失は非常に大きくなります。
 対策として、搾乳時に従来は塩素消毒されたタオルで乳房を拭きますが、ここでは代わりにEM活性液を使用しました。その結果、平成10年度では年間約20頭が発病したのに対し、EMを使用した平成11年度では初期に6頭が発病したあと、まったく発病しませんでした。

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 牛舎内の悪臭も改善されました。(スライド6)検査はもっとも悪臭のひどい夏場に行いましたが、いずれの日時においても悪臭はほとんどなく、検出以下であり、規定基準を下回っています。また、これに伴い、ハエが著しく減少したことが確認されました。
 以上のことをまとめますと、EMによって乳量が日量で平均1.5キログラム増加し、体細胞数の低下や乳房炎の発生が著しく抑制され、悪臭、ハエの発生も抑えることが明らかになりました。

EMを活用した糞尿の有効利用

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 次に、糞尿処理について説明いたします。ここではバンクリーナーにて糞と尿が混合したものを扱いました。図(スライド7)に示すように、4層に分かれたオーバーフローする層にEMを投入します。その際、EM活性液を、投入する糞尿量の約1/1000量入れ、さらに最終層で処理された糞尿を第1層に戻すことも行いました。

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 これ(スライド8)が、糞と尿が混合したスラリー状のものです。スラリー状とは、個体と液体が混合した状態のことをいいます。左が処理前、右がEM処理後のものです。EM処理を行うと、黄緑色のものが黒色に変化します。また、粘り気がなくなり、サラサラの状態になります。

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 スラリー状の糞尿をEM処理したものと、していないものの悪臭の発生を比較すると、無処理のものは悪臭の元となるアンモニア、硫化水素などの発生がひどいのですが、EM処理したものはほとんど悪臭の発生がありませんでした。(スライド9)

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 これ(スライド10)はEM処理による糞尿中の主な性状の変化です。EM処理30日後には、悪臭の主要因であるアンモニア態窒素が著しく減少しています。また、EC、トータル窒素、トータル炭素が減少することから、分解が促進されていることが分かります。
 このようにEM処理をし、悪臭のなくなった糞尿(以下EMスラリーと言います)を有効に活用すべく、作物の栽培実験を行いました。

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 まず初めに、牛の餌となるトウモロコシの一種、デントコーンの栽培を行いました。これ(スライド11)は、その栽培履歴をまとめたもので、夏場と冬場の二連作を行い、いずれにおいても無農薬、無化学肥料で行いました。また、通常のトウモロコシ栽培では畑を初めに深く耕す必要がありますが、ここでは浅く耕耘するだけにとどめ、栽培途中、土寄せも行いませんでした。

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 10年以上人の手が入っていない圃場にEMスラリーを10アールあたり約20トン散布して実験を始めました。悪臭はまったくありませんでした。沖縄県北部特有の赤土土壌で、一般的にはトウモロコシの栽培が不可能とされている土地です。一度の処理では種をまくことが困難でしたので、もう一度同様にEMスラリーを1回目と同量散布して栽培を始めました。(スライド12〜14)

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 5月の 2、3日にデントコーンを播種し、これ(スライド15)は、5月10日の発芽状況です。

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 追肥ですが、EMスラリーは粘り気がないため、このように(スライド16)容易に流れます。

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 (スライド17)左はEMスラリーに苗が2、3センチ埋まった状態ですが、右の写真はその後1週間後のものです。枯れることなく順調に生育し、EMスラリーの安全性をみることができます。


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 (スライド18)播種30日後の状況です。

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 生育は非常に旺盛で、このように(スライド19)しっかりと支根が発生しているため、特に土寄せを行いませんでしたが、最後まで倒伏することなく栽培することが可能でした。

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 これ(スライド20)は播種後約45〜50日後の出穂状況です。左が雄穂、右が雌穂です。

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次(スライド21)は播種後約85日で収穫したもので、実もきちっと詰まっています。

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 これ(スライド22)は、収穫物をサイレージ化するため、裁断している状況です。

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 その後EMを散布し、写真(スライド23)は、約2週間後の完成状況です。ビニールで覆うだけの非常に簡易な方法で、夏場において酪酸発酵することもなくサイレージ作りが可能でした。

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 次に2作目についてご説明します。1作目と同様にEMスラリーを用い、無農薬、無化学肥料で栽培を行いました。写真(スライド24)は10月11日の発芽状況です。次は(スライド25)播種30日後(左)、60日後(右)です。その後順調に生育し、播種後約100日で収穫することができました。
 これは(スライド26)収穫直前の様子です。


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 その収穫物もこのように(スライド27)きちっと実が詰まっています。
 以上のことをまとめますと、1作目では約85日、2作目では約100日で収穫することができ、通常のデントコーンの栽培期間が120日前後ということから考えると、大幅な栽培期間の短縮が確認されました。収量においても10アールあたり6〜7トン得ることができました。(スライド28)


EMは赤土の流出も抑える


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 このような栽培実験を行ううち、畑の赤土土壌に団粒化の促進が見られたため、次のような実験を行いました。(スライド29〜30)  ビンに土をつめ、水を入れて2日放置しておくと、通常は土の形状がなくなりますが、EMスラリーを施用した土壌では土の形状が保たれており、耐水性団粒が形成されていることがわかりました。


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 次に排水性についての実験を行いました。ポットに土をつめて上から水を流すと、通常このように濁りますが、EMスラリーの土では透明です。また、通常の土では数十分たっても排水されないのに対し、EMスラリーの土では数十秒で排水されます。(スライド32)

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 これ(スライド33)は実験後12時間後の写真ですが、通常ですと微粒子のクラストの形成が確認され、これが赤土流出の要因となります。しかし、EMスラリーの土ではそれが形成されません。


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 実際に赤土を流す実験の様子です(スライド34)。底に穴をあけたプランターに土を詰め、約5度の傾斜を設けてジョウロで上から水をかけて赤土が流れるかを調べました。通常の土は赤土が流出している様子がわかります(スライド35)。しかし、EMスラリーの土では、水は底の穴から排水されますが、赤土は流出していません。
 これらのことから、EMスラリーは土の団粒化を促進し、近年特に問題になっている赤土流出の防止効果があることが明らかになりました。これにより、積極的な環境保全が可能だと言えます。


EMスラリーによるその他の作物の栽培実験


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 EMスラリーを用い、普通の作物についても栽培実験を行ってみました。初めにスイートコーンについて説明いたします。EMスラリーの植物に対する安全性についてもここでは検討してみました。これ(スライド36)はその栽培履歴ですが、非常に暑い8月に、飼料用のデントコーン同様、深く耕さず、無農薬、無化学肥料での栽培を行いました。


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(スライド37)8月4日に播種し、8月10日の発芽状況です。

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 EMスラリーの植物に対する安全性の確認のため、このように(スライド38)、水田のようにEMスラリーを流し込みました。悪臭はありません。

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 これ(スライド39)は、約1カ月後の生育状況です。下の写真はEMスラリーを水田状に施用したものですが、特に病気や害もなく生育しており、EMスラリーの安全性が確認されました。


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 これ(スライド40)はその収穫物です。非常に暑い時期でしたが、このように実もきちっと詰まったものが収穫できました。また、栽培期間が約2カ月で通常より1カ月も早く、さらに収量が10アールあたり2トンと、沖縄県の平均収量の倍も収穫することができました。(スライド41)


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 その他の種類についても、無農薬、無化学肥料で、EMスラリーだけで栽培実験を行いました。大豆は8月に播種しましたが、高温化のもとで約2カ月で実がつきました。その他、葉菜類としてキャベツ、ブロッコリー、果菜類としてトマト、根菜類としてダイコンなどの栽培実験も行いましたが、いずれも好結果を残しました。(スライド42〜45)

 以上のように、EMを積極的に活用した家畜農家と耕種農家が互いに手を組み協力し合えば、環境を守り、資源を循環する豊かな地域農業を創造することができると思います。今後そのような農業を広げるため、皆様方のご協力を得るとともに、私自身、努力したいと思います。